JIS Z 8519:2007 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―非キーボードの入力装置の要求事項 | ページ 7

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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
図 B.6 フリーハンドの記号入力作業
被験者に対して,どの入力装置でも同じ形状のものを書き込むように指示することが望ましい。この試
験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,長方形のサイズ及び各長方形の間隔を試行ご
とに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ指標の変化
を同一に保つようにする。
B.6.7入力装置の取り上げ及び戻し置き作業 この試験は,キーボードと非キーボード入力装置とを組み合
わせて使用する作業の場合の入力装置の評価に使用できる。
この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。
a) テキスト編集
b) グラフィックデザイン
c) 表計算での数値データ入力
入力装置を手に取る所要時間,入力作業が終わったらそれを元の場所に戻す所要時間が,入力作業の重
要な特性となる場合がある。このような作業では,非キーボード入力装置と主要な入力装置(キーボード
など)とを代わる代わる使用するが,一般に,主要な入力装置と比べて非キーボード入力装置の使用頻度
は低い。
試験手順 : 被験者は,簡単なポインティング作業とキーボード上の一つのキー押しとを同じ手で代わる
代わる行う。
取上げ時間とは,入力装置を使う必要のある情報が表示されてから入力装置を手に取るまでの所要時間
である。戻し置き時間とは,入力装置を用いる作業が完了した後に入力装置から手を離すまでの所要時間
である(すなわち,入力装置を置き台に置くまでの時間も含まれる)。入力装置の取り上げ,戻し置き動作
を含む作業及びこれと同等のポインティング作業との時間差が,取上げ時間及び戻し置き時間である。

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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
附属書C(参考)快適性の査定
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
C.1 序文 この附属書では,快適性を評定する尺度について記述する。入力装置の試験に用いる方法につ
いて情報を提供すること,及び試験機関又は個人によって,試験方法の妥当性向上への研究が進められる
ように促進することを,この附属書は目指している。
この附属書は,被験者による入力装置の評定に基づいて快適性及びユーザビリティを査定する評定尺度
について記載する。被験者の評定は,入力装置個々に対して行うものと,幾つかの入力装置を相対的に比
較して行うものとがある。評定尺度は,最も望ましい装置が最高得点を得るように設計されている。どの
評定尺度を用いる場合でも,尺度は,肯定的方向をもつ,すなわち高い得点が肯定的な印象と結びつく,
ような形式にすることが望ましい。
C.2 個別評定 個別評定尺度(表C.1を参照)は,試験の対象となる各入力装置の印象度の査定に使用す
る。被験者がある入力装置を使用して一連の作業を完了した後で個別評定を実施する。被験者は,使用し
た入力装置の各特性についての印象を最もよく表す番号を丸で囲む。入力装置の間ではっきりと差のある
評定項目について比較することで,比較評定を行うこともできる。
C.3 比較評定 比較評定尺度(表C.2及びC.3を参照)は,どの入力装置が最も望ましいかを決定するの
に使用する。この評定尺度は,二つの装置を相対的に査定するように設計されているが,三つ以上の入力
装置にも拡張して使用することが可能である。
ある入力装置(例えば,機器A)での作業が完了した後に,被験者に対し回答用紙を渡し,もう一方の
入力装置(例えば,装置B)での作業が完了した後で再び回答用紙を渡す。最初の入力装置を使用したと
きは,被験者は第1段階の欄に回答する。評定する入力装置を表す部分(すなわち,“A”又は“B”)にチ
ェックを入れ,さらに,入力装置に関する印象を最もよく表す欄の下に印を付ける。
被験者は2番目の入力装置を使用した後で,第2段階の欄に回答する。評定する入力装置を表す部分(す
なわち,“A”又は“B”)にチェックを入れ,さらに,最初の入力装置と比較して2番目の入力装置に関す
る印象を最もよく表す欄の下に印を付ける。

――――― [JIS Z 8519 pdf 32] ―――――

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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
表C.1 個別評定尺度
1. 作動に必要な力
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常に不快 非常に快適
2. 操作時の円滑性
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常に悪い 非常に良い
3. 操作に必要な労力
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常に多い 非常に少ない
4. 正確さ
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常に不正確 非常に正確
5. 操作速度
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
満足できない 満足できる
6. 全般的な快適性
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常に快適でない 非常に快適である
7. 入力装置の操作全般
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
使いにくい 使いやすい
8. 指の疲労
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常にある ない
9. 手首の疲労
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常にある ない
10. 腕の疲労
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常にある ない
11. 肩の疲労
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常にある ない
12. 首の疲労
1··················.2··················.3··················.4··················.5··················.6··················.7
非常にある ない

――――― [JIS Z 8519 pdf 33] ―――――

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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
表C.2 比較評定尺度
一般指標 第1段階: 第2段階:
最初の入力装置 2番目の入力装置
□A 又は □B □A 又は □B
最も 最も
悪い 同じ 良い
否定的 肯定的
1 2 3 4 5 −1 0 +1
1. 作動に必要な力
2. 操作時の円滑性
3. 操作に必要な労力
4. 正確さ
5. 操作速度
6. 全般的な快適性
7. 全体的な操作性
疲労指標 最初の入力装置 2番目の入力装置
□A 又は □B □A 又は □B
極度の疲労 なし 悪い 同じ 良い
1 2 3 4 5 −1 0 +1
8. 指の疲労
9. 手首の疲労
10. 腕の疲労
11. 肩の疲労
12. 首の疲労
C.4 労力の査定 ある入力装置(又は作業)にどの程度の労力が必要と主観的に感じるかを,労力の感じ
方を評定する尺度を用いて数量化できる。その一例がBorg尺度であり,これは全身労力及び大きな筋肉系
統労力の水準に関する意見データの収集用に設計されたものである。これは腕,肩,首などの大きな筋肉
系の査定に用いられるものなので,微細な調節を伴う動きに使用する小さな筋肉系の評価には適さない場
合がある。
Borg尺度は12段階の評点を用いる(表C.3を参照)。この評点は,ある特定の労力に必要な筋肉強度の
最大筋肉強度に対しての割合[最大随意筋収縮(MVC: maximum voluntary muscle contraction)に対しての
百分率]を表す。評点に対応する労力の表現は筋肉作業に関連するものであり,括弧の中は全身労力の場
合の表現である。

――――― [JIS Z 8519 pdf 34] ―――――

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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
表C.3 Borg尺度
評点 労力の表現
( )10 極度に強い(ほぼ最大)
( )9
( )8
( )7 非常に強い
( )6
( )5 強い(負担が大きい)
( )4 やや強い
( )3 普通
( )2 弱い(負担が小さい)
( )1 非常に弱い
( )0.5 極度に弱い(感じる程度)
( )0 全くない
この規格に合わせて,Borg尺度を表C.4のように変形してもよい。
表C.4 腕,肩,首の労力のBorg尺度
労力
労力
腕 肩 首
( )10 ( )10 ( )10 極度に強い(ほぼ最大)
( )9 ( )9 ( )9
( )8 ( )8 ( )8
( )7 ( )7 ( )7 非常に強い
( )6 ( )6 ( )6
( )5 ( )5 ( )5 強い(負担が大きい)
( )4 ( )4 ( )4 やや強い
( )3 ( )3 ( )3 普通
( )2 ( )2 ( )2 弱い(負担が小さい)
( )1 ( )1 ( )1 非常に弱い
( )0.5 ( )0.5 ( )0.5 極度に弱い(感じる程度)
( )0 ( )0 ( )0 全くない
C.5 統計解析 C.1及びC.2での評定には,間隔尺度データが得られる評定尺度が採用されている。基本
となる仮定を満たしていれば,標準的な分散分析を使用してこのデータを分析できる。ただし,仮定を満
たしていない場合は(すなわち,標本数が少ない場合,又は正規分布をしない場合),ノンパラメトリック
手法(順序統計量)による仮説検定を利用することが望ましい。この場合は,計算の複雑さが緩和される
傾向がある。

――――― [JIS Z 8519 pdf 35] ―――――

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  • ISO 9241-9:2000(IDT)

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