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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
ここに, IDe : 実効困難さ指標
d : 目標までの距離
we : 実効目標幅
備考 選択,ポインティング又はドラッグ作業の場合,実効困難さ指標は,d及びweの対数関数とな
る。トレース作業の場合,実効困難さ指標は,d及びweの一次関数となる。
B.5.1.4 作業精度 作業精度は,ポインティング,選択又はドラッグの基本動作要素において必要となる
正確さを表すものであり,困難さ指標を用いて定量化する。
備考 作業精度は,次の三つの精度レベルに分類できる。
a) 低 : 困難さ指標の値が4以下。
b) 中 : 困難さ指標の値が4よりも大きく6以下。
c) 高 : 困難さ指標の値が6よりも大きい。
B.5.2 スループットの計算 選択,ポインティング,ドラッグ及びトレース作業の場合の入力スループッ
トを求めるには,次の式による。
実効困難さ指標 IDe
スループット= =
移動時間 tm
ここに, IDe : 移動作業の実効困難さ指標
tm : 移動時間,すなわち入力装置を動かし始めてから目標を選択す
るまでの時間。
ある移動作業に関して,移動時間を横軸に,実効困難さ指標を縦軸にプロットすると,一般に,両者の
間に直線的な関係が見られる(図B.1を参照)。
直線の傾きが,装置のスループットを表している(単位は,ビット/秒)。
図B.1 実効困難さ指標と移動時間との関係
B.6 試験
B.6.1 全般 この箇条で説明する試験のうちでどれを用いるかは,入力装置をどのような作業に利用しよ
うとするかによる。さらに,作業の移動方向,フィードバック及びプロンプトの有る無し,及び目標地点
到達の判定方法によって,どの試験方法を選ぶかは変わってくる。入力装置が使われそうな状況に対応し
た何段階かの困難さで,試験を行うことが望ましい。
――――― [JIS Z 8519 pdf 26] ―――――
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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
B.6.2 タッピング試験
B.6.2.1 一方向のタッピング試験 この試験は,縦又は横のどちらか一方向にポインタを動かす場合の入
力装置の評価に使用できる。
この試験結果を適用できる具体的作業は,次のものがある。
a) 水平又は垂直のラバーバンディング
b) 文字列中のある位置にカーソルを挿入
c) 縦に又は横に並んだ情報の選択
試験手順 : 中心間距離がd離れた,幅wの二つの長方形を,被験者に対して表示する(図B.2を参照)。
縦又は横のどちらか一つの軸に沿って,各長方形を25回ポイントし,クリックするのがユーザーに課さ
れた作業である。被験者が最初にカーソルを一つの長方形の中に移動し,ボタンを作動させたときに,試
験セッションを開始する。
1 ポインタオブジェクト
d 目標距離
w 目標幅
図 B.2 一方向のタッピング作業
この試験は,目標距離(d)と目標幅(w)との両方を変化させて,何段階かの困難さ指標で実施すると
よい。実効困難さ指標が,約16ビットの範囲内で等間隔に変化するように,目標距離(d)と目標幅(w)
とを変化させるのがよい。その結果をB.5.1.3の式に従って計算するとよい。
備考 この試験での実効困難さ指標(IDe)は,IDe=1og2(d+we)/weの式によって求める。
B.6.2.2 多方向のタッピング試験 この試験は,様々な方向にポインタを動かす場合の入力装置の評価に
使用できる。
この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。
a) 画面上の様々な場所へカーソル位置を動かす
b) 表計算アプリケーションのセル選択
c) 無作為に配置されているアイコンの選択
試験手順 : 被験者は,番号が付けられた目標へ,その番号順にカーソルを移動させることを求められる
(図B.3を参照)。目標(例えば,正方形)を,円周上に等間隔に配置する。番号順に目標へとカーソルを
移動するとき,次の目標への移動距離が円の直径とほとんど等しくなるように,目標の番号を付ける,及
び目標を配置することが望ましい。
――――― [JIS Z 8519 pdf 27] ―――――
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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
被験者が進むべき次の目標を強調表示するとよい。各試験セッションは,被験者が最上部の目標をポイ
ントしたときに始まり,被験者がすべての操作系列を終了(最上部の目標に戻る)したときに終了する。
この試験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,円の直径,つまり目標正方形間の距
離を試行ごとに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ
指標の変化を同一に保つようにする。その結果をB.5の式に従って計算するとよい。
1 開始/終了
図B.3 多方向のタッピング作業
B.6.3 ドラッグ試験 この試験は,対象をクリックし,ある場所までドラッグする場合の入力装置の評価
に使用できる。
この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。
a) クリックしてプルダウンメニューを表示し,プルダウンメニュー内をドラッグして項目を選択する
b) あるウィンドウ内の対象物をクリックして選択し,別のウィンドウにドラッグして移動する
試験手順 : 目的に応じて一方向試験又は多方向試験のどちらかを使用する。さらに,フィードバック及
びプロンプトの有る無し,並びに目標地点到達の通知を自動で行うか否かと組み合わせた試験を行っても
よい。その結果に式B.5.1.3を適用して求めることが望ましい。
B.6.4 経路追従試験 この試験は,2点間の決められた経路を忠実になぞる作業を行う場合の入力装置の
評価に使用できる。
この試験結果は,対象物をトレースする作業に対して適用できる。
試験手順 : この作業内容は,長さd及び間隔kの平行した境界線の間(トラック)を,境界線に触れる
ことなく幅bの対象物(円など)を,移動させる作業である(図B.4を参照)。対象物が境界線に触れた場
合,作業をそこで中断し,再度作業をやり直す。被験者がトラックの一端から反対側の端まで,対象物を
境界両端に触れずに移動し終わるまでの所要時間を記録する。
――――― [JIS Z 8519 pdf 28] ―――――
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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
d 目標の距離
k トラックの幅
b 対象物の幅
図 B.4 経路追従作業−一方向
この試験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,トラックの幅(k)及び対象物の幅(b)
を試行ごとに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ指
標の変化を同一に保つようにする。その結果をB.5.1.2の式に従って計算するとよい。
この試験についての困難さ指標は,次の式によって求める。
d
ID
w
ここで,幅(w) : k−b
この試験についての実効困難さ指標は,次の式によって求める。
d
IDe
中心線からの偏差の平均
B.6.5 トレース試験(任意方向) この試験は,ある対象をクリックし,ある場所までドラッグする場合
の,及び図形をなぞって複製する場合の入力装置の評価に使用できる。
この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。
a) タブレット上の画像(例えば,プリント回路基板のレイアウト)のトレース
b) 直線及び図の複製
c) 対象物の一様な塗りつぶし
試験手順 : 半径がr及び(r+k)の二つの同心円を被験者に対して表示する(図B.5を参照)。作業内容
は,幅bの対象物を幅kのトラック内で境界線に触れることなく円に沿って移動させることである。
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Z 8519 : 2007 (ISO 9241-9 : 2000)
1 開始/終了
k トラックの幅
b 対象物の幅
r 円の半径
図 B.5 トレース作業
この試験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,トラックの幅(k)及び円の半径(r)
を試行ごとに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ指
標の変化を同一に保つようにする。
この試験についての困難さ指標は,次の式によって求める。
d
ID
w
ここで,幅(w) : k−b
この試験についての実効困難さ指標は,次の式によって求める。
d
IDe
中心線からの偏差の平 均
B.6.6 フリーハンド入力試験 この試験は,手書きの文字又は記号の品質を,入力装置及び入力の様式と
の関係で評価するのに使用できる。
この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。
a) 描図
b) 手書きのテキスト入力
c) 手書き文字認識作業
この試験は,試験入力装置で作成される画像を,筆と紙による従来の入力手段で作成される画像に対し
て比較することを目的としている。
試験手順 : 被験者に対して,水平に並べた複数の枠を表示する。枠の大きさはどの入力装置の場合にも
同一とする。被験者に対して,各枠中に記号(英数字又は英記号)を読み取れる範囲で可能な限り速く書
き込むことを求める(図B.6を参照)。すべての枠に記入し終わるまでの所要時間を記録し,各入力装置ご
とに比較する。
――――― [JIS Z 8519 pdf 30] ―――――
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JIS Z 8519:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-9:2000(IDT)
JIS Z 8519:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS Z 8519:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8528-2:2006
- 人間工学―フラットパネルディスプレイ(FPD)を用いる作業―第2部:FPDの人間工学的要求事項