JIS Z 8522:2006 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―情報の提示 | ページ 3

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Z 8522 : 2006 (ISO 9241-12 : 1998)
− ユーザーは,個々の下位作業を行うときにも,上位の広範な仕事の状況を把握している必要がある(例
えば,客の注文に対応しながら,その客の信用情報を調べるなど。)。
− ユーザーは,本来業務にかかわる操作に進む前に,システム又はアプリケーションの事象に対処する
必要がある(例えば,ポップアップウインドウで,注意事項又はエラー通知を表示し,ユーザーに確
認させる。)。
− ユーザーは,補助的な対話部品(例えば,通知,メニュー)を,画面上の主要な作業場所の近くで時
折扱う必要がある(例えば,ユーザーがあるデータ入力欄を選択したときに,システムがその欄への
入力候補を隣接するウインドウで表示する。)。
5.2.2 システム能力
− 画面の大きさ及び解像度 : ウインドウの移動,寸法調整,スクロール及び/又はページ切替えをユー
ザーが頻繁にしなくても,複数のウインドウで分かりやすい十分な量の情報をユーザーが見ることが
できるだけの画面の大きさ及び/又は解像度をもっている。
− システムの応答性 : ウインドウを描画しても表示の速さが目立って遅くならないだけのグラフィック
性能をもっている。例えば,ウインドウの移動操作に対してのフィードバックを,操作中に絶えず又
は操作後すぐに与えるのに十分な速さの応答時間をシステムがもっている。
注記 ウインドウを使用することがユーザーとの対話の流れを著しく遅らせるおそれがある場合
は,ウインドウの利用は見合わせた方がよい。

5.3 ウインドウに関する推奨事項

  この箇条の推奨事項は,情報を表示する働き及び/又は表示情報を操作する働きをもつ表示領域の使い
方に関する手引を与える。表示する情報としては,オペレーティングシステム,アプリケーション,アプ
リケーションで扱う各ファイル,ファイルの一部(例えば,ある文章ファイルの先頭部分,末尾部分),同
一情報の異なる形式による表示(例えば,文字による表示及び図による表示),又はあるアプリケーション
の各部分などがある。
5.3.1 複数ウインドウの使用
様々な情報源からの情報を表示又は扱う必要がある場合は,複数のウインドウ又は複数の入出力領域を
もつウインドウの使用を検討することが望ましい。
5.3.2 ウインドウ固有の識別名
それぞれのウインドウに固有のウインドウ識別名(例えば,ウインドウ名,ファイル名又はアプリケー
ション名)を付けることが望ましい。
注記 ウインドウの識別名中に,ユーザーの現在位置及び仕事を示す情報を含めることが有益な場合
がある。
例 あるオフィスアプリケーションでは,システム名,アプリケーション名,機能名,ファイル名な
どのシステム仕様の幾つかの名前を使って,ウインドウを識別している。
5.3.3 ウインドウパラメタの既定値
ユーザーが仕事を完了するのに実行しなければならない操作数が最小となるように,ウインドウの大き
さ及び位置の既定値を設計することが望ましい(例えば,他のウインドウ中の仕事上重要な情報を隠すこ
とのないような位置に,ウインドウを置く。)。
5.3.4 一つのアプリケーション中での一貫したウインドウの外観
仕事上適切であれば,一つのアプリケーション中では,同種のウインドウはすべて一貫した外観をもつ
ことが望ましい。
注記 ある種のウインドウでは,一部だけ異なるウインドウをもつものがある。

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Z 8522 : 2006 (ISO 9241-12 : 1998)
例 特定のヘルプシステムに用いるウインドウは,すべて一貫した外観をもたせる。
5.3.5 複数アプリケーション環境での一貫したウインドウの外観
仕事上適切であれば,複数アプリケーション環境では,同時に利用する同種のウインドウは,すべて一
貫した外観をもつことが望ましい。
注記 ある種のウインドウでは,一部だけ異なるウインドウをもつものがある。
5.3.6 ウインドウの主・派生関係の識別
主ウインドウとそのウインドウからの派生ウインドウとの関係を,常に視覚的にはっきり分かるように
することが望ましい。
例1 あるオフィスアプリケーションでは,派生ウインドウを主ウインドウの中に表示している。
例2 主ウインドウ,及び派生ウインドウともに,ウインドウ境界枠,強調表示の仕方,色使いにつ
いて共通の方法を使用する。
例3 主ウインドウ,及び派生ウインドウともに,共通の識別用見出しを付ける。
5.3.7 ウインドウコントロールの識別
異なる機能を実行するウインドウコントロール(例えば,“ウインドウを閉じる”コントロール及び,“ウ
インドウの大きさを変える”コントロール)には,互いに見分けが付きやすい外観をもたせ,ウインドウ
の同じ位置に一貫して配置することが望ましい。
5.3.8 重なり形ウインドウ配置
重なり形ウインドウ配置は,次の場合に用いるとよい。
− ウインドウの種類,大きさ,数,表示内容及び/又は配置を,固定又は限定できない仕事内容である。
− 表示装置の寸法が小さい又は解像度が低いために,タイル形配置にした場合,各ウインドウ中に意図
を伝えるのに十分な意味のある量の情報を表示できない。
5.3.9 タイル形ウインドウ配置
タイル形ウインドウ配置は,次の場合に用いるとよい。
− ウインドウの大きさ,数,表示内容及び配置を固定しても,全く又はほとんど支障のない仕事内容で
ある。
− その時点で表示している情報[例えば,重要情報,仕事に必す(須)な情報]が,絶えず見えている
必要がある。
− 重なり形ウインドウにすると,ユーザーがウインドウを頻繁に切り替える,及びそれに応じてウイン
ドウを切替え表示する処理が増大して,システムの応答時間の増大又はユーザーの作業成績低下のお
それがある。
5.3.10 ウインドウ配置の選択
仕事上適切であれば,ユーザーが好きなウインドウ形式を選び,それを既定形式として確保できるよう
にすることが望ましい。

5.4 表示領域

  この箇条の推奨事項は,表示領域相互の位置関係の決め方,及びどの程度複雑な情報を各領域にもたせ
るかの手引を,領域に表示する情報の組織化の観点から与える。
5.4.1 一貫した表示領域の位置
あるアプリケーション中の対話で使用する表示領域(すなわち,識別領域,入出力領域,制御領域及び
メッセージ領域)の位置は,一貫していることが望ましい。
注記1 識別領域は,入出力領域の上部に置くことが望ましい。
注記2 非ウインドウ環境では,コマンドを入力するための制御領域は,入出力領域の最下部に置く

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5.4.2 表示情報の密度
表示する情報の密度は,ユーザーが乱雑であると感じない程度であることが望ましい。
注記1 多くのユーザインタフェースでは,40 %(画面に表示可能な総文字数に対する表示文字数の
割合)以内が適切である。
注記2 グラフィカルユーザインタフェースの場合は,線分,押しボタン,アイコンなどの図要素も,
表示する情報の密度を高める一因となる。

5.5 入出力領域

  情報を組織化して入出力領域に表示する方法についての推奨事項は,仕事に必要な情報の提示の仕方,
必要な場合には表示する情報の分割の仕方,及び現在表示されている情報の相対的な位置の示し方に関す
る手引を与える。
5.5.1 必す(須)情報
ある仕事を遂行するのに必要なすべての情報を,可能であれば,入出力領域中に表示することが望まし
い。不可能な場合には,次による。
a) 必す(須)な情報を,各作業段階に応じて部分的な構成とするのがよい。
b) 構成の仕方は,各作業段階の遂行が促進され,ユーザーにとって分かりやすいものにするのがよい。
c) 仕事の成績の低下をもたらさない情報の分割の仕方にするのがよい。
5.5.2 スクロール及びページ換え
表示する情報の量が,入出力領域の範囲を超える場合には,そのとき見えていない部分の情報を見るこ
とができるようにする容易な手段(例えば,縦若しくは横方向のページ換え又はスクロール)をユーザー
に提供することが望ましい。
ユーザーが分割して表示した情報の組の間に何らかの関係を見出す必要がある場合には,二組の情報を
単一の画面に表示することが望ましく,スクロール及び/又はページ換えが常に最適とは限らない。
注記 二組の情報の概要を把握しやすくするために,ウインドウの利用,画面分割,キーワード,索
引などの手法が役立つ。
5.5.3 表示情報の位置関係の識別
表示する情報の量が,入出力領域の範囲を超える場合,そのとき見えている情報が情報全体のどの部分
であるか,及びどれ位の割合を占めているかを,情報の全体量との関連で明示することが望ましい(例え
ば,スクロールバー,スライダ,又は“ページx/y”形表示)。

5.6 グループ

  グループについての推奨事項は,情報を整理してグループ化するための手引を与える。情報をグループ
化して画面に表示することは,ユーザーがより容易に情報を知覚する,探す,及び解釈するための助けと
なる。
5.6.1 グループの見分けやすさ
各グループは,適切に間隔取り及び位置取りを行って,見分けやすく表示することが望ましい(図8参
照)。必要な場合には,見分けやすさを向上させる他の手段を使用するのがよい(例えば,グループを枠で
囲む。)。

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図8−グループの例
注記 情報をグループ化する場合,次のゲシュタルト原理の適用は有益である。
a) 近接の法則(図9参照)

場所的に近い要素同士は,一つのまとまりであると感じられる。狭い間隔の二本の平行線に
この法則が当てはまる,同様に,例えば,欄とその見出し,ウインドウとその影などがある。
図 9−近接の法則
b) 類似の法則(図10参照)

類似した要素同士は,一つのまとまりであると感じられる。この例では,これを見る人に
は横方向の行ではなく,縦方向の列からなっていると感じられる。
図 10−類似の法則

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Z 8522 : 2006 (ISO 9241-12 : 1998)
c) 閉包の法則(図11参照)

テキスト
図中の欠けた部分を補う,又は不完全な図を補完する。この現象は,間隔を取って表示して
あるデータグループの全体を見たとき,それらのグループによって閉じた領域(すなわち,ま
とまった図)を作るような設計がなされていた場合に起こる。
図11−閉包の法則
5.6.2 作業順序
仕事が特定の作業順序に従う必要がある場合は,この作業順序に適合するように情報をグループ化し,
配置することが望ましい。
5.6.3 慣例の使用
情報のグループは,広くいきわたった形式,慣例及び習慣(例えば,住所の表記)に従うように配置す
るのがよい。
5.6.4 機能別のグループ化
仕事が特定の作業順序に従う必要がない場合は,その仕事に関連する情報は意味的な関連をもった[す
なわち,ユーザーが意味をく(汲)み取りやすい]グループ化をするのがよい。
5.6.5 視覚的に区別の明りょうなグループ−“チャンク”
仕事を行う上で迅速な視覚的探索が必要な場合は,グループの数は最小限にとどめること,及び各グル
ープは,視角で5度の範囲に収めることが望ましい。より多くの情報をグループにもたせようとして文字
寸法を小さくすることは,読みやすさを損なうことになるため,避けることが望ましい(JIS Z 8513の5.4
5.6及び5.85.12参照)。
文字主体のユーザインタフェースの場合,グループの推奨する領域は,およそ縦方向56行,横方向7
10文字である。この範囲を超えるグループでは,目をより多く動かす必要が生じ,探索に要する時間が
増大する。
注記 厚生労働省の“VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン”(平成14年4月5日発
表)によると,文字の大きさについて視距離50 cmの推奨値は,英数字の場合20分22分,
漢字の場合25分35分(いずれも視角)となっている。原文の横方向の領域(1012文字)
の視角を英数字の推奨値で推定すると4度となり,それを漢字の推奨値で除すと,横方向の領
域は710文字(正確には6.99.6文字)となる。

5.7 リスト

  リストは,一覧列挙の形に情報をまとめるのに使用する。リストについての推奨事項は,情報の順序の
付け方,情報の番号の振り方及び情報の配置の仕方,見出しの使い方についての慣例,並びに表示領域を
はみ出すリストに対しての手引を与える。

――――― [JIS Z 8522 pdf 15] ―――――

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JIS Z 8522:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9241-12:1998(IDT)

JIS Z 8522:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8522:2006の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称