JIS Z 8706:1980 規格概要
この規格 Z8706は、鉱工業において光高温計により温度を測定する場合の一般的方法について規定。
JISZ8706 規格全文情報
- 規格番号
- JIS Z8706
- 規格名称
- 光高温計による温度測定方法
- 規格名称英語訳
- Methods of temperature measurement by optical pyrometers
- 制定年月日
- 1959年2月27日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 17.200.20
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1959-02-27 制定日, 1962-02-01 確認日, 1965-02-01 確認日, 1968-02-01 確認日, 1970-03-01 改正日, 1976-03-01 確認日, 1980-01-01 改正日, 1985-08-01 確認日, 1991-06-01 確認日, 1997-08-20 確認日, 2002-06-20 確認日, 2007-05-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS Z 8706:1980 PDF [27]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
Z 8706-1980
光高温計による温度測定方法
Methods of Temperature Measurement by Optical Pyrometers
1. 適用範囲 この規格は,鉱工業において光高温計により温度を測定する場合の一般的方法について規
定する。
引用規格
JIS Z 8710 温度測定方法通則
関連規格 : JIS Z 8704 温度の電気的測定方法
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 光高温計 計器に内蔵する電球に流す電流の大きさを変え,その線条と測定対象の像との,ある波長
(1)における輝度が等しくなったことを肉眼で判定することにより輝度温度を測定する計器。
注(1) 波長は原則として0.65 地 替 放射発散度,放射率,輝度温度などは,すべて
0.65 長についての厳密な取扱いについては参考2に示す。
(2) 光高温計電球(以下,高温計電球という。)その線条の輝度を変えて,測定対象の像の輝度と合致させ
る目的で光高温計に内蔵された電球。
(3) 完全放射体 入射する放射を全部吸収する物体。したがって,完全放射体は放射を反射も透過もしな
い。
なお,完全放射体を黒体ともいう。
(4) 輝度温度 ある波長の光に対して,測定対象の像の輝度と完全放射体のある温度における輝度とが等
しいとき,その完全放射体の温度。
(5) 輝度合わせ 光高温計で輝度温度を測定するために,高温計電球に流す電流の大きさを変え,その線
条と測定対象の像との,ある波長における輝度が等しくなったことを肉眼で判定する操作。
(6) 放射発散度 物体の表面の単位面積から単位時間に放射される放射エネルギー。
(7) 放射率 同じ温度にある物体と完全放射体との,同じ波長の光に対する放射発散度の比。
(8) 実効放射率 測定対象のその状態において,その測定方向についての放射率。
(9) 器差 適正に使用された場合の,光高温計が示す温度から示されるべき点の輝度温度を引いた値。
(10) 補正 より真に近い輝度温度を求めるために,光高温計による読み取り値にある値を加えること。又
はその値。
(11) 光高温計の正常読み取り姿勢 一体形光高温計については,とってが鉛直の姿勢。分離形光高温計に
ついては,指示計の目盛板が水平の姿勢をいう。
(12) 光高温計用標準電球(以下,標準電球という。) 光高温計の校正を行うために標準とする電球。
なお,標準電球をリボン電球ともいう。
――――― [JIS Z 8706 pdf 1] ―――――
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Z 8706-1980
3. 記号の意味 この規格で用いる主な記号の意味は,次のとおりとする。
(1) 測温に使う光の波長 (
(2) 輝度温度 (℃)
(3) 真 温 度 (℃)
(4) 実効放射率
(5) 透過率
(6) 2 プランクの放射公式の第2定数。c2=0.014388m・K
4. 測定方法の特徴 光高温計による温度測定方法は,非接触方式による温度測定方法の一種であり,JIS
Z 8710(温度測定方法通則)に示すように,接触方式による温度測定方法と比較すると表1のとおりの特
徴をもっている。
また非接触方式の放射温度計による温度測定方法と比較すると表2のとおりの特徴をもっている。これ
らの特徴を考慮して,光高温計を使うかどうかを決める。
表1 接触方式による温度測定方法との比較
この測定方法の長所 この測定方法の短所
1. 9002000℃の高温度測定に適する。 1. 700℃以下の低い温度を測定できない。
2. 測定対象と直接に接触することなく,離れて測定できる。 2.
直接に見える表面の温度だけしか測定できない。
3. 測定対象に接触しないから,測定対象の温度を変えない。 3.
実用上は5℃程度より良い精度は得られない。
4. 測定対象が動いていても温度を測定できる。 4. 測定対象が完全放射体でないとき,真温度を求めるには
実効放射率の補正を加える必要がある。
5. 測定対象からの放射の通路,すなわち光路における光の
吸収,散乱及び反射によって誤差を生ずる。
6. 遠隔測定,警報,自動記録又は自動制御ができない。
7. 習熟した測定者が肉眼によって温度を測定する必要があ
る。
8. 測定者によって個人誤差を伴うおそれがある。
表2 放射温度計による温度測定方法との比較
この測定方法の長所 この測定方法の短所
1. 精度が良い。 1. 700℃以下の低い温度を測定できない。
2. 携帯に便利であり,手軽に測定できる。 2. 遠隔測定,警報,自動記録又は自動制御がでなたい。
3. 3. 習熟した測定者が肉眼によって測定する必要がある。
測定対象までの距離が変わっても測定値が余り変わらな
い。
4. 測定対象がかなり小さくても差し支えない〔7.5.1参照〕。 4.
測定者によって個人誤差を伴うおそれがある。
5. 真温度を求めるための実効放射率の補正,その他の補正
が比較的小さい。
5. 適用温度範囲 この測定方法の適用できる温度範囲は,原則として約9002 000℃とする。
6. 光高温計の選定及び保守
6.1 光高温計の種類及び選定 光高温計の種類は,電気系の方式及び光学系と指示系との組合せ方式に
よって分類し,表3による。いずれの種類を選ぶかは,表3の各種類の特徴を考慮し目的に応じて決める。
――――― [JIS Z 8706 pdf 2] ―――――
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Z 8706-1980
表3 光高温計の種類
(1) 電気系の方式による分類
種類 電気系の方式 特徴
高温計電球と電流計とが直列に1. 電源の消耗が比較的少ない。
電流計式
結ばれている。 2. 計器がじょうぶである。
高温計電球がブリッジの一辺を1. 指示温度が低いときにも室温の影響が少
ブリッジ式 なしている。 ない。
2. 一般に目盛の長さが長い。
(2) 光学系と指示系との組合せ方式による分類
種類 組合せ方式 特徴
1. 軽便である。
光学系と指示系とが一体になっ
一体形 2. 読み取るときは,計器を正常読み取り姿
ている。
勢に保つ必要がある。
1. 読み取りやすい。
光学系と指示系とが分離してい
分離形 2. 指示計に対する測定対象からの放射熱の
る。
影響が少ない。
6.2 光高温計の保守 光高温計は,次の各項に注意して保守しなければならない。
(1) ほこり・振動が少なく,常温・低湿度の場所に保管する。
(2) 持ち運びの際には,振動・衝撃を避ける。
(3) 光学系を清浄に保つ。
(4) 使用せずに保管するときは,内蔵されている電池を取り外しておく。
なお,電池液が計器に付着していないように注意する。
(5) 次のいずれかを認めたときには修理する。
(a) 対物レンズの損傷
(b) 指針が動かない。又は指度が不安定
(c) 輝度合わせの判定精度の低下
(d) 著しく大きい器差
(6) 適当な時期に検査を行う(9.2参照)。
7. 温度測定方法
7.1 測定者 測定者は,正常な視覚をもつ適格者でなければならない(2)。また,光高温計による温度測
定に習熟(3)していることが必要である。測定に当たって,強い光又は疲労などのため視覚に異常を生じて
いてはならない。
注(2) 光高温計は,他の計器と異なり,測定者以外に測定結果を確認することが困難なので,主観的
な判断に左右されて測定結果をとりつくろう者は不適格である。例えば,同一の測定対象につ
き繰返し測定した結果がよくそろわない場合,よくそろうように結果をとりつくろう者は不適
格である。
(3) 習熟した測定者が安定な状態で点燈された標準電球の輝度温度を測定するとき,精度は1 000℃
付近で±2℃,1 800℃付近で±3℃の程度である。
7.2 計器の位置 次の各項に注意して計器の位置を選ぶ。
(1) 測定対象になるべく近く,測定対象の状況を詳しく観察できること。
(2) 光高温計の温度をなるべく高めないこと。
――――― [JIS Z 8706 pdf 3] ―――――
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Z 8706-1980
備考 光高温計は,使用に際して大きな放射熱を受けるために温度の高まることが多い。
光高温計の温度によって生じる誤差は,主として高温計電球に対する影響から生じるもので
あり,誤差の程度は,光高温計の回路方式,測定すべき輝度温度及び高温計電球の構造・寸法
によって異なる。
(3) 測定対象その他からの飛散物の影響を受けないこと。
(4) 外部からの測定対象に投射した光が反射して光高温計に入ると,高過ぎる温度を示すから避けること。
備考 これは,測定対象が完全放射体のときは全く影響しないが,測定対象の放射率が小さいほど大
きく影響を及ぼす。例えば,放射率0.6の鋼材の場合の影響は,図1に示す程度である。
図1から明らかなように,この鋼材と同程度又はそれ以下の放射率をもつ測定対象の表面に
数百lx以上の照度で日光が照射しているとき,その影響は輝度温度が900℃以下の場合は無視
できないし,また,そのための誤差を補正することも困難であるから注意が必要である。
図1 日光による影響(例)
(5) 測定対象と光高温計との間の煙,炎,蒸気及びほこりによって誤差を生じるおそれのないこと(7.3.2
参照)。
(6) 測定対象の風下でないこと。
備考 これは,前記(2),(3),(5)の各項の対策になる。
(7) 測定対象の測定しようとする箇所の表面に対して,常に一定の方向から測定できること。
備考 この注意により,測定対象の実効放射率が方向によって異なるためのばらつきを防ぐことがで
きる。
(8) 測定者が,なるべく楽な姿勢をとることができること,及びしっかりした足場があること。
7.3 測定対象の状況
――――― [JIS Z 8706 pdf 4] ―――――
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Z 8706-1980
7.3.1 実効放射率 測定対象の実効放射率については,次の各項のうち,なるべくはじめに示す順位のも
のが満足されるよう考慮して,測定対象の状況を選定又は改変する。
(1) 第1順位 実効放射率の値が1に等しいとみなすことができるような状況を選ぶか,又はそのような
状況をつくり出す(4)。
(2) 第2順位 実効放射率の値が明確に知られるような状況を選ぶか,又はそのような状況をつくり出す
(5)。
(3) 第3順位 実効放射率の値が再現可能であるような状況を選ぶか(6),又はそのような状況をつくり出
す(7)。
備考 光高温計で測定した輝度温度から真温度を知るには実効放射率による補正を必要とするが,一
般にこの補正は明確にしにくい。なぜならば,実効放射率は測定対象の放射率及び幾何学的形
状並びに測定対象の周囲の幾何学的及び熱的の状態によって異なり,しかも放射率は測定対象
の物質,温度及び表面状態並びに観測する方向及び波長によって異なるからである。
例えば,普通鋼について平炉出鋼の場所(表面は裸)でPR熱電対法により実測した温度が1
4251 650℃である場合に,光高温計により実測した輝度温度との関係から実効放射率を求め
たところ,その値は0.390.50のひろがりを示した例がある。この場合のように測定条件を限
定しても,なお他の諸要因によって実効放射率の値にひろがりが伴うのである(輝度温度が1
500℃と実測されたとき,実効放射率として0.39をとるか0.50をとるかに従って,実効放射率
による補正を行って求められる真温度は,それぞれ1 642℃及び1 605℃となる)。
そこで,光高温計で測定した輝度温度から測定対象の熱的状態についてなるべく確実な知識
を得るためには,前記各順位を考慮することが必要になる。
第1順位(4)の条件が満足されるときには,測定対象は黒体であるとみなしてよく,したがっ
て実効放射率による補正は不要で,光高温計で測定した輝度温度をそのまま真温度としてよい。
この条件を満足する場合の測定(以下,第1順位の測定という)は,測定対象の真温度を直接
的に与える。
第2順位(5)の条件が満足されるときには,実効放射率についての補正値(8.3.1参照)が明確
に知られるので原理的にはこれで十分である。しかし実際には実効放射率の値に不確実さが伴
うのが普通である。この条件を満足する場合の測定(以下,第2順位の測定という。)は,測定
対象の真温度を間接的に与えるもので,求められた真温度の確実さは,第1順位の測定の結果
よりも劣る。
第3順位(7)の条件しか満足されないときには,実効放射率の値そのものもわからないから,
真温度は求められない。したがって,この条件しか満足されない場合の測定(以下,第3順位
の測定という。)から得られる測定対象の熱的状態についての知識は,第2順位の測定の場合よ
りもはるかに劣る。ただし,実用上では第3順位の測定により測定対象の熱的状態をある程度
知ることができれば,それで足りることもある。
第3順位の条件さえも満足されないときには,光高温計で測定した結果からは測定対象の熱
的状態についてなんらの確実な知識も得ることができない。
注(4) 第1順位の条件が満足される状況を実現するには,次の(a)の考え方を基にし,実際には(b)以下
の方法による。
(a) 温度が一様で,放射を透過しない壁で囲まれた空筒の内壁及び空筒内の物体の実効放射率は,
それらの放射率に無関係であって,1に等しい。このような空筒の壁に小さい穴をあけて内
――――― [JIS Z 8706 pdf 5] ―――――
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JIS Z 8706:1980の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.200 : 熱力学及び温度測定 > 17.200.20 : 温度測定機器
JIS Z 8706:1980の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8710:1993
- 温度測定方法通則