JIS Z 8707:1992 充満式温度計及びバイメタル式温度計による温度測定方法

JIS Z 8707:1992 規格概要

この規格 Z8707は、充満式温度計及びバイメタル式温度計により温度を測定する場合の一般的方法について規定。

JISZ8707 規格全文情報

規格番号
JIS Z8707 
規格名称
充満式温度計及びバイメタル式温度計による温度測定方法
規格名称英語訳
Method of temperature measurement by filled-system thermometers and bimetallic thermometers
制定年月日
1967年3月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

17.200.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1967-03-01 制定日, 1969-10-01 確認日, 1976-03-01 確認日, 1980-01-01 改正日, 1985-08-01 確認日, 1992-03-01 改正日, 1997-08-20 確認日, 2002-06-20 確認日, 2007-05-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS Z 8707:1992 PDF [9]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8707-1992

充満式温度計及びバイメタル式温度計による温度測定方法

Method of temperature measurement by filled-system thermometers and bimetallic thermometers

1. 適用範囲 この規格は,充満式温度計及びバイメタル式温度計(以下,温度計という。)によって温度
を測定する場合の一般的方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 7528 水銀充満圧力式指示温度計
JIS B 7529 蒸気圧式指示温度計
JIS B 7542 工業用バイメタル式温度計
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
(1) 充満式温度計 液体,気体又は液体とその蒸気とで充満された金属製部分の内部の圧力又は飽和蒸気
圧が,温度によって変化することを利用した温度計。
(2) バイメタル式温度計 一端が固定されたバイメタルの自由端が,温度の変化に伴って動くことを利用
した温度計。
(3) 指示機構 受圧変換部やバイメタルの自由端の変位によって温度を指示する機構。
(4) 感温部 測定対象に接触し,その温度と同一温度になるべき部分。
(5) 受圧変換部 感温部に導管で接続されているブルドン管やベローズであって,封入された液体の膨張,
又は気体の圧力や液体の飽和蒸気圧の変化によって自由端が変位する部分。
(6) バイメタル 膨張率の違う2種類の薄い金属板をはり合わせたもの。
(7) 導管 感温部と受圧変換部を接続する金属の細管。
(8) 圧力系部 測定温度を可視的な変位に変換する一連の装置で,感温部,受圧変換部及び導管からなる。
(9) 拡大機構 受圧変換部の自由端の変位を拡大して指針に伝えるもので,リンク機構やピニオン,セク
タ歯車及び付随するひげぜんまい,運動かん,ピンなどからなる。
(10) 指針調整機構 精度のよい温度計で指示を調整するために,指針を感温部の温度に関係なく移動させ
る機構。
(11) 温度補正装置 受圧変換部及び導管の中にある液体又は気体が,周囲の温度の影響を受けて生じる誤
差を補正するための装置。
(12) 導管誤差 導管の中にある液体又は気体が,周囲の温度の影響を受けたときに生じる指示の誤差。
(13) 受圧変換部誤差 受圧変換部及びその中にある液体又は気体が,周囲の温度の影響を受けたときに生
じる指示の誤差。

――――― [JIS Z 8707 pdf 1] ―――――

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Z 8707-1992
(14) 周囲温度誤差 導管誤差と受圧変換部誤差とを合わせたもの。
(15) 測定温度範囲 温度計が測ることのできる最高の温度と最低の温度とで指定される温度範囲。
3. 温度計の種類と特徴
3.1 温度計の種類 温度計は,次のように分類される。
(1) 充満式温度計
(a) 水銀充満圧力式指示温度計 この種の温度計は,水銀の圧力の温度による変化を利用したもので,
感温部の温度変化によって,充満された水銀に圧力変化が生じて温度を示すようになっている。
なお,この温度計は,JIS B 7528による。
(b) 液体充満圧力式指示温度計 この種の温度計は,液体圧力の温度による変化を利用したもので,感
温部の温度変化によって,充満された液体に圧力変化が生じて温度を示すようになっている。充満
液には,アルコール,キシレン,ケロシンなどを用いる。
(c) 蒸気圧式指示温度計 この種の温度計は,感温部の一部に揮発性の液体を入れたもので,温度変化
に対応して感温部内の液体の飽和蒸気圧が変化して温度を指示する。
なお,この温度計は,JIS B 7529による。
(d) 気体圧力式指示温度計 この種の温度計は,感温部の温度変化によって,充満された気体に圧力変
化が生じて温度を示すようになっている。充満気体には,窒素,ヘリウムなどの不活性気体を用い
る。
(2) バイメタル式温度計 この種の温度計は,一端が固定されたバイメタル(一般に帯状)の自由端が温
度の変化に伴って動くのを利用して指針を回転させ,温度を指示する。
なお,この温度計は,JIS B 7542による。
3.2 温度計の特徴 温度計には,表1に示す特徴があるので,それぞれの特徴を考慮して目的に適合す
るものを選ぶのがよい。
表1 温度計の特徴
項目 種類
充満式温度計 バイメタル式温
水銀充満圧力式 液体充満圧力式 蒸気圧式指示温度 気体圧力式指示 度計
指示温度計 指示温度計 計 温度計
目盛 等間隔である。 等間隔である。 不等間隔で,低温部等間隔である。 等間隔である。
の目量は大きい。
特殊な拡大機構を
用いて等間隔にし
たものもある。
温度範囲 −50+600℃ −100+400℃ −30+200℃。封 −200+600℃ −50+500℃
の広い範囲。 の広い範囲。 入液の種類によっ の広い範囲。 の広い範囲。
て著しく制限を受
ける。1個の温度計
での測温範囲は狭
い。

――――― [JIS Z 8707 pdf 2] ―――――

                                                                                              3
Z 8707-1992
項目 種類
充満式温度計 バイメタル式温
水銀充満圧力式 液体充満圧力式 蒸気圧式指示温度 気体圧力式指示 度計
指示温度計 指示温度計 計 温度計
指示機構を動か 力は大きく,指 力は大きく,指 測温可能範囲でも 力は液体充満圧 力は液体充満圧
す力 針の指示が確実 針の指示が確実 低温部では力が弱 力式指示温度計 力式指示温度計
で,記録,警報 で,記録,警報 いが,高温部では警ほど強くない ほど強くない
及び制御に適し 及び制御に適し 報及び制御に適し が,記録,警報 が,簡単な記録,
ている。 ている。 ている。 及び制御ができ 警報及び制御が
る。 できる。
指示機構と感温 普通のものでは あまり影響はな 高さの差を変える 影響はない。 −
部の位置の高さ あまりない。位 い。 と,誤差が生じる。
の差の影響 置の高さの差が ただし,周囲温度よ
大きくなると無 り低い温度を測る
視できないこと ときは,影響が少な
がある。ただし, い。
補正できる。 不等間隔目盛で振
れの角度が圧力に
比例するものは補
正できる。
周囲圧力の影響 ほとんど影響し ほとんど影響し 周囲圧力が,25kPa 影響を受ける。 影響はない。
ない。 ない。 以上変わると,無視
できない。不等間隔
目盛で振れ角度が
圧力に比例するも
のは補正できる。
周囲温度の影響 周囲温度誤差を 周囲温度誤差を 周囲温度誤差は,ほ周囲温度誤差 影響はない。
生じる。ただし,
生じる。ただし,とんど生じない。 は,液体充満圧
補正できる。 補正できる。 力式指示温度計
より大きい。た
だし,補正でき
る。
かくはん水温槽 38s 510s 25s 210s 保護管を使用す
での時定数 る場合
1030s
その他 1. 感温部と指 1. 感温部と指 1. 感温部に感温液 感温部が一般に 1. 小さい形の
示機構との 示機構との 体とその蒸気が 大きい。 ものができ
距離を長く 距離を長く 共存する限り, る。
することが することが 示度はその量に 2. 導管がない
できる。 できる。 無関係である。 ので,遠隔測
2. 充満水銀を 2. 充満液体を 2. 導管の太さ及び 定ができな
凝固させる 凝固させる 長さは,一般に い。
と,計器が損 と,計器が損 示度や周囲温度
傷すること 傷すること に無関係であ
がある。 がある。 る。
3. 感温部の小さい
ものを作ること
ができる。

――――― [JIS Z 8707 pdf 3] ―――――

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Z 8707-1992
4. 温度測定方法 温度測定方法は,次のとおりとする。
(1) 指示機構と感温部との位置,姿勢,大気圧などについて指定されているものは,その指定どおりに設
置する。指定されていないものは,その目盛板を鉛直に置く。この場合に,左右に角度10°以内,前
後に90°以内の傾斜は差し支えない。
なお,気体圧力式指示温度計及びバイメタル式温度計を除き,指示機構と感温部は同じ高さにする。
(2) 周囲温度が変化する場所に指示機構を設置しないこと。
(3) 感温部全体を,測定しようとする温度に保ち,指示が安定してから読み取る。
なお,指示が安定するのに要する時間は,時定数(表1参照)の5倍程度である。
(4) 蒸気圧式指示温度計では,常用温度が測定範囲の中央部より少し高くなるように測定範囲を選ぶのが
望ましい。
(5) 測定対象が高圧・高流速の状態にある場合,又は振動及び脈動を伴う場合には,保護筒を使用する。
また,腐食性流体のとき,及び充満液体の混入を嫌うときにも,保護筒を使用する。
(6) 熱伝導誤差などの誤差を少なくするために,感温部の設置には十分に注意する。
(7) 水銀充満圧力式指示温度計で水銀の混入を嫌うもの(例えば食料品)の温度測定を行う場合には,保
護筒を使用する場合もある。
5. 補正方法
5.1 水銀充満圧力式指示温度計及び液体充満圧力式指示温度計 水銀充満圧力式指示温度計及び液体充
満圧力式指示温度計を用いた場合の補正方法は,次のとおりとする。
(1) 周囲の圧力が指定された圧力(圧力が指定されていないものは,標準大気圧。)と異なる圧力で使用す
る場合には,温度計を使用するときの圧力に保ち,既知の1温度において比較し,指針調整機構によ
って指針を調整して補正することができる。
(2) 温度計の指示機構と感温部の高さの差が大きいときには,その高さの差を保って既知の1温度におい
て指針調整機構によって指針を調整して,補正することができる。このとき,補正は高さの差に比例
し,10mにつき目盛スパンの1%程度である。
なお,液体充満圧力式指示温度計では,充満液体の密度が水銀に比べて非常に小さいので,ほとん
ど無視できる。
(3) この種の温度計には周囲温度変化による誤差があるが,この誤差は,次のような方法である程度まで
補正できる。
(a) 導管の長さが比較的短く周囲温度変化も少ない場合には,バイメタルと受圧変換部とを組み合わせ
て取り付け,周囲温度が変化したとき,バイメタルと受圧変換部の動きが互いに反対になるように
して温度補正を行う。
(b) 導管が10mを超えるようなとき,及び周囲温度変化が大きいときは,導管と受圧変換部だけで感温
部のない補正用の副導管と受圧変換部とを組み合わせて取り付け,周囲温度が変化したとき受圧変
換部の自由端の動きの方向が互いに反対になるようにして温度補正を行う。
5.2 蒸気圧式指示温度計 蒸気圧式指示温度計を用いた場合の補正方法は,次のとおりとする。
(1) 一液式で感温部の位置が指示機構より高く,感温部の温度が周囲温度より高い場合,又は二液式の指
示機構と感温部との位置が指定されていて指定どおりに設置できないときにも,指針調整機構の付い
ているものは,使用のときと同じ状態にして,既知の1温度において指針調整機構によって補正する
ことができる。この場合,不等間隔の目盛であって指針の振れの角度が圧力に比例するものに限る。

――――― [JIS Z 8707 pdf 4] ―――――

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(2) 一液式の温度計は,測定温度と周囲温度との関係によって構造が少し異なる。その補正には,次のよ
うな方法がある。
(a) 周囲温度より高い温度を測定する温度計 この温度計の導管と受圧変換部とは感温液体で充満され
ており,感温部には感温液体とその蒸気とが共存している。感温部は,水銀充満圧力式指示温度計
及び液体充満圧力式指示温度計に比べて小さい。導管が長くて感温部と指示機構との高さの差が目
盛定めをしたときの差から大きく変わったときは,液柱による圧力の影響を補正しなければならな
い。目盛が不等間隔,すなわち指針の振れがブルドン管内の圧力に比例するものであって指針調整
機構が付いているものは,それによってこの種の誤差を補正することができる。しかし,等間隔目
盛のものでは指針調整機構によって,このような補正をすることができない。
(b) 周囲温度より低い温度を測定する温度計 この温度計の導管と受圧変換部とは感温液体の蒸気で充
満されており,感温部には感温液体とその蒸気とが共存している。感温部は,(a)より更に小さくす
ることができる。導管が長くて感温部との高さの差が目盛定めをしたときの差から大きく変わった
ときにも,そのための補正は要らない。
(c) 周囲温度より高い温度も低い温度も測定できる温度計 この温度計は,測定温度が周囲温度より高
いとき[参考図6(1)参照]には,導管及び受圧変換部が感温液体で満たされており,低いとき[参
考図6(2)参照]には,その蒸気で充満されている。感温部には,いずれの場合にも感温液体とその
蒸気が共存している。
したがって,感温部の大きさは,(a)よりもかなり大きくする必要がある。測定温度と周囲温度と
の関係が(a)の場合には,その補正も(a)のとおりであり,(b)の場合には補正は要らない。しかし,
感温部と指示機構との高さの差が大きいとき,測定温度と周囲温度との関係が(a)から(b)に,又は(b)
から(a)に変わったとき,ゼロ点調節器の付いているものは,それぞれ補正し直す必要がある。
また,測定温度が周囲温度より高くなったり低くなったりするときには,正しい温度測定ができ
ない。したがって,周囲温度に近い温度測定には不適当である。
(3) 二液式温度計は,5.2(2)(c)の欠点,すなわち測定温度と周囲温度との関係が変化したとき,そのたび
に補正し直す必要があることと,測定温度が周囲温度に近い温度を測定するには不適当であることと
を除くためにできた温度計である。封入液体は,揮発性の感温液体とその蒸気圧力を指示機構に伝え
るための不揮発性の液体から成っている。
導管と受圧変換部は,測定温度と周囲温度のいかんにかかわらず,不揮発性の液体によって充満さ
れている。
感温部には揮発性の感温液体とその蒸気とが共存し,導管の感温部における開口に接した部分で,
不揮発性の液体と接している。しかし,5.2(2)(a)の補正は必要である。
備考1. 感温液体が導管中で不揮発性液体と混じらないように,導管の感温部における開口部分に柔
らかい隔膜を設けるか,感温部に接する導管の部分をら線状に曲げたものもある。
2. 感温部の揮発性液体と不揮発性液体とが接するところに,柔らかい隔膜が設けられていない
ものは,感温部を寝かせたり,逆さにしたり,又は振動を与えながら感温部に温度変化を与
えると,揮発性液体が導管部分の不揮発性液体の中に混入することがある。
5.3 気体圧力式指示温度計 気体圧力式指示温度計を用いた場合の補正方法は,次のとおりとする。
(1) 周囲の圧力が指定された圧力(圧力が指定されていないものは,標準大気圧。)と異なる圧力で使用す
る場合には,温度計を使用するときの圧力に保ち,既知の1温度において比較し,指針調整機構によ
って指針を調整して補正することができる。

――――― [JIS Z 8707 pdf 5] ―――――

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