JIS Z 8710:1993 規格概要
この規格 Z8710は、温度を測定する一般的方法について規定。
JISZ8710 規格全文情報
- 規格番号
- JIS Z8710
- 規格名称
- 温度測定方法通則
- 規格名称英語訳
- Temperature measurement -- General requirement
- 制定年月日
- 1968年5月1日
- 最新改正日
- 2019年10月21日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 17.200.20
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1968-05-01 制定日, 1971-05-01 確認日, 1976-03-01 確認日, 1980-01-01 改正日, 1985-08-01 確認日, 1991-06-01 確認日, 1993-02-01 改正日, 2000-01-20 確認日, 2005-03-20 確認日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
- ページ
- JIS Z 8710:1993 PDF [26]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
Z 8710-1993
温度測定方法通則
Temperature measurement−General requirement
1. 適用範囲 この規格は,温度を測定する一般的方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 0903 一般用電気機器の防爆構造通則
JIS C 1604 測温抵抗体
JIS C 1606 シース測温抵抗体
JIS C 1612 放射温度計の性能表示方法通則
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8706 光高温計による温度測定方法
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次に示すほか,JIS Z 8103による。
(1) 検出素子 測定量の直接の影響下にある検出器の受感部。例えば,熱電対の測温接点,測温抵抗体の
抵抗素子,放射検出用光電変換素子。
(2) 検出器 温度の測定量を計器又は伝送器に伝える信号に変換する器具。
(3) 検出部 検出器のうち,検出素子及び検出素子と同一の環境にあるべき部分。温度計の場合には,温
度検出素子と同じ温度にする必要がある部分。
(4) 接触方式 測定対象と温度計の検出部とを物理的によく接触させて同じ温度に保ち,温度を測定する
方式。
(5) 非接触方式 熱放射などを利用して,測定対象に触れることなくその温度を測定する方式。
3. 温度の単位 温度の単位は,ケルビン (K) (熱力学温度の単位)又はセルシウス度 (℃) (セルシウ
ス温度の単位)で表す。
備考1. 国際標準化機構 (ISO) では,七つの基本量と組立量とによって物理量の体系を表現する方法
を採用している。熱力学温度は,その基本量の一つとして扱われ,セルシウス温度は組立量
の一つとして扱われている。
2. 国際単位系 (SI) では,熱力学温度の単位(名称はケルビン,単位記号は,K)を基本単位と
し,“ケルビンは,水の三重点の熱力学温度の1/273.16である。”と定義している。セルシウ
ス温度の単位(名称はセルシウス度,単位記号は,℃)は固有の名称をもつ組立単位の一つ
として扱っている。
ケルビンで表した温度の数値Tとセルシウス度で表した温度の数値tとの関係は,
t=T−273.15
である。
――――― [JIS Z 8710 pdf 1] ―――――
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Z 8710-1993
なお,温度差又は温度間隔はケルビン (K) で表現するが,温度をセルシウス度 (℃) で表
現した場合の温度差又は温度間隔は,セルシウス度 (℃) で表現してもケルビン (K) で表現
してもよい。
3. 温度は,熱力学温度 (K) 又はセルシウス温度 (℃) によって測定される。この値は,メート
ル条約に基づく国際協約によって制定された“1990年国際温度目盛” (ITS-90) によって得
られた温度値と等価である。温度標準はITS-90に基づいて設定,維持されており,この規格
の温度測定方法は,ITS-90及び計量法に整合している。
4. 測定方式の種類 温度測定法は,検出器の構造によって次に示す接触方式と非接触方式とに大別する。
(1) 接触方式の温度計の構成 接触方式に用いる温度計には,抵抗温度計,熱電温度計,ガラス製温度計
などがある。ガラス製温度計などの一部の温度計を除き,一般にこれらの温度計は,検出器,伝送器
及び表示器で構成する。現在実用化されている接触方式の温度計の特徴及び誤差要因を付表1に示す。
(2) 非接触方式の温度計の構成 放射を利用した非接触方式に用いる温度計は,被測定物からの放射を検
出素子に伝えるための光学系,放射を電気信号に変換するための検出素子(光電変換素子)及び電気
信号を温度情報に変換する信号処理回路の三つの基本要素で構成する。これらの基本要素の機能,性
能によって測定系の特性が決定される。測定可能な温度範囲は主として光電変換素子の波長に対する
感度特性によって決まる。
基本要素の組合せによって,2色放射温度計,走査形放射温度計など各種の放射温度計が構成でき
る。
放射を利用した非接触方式の温度計の特徴及び誤差要因を付表1に示す。
5. 温度計の種類及び特徴
5.1 温度計の種類及び使用範囲 現在使用されている主な温度計の種類及び使用範囲を付図1に示す。
5.2 温度計の特徴及び精度 各種の温度計及びその構成要素の性能及び特徴を付表210に示す。
5.3 特殊な温度測定 測定対象の種類や測定の目的によっては,接触方式の温度計を測定対象に直接取
り付けたり,非接触方式の温度計で測定対象を直接観測することが不可能又は不都合な場合がある。この
ような場合に用いられる特殊な温度測定の手法の実例を次に示す。
(1) 熱流補償 測定対象が温度計の検出部に比べてあまり大きくない場合などに,温度計の検出部を接触
させることによって測定対象の温度を大きく乱してしまうことを防ぐために,適当な熱源を用いて温
度計の検出部を通して熱流を補償し,熱の損失がない状態で測定する手法。
この手法を応用し,検出器の内部に温度差検出素子とヒータとを組み込んだ表面温度計もある。
(2) 瞬間接触 温度計を常に接触させておくことが困難な測定対象に対して,温度検出部を瞬間的に接触
させて,そのときの検出素子の温度の時間的変化から測定対象の温度を推定する手法。
(3) 消耗形熱電対 持続的に接触することが困難な高温物体などに対して,測定の度ごとに検出部を消耗
し,更新する形の検出器を用いる手法。
(4) 示温塗料 温度によって色が変わる物質を測定対象に塗り付け,又ははり付けて,測定対象の温度を
推定する手法。
6. 温度測定上の注意事項
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Z 8710-1993
6.1 一般的事項 測定方式並びに温度計及びその構成要素は,それぞれ4.及び5.によって,最も適当な
ものを選定する。
温度計は,必要に応じて校正を行い,トレーサビリティーを確保しておく。トレーサビリティーの確保
された温度計を使っても,測定条件によっては誤差を伴うため,付表11に示した対処方法などに応じて適
切な処置をとる。
また,実際の測定に当たっては,使用する温度計,測定方法の特徴及び制約条件を十分に理解しておく
必要がある。
6.2 接触方式に対する注意事項 接触方式によって温度を測定する場合には,次の事項に注意する。
(1) 検出器を取り付けるに際して,測定対象の温度及び温度分布をなるべく変えないようにする必要があ
り,次による。
(a) 検出部の熱容量を,測定対象の熱容量に比べて小さくし,伝導及び対流の熱的条件を変えないよう
にすることが望ましい。測定対象が小さい場合には特に注意する。
(b) 測定対象又はその付近の温度が一様でないときは,予想される等温線に沿って検出部を取り付け,
温度分布が変わらないようにする。
(c) 測定対象と周囲とに温度差があって放射熱の授受があるとき,熱放射の条件をなるべく変えないよ
うに検出部を取り付ける。検出部の表面に現れる部分は,測定対象と同じ放射率であることが望ま
しい。
(2) 検出素子は,測定対象と同じ温度にする必要があり,次によるのがよい。
(a) 測定対象と検出部とを物理的によく接触させる。
また,他の物体の温度の影響を受けないようにする。
(b) なるべく遅れが少ない検出器を使用する。遅れは,検出器の構造によるほか,測定対象の種類やそ
の条件によって変わる。例えば,熱容量の大きい検出器で静止している気体の温度を測る場合は,
遅れは非常に大きい。
(c) 測定対象の温度が変化している場合には,時定数が小さいほど検出部の温度が測定対象の温度に近
づき,遅れによる誤差は小さくなる。
(d) 測定対象の温度が変わらない場合でも,検出素子が同じ温度になるためには,これらを十分に長い
時間接触させておかなければならない。例えば,時定数の3倍の時間をおけば,両者の温度差は初
めの温度差の1%程度になる。
(e) 保護管を用いる検出器は,保護管の十分な長さを測定対象に接触させなければならない。
高温の気体を測定する場合,金属保護管は直径の1520倍の長さ,非金属保護管は1015倍の
長さを挿入することが望ましい。
管内の流体の温度を測定する場合は,管内に保護管を挿入する。管が細くて挿入長が十分にとれ
ないときは,管の曲がった部分を利用し,曲がった部分から上流へ向かって保護管を挿入する。
(f) 表面温度を測定する場合は,その表面に十分な長さにわたって検出部を接触させ,測定対象と同じ
温度に保つことが望ましい。
(g) 気体の温度を測る場合で,検出部と外部との放射熱の授受が大きいときは,放射シールドによって
誤差を軽減する。
(3) 検出器は,物理的又は化学的に,周囲の物体を侵したり,周囲の物体によって侵されることがない安
定なものを使用する。
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Z 8710-1993
6.3 非接触方式に対する注意事項 非接触方式による温度測定は,放射温度計又は光高温計(JIS Z 8706
参照)による方法(1)がほとんどであり,正確な温度測定を行うためには次の二つの条件を満たすようにす
る。
注(1) この方法では一般的には測定対象の表面温度が測定される。
(1) 測定対象の放射輝度を正しく測定すること。
このためには光路中の介在物を除き,さらに検出器から測定対象を見込む立体角が十分に大きくな
るようにする。
なお,次の事項にも注意する。
(a) 光路中の放射光の吸収及び散乱を防ぐ。赤外線を利用する場合は,大気中に存在する二酸化炭素,
水などの吸収帯を避けて検出波長を選択する。
また,霧状の水蒸気などは光を散乱し,大きな誤差が生じるのでこれらを除去する。
(b) 迷光の影響を除く。特に常温近傍の温度を測定する場合には,周囲の物体からの放射及び測定対象
によって反射される光が無視できなくなるので除去又は補正する。
(2) 測定対象の放射率が求められていること。
真温度は,放射温度計の出力に測定対象の放射率による影響を補正して求められる。安定した温度
測定をするためには,放射率が時間的にも空間的にも安定していることが必要である。
放射率の値が低い測定対象は,放射率変動によって相対的に誤差が大きくなり,また,迷光の影響
も大きくなる。
6.4 測定対象との関係についての注意事項 温度を測定する場合,温度計の検出素子と測定対象との熱
的及び空間的な関係について,次の事項に注意する。
(1) 固体内部の温度測定
(a) 固体内部の温度測定には,温度計の検出部を挿入できる程度の穴をあけ,接触方式の温度計を用い
る。検出部と固体との接触をよくするため,適当な液体を穴に入れるのがよい。固体の寸法が小さ
いときには,細い素線の熱電対を用い,電気的絶縁を確保しつつ,測温接点と固体とを熱的によく
接触させる。
熱伝導が悪い固体の場合には,細い素線の熱電対を用いるのがよい。素線の熱伝導による誤差を
少なくするため,検出素子の付近では固体の予想される等温線に沿わせることが望ましい。
(b) 固体に穴をあけ,非接触方式の温度計を用いて内部の温度を測る場合には,穴の中に生じる対流に
よって温度分布が変わることがある。
(2) 固体表面の温度測定 固体表面の温度は,これに接する物体(多くは気体)の温度の影響を受けてい
るので,一般には,内部の温度と異なる。表面温度の測定では,温度計を接触させることによっても
表面の熱的状態が変わりやすい。
接触方式の温度計では,検出素子が小さいものを用いることが望ましい。検出素子として熱電対を
用いるときには,次の方法がある。
(a) 固体表面との接触をよくするため,熱電対の測温接点を銅板(例えば,厚さ0.20.5mm,長さ30mm)
にろう付けし,これを固体の表面に密着させる。
(b) 測定対象が相当に厚い場合には,表面に浅い溝を掘り,その中に埋め込んだ熱電対を用いて表面温
度を測定できる場合もある。
また,測定対象の表面から深さが異なる3点の温度を測り,外挿して表面温度を求めることもで
きる。
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Z 8710-1993
(3) 液体の温度測定 液体は検出部との接触もよいので,次の事項に注意をすれば接触方式の温度計を用
いて良い精度で測定ができる。
(a) 液体の温度分布を求めるには,熱容量が小さい検出部を用いることが望ましい。
(b) 液体の平均温度は液体をよくかくはんすれば,液体内の1点で測定することができる。
(c) 接触長を十分に取りにくい管内での液体の温度を測定するには,検出部を十分にその液体と接触さ
せる工夫をする。
(4) 気体の温度測定 気体は,一般に比熱容量も熱伝導率も小さく,対流も生じやすいので,温度が一様
でない場合が多い。特に炎は熱平衡状態になく,一般に,時間的にも空間的にも温度変化が著しいた
め,温度の正確な測定は困難である。
接触方式の温度計は,検出部が小さいものを用い,検出部と気体との熱接触をよくするために両者
の接触面積を大きくすることが望ましい。測定対象の気体以外から熱放射を受ける場合には,検出部
を放射遮へいする。
また,一般に気体の温度測定では,検出器の熱容量のために測定の遅れが大きくなる。特に静止気
体の場合は,この遅れが著しいので,次の事項に注意する。
(a) 室内での気体の温度測定には,検出部を壁などから離して取り付ける。直射日光などを受けないよ
うに放射遮へいする。
(b) 平均温度の測定には,温度を一様にするために気体をかくはんする。
(c) 接触長さを十分に取りにくい管内での気体の温度測定には,検出部を十分にその気体と接触させる
工夫をする。
(d) 高温の気体の温度を正確に測定する場合には,耐熱性の閉端管を挿入し,その内面の底の温度を光
高温計又は放射温度計を使って測る方法もある。
6.5 安全に関する注意事項 温度測定を安全に行い,また,測定対象を安全に保つための主な注意事項
を,次に示す。
(1) 測定対象に関する注意
(a) 高温又は低温の物質の温度測定では,測定対象の流出,水分の凝縮などによる危険性を考慮して,
これらを防ぐ万全の措置をとる。万一流出したりした場合の人体への危険防止,発火防止などの配
慮を十分に行う。
(b) 測定対象の性質・状態をあらかじめよく把握しておく。検出器又はその保護管などに用いられてい
る物質についても十分な知識をもって,危険な反応や汚染を避ける対策を講じる。
(c) 食品,医療品などの温度測定には,水銀などの有害物質を含む温度計を避け,やむを得ず使用する
ときは,安全な保護管などに入れて使用する。
(d) 測定対象中に爆発性気体が含まれている場合には,必ずJIS C 0903に規定する防爆構造の温度計を
用いるか,又は,JIS C 0903に規定する本質安全防爆システムとして設計・製作された測定系を用
いる。
(2) 計測システムに関する注意 計測システムの一部が故障した場合に,測定対象の状態が安全方向へ移
行するような機構,すなわち,フェイルセーフ機構の採用を心掛ける。例えば,熱電対では断線の確
率が高いので,この場合に,測定対象の状態が危険方向へ移行することがないように配慮する。
温度計が安全上重要な役割を果たしている場合は,測定システムの信頼性を向上させるために,冗
長性をもたせることが必要である。例えば,2個又は3個の検出素子を備えた検出器の採用,伝送,
制御及び表示のシステムの多重化又は並列化,電源バックアップ機能の採用などを行う。
――――― [JIS Z 8710 pdf 5] ―――――
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JIS Z 8710:1993の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.200 : 熱力学及び温度測定 > 17.200.20 : 温度測定機器
JIS Z 8710:1993の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0903:1983
- 一般用電気機器の防爆構造通則
- JISC1604:2013
- 測温抵抗体
- JISC1606:1955
- ポケット放射線量計
- JISC1606:1989
- シース測温抵抗体
- JISC1612:2000
- 放射温度計の性能試験方法通則
- JISZ8103:2019
- 計測用語
- JISZ8706:1980
- 光高温計による温度測定方法