JIS Z 8732:2000 音響―音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法―無響室及び半無響室における精密測定方法 | ページ 2

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Z 8732 : 2000 (ISO/DIS 3745 : 2000)
1. 適用範囲

1.1 一般事項

 この規格は,騒音源から発生する音の音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルを算
出するために,無響室又は半無響室において騒音源を囲む測定面上で音圧レベルを測定する方法を規定す
る。また,音響パワーレベル又は音響エネルギーレベルを算出するための表面音圧レベルを求めて,グレ
ード1の精度をもつ結果を得るための方法とともに,試験環境及び測定器についての要求事項についても
規定する。

1.2 騒音及び騒音源の種類

 この規格に規定する方法は,すべての種類の騒音に適用する。
騒音源は,機械,装置及びその他の部品である。測定対象音源の最大寸法は,閉測定表面として使われ
る仮想球面(又は半球面)の半径について,7.2に規定する要求事項によるものとする。

1.3 試験室

 この規格に従って行う測定に適用できる試験室は,無響室(3.11参照)又は半無響室(3.13
参照)とする。

1.4 測定の不確かさ

 この規格に従って行う音響パワー測定は,ほとんどの例外なしに,表1に示す値
以下の再現性の標準偏差で1/3オクターブバンド音響パワーレベルを測定することができる。
表1 この規格に従って求めた音響パワーレベルの再現性の標準偏差の推定上限値
1/3オクターブバンド中心周波数(Hz) 標準偏差 刀 dB)
無響室 半無響室
5080* 2.0 2.0
100630 1.0 1.5
8005 000 0.5 1.0
6 30010 000 1.0 1.5
12 50020 000** 2.0 2.0
* 音場が4.に従って適正化されているとき
** 測定器が適応し,大気による音の吸収が補正されていると

特定の騒音源を複数の試験室に移動させ,それぞれの試験室で音源の音響パワーレベルをこの規格に従
って算出すれば,その結果はばらつきを示す。測定したレベルの標準偏差は算出でき(ISO 7574-4 附属書
BのB.2.1参照),周波数によって変化する。ほとんどの例外なしに,これらの標準偏差は表1の値を超え
ない。表1の値は,ISO 7574-1に定義される再現性の標準偏差 到 この規格の方法を
適用したときの測定の不確かさの総合的な影響を考慮しているが,作動条件(例えば,回転速度,電源電
圧)又は設置条件の変化によっておこる音響パワー出力の変化は除外している。
測定の不確かさは,表1の再現性の標準偏差と要求される信頼限界に依存する。例として,正規分布す
る音響パワーレベルの期待値が測定値の±1.645 到 囲内にある信頼水準は90%であり,±1.96 到 囲
内にある信頼水準は95%である。その他の例については,ISO 7574-4 : 1985を参照する。それ以上の特定
の知識が利用できなければ,試験報告書に拡張不確かさ (k=2) は再現性の標準偏差の2倍になることを
記載する。
備考1. 到 信頼水準の範囲は適用されない。
2. 表1に示される標準偏差は,この規格で定義する試験条件と方法に関係するが,騒音源自身
には関係しない。標準偏差の一部は,試験機関,試験室の寸法,反射面の音響特性,試験室
境界面における吸音,暗騒音及び測定器の種類と校正方法の変化に起因する。それはまた,
測定面の寸法,マイクロホン位置の数と配置,音源位置及び積分時間を含んだ実験技術にも
よる。標準偏差はまた,音源の近傍音場における測定の不確かさによって影響を受け,音源

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の性状に依存するが,一般に測定距離が小さく,周波数が低くなる(250Hz以下)に従って
増加する。
3. 幾つかの試験機関が類似の施設と測定器を使えば,これらの試験機関で算出した音源の音響
パワーレベルは,表1の標準偏差が示すよりもよく一致する。
4. 特定の種類の音源については,再現性の標準偏差は表1の値よりも小さくなる。そのためこ
の規格を引用する特定の機器に対する個別規格では,適切な試験機関間での試験結果からそ
れが実証できるなら,その場合に限り表1の値よりも小さな標準偏差を記載してもよい。
5. 表1に示される再現性の標準偏差は,同一条件での同一音源についての繰り返し測定につい
ての不確かさを含んでいる(繰り返し性の標準偏差については,ISO 7574-1参照)。この不
確かさは,通常,試験室が異なることによる不確かさよりも遥かに小さい。しかし,特定音
源についての安定した設置又は作動条件を維持することが困難であれば,繰り返し性の標準
偏差は表1の値に比べて小さくないことがある。こうした場合には,その音源について再現
性のある音響パワーレベルデータを得ることが困難であるという事実を記録して,試験報告
書に記載することが望ましい。

2. 引用規格

 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載された年の版だけがこの規格を構成
するものであって,その後の改正版・追補はそれに該当しない。発効年を付記していない引用規格は,そ
の最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1505 精密騒音計
JIS C 1515 音響校正器
ISO 7574-1 : 1985, Acoustics−Statistical methods for determining and verifying stated noise
emission values of machinery and equipment−Part 1 : General considerations and definitions
ISO 7574-4 : 1985, Acoustics−Statistical methods for determining and verifying stated noise
emission values of machinery and equipment−Part 4 : Methods for stated values for batches
of machines
IEC 61260 : 1995, Electroacoustics−Octave-band and fractional-octave-band filters

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1 音圧 (sound pressure) 音の存在によって静圧に重畳される変動圧力。単位はパスカル (Pa)。
備考 音圧の値は,瞬時音圧,最大音圧又はある時間空間にわたる平均二乗音圧の平方根など,幾つ
かの方法で表される。
3.2 音圧レベル (sound pressure level) p 音圧pの二乗を基準音圧poの二乗で除した値の常用対数の10
倍で,式(1)で与えられる。単位はデシベル (dB)。
p2
Lp=10 log10p 2 dB (1)
0

使用した周波数重み特性又は周波数帯域幅,及び時間重み特性を明記する。基準音圧は20 2×10-5Pa)。
備考 例えば,時間重み特性SのA特性音圧レベルは,LpASで表す。
3.2.1 時間平均音圧レベル (time-averaged sound pressure level) peq, T 測定時間T内で,時間とともに変
化する対象音と同じ平均二乗音圧をもった連続定常音の音圧レベルで,式(2)で与えられる。

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1 P2
Lpeq=
,T 10 log10 2
dt dB (2)
T P0
時間平均音圧レベルはデシベルで表示され,JIS C 1505の要求事項に適合する測定器で測定する。
備考 時間平均音圧レベルは,ある測定時間について求められるので,一般に添字“eq”及び“T”は
省略する。
3.2.2 測定時間 (measurement time interval) 時間平均音圧レベルを求めるための時間
3.3 測定面 (measurement surface) 測定点を設置するための音源を囲む面積Sの仮想表面。半無響室の
場合には,測定表面は反射面が終端になる。
3.4 表面音圧レベル (surface sound pressure level) pf 暗騒音補正K1(3.17参照)を適用した,測定面の
すべてのマイクロホン位置にわたる時間平均音圧レベルのエネルギー平均値。単位はデシベル (dB)。
3.5 音響パワー (sound power) 単位時間に音源から放射される空気音のエネルギー。単位はワット
(W)。
1 T P2
W= dtds (3)
T 0 pc
S
3.6 音響パワーレベル (sound power level) w 測定対象音源が放射する音響パワーを基準音響パワーW0
で除した値の常用対数の10倍で,式(4)で与えられる。単位はデシベル (dB)。
W
Lw=10 log10 (4)
W0
使用した周波数重み特性又は周波数帯域幅を明記する。基準音響パワーは,1pW (10-12W)。
3.7 単発音圧レベル (single event sound pressure level) pE 単発的又は過渡的な音の単発音圧レベルは,
式(5)で与えられる。単位はデシベル (dB)。
1 t p2 t21
L=
pE 10 log10 2
dt (5)
T0 t p0
ここに, p (t) : 瞬時音圧 (Pa)
t2-t1 : 対象事象のすべての音を含むのに十分な長さの時間 (s)
p02T0 : 基準値 ([20懿
備考 他の規格では,この量を音圧暴露レベルとしている。
3.8 音響エネルギー (sound energy) 音源から放射される単発的又は過渡的な音のエネルギー。単位は
ジュール (J)。
E=
0
TWdt (6)
3.9 音響エネルギーレベル (sound energy level) J 測定対象音源から放射される音響エネルギーEを基
準音響エネルギーE0で除した値の常用対数の10倍。式(7)で与えられる。単位はデシベル (dB)。
E
LJ=10 log10 (7)
E0
使用した周波数重み特性又は周波数帯域幅を明記する。基準音響エネルギーは,1pJ (10-12J)。

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Z 8732 : 2000 (ISO/DIS 3745 : 2000)
3.10 自由音場 (free field) 境界面の影響を受けない均質等方媒質中の音場。実際には,対象周波数範囲
にわたって境界面における反射が無視される音場。
3.11 無響室 (anechoic room) 自由音場の得られる試験室。
3.12 反射面上の自由音場(半自由音場) (free field over a reflecting Plane) 無限大の剛壁面上の半空間に
おける均質等方媒質中の音場。
3.13 半無響室 (hemi-anechoic room) 反射面上の自由音場の得られる試験室。
3.14 対象周波数範囲 (frequency range of interest) 一般に,1/3オクターブバンド中心周波数で10010
000Hzの周波数範囲。
備考 特別の目的に対しては,試験環境が附属書Aによりまた,測定器の精度が特に高周波数で7.4
によって,その周波数で使用するのに適していれば,周波数範囲を拡張又は縮小してもよい。
3.15 測定半径 (measurement radius) 球又は半球の測定鏡面の半径。
3.16 暗騒音 (background noise) 測定対象音源以外のすべての音源からの騒音。
備考 暗騒音は空気伝搬音,固体伝搬振動及び装置の電気的雑音からの寄与を含む。
3.17 暗騒音補正値 (background noise correction) 1 面上音圧レベルに対する暗騒音の影響を考慮する
ための補正値。K1は周波数に依存する。単位はデシベル (dB)。
3.18 指向指数 (directivity index) I 音源が,ある方向に放射する音の強さを表す尺度(附属書I参照)。
単位はデシベル (dB)。

4. 試験室の要求事項

4.1 一般事項

 この規格に従って測定に適用できる試験室は,次のとおりとする。
a) 一般的な目的で,自由音場又は反射面上の自由音場を与える室で,附属書Aを満足する試験室。
b) そのほかに特定音源の音響パワーレベルを求める目的で自由音場又は反射面上の自由音場を与える室
で附属書Bを満足する試験室。

4.2 試験室の適性評価

 附属書A及び附属書Bは,理想的な自由音場又は半自由音場条件からの試験室
の偏差を算出し,試験室の適応性を評価する方法を示す。試験室の評価方法は,附属書A又は附属書Bに
よる。
備考 逆二乗則からの偏差が附属書A又は附属書Bに示す値を超える空間での測定が必要である場合
には,JIS Z 8733, JIS Z 8736-1, JIS Z 8736-2, ISO 3746を参照。

4.3 暗騒音の評価

 測定面上のすべてのマイクロホン位置で,暗騒音のレベルは測定する音圧レベルよ
り少なくとも10dB小さいものとする。加算したA特性騒音がすべての帯域を加算したA特性音圧レベル
よりも10dB以上低ければ,A特性音響パワーの算出はこの評価を満足しない帯域を含んで行ってもよい。

5. 測定器

5.1 一般事項

 マイクロホン及びケーブルを含んだ測定システムは,JIS C 1505に適合するものとする。
使用するフィルタは,IEC 61260のクラス1に適合するものとする。
10 000H z以上の測定については,マイクロホン振動面は音源からマイクロホンへのベクトルに
平行とする。マイクロホンの指向性,ウインドスクリーンの減衰及び相対湿度による空気吸収は補償する。

5.2 校正

 測定対象周波数範囲内の一つ以上の周波数で全測定システムを校正するために,一連の測定
の間JIS C 1515に規定するクラス1の音響校正器を使用する。
音響校正器がJIS C 1515に適合していることを1年に1度検査しなければならない。測定システムがJIS

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C 1505に適合していることを周期的に検査する。

6. 測定対象音源の設置及び作動

6.1 一般事項

 測定対象音源の設置及び作動方法は,音源から放射する音響パワーに重大な影響を与え
ることがある。ここでは,測定対象音源の設置及び作動条件による音響パワーの変化を最小にする条件を
規定する。測定対象音源の設置及び作動について個別規格があるときには,それに従う。

6.2 音源位置

 試験室内に音源を設置するには,測定面が7.2に従って測定対象音源を囲むことのできる
十分な空間を確保することが重要である。
設置条件及びマイクロホン配置についての詳細な情報は,この規格の一般事項及び測定対象音源につい
ての個別規格があればそれによる。

6.3 音源の設置

 多くの場合,放射される音響パワーは,測定対象音源の支持又は設置条件に依存する。
測定対象音源のための典型的な設置条件が存在する場合は,その条件を使うか又はシミュレートする。
典型的な設置条件が存在しない又は試験に利用できない場合は,試験に使用した設置システムに起因す
る音源の音響パワーの変化を回避するように注意する。機器が設置される構造体からの音響放射を少なく
する手段を講ずる。
備考 多くの小形音源は,それ自身で低周波音を放射しなくても,設置方法によっては,その振動エ
ネルギーが有効な放射体として十分に大きな表面に伝達することにより,より低い周波数の音
を放射することがある。こうした場合,実際的であれば,支持体への振動の伝達と音源側への
反作用を最小にするように,測定対象音源と支持体表面の間に弾性支持体を挿入するのがよい。
この場合,設置基礎は,余分に振動したり音を放射したりしないように,十分に高い機械イン
ピーダンスをもつことが望ましい。測定対象音源が,代表的な設置現場で弾性支持をされない
場合,こうした弾性支持を使わないものとする。

6.3.1 手持ち形機器

 手持ち形機器は,手で支持する。測定対象音源の作動のために支持構造物を必要と
する場合には,測定対象音源の一部とみなせる程度に小さくし,その機器に対する個別規格で規定する。

6.3.2 床置き形及び壁掛け形機器

 このような機器は,音響的に剛な反射面(壁,床)に設置する。卓上
形機器は,その機器の試験規定による作動のためにテーブル又はスタンドを必要とするものでない限り,
床の上に設置する。テーブルなどが必要な機器は,試験卓の上面中央に設置する。

6.4 補助装置

 測定対象音源に接続されたダクト,電気導管及び配管で,音源を構成しないものは,試
験室内に極端に大きな音のエネルギーを放射しないように配慮する。
測定対象音源の一部ではないが,その作動に必要なすべての補助装置は,可能な限り試験室の外側に設
置する。

6.5 測定対象音源の作動

 測定対象音源に該当する個別規格があるときには,測定の間,そこに規定さ
れる作動条件を使用する。個別規格がないときには,可能ならば,通常使用の典型となる方法で音源を作
動させる。その場合,次のうちの一つ以上の作動条件を選択する。
−規定の負荷及び作動条件
−(上記と異なる)最大負荷条件
−無負荷(アイドリング)条件
−通常使用で発生音が最大となる作動条件
−擬似負荷で詳細に定義した作動条件
−測定対象音源に特有の作動サイクルでの作動条件

――――― [JIS Z 8732 pdf 10] ―――――

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JIS Z 8732:2000の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/DIS 3745:2000(IDT)

JIS Z 8732:2000の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8732:2000の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC1505:1988
精密騒音計
JISC1515:2020
電気音響―音響校正器