JIS Z 8732:2000 音響―音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法―無響室及び半無響室における精密測定方法 | ページ 3

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Z 8732 : 2000 (ISO/DIS 3745 : 2000)
任意の作動条件の組み合わせ(すなわち負荷,作動速度,温度など)に対して音源の音響パワーレベル
を求めてよい。これらの試験条件はあらかじめ選定しておき,試験中一定に保つ。騒音測定を行う前に,
音源を所定の作動条件にしておく。
騒音放射が加工する材料の種類や使用する工具の種類のような二次的な作動パラメータに依存すれば,
これらのパラメータは最小の変化を与え,典型的な作動になるように選定する。特定の機械についての個
別規格は試験に使用する工具や材料を規定する。
特別な目的に対しては,同じ種類の機械からの騒音放射の再現性が高く,その種の機械について最も一
般的で代表的な作動条件を網羅する方法で一つ以上の作動条件を定義することが適当である。こうした作
動条件は,個別規格で定義する。
擬似負荷による作動条件を使うときには,測定対象音源の正規の使用状態に対する音響パワーレベルを
与える作動条件を選定する。
適切であるならば,それぞれ所定の時間をもった幾つかの作動条件についての結果から,全体の作動状
態に対する結果を得るためにエネルギー平均を求める。
音響測定中の音源の作動条件を,試験報告書に詳細に記述する。

7. 音響パワーレベル算出のための音圧レベルの測定

7.1 一般事項

 無響室は,最小の不確かさでの測定に適した環境を与える。しかし,この規格に規定す
る条件が満たされれば,半無響室でも適度な精度を確保できる。

7.2 測定面

7.2.1 測定球面(無響室における測定用)

 無響室における測定では,表面音圧レベルの測定に使う球面
は,音源の音響中心に中心を置くのが望ましい。音響中心の位置は,多くの場合不明であるので,音響中
心と仮定した位置(例えば,音源の幾何中心)を試験報告書に明確に記述する。測定球面の半径は,音源
の最大寸法の2倍以上で,最小1mとする。附属書A又は附属書Bによって測定に適合することが確認さ
れた領域の外側にはマイクロホンは配置しない。

7.2.2 測定半球面(半無響室における測定用)

 半無響室における測定では,7.2.1による音響中心の床
への投影点に半球の中心を置く。測定半球面の半径は,最大音源寸法の2倍以上又は反射面から音源の音
響中心までの距離の3倍以上のいずれか大きい方で,最小1mとする。附属書A又は附属書Bによって測
定に適合することが確認された領域の外側にはマイクロホンは配置しない。

7.3 マイクロホン位置

7.3.1 一般事項

 測定球(又は半球)面上の表面音圧を得るために,以下の4つの方法の一つを使用する;
1) 試験球(又は半球)の表面上に分布した固定マイクロホン配列。
備考 単一のマイクロホンを一つの位置から次へと順次移動するか,又は多数の固定マイクロホンを
使って,その出力を順次か又は同時にサンプリングする。
2) 単一マイクロホンを試験球(又は半球)上に規則的に配置した多数の円周経路に沿って動かす。
3) 単一マイクロホンを試験球(又は半球)上に規則的に配置した多数の子午線経路に沿って動かす。
4) 単一マイクロホンを試験球(又は半球)の垂直軸のまわりのらせん経路に沿って動かす。

7.3.2 固定マイクロホン位置

――――― [JIS Z 8732 pdf 11] ―――――

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Z 8732 : 2000 (ISO/DIS 3745 : 2000)

7.3.2.1 測定球面(無響室における測定用)

 附属書Cに示す20点のマイクロホン位置の配列を使用す
る。一般に,それぞれの測定周波数帯域ごとに測定した音圧レベルの最大値と最小値との差(デシベルの
数値)が,マイクロホン位置の数の半分以下であれば,マイクロホン位置の数は十分である。附属書Cの
20点の配列を使って,この要求事項を満足しないときには,附属書Cの基本の配列をz軸の周りに180゜
回転して追加の20点の配列を規定する(新しい配列のz軸上の2点は,基本配列の2点と一致する)。二
つの配列の40点は附属書Cの測定球面上で等面積に割り当てられている。
備考1. 二つの配列上の40点によっても測定点数についての要求事項を満足しないときには,指向性
が鋭い音源からの“ビーミング”が観測される球面の限定された範囲についての詳細な検討
が必要である。この詳細な検討は,対象周波数範囲における音圧レベルの最大値及び最小値
を求めるために必要である。この方法によれば,マイクロホン位置は普通には測定球面上で
等面積には割り当てられず,適切な調整が必要になる(7.7.1.2参照)。
2. 全指向性の音源については,(例えば,8点又は12点の)より少ないマイクロホン位置を使
っても表1の不確かさを超えることはない。

7.3.2.2 測定半球面(半無響室における測定用)

 附属書Dに示す10点のマイクロホン位置の配列を使
用する。一般に,それぞれの対象周波数帯域ごとの音圧レベルのマイクロホン位置による最大値と最小値
との差(デシベルの数値)が,マイクロホン位置の数の半分以下であれば,マイクロホン位置の数は十分
である。附属書Dの10点の配列を使って,この要求事項を満足しないときには,附属書Dの基本の配列
をz軸の周りに180°回転して追加の10点の配列を規定する。二つの配列の20点は,附属書Dの測定半
球面上の等面積に割り当てられている。
備考 20点のマイクロホン高さの配列は,8 000Hzまでの音響パワー算出に対して最小の干渉効果を
保証し,10点の配列は4 000Hzまでを保証している。二つの配列上の20点によってマイクロ
ホン位置の数の十分さが満足しないときには,指向性が鋭い音源からの“ビーミング”が観測
される半球面の限定された範囲についての詳細な検討が必要である。この詳細な検討は,対象
周波数範囲における音圧レベルの最大及び最小値を求めるために必要である。この方法によれ
ば,マイクロホン位置は普通には測定半球面上で等面積には割り当てられず,適当な調整が必
要になる(7.7.1.2参照)。
反射面からの反射によっておこる干渉効果による誤差を減らすためには,床から均等な間隔の高さで試
験半球面上に分布し,一つのマイクロホン位置が一つの高さに対応する20点の固定マイクロホン位置が使
われる。20点の高さは,rを測定半球の半径として0.025r, 0.075r,.......0.975rとする。各高さについて,
方位角はその前の位置から60゜だけ移動し,らせんのサンプリングパターンを構成する。水平面内におけ
る音源の指向性が不均一であれば,第一の組から180゜回転した第二の組を作って測定し,第一の組との
平均を取る。

7.3.3 同軸平行円筒経路(半無響室における測定用)

 附属書Eに示す少なくとも五つの円周経路に沿
って単一マイクロホンを動かして,空間及び時間平均した音圧レベルを測定する。各円周経路についての
半球面の部分面積は等しい。この配置は,2 000 Hzまでの反射面の干渉効果を避ける。4 000 (8 000) zま
での干渉効果による誤差を避けるためには,測定半球面の表面で等面積を表すように,7.3.2.2に与えられ
る10(20)点のマイクロホン高さで円周経路を設置する。
円周経路は,マイクロホン又は試験対象音源のいずれかを360゜ゆっくりと回転させることによって達
成してもよい。試験対象音源を回転させるために回転盤を使うときには,表面は反射面と同一平面とする。

――――― [JIS Z 8732 pdf 12] ―――――

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7.3.4 子午線経路

 球又は半球の表面音圧レベルを得るための第3の方法は,球の中心を通る水平軸につ
いての半円形の円弧に沿って動かす単一マイクロホンを使う方法である(図F.1参照)。鉛直速度 (dz/dt) は
一定に保つ。すなわち,マイクロホン支持の角速度は,sec 例するように加速する。ここで
らの角度である。マイクロホン出力は,球の表面積に適当な重み付けを与えるように電子的手法によって
二乗平均する。あるいは,cos 讖 偶 み付けをした一定の角速度を使ってもよい(図F.2参照),
半無響室における測定においては,円弧は1/4円の長さで,マイクロホンが回転する軸は附属書Fに示さ
れるように,反射面の中に置く。少なくとも,音源のまわりに等しい間隔の方位角で,八つのマイクロホ
ンの移動経路を使用する。これは音源を回転してもよい。

7.3.5 らせん経路

 球面又は半球面の表面音圧レベルを得るための第4の方法は,7.3.4のように一つの
子午線経路に沿ってマイクロホンを動かすと同時に,円周経路に沿ってゆっくりと移動させることによっ
て,測定表面の垂直軸のまわりのらせん経路を形成する。マイクロホンを子午線経路に沿ってゆっくり移
動させる間に,音源を一定回転速度で複数回回転させることでも実現できる。らせん経路の例は附属書G
に示す。角度重み付けは,7.3.4に記述される。

7.4 測定条件

 環境条件は測定に使用するマイクロホンに不利な影響を与えることがある。こうした条
件の影響(例えば,強い電磁場,測定対象音源からの空気放出による風)は,マイクロホンの適切な選択
又は配置によって避ける。マイクロホンの向きは,振動膜の面が音源中心からの半径ベクトルに平行とす
る(カプセルの軸は接線方向を向く)。このマイクロホンの向き(擦過入射),及び2 000 Hz以上の測定周
波数について特別に含まれているウインドスクリーンに対する校正された応答を求める。

7.5 求められるデータ

 音圧レベルは音源の代表的な作動時間について測定する。各マイクロホン位置
においてA特性及び/又は対象周波数範囲内の各周波数帯域について音圧レベルデータをとる。使用する測
定器は,5.の要求事項に適合するものとする。
次のデータを少なくとも1回又は数回の完全な音源作動の周期にわたって平均する。
1) 測定対象音源の作動中のA特性音圧レベル及び/又はバンド音圧レベル
2) 暗騒音のA特性音圧レベル及び/又はバンド音圧レベル
160 Hz以下の周波数帯域については,測定時間は少なくとも30秒とする。A特性音圧レベル及び200 Hz
以上の周波数帯域については,測定時間は少なくとも10秒とする。

7.6 暗騒音音圧レベルの補正

 暗騒音の音圧レベルは,音源が作動しない状態で7.3に規定する方法の一
つを使って測定する。各マイクロホン位置及び各周波数帯域における暗騒音のレベルL″piが,測定対象音
源が作動しているときの測定音圧レベルL'piよりも15 dBから10 dBの範囲で低い場合には,暗騒音の影
響についてL'piの値を補正する。暗騒音補正値K1は,次の式で与えられる。
K1=−10 log 10 1−10 -0.1△L

(pdf 一覧ページ番号 )

                      ここに    △L=L'pi−L″pi
暗騒音レベルが,音源が作動しているときの音圧レベルよりも15dB以上低い場合には,補正は行わな
い。
暗騒音と音源が作動しているときの各測定点及び各周波数帯域における音圧レベルとの差が10dB以内
の場合には,この測定から求められた音響パワーの値の精度は低下する。これらのデータは暗騒音の要求
事項に適合しないが,音源の音響パワーレベルの上限を表すことを報告する。

――――― [JIS Z 8732 pdf 13] ―――――

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7.7 表面音圧レベルの算出

 音源の音響パワーレベルLWは,試験球(又は半球)の表面上で平均した表
面音圧レベルLpfから算出する。この表面音圧レベルLpfは,試験球(又は半球)についての二乗平均音圧
の空間平均から算出する。音圧の読みから表面音圧レベルLpfを得るためには,次の方法が適切である。

7.7.1 固定マイクロホン位置

 固定マイクロホン位置を使うときには,次の二つの方法のいずれかによる。

7.7.1.1 等面積

 マイクロホン位置が試験球(又は半球)の等部分面積に対応しているときには,表面音
圧レベルLpfを得るために次の式を用いる。
N
1 0.1L pi
Lpf =10 log 10 10 (9)
N i=1
ここに, Lpf : 表面音圧レベル (dB),基準値 : 20愀
Lpi : i番目のマイクロホン位置について暗騒音の補正をした音圧
レベル (dB) (基準値 : 20 懿
N : マイクロホン位置の数

7.7.1.2 不等面積

 マイクロホン位置が測定面の不等部分面積に対応しているときには,表面音圧レベル
Lpfを得るために次の式を用いる。
N
1 1.0Lpi
Lpf =10 log 10 Si10 (10)
S i=1
ここに, Lpf : 表面音圧レベル (dB),基準値 : 20
Lpi : i番目のマイクロホン位置について暗騒音の補正をした音圧
レベル (dB) (基準値 : 20 懿 。
Si : i番目のマイクロホン位置に関する球(又は半球)の部分面

S : 測定球(又は半球)面の全面積
N : マイクロホン位置の数

7.7.2 円周マイクロホン経路

 マイクロホンを円周経路(7.3.3参照)に沿って移動するときには,表面
音圧レベルLpfは,式(9)から得られる。ここで,Lpiはi番目の経路についての平均音圧レベルである。

7.7.3 子午線及びらせん経路に沿っての移動

 7.3.4及び7.3.5に規定される方法を使うときには,表面音
圧レベルLpfはマイクロホン出力を二乗平均し,球の表面積に適当な重みをつけて求められる。適当な面積
の重み付けを行う方法は,附属書E, F及びGに示される。

8. 音響エネルギーレベル算出のための単発音圧レベルの測定

8.1 一般事項

 音響エネルギーの単発音又は過渡音の単発音圧レベルの測定のためには,その方法は音
圧レベル測定のために7.に規定される方法と同じである。

8.2 マイクロホン配置

 単発音の場合には,測定表面(測定球面又は測定半球面)上のすべてのマイク
ロホン位置で単発音圧レベルを測定する。7.3.2に規定するマイクロホン位置を使用する。放射単発音が十
分な繰り返し性をもっているときには,同時測定の要求事項を緩和してもよい。音源の音響放射が多くの
方向に均一であれば,少数のマイクロホン位置を使ってもよい。音源の放射の繰り返し性が非常によいと
きには,少数のマイクロホンをそれぞれ新しい位置に動かして数回使ってもよい。

――――― [JIS Z 8732 pdf 14] ―――――

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9. 音響パワーレベル及び音響エネルギーレベルの算出

9.1 音響パワーレベル

9.1.1 自由音場

 自由音場では,音源の音響パワーレベルLWは次の式によって算出する。
S1
LW=Lpf+10 log10 +C (11)
S0
ここに, Lpf : 試験球上の表面音圧レベル (dB)。基準値 : 20 愀
S1=4 (半径rの)試験球の面積
S0=1m2
C : 温度 (℃) 及び大気圧 (Pa) の影響についての補正項
(dB)
427 273 B
C=−25 log10 (12)
400 273+ B0
ここに, 燿 温度 (℃)
B0=1.013×105Pa
備考 補正項Cは,測定場所における実際の気象条件B及び 侮 溘 は,測定し
た音響パワーレベルを特性インピーダンス 400Ns/m3に対応する気象条件で測定した値に
調整するために使用する。

9.1.2 反射面上の自由音場

 反射面上の自由音場については,音源の音響パワーレベルLWは次の式によ
って算出する。
S2
LW=Lpf+10 log +C (13)
S0
ここに, S2=2 (半径rの)試験半球の
面積
S0=1m2
備考 その他の記号は,式(9)と同じである。

9.1.3 重み付け音響パワーレベル及びバンド音響パワーレベル

 式(11)及び(13)に使った表面音圧レベル
Lpfの値は,測定システムの重み付け回路(例えば,A特性)を使うか,又は1/3オクターブバンドフィル
タを用いて測定する。重み付け音響パワーレベルの算出には,式(11)[又は式(13)]を1回だけ用いる。バ
ンドパワーレベルを得るためには,対象周波数範囲内の各周波数帯域ごとに算出方法を繰り返す。重み付
け音響パワーレベルはバンドパワーレベルからも求められる。算出方法は附属書Hによる。

9.2 音響エネルギーレベル

9.2.1 自由音場

 自由音場(無響室)においては,音源の音響エネルギーレベルLJは次の式によって算
出する。
S1
LJ=LpEf+10 log10 +C (14)
S0
ここに, LpEf : 測定球上で平均した表面単発音圧レベル

9.2.2 反射面上の自由音場

 反射面上の自由音場(半無響室)においては,音響エネルギーレベルLJは
次の式によって算出する。
S2
LJ=LpEf+10 log10 +C (15)
S0

――――― [JIS Z 8732 pdf 15] ―――――

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JIS Z 8732:2000の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/DIS 3745:2000(IDT)

JIS Z 8732:2000の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8732:2000の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC1505:1988
精密騒音計
JISC1515:2020
電気音響―音響校正器