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Z 8803 : 2011
6.2.4 その他の細管粘度計
6.2.16.2.3に規定した3種類の代表的な細管粘度計のほかに,多種の細管粘度計がある。これらは,以
上のものと原理的に構造が同一であり,粘度測定も,それに準じた方法で行うことができる。
6.3 測定に用いる補助器具
測定に用いる補助器具は,次による。
a) 測時用時計 あらかじめ必要精度に応じて校正された0.1秒の単位まで読み取ることができる秒時計
を使用する。
b) 温度計 あらかじめ必要精度に応じて校正された0.1 ℃以下の目盛をもつ温度計を使用する。最も高
精度な測定を行う場合は,1990年国際温度目盛(ITS-90)に従って校正された白金抵抗温度計を用い
ることが望ましい。
c) 恒温槽 粘度計内の試料面が,恒温槽内の液面から20 mm以下に没するような深さをもち,粘度計測
時球の上下標線が,外部から透して見ることができるものでなければならない。
試料の粘度を精度1 %で測定しようとする場合は,温度変化は通常0.1 ℃以内,精度0.1 %で測定し
ようとする場合は,温度変化は通常0.01 ℃以内である。また,適切なかき混ぜ機によって恒温槽内の
温度分布を均一に保つことを必要とする。
試料によっては,温度によって粘度が大きく変わるから,そのようなおそれのある試料の場合は,
粘度の測定精度に応じてあらかじめその変化を調べ,適切な恒温に保ち,適切な精度で温度測定を行
わなければならない。
6.4 操作
6.4.1 準備
測定の準備は,次による。
a) 試料の粘度に応じて粘度計を選び,適切な蒸発性の溶剤で洗浄する。必要がある場合は,ガラス器具
洗浄液を用いて細管内をよく洗い,きれいな流水で十分に洗浄した後,乾燥する。乾燥のとき,粘度
計内にごみなどが入らないように注意する。
b) 試料は,ごみなどが含まれているかどうか調べ,必要に応じてフィルタでこす。
注記 粘度計を選ぶために,試料の粘度のおおよその値を簡単な方法であらかじめ測定しておくと
よい。
6.4.2 試料の入れ方
試料の入れ方は,次による。
a) キャノン−フェンスケ粘度計及びキャノン−フェンスケ不透明液用粘度計は,粘度計を逆にして管N
の先端を試料中に浸し,管Lから,キャノン−フェンスケ粘度計では標線Fに,また,キャノン−フ
ェンスケ不透明液用粘度計では標線Gに液面がくるまで吸い上げて試料を取り,常態に戻す(図1及
び図2参照)。また,キャノン−フェンスケ不透明液用粘度計では,試料を入れた後,試料が測時球部
に入らないように管N(図2参照)の先端を塞いでおく。
注記 試料の熱膨張に関する補正(6.6.1参照)が必要な場合には,入れるときの試料の温度を測定
しておく。
b) ウベローデ粘度計は,管Lを通して試料だめ球A内に流入させ,試料面が標線GとHとの間の位置
にくるまで入れる(図3参照)。
c) ピペット又はその他の方法で一定体積の試料を入れる方法のものは,常に同一の方法で試料を入れる。
d) 試料を入れるときは,泡が入らないように注意する。
――――― [JIS Z 8803 pdf 11] ―――――
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6.4.3 粘度計の取付け
粘度計の取付けは,次による。
a) 試料を入れた後,粘度計を恒温槽内に入れて揺れないように垂直に取り付ける。この場合,キャノン
−フェンスケ粘度計では,球A,C及びD(図1参照)の中心が,同一垂直線上にくるように取り付
ける。
b) 測定中における粘度計内の試料面は,恒温槽内の液面から20 mm以上深くなるようにしなければなら
ない。
6.4.4 測定
測定は,次による。
a) 試料の温度が測定温度に達したならば(10分30分間位放置すればよい),試料内に泡がないことを
確かめた後,測定を開始する。
b) キャノン−フェンスケ粘度計及びウベローデ粘度計は,管Nから吸引又は管Lから加圧して[ウベロ
ーデ粘度計の場合は,管M(図3参照)を閉じる],測時球Cの上標線Eより5 mm10 mm上まで
試料面を上げた後,液を自然流下させ(ウベローデ粘度計の場合は,管Mを開く),試料面が測時球
Cの上下標線間(EからFまで)を通過するために要する時間を測定して,同様な測定を3回以上繰
り返す。
なお,測時球に試料を吸い上げるときは,ゆっくり吸い上げて泡が入らないように注意する。
c) キャノン−フェンスケ不透明液用粘度計では,管N(図2参照)を開いて試料を自然流下させ,測時
球に流入させて試料面が2個の測時球C及びJのそれぞれの上下標線間(EからF及びFからIまで)
を通過するために要する時間を測定する。
なお,キャノン−フェンスケ不透明液用粘度計では,試料面の標線の通過は,メニスカスの最上端
と標線とが一致したときとする。ただし,この操作は粘度計定数及び粘度計係数の決定(6.5参照)の
ときも同一でなければならない。
d) 測定時間が短かすぎる(約200秒以下)ときは,細管の内径が更に小さい別の粘度計を用いて測定す
ることが望ましい。
6.4.5 計算
計算は,次による。
a) キャノン−フェンスケ粘度計及びウベローデ粘度計を用いて測定した場合は,3回以上測定した流出
時間の平均値を次の式(3)に代入して動粘度を計算する。この場合,必要精度に応じて,流出時間に対
してあらかじめ6.6に規定する各補正を行わなければならない。
1 c2
ct (3)
t
ここに, 滿 動粘度(mm2/s)
c1 : 粘度計定数(mm2/s2)
c2 : 粘度計係数(mm2)
t : 流出時間(s)
運動エネルギーの補正が小さくて無視しても差し支えない場合には,式(3)の代わりに次の式(4)を用
いて計算してもよい[6.5 b) の注記1及び注記2参照]。
滿 c1t (4)
b) キャノン−フェンスケ不透明液用粘度計を用いて測定した場合は,2個の測時球についての流入時間
――――― [JIS Z 8803 pdf 12] ―――――
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を式(3)[運動エネルギーの補正が小さくて無視できる場合は,式(4)]に代入して計算し,それぞれの
値が必要精度以内で一致すればその平均値を求める。一致しない場合は,洗浄し直して再測定を行わ
なければならない。
なお,必要精度に応じて,流入時間に対し,あらかじめ6.6に規定する各補正を行わなければなら
ない。
6.5 粘度計定数及び粘度計係数の決定
粘度計定数及び粘度計係数の決定は,次による。
a) 粘度計定数及び粘度計係数は,次のb) の方法によって粘度既知の標準液(箇条5参照。これは,粘
度測定の必要精度より,よい精度で動粘度が分かっているものでなければならない。)を用いて決定す
る。
b) 粘度既知の標準液によって粘度計定数及び粘度計係数を決定する場合は,動粘度の値が3倍5倍程
度の異なる二つの標準液を用い,6.4に規定する操作方法によって,それぞれの標準液についての流出
時間(又は流入時間)を測定し,必要に応じて6.6に規定する各補正を行った後,次の式(5)及び式(6)
によって計算する。
t
11 2t2
c1 2 2 (5)
t
1 t2
( 1t2 2t1 ) t1t22 2
c2 2 2 c1t1 t
11 c1t2 t
2 2 (6)
t1 t2
ここに, c1 : 粘度計定数(mm2/s2)
c2 : 粘度計係数(mm2)
標準液1の動粘度(mm2/s)
標準液2の動粘度(mm2/s)
t1 : 標準液1についての流出(又は流入)時間(s)
t2 : 標準液2についての流出(又は流入)時間(s)
また,運動エネルギーの補正が小さい場合は,一つの粘度既知の標準液を用いて,次の式(7)によっ
て粘度計定数を決定しておけばよい。
1
c1 (7)
t1
注記1 運動エネルギーの補正が小さくて無視しても差し支えない場合とは,式(1)又は式(2)の右辺
第1項に対する第2項の比eが,粘度測定に必要精度以内の値になるような場合をいう。
この比eを求めるときは,l+nr≒l,m=1とおいて,式(1)及び式(2)の関係から得られる
次のいずれかの式によって計算すればよい。
e mV2 V2
2 4 2 ≒ .0000 1
π r ght r4ht2
100mV V
e ≒4
8πlc1t2 lc1t2
この式を用いて,表2に示すようなキャノン−フェンスケ粘度計及び表4に示すような
ウベローデ粘度計についてeの値が0.001(運動エネルギーの補正を無視したことによっ
て生じる影響が0.1 %)以内又は0.01(運動エネルギーの補正を無視したことによって生
じる影響が1 %)以内になる流下時間を表5に示す。
注記2 運動エネルギーの補正を必要とする粘度計の定数c1及び係数c2を決定するときは,6.6.5
――――― [JIS Z 8803 pdf 13] ―――――
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を参照。
表5−運動エネルギー補正と流下時間との関係
測定範囲 粘度計定数 運動エネルギーの補正を無視
mm2/s mm2/s2 したことによって生じる影響
0.1 %以内 1 %以内
キャノン− 約0.5 2 0.002 約740秒以上 約240秒以上
フェンスケ 約0.8 4 0.004 約650秒以上 約200秒以上
粘度計 約3 15 0.015 約330秒以上 約100秒以上
ウベローデ 約0.3 1 0.001 約660秒以上 約210秒以上
粘度計 約0.6 3 0.003 約540秒以上 約170秒以上
約2 10 0.01 約420秒以上 約130秒以上
6.6 補正
6.6.1 試料の熱膨張の影響及びその補正
キャノン−フェンスケ粘度計及びキャノン−フェンスケ不透明液用粘度計では,試料を入れるときの温
度と測定のときの温度とが異なる場合は,試料の熱膨張又は収縮によって平均有効液柱高さが変わるため,
測定結果に影響を与える。この補正は,キャノン−フェンスケ粘度計のように測時球が上部にある粘度計
では,測定された流出時間から,次の式(8)によって求められる試料の熱膨張の補正 攀 %)の時間だけ引
き,キャノン−フェンスケ不透明液用粘度計のように測時球が下部にあるものは,その補正 攀 %)の時
間だけ加えればよい。
100Vi i
1 (8)
πR2h
ここに, 攀 試料の熱膨張の補正(%)
Vi : 粘度計内に入れたときの試料の体積(cm3)
R : 試料だめ球の半径(cm)
h : 平均有効液柱高さ(cm)
槿 それぞれ試料を入れたとき及び測定時の試料の密度
(g/cm3)
注記 ここに用いる平均有効液柱高さは,測時球内の液面が測時球の中心部にきたときの液面の高さ
の差をとればよい。
6.6.2 表面張力の影響及びその補正
標準液の表面張力と試料の表面張力とが異なる場合は,表面張力による粘度計内の試料面の上昇量が変
わり,見掛け上の液柱差が同一であっても真の有効液柱高さが違うため測定結果に影響を与える。この補
正は,測定された流出(又は流入)時間に次の式(9)によって求められる表面張力の補正 攀 %)の時間だ
け加えればよい。
200 0 1 1 (9)
2
gh 0 R1 R2
ここに, 攀 表面張力の補正(%)
R1,R2 : 上部及び下部容器の平均有効半径(cm)
標準液及び試料の表面張力(mN/m)
標準液及び試料の密度(g/cm3)
h : 平均有効液柱高さ(cm)
g : 重力加速度(cm/s2)
――――― [JIS Z 8803 pdf 14] ―――――
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6.6.3 傾きの影響
粘度計が6.4.3 a) に規定するように取り付けられない場合は,平均有効液柱高さが変わる。この影響を
取り除くには,次の式(10)又は式(11)によって補正を行えばよいが,補正を行うよりも,むしろ測定結果に
対してこの影響が無視できるように正しく取り付けて測定しなければならない。
a) キャノン−フェンスケ粘度計及びウベローデ粘度計では,傾きによる補正 攀 %)は,次の式(10)で求
められる。
3 1( cos ) 100 (10)
ここに, 攀 補正(%)
傾き角(rad)
b) キャノン−フェンスケ不透明液用粘度計では,管Lと管Nとを含む面内で 児 いた場合の傾きに
よる補正 攀 %)は,次の式(11)で求められる。
1 cos hssin 100 (11)
3
ここに, 攀 補正(%)
傾き角(rad)
h : 平均有効液柱高さ(cm)
s : 管Lと管Nとの間の距離(cm)
6.6.4 残留の影響及びその補正
測時球内の試料の流出後も,依然として,少量が内壁に付着して残るために生じる。この影響は,測時
球と同一の形状及び大きさをもつ球を作り,粘度測定のときと同一の流出時間でその中の試料を流出させ,
その後の質量をひょう量し,この質量から乾燥状態における球の質量を減じて残留量を求めて補正するこ
とができる。この影響を小さくするためには,測時球を大きくすることを必要とし,キャノン−フェンス
ケ不透明液用粘度計を用いればその心配はない。必要精度が1 %程度の測定では,動粘度が5 000 mm2/s
より低い試料に対しては無視して差し支えない。
6.6.5 運動エネルギーの補正
細管粘度計による粘度測定では,運動エネルギーの補正をするが,この補正項の係数(粘度計係数)を
正確に求めることは困難であるため,運動エネルギーの補正を小さくするようにする必要がある。運動エ
ネルギーの補正量の程度は,式(1)又は式(2)の右辺の第1項に対する第2項の比を求めれば分かる[6.5 b)
の注記1参照]。
なお,必要精度が0.1 %程度の粘度測定では,運動エネルギーの補正項に含まれているmの僅かの変化
が無視できなくなるので,数種類の粘度が異なる標準液を用いて粘度計定数及び粘度計係数を調べておく。
7 落球粘度計による粘度測定方法
7.1 特徴及び測定原理
7.1.1 特徴
落球粘度計による粘度測定方法の特徴は,次による。
a) 粘度の絶対測定ができる。
b) 比較的高粘度液の粘度測定に用いる(表6参照)。
c) 不透明液体の場合は,球の落下を検出するための特別な方法を必要とする。
7.1.2 測定原理
落球粘度計による粘度測定方法の測定原理は,次による。
――――― [JIS Z 8803 pdf 15] ―――――
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