JIS Z 8806:2001 湿度―測定方法 | ページ 2

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− 高分子電気抵抗式湿度計
− 高分子電気容量式湿度計
− セラミックス電気抵抗式湿度計
− 酸化アルミニウム皮膜湿度計
2) 伸長率法
− 伸縮式湿度計(毛髪,ナイロン,ゴールドビータースキン)
− バイメタル式湿度計
3) 限界電流法
− 限界電流式湿度計
4) 色変化法
− 塩化コバルト湿度計
5) 弾性表面波伝搬速度法
− 弾性表面波湿度計(圧電性材料の表面弾性波の伝搬)
6. 適用留意事項 5.の湿度測定方法の種類の中で,a) c)は,物理過程・化学過程が明らかにされてきて
いるが,d)については,解明されていない面がある。
これらの方法は,使用目的によって選定されることになるが,実際には,選定された方法に基礎をおく
湿度計を適用することが多い。この場合,次の事項に留意する必要がある。
a) 原理上の課題の有無
b) 適用環境及び使用条件
c) 環境内の汚染物質に対する防除・軽減対策
d) 校正の有無
e) 測定上の不確かさ
備考 上記d)及びe)の子細は,後述の11.及び12.の関連事項に留意し,測定時の不確かさについては,
7.10.の関連事項を参考とし,事前に吟味することが必要である。
7. 水蒸気吸収法
7.1 ひょう量式湿度計 ひょう量式湿度計による測定法は,次による。
a) 原理 測定空気の含有水蒸気を吸収剤に吸収させ,又は凍結させるなどの方法で分離し,質量測定に
よって定量する。一方,水蒸気を分離した後の乾燥空気は,冷却して容器に集めて質量を測定するか,
又は体積を定積槽,積算流量計などによって測定する。乾燥空気体積を測定する場合には,その温度
と圧力とを測定して空気密度を計算し,質量maを求める。はかり取った水蒸気の質量をmvとし,式
(3)によって求めた値を測定空気の混合比とする。SIに直結する絶対測定となる方法である。
b) 構成 主として,水蒸気吸収部,サンプリング及び流量制御部,体積測定部又は空気の集積部などか
らなり,別に質量測定のための精密天びんが必要である。
c) 測定範囲及び不確かさ ひょう量式湿度計の測定範囲及び不確かさは,次による。
1) 測定範囲 混合比で,0.007170g/kg。
2) 不確かさ 測定領域及び方法によって異なり,混合比の相対不確かさは10−2から10−4程度である。
例として,乾燥剤と定積槽を用いる場合,不確かさは次の要因による。
− 測定空気(安定性,均一性,空気の組成など)

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− サンプリング系(リーク,配管などの吸着・脱着・脱ガス,滞留など)
− 乾燥剤(吸湿の効率,乾燥剤の移動,乾燥剤の水との反応による密度変化など)
− 乾燥剤容器(表面汚れ,配管系への着脱による質量変化,外体積の測定,内部圧力,環境によ
る表面吸着・浮力の変化など)
− 質量測定(天びんの安定性・直線性・分解能,分銅の校正・浮力の補正・表面吸着,風・対流,
静電気など)
− 体積測定(定積槽の体積,配管部の体積補正,測定時の温度・圧力の安定性,温度計・圧力計
の校正・安定性・経時変化・分解能,リークなど)
d) 取扱い方法及び注意事項 ひょう量式湿度計の取扱い方法及び注意事項は,次による。
ひょう量式湿度計は,湿度の変動がある雰囲気を連続的に測定するものではなく,かなり大量の試
料の水蒸気量を積算して測定するものであり,一定湿度を連続的に発生する湿度発生装置の湿度値を
確認したり,均一とみなす空間の湿度値を測定するために用いる。湿度発生装置の評価には,測定時
間内に発生する空気の水分量の積算値とひょう量式湿度計による値とを比較する方法がとられる。
8. 熱力学的平衡温度測定による方法
8.1 鏡面冷却露点計 鏡面冷却露点計による測定法は,次による。
8.1.1 肉眼判定式露点計
a) 原理 金属鏡を結露面とし,その温度を徐々に下げて露が付着し始めるとき,及び温度を上げてそれ
が消失し始めるときを肉眼で判定し,それぞれそのときの温度を測定し,その平均値を測定空気の露
点(又は霜点)とする。
b) 構成 外側が鏡面状の内筒と透明な外筒とから構成されたものが,実用に供されている。内筒と外筒
との間に測定気体を導入し,内筒に入れた溶液の温度を下げ,鏡面を冷却する。溶液を十分にかくは
んし,その温度をガラス製棒状温度計,熱電対温度計などによって測定する。
c) 測定範囲及び不確かさ 肉眼判定式露点計の測定範囲及び不確かさは,次による。
1) 測定範囲 露点で−30+30℃。
2) 不確かさ 不確かさは,0.55℃で,後述の12.によるほか,主として次の要因による。
− 温度計の不確かさ
− 温度計と鏡面との温度差
− 露の付着,消失の判定遅れ(露点が低いほど不確かさは大きい。)
d) 取扱い方法及び注意事項 肉眼判定式露点計の取扱い方法及び注意事項は,次による。
1) 露点が室温より高い場合,計器,配管内での結露が生じないよう,あらかじめ保温しておく。
2) 露点が低くなるのに従って,鏡面に露を付着させるのに時間がかかるため,さらに冷却を緩慢にし
て行う。
3) 内筒にアルコール,アセトンなどの溶液を入れ,ドライアイスを少しづつ投入し,鏡面の温度を下
げる方法が一般的に行われている。露点が0℃以上の場合は,水と氷を用いてもよい。
4) 露点を簡単に測れる利点があるが,平衡状態の測定ではない。また,肉眼による露の付着又は消失
の判定には熟練を要する。
8.1.2 光学式露点計 光学式露点計による測定法は,次による。
a) 原理 結露面の温度を露点以下に下げると,露(霜)が付着し始め,露点以上に上げると,付着して
いた露(霜)は蒸発し始める。鏡面上の露(霜)の付着量の増減を鏡面からの反射光で検出し,この

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付着量が一定になるように結露面の温度を自動制御し,鏡面温度を測定する。それを露点(霜点)と
する。
b) 構成 図1に光学式露点計の構成を示す。
冷却には,ペルティエ効果による電子冷却器,冷凍機,ドライアイス,液体窒素などを用いる。結
露面の温度は,その裏側に取り付けた白金測温抵抗体などによって測定する。
露(霜)の付着の検出方法として,結露面からの反射又は散乱光量(光電素子で測定)を利用する。
図1 光学式露点計の構成図
c) 測定範囲及び不確かさ 光学式露点計の測定範囲及び不確かさは,次による。
1) 測定範囲 通常,露点で−60+100℃。ただし,冷却能力の向上によって下限を−100℃とするも
のもある。
2) 不確かさ 不確かさは,0.12℃で,後述の12.によるほか,主として次の要因による。
− 測定空気の温度
− 測定空気の流量
− 配管などによる圧力損失
− 鏡面と温度センサとの温度差
− 鏡面(結露面)の汚染

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− 鏡面上の露(霜)の非平衡状態
d) 取扱い方法及び注意事項 光学式露点計の取扱い方法及び注意事項は,次による。
1) 被測定気体中の汚染物質 鏡の表面に塩類,ちり(塵),ほこり(埃),オイルミストなど不純物が
付着すると,実際よりも高い温度の露点を示したり,誤動作の原因となることがあるので,水分を
吸着しにくいステンレス鋼若しくはふっ素系樹脂又はグラスウール製のフィルタを使用して測定空
気から不純物を除去し,鏡の表面を当該の使用説明書に従い常に清浄にしておかなければならない。
2) 配管 露点計への配管は,できるだけ水蒸気の吸脱着の少ないステンレス鋼又はふっ素系樹脂の配
管を用い,しかも,できるだけ短く配管する。
高湿度の気体を測定した後などは,配管内壁からの脱着水分の影響がなくなるまで待たなければ
ならない。
3) 圧力損失 フィルタ及び配管の圧力損失はなるべく無視できるように配管する。無視できない場合
又は高精度な測定を行う場合は,フィルタ及び配管の前後の圧力を測定し,補正する。
4) 過冷却 0−30℃の間では,鏡面に霜が形成されず,過冷却の状態になることが極めて多い。特に
鏡面を清浄にした場合は,過冷却になりやすく,−40℃まで過冷却であった例も報告されている。
過冷却水と氷では,飽和水蒸気圧が異なるので,どちらが鏡面に形成されているか常に確認する必
要がある。また,過冷却の状態から急に霜に変化する場合,反射光の変化を制御に使用している露
点計においては,制御不調のきっかけになるので,注意しなければならない。この現象は,連続測
定中,露点が徐々に低下して−20℃以下になるとき,よく見られる。
5) 高露点測定 室温より高い露点を測定しようとする場合は,鏡面以外の箇所で結露しないように配
管及びセンサ部を保温する必要がある。保温の温度は,機器の損傷に注意して設定する。
6) 低露点測定 低露点測定の場合,水蒸気圧が非常に低いので,配管での漏れ,及び配管の材料には
特に注意が必要である。配管の材料は,水分が吸着しにくい,内部を研磨(鏡面仕上げ)したステ
ンレス鋼製を使用するのがよい。また,低露点では,霜の成長速度が遅くなるので,特に−40℃以
下の露点計測では十分に時間をかける必要がある。
8.2 塩化リチウム露点計 塩化リチウム露点計による測定法は,次による。
a) 原理 塩の飽和水溶液の水蒸気圧は,温度だけの関数であり,同温度の純水の飽和蒸気圧よりも低い。
また,その電気伝導度は,塩が析出すると急激に低下する。この性質を利用すると,塩の飽和水溶液
を塗布した感湿部の温度を自動制御し,飽和水溶液の水蒸気圧と周囲の水蒸気圧とを平衡させること
ができる。塩としては,塩化リチウムを用い,平衡時の飽和水溶液の温度を測定し,飽和水溶液の水
蒸気圧と温度の関係から換算して,測定空気の露点を求める。
b) 構成 感湿部は,金属管をグラスウールで覆い,その上に1対の加熱用電極を巻き,塩化リチウムの
水溶液が塗布してある。上述の原理に従い平衡に達した水溶液の温度を測るために,金属管内に温度
センサが組み込まれる。
c) 測定範囲及び不確かさ 塩化リチウム露点計の測定範囲及び不確かさは,次による,
1) 測定範囲 露点で−40+60℃,かつ,相対湿度換算で11%rh以上。
2) 不確かさ 露点−30+30℃の範囲で不確かさは,約0.54℃で,後述の12.によるほか,主として
次の要因による。
− センサ(シェルタを含む。)の周辺と校正時環境との熱伝達条件の相違
− センサへの汚染物質の付着
− 温度計の経年変化

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− 再塗布に伴う再現性
d) 取扱い方法及び注意事項 塩化リチウム露点計の取扱い方法及び注意事項は,次による。
1) 風速0.25m/s以上の風が当たると露点を低く示すので,風を直接に当てないようにシェルタなどを
設ける。
2) 屋外使用で,シェルタなどの内壁に結露(結霜)すると,それが消滅するときに,異常値を示すこ
とがある。
3) 測定雰囲気中に腐食性気体(硫化水素,二酸化硫黄,アンモニアなど)があると,指示変動及び感
湿部腐食の原因となる。
4) 感湿部は,通常の使用条件では46か月の使用に耐える。感湿部が劣化しても塩化リチウム水溶液
の再塗布によって再生できるのが特徴である。汚染物質が多い場合には,2週間に一度の塗布が必
要なこともある。周期的に標準と比較し,ずれがあれば再塗布をするとよい。
なお,再塗布は,当該の使用説明書に従い行う。
8.3 通風乾湿計 通風乾湿計による測定法は,次による。
a) 原理 水でぬれた物体の表面は,水の蒸発によって熱が奪われ,周辺に比べて温度が低くなり,周囲
からの熱の流入と蒸発熱とが平衡する温度に達する。この温度低下量は,気温,湿度,気圧などに依
存する。気流,放射などの周囲条件を一定に保つと,湿布(以下,ウィックという。)で覆われた感温
部の温度を測る温度計の指示値と気温を測る温度計の指示値,及び後述d)2.1の乾湿計公式とによっ
て水蒸気圧値を求め,式(8)の定義に基づき算出した値を測定空気の相対湿度とする。
b) 構成 図2に通風乾湿計の原型のアスマン通風乾湿計の例を示す。2本の同種,同形,かつ,同大の
温度計 (T,T') が,下端が開放されている二重円筒 (P,Q) の中心軸上に,それぞれその感温部が位
置するように取り付けられる。二重円筒は,下部が二またに分かれている中空の筒(通風筒)の脚部
に断熱剤 (I) を介して接続され,通風筒の他端にはぜんまい仕掛けの通風用ファンが取り付けられて
いる。ファンによって吸引された空気は,二重円筒下端から流入し,それぞれの温度計の周囲を通っ
て通風筒上部に抜けるようになっている。一方の温度計の感温部は,ウィックで包んで水でぬらすよ
うになっており,一般に,これを湿球,その温度を湿球温度,他方の温度計の感温部を乾球,その温
度を乾球温度と称し,気温は乾球温度によって示される。

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