JIS Z 8806:2001 湿度―測定方法

JIS Z 8806:2001 規格概要

この規格 Z8806は、空気の湿度を測定する場合の方法について規定。

JISZ8806 規格全文情報

規格番号
JIS Z8806 
規格名称
湿度―測定方法
規格名称英語訳
Humidity -- Measurement methods
制定年月日
1961年9月1日
最新改正日
2015年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

17.020
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1961-09-01 制定日, 1964-09-01 確認日, 1965-02-01 改正日, 1968-02-01 確認日, 1971-07-01 確認日, 1975-11-01 改正日, 1978-12-01 確認日, 1981-08-01 改正日, 1986-08-01 確認日, 1991-06-01 確認日, 1995-12-01 改正日, 2001-04-20 改正日, 2006-01-20 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
ページ
JIS Z 8806:2001 PDF [40]
Z 8806 : 2001

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 8806 : 1995は改正され,この規格に置き換えられる。

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS Z 8806 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8806 : 2001

湿度−測定方法

Humidity−Measurement methods

序文 この規格は,湿度測定に当たり必す(須)とする事項を関連のある国際規格と内外の国家規格及び
国内の要請を参照しながら取りまとめたものである。測定技術及びその成果の活用は,日進月歩の渦中に
あり,最近の標準技術の体系化並びに技術の高度化の寄与はかつ(刮)目されているので,その上にたつ
広範な活用を図るため,関連規格との整合を図るとともに,既存の内容を整理し,改正を行った。
1. 適用範囲 この規格は,空気の湿度を測定する場合の主な方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7920 湿度計−試験方法
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法
JIS Z 8705 ガラス製温度計による温度測定方法
Guide to the expression of uncertainty in measurement (GUM) : First edition 1995, issued by BIPM, IEC, IFCC,
ISO, IUPAC, IUPAP and OIML
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8103及びJIS B 7920によるほか,次による。ただ
し,湿度の表示及び単位に関する用語は,4.による。
a) 空気 地球を覆う大気の下層を構成する気体。水蒸気と酸素,窒素などとの混合気体である。
b) 乾燥空気 空気から水蒸気を除いた残りの気体で構成され,単一成分の理想気体とみなされる気体。
c) 湿潤空気 水蒸気と乾燥空気との混合気体。
d) 飽和水蒸気圧 水又は氷と,水蒸気とが共存して平衡状態にあるときの水蒸気の圧力。
e) 感湿部 湿度を検出する機能をもつセンサ又はその構成部位。
f) 感湿素子 センサの一部位で,湿度を検出するそれ自身の機能が,全体の機能に本質的な意味をもつ
検出端。
4. 湿度の表示・単位及び関係式 湿度を表す量のうち,代表的なものを,記号及び単位とともに示す。
備考 この規格で用いる記号は,a) i)で定義するもののほか,次による。
V : 湿潤空気の体積
T,t : 湿潤空気の温度

――――― [JIS Z 8806 pdf 2] ―――――

2
Z 8806 : 2001
T : 湿潤空気の温度(絶対温度)
t : 湿潤空気の温度(セルシウス温度)
t/℃=T/K−273.15
p : 湿潤空気の圧力
mv : 湿潤空気中の水蒸気の質量
ma : 湿潤空気中の乾燥空気の質量
nv : 湿潤空気中の水蒸気の物質量 mv
n=
v
Mv
na : 湿潤空気中の乾燥空気の物質量 ma
n=
a
Ma
es : 飽和湿潤空気の水蒸気圧
ew : 水の飽和蒸気圧(1)
ei : 氷の飽和蒸気圧(1)
xv : 湿潤空気の水のモル分率
xvs : 飽和湿潤空気の水のモル分率
rs : 飽和湿潤空気の混合比
R : 気体定数 R= (8.314 472±0.000 015) ・K−1・mol−1
MV : 水のモル質量 MV= (18.015 28±0.000 33) ×10−3kg/mol
Ma : 空気の平均モル質量 Ma=28.964 5×10−3kg/mol
攀 モル質量の比= Mv=0.621 98
Ma
u (x) : 量xの標準不確かさ
ur (x) : 量xの相対標準不確かさur (x) =u (x) /x
注(1) 飽和水蒸気圧は,付表1.11.3に示される。−100℃から100℃の飽和水蒸気圧は,次のSON-NTAG
の式によって与えられる。便宜上,式中の温度の単位は省略してある。
1) 水の飽和蒸気圧ew (T)
ln (ew/Pa) =−6 096.938 5T−1+21.240 964 2−2.711 193×10−2T
+1.673 952×10−5T2+2.433 502ln (T) (1)
−100℃≦t≦−50℃ ur (ew) <0.5%
−50℃≦t≦ 0℃ ur (ew) <0.3%
0℃≦t≦100℃ ur (ew) <0.005%
係数21.240 964 2の代わりに16.635 794を用いれば,hPaを単位とした飽和蒸気圧値を与える。
2) 氷の飽和蒸気圧ei (T)
ln (ei/Pa) =−6 024.528 2T−1+29.327 07+1.061 386 8×10−2T
−1.319 882 5×10−5T2−0.493 825 77ln (T) (2)
−100℃≦t≦+0.01℃ ur (ei) <0.5%
係数29.327 07の代わりに24.721 9を用いれば,hPaを単位とした飽和蒸気圧値を与える。
a) 混合比r (kg/kg) 湿潤空気中の水蒸気の質量と乾燥空気の質量との比。単位として,g/kg又はmg/kg
も用いる。
mv e
r= = ・ (3)
ma p−e

――――― [JIS Z 8806 pdf 3] ―――――

                                                                                              3
Z 8806 : 2001
b) モル分率xv (mol/mol) 湿潤空気中の水蒸気の物質量と全体の物質量との比。
mv
nv Mv
xv= = (4)
nv+na mv ma
+
Mv Ma
備考 百万分率 (ppm) ,十億分率 (ppb) で表されることがある。
c) 比湿q (kg/kg) 湿潤空気中の水蒸気の質量と全体の質量との比(質量分率)。単位としてg/kgも用い
る。
mv
q= (5)
mv+ma
d) 水蒸気圧e (Pa) 湿潤空気中の水蒸気の分圧。
mv RT
e=pxv= (6)
V Mv
e) 絶対湿度dv (kg/m3) 湿潤空気の単位体積中にある水蒸気の質量。単位として,g/m3も用いる。
mv
dv= (7)
V
f) 相対湿度Uw (%) 湿潤空気の水のモル分率xvと,その温度及び圧力で飽和している湿潤空気の水の
モル分率xvsとの比の100倍。実用上は,湿潤空気の水蒸気圧eと,その温度における飽和水蒸気圧
ewとの比の100倍。単位の%については,相対湿度であることを明確にするために,%rhと書いても
よい。
xv e e
Uw= 100= 100≒ 100 (8)
xvs es ew
備考 温度が0℃以下の場合,式(8)の分母は,過冷却水の飽和蒸気圧を用いる。氷の飽和蒸気圧を用
いる場合は,その旨記述する。
g) 比較湿度 %) 湿潤空気の混合比rと,その温度及び圧力で飽和している湿潤空気の混合比rsとの
比の100倍。
r
= 100 (9)
rs
h) 露点td (℃) 湿潤空気中の水蒸気圧に,水の飽和蒸気圧が等しくなる温度。
ew (td) =e (10)
i) 霜点tf (℃) 湿潤空気中の水蒸気圧に,氷の飽和蒸気圧が等しくなる温度。
ei (tf) =e (11)
備考 広義には,露点及び霜点を総称して露点ということがある。
5. 湿度測定方法の種類 湿度測定方法を次の四つに区分し,それぞれの区分に該当する湿度計を示す。
a) 水蒸気吸収法 測定空気の含有水蒸気を,吸収剤を充てん(填)した管を通じて吸収・反応させ,そ
の際の質量の増加を直接はかる,又は,反応量を電解電気量によってはかる,又は,カールフィッシ
ャー試薬の滴定量によって求める。この方法は,次のように応用される。
1) ひょう量式湿度計
2) 電解式湿度計(五酸化りん)

――――― [JIS Z 8806 pdf 4] ―――――

4
Z 8806 : 2001
3) カールフィッシャー湿度測定装置
b) 熱力学的平衡温度測定による方法 水の蒸発・凝結は,空気の温度・湿度に依存する。水で湿らせた
布で包まれた温度計の感温部は,空気にさらすと熱力学的平衡温度を示し,また,物体表面温度を露
点にすると結露し始める。塩の水溶液の場合には,逆に,飽和水溶液の示す水蒸気圧に対応する温度
にすると平衡状態に達する。この方法は,次のように応用される。
1) 露点法
1.1) 定圧冷却式
− 鏡面冷却露点計
− 式露点計
− 水晶振動子露点計
1.2) 定圧加熱式
− 塩化リチウム露点計
1.3) 定積冷却式
− 定積冷却露点計
1.4) 定積脱湿式
− ニューマティック・ブリッジ湿度計
1.5) 定積加湿式
− 加水露点計
2) 水蒸気圧法
− 通風乾湿計
− 乾湿計
c) 空気の物性測定による方法 測定空気に含まれる水分子による,紫外線域から赤外線域,マイクロ波
領域にいたる電磁波の吸収量,若しくはこれに起因する蛍光量,又は空気自体のもつ熱伝導率,屈折
率,超音波の伝搬速度への影響量などを検出・測定する。この方法は,次のように応用される。
1) 熱伝導率法
− 熱伝導率式湿度計
2) 電磁波吸収法
− 紫外線(ライマン 愀一 光)湿度計
− 赤外線(吸収)湿度計
− マイクロ波湿度計(誘電体共鳴器の損失)
3) 音波速度法
− 超音波湿度計
4) 酸素濃度法
− 濃淡電池(ジルコニア)式湿度計
d) 吸湿性物質の物性測定による方法 一般に,毛髪などの膨潤性材質のもの,微細孔をもつ高分子膜,
セラミックスのような多孔質焼結体などは,測定空気に含まれる水蒸気を吸収,吸着又は脱出するこ
とによって,力学的性質・電気的性質・光学的性質が変化する。この変化量を検出・測定する。この
方法は,次のように応用される。
1) インピーダンス法(電子式湿度計)
− 塩化リチウム電気抵抗式湿度計

――――― [JIS Z 8806 pdf 5] ―――――

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JIS Z 8806:2001の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8806:2001の関連規格と引用規格一覧