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Z 8825 : 2013
記号 記号
1 検出器 1 検出器
2 集光レンズ(フーリエレンズ) 2 光学測定セル
3 粒子 3 粒子
4 ワーキングディスタンス f 焦点距離
5 焦点距離
a) フーリエ光学系 b) 逆フーリエ光学系
図2−前方散乱光測定の光学系
6.3 種々の装置構成
粒子径計測性能の向上のために,最近の測定機器では次のような工夫が取り入れられている場合もある。
a) 同じ光学系を用いて,波長の異なる複数光源を用いる。
b) 元の光軸に対して90°以上又は以下の角度に単一又は複数の光源を追加する。
c) 光源及び検出器に偏光フィルタを導入する。
d) 散乱角90°以下の前方散乱領域で,従来の小角前方散乱領域の外側に検出器を追加する。
e) 散乱角90°程度の位置に異なる偏光方向の光強度を独立に計測する検出器を追加する。
f) 散乱角90°以上の後方散乱領域に検出器を追加する。
注記 広角度領域の検出器配置の例を,図1に示す。
7 操作手順
7.1 前提条件
7.1.1 装置の設置場所
装置は,過度な電気的ノイズ,機械的振動及び温度変動がなく,直射日光に当たらない,気流の影響の
少ない清潔な環境に設置することが望ましい。作業場所では,健康,及び安全に関する規則(要求事項)
に従うべきである。光学系を頻繁に再調整するのを避けるために,装置は頑丈な光学定盤をもつものを使
うか,頑丈なテーブル又は定盤の上に設置することが望ましい。
警告 レーザを搭載した装置からのレーザ光でも失明することがある。レーザ光及びその反射光を絶
対に直視してはならない。反射する表面でレーザを遮らない。また,レーザに関する安全衛生
規則を遵守する。
7.1.2 分散用気体
乾式分散及びスプレを適用するときには,圧縮気体がよく用いられる。圧縮気体は油,水及び粒子を含
まないことが必須である。そのため,フィルタ付の乾燥機が必要である。スプレを適用するときには,液
体の蒸気が粒子径の結果に影響しないようにすることが必須である。吸引機は,測定場所から離れた所に
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置いて,高温の排出空気が測定部に影響しないようにすることが望ましい。粒子流れが不安定にならない
ようにするために,空気が流入又は流出する空隙をなくすようにするのがよい。
7.1.3 分散用液体
屈折率が既知の透明な液体ならばいずれも使用可能で,実際に,様々な液体が粉体の分散に使われる。
JA.2に分散液体に対する留意点を記載している。
分散に有機溶媒を用いるときは,健康及び安全に関する法規を遵守しなければならない。蒸気庄の高い
液体を使用するときは,バスの上に有害な蒸気の濃縮層が形成されることを防ぐために,超音波バスには
蓋を用いなければならない。有機溶媒の蒸発によって液体が冷却され,屈折率の変動が起こり,粒子径の
結果に影響する。
警告 有機溶媒に関する安全衛生規則を遵守する。
7.2 試料の検査,調製,分散及び濃度
7.2.1 検査
分析する試料は,試料の粒子径範囲及び粒子の形状を見定め,粒子が適切に分散されているかどうかを
調べるために,肉眼又は顕微鏡で検査しなければならない。測定で得られた粒子径分布は,試料がその粒
子群を代表しており,かつ,十分に分散されているとき,その粒子群の測定結果として妥当である。
注記 試料の分散状態の検査は,現実的には難しく,肉眼又は顕微鏡で検査できない場合もある。
7.2.2 調製
その系を代表する適量の試料を準備する。縮分の方法についてはJIS Z 8833に従うことが望ましい。
液体中に試料を分散する場合には,JIS Z 8824及びJIS Z 8833によって試料を準備する。液中に分散す
る場合,微量の測定試料はよく混合した試料ペーストから切り出すことができる。ペーストが一様であれ
ば,偏析による誤差を最小にすることができる。ペーストは試料をへらで混ぜながら,分散媒を1滴ずつ
加えて作製することができる。適切な粘度は蜂蜜又は歯磨きペースト程度である。誤ってペーストが流動
的になりすぎたときは使用しないで,新たに試料調製をやり直さなければならない。
測定粒子径範囲を超える大きい粒子が含まれる場合は,例えば,ふるいなどで測定範囲外の粒子を取り
除かなければならない。この場合は,その量又は割合を求め,記録しなければならない。
スプレ,エアロゾル及び液体中の気泡は,粒子径分布を変えずにサンプリング又は希釈を行えないので,
適正な濃度(7.2.3及び7.2.4参照)であれば,通常,そのまま測定する。静止空気中に液滴をスプレする
と,小さな液滴は大きな液滴より早く減速され,速度差が生じるので,スプレの流れと同様の速度で適切
に流れる空気中にスプレすることが望ましい。特に,(サブ)ミクロンの液滴では,液滴の蒸発は大きな誤
差の要因となるので,考慮することが望ましい。急速な蒸発で粒子径が小さくなるか又は粒子が消失する
こともある。また,蒸発中の温度低下又は蒸気によって,液滴周囲の屈折率が変化して粒子径分布の測定
結果に影響を与えることもある。
7.2.3 分散
乾燥した粉体は,空気でも液体でも分散できる。分散方法は測定目的に合わせるのがよい。例えば,凝
集粒子のままでよいか又は一次粒子まで分散するかを決めなければならない。
測定領域までの粒子の輸送条件も考慮するとよい。粒子間に相対速度がなく,全ての粒子径の粒子が測
定領域を同じ速度で通過するように,適切な流れを形成することが望ましい。アスペクト比の大きな粒子
は,測定セル中の流れの状態によって特定の方向に配向する傾向がある。乱流の条件であっても,粒子の
配向は完全にはランダムでない。
附属書Aでは,非球形粒子では,粒子の向きによって,散乱パターンが変わり,異なる粒子径の結果に
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なることを解説している。
気体中及び液体中の分散に関する留意点については,附属書JAを参照。
7.2.4 濃度
測定領域での粒子濃度は,適切な検出信号(又は言い換えれば十分なSN比)が得られるような十分な
濃さであることが望ましく,さらに,多重散乱が粒子径分布の測定結果に影響を及ぼさないように十分低
いことが望ましい。
粒子濃度が高い場合には,多重散乱,すなわち,個々の粒子によって散乱した光が,隣接した粒子によ
って更に散乱される現象を無視できない。この多重散乱の影響によって,一般的に,散乱光パターンは大
きな散乱角方向に移動し,解析の結果として最終的に得られる粒子径分布は小さい方にずれる。測定に適
した濃度範囲は,粒子径,粒子径分布の幅,レーザビームの径,及び光路長に依存するので簡単に設定す
ることができない。一つの目安としては,光路長2 mmのセルの場合,直径が1 μmの粒子の場合の典型的
な適正体積濃度は0.002 %程度であり,これに対して100 μmの粒子の場合には0.2 %程度である。減衰率
又は透過率の測定値から指針を得ることができ,上記の例の場合,直径が1 μm,及び,100 μmの粒子試
料の,上記各濃度に対する減衰率は,それぞれ5 %,及び,25 %程度である。一般に,粒子径分布の中で
の小さな粒子径区間の粒子の割合によって,最大許容粒子濃度が決まる。全ての粒子が100 μm以上であ
る場合,減衰率が30 %以下であれば,多重散乱の影響はない。測定に適した濃度範囲を決定するには,何
段階かの異なる濃度で粒子径分布測定を行い,分布の変化を調べる必要がある。附属書Aに,粒子濃度,
粒子径及び減衰率の関係についての情報を示している。更に付随する情報については,個々の装置のマニ
ュアルを参照する。
7.3 測定
7.3.1 手順
7.3.1.1 概要
レーザ回折・散乱法による粒子径の代表的な測定手順は次のとおりである。
a) 装置の立上げ及びブランク測定
b) 試料調製
c) 試料の散乱パターンのデータ収集
d) 適切な光学モデルの選択
e) 散乱パターンの粒子径分布への変換
7.3.1.2 装置の立上げ及びブランク測定
適正な粒子径測定範囲を選び,装置を正しく調整した後,粒子を含まない分散媒だけの試料に対して実
際の試料測定と同じ条件でブランク測定を行う。このデータは,後に粒子だけによる真の信号値を得るた
め,実測データから差し引くので記録しておく。これらのバックグラウンド信号は,装置が適正に機能し
ているかを調べるため,及び試料の測定時の検出信号から差し引くために使われる。
7.3.1.3 試料調製
7.2に従って試料を調製,分散する。規定された信頼区間内試料が製品の粒子群を代表するようにする。
試料の量は,精度を得るのに必要な最小量を満たしていることが望ましい。分散の条件は,粒子を粉砕せ
ずに完全に解きほぐすことができ,多重散乱が起きない程度に十分に低い濃度であることである。
7.3.1.4 散乱パターンのデータ収集測定
測定時間は,統計的に適切な結果を得るのに十分なデータが収集できるように設定する。そのために測
定時間が測定結果に与える影響を調べる。各検出器の信号の平均値を求め,場合によっては標準偏差も求
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める。最終的な信号はバックグラウンド信号を差し引いて計算されることもある。データはコンピュータ
のメモリに保存される。検出器の信号の大きさには,検出面積,光強度,量子効率が大きく影響する。レ
ンズの焦点距離とともに検出器の座標(大きさ及び位置)で各素子の測定散乱角範囲が決まる。一般に,
こうしたパラメータはあらかじめ決められており,コンピュータに保存されている。
多くの装置では,中心位置のレーザビーム強度も測定している。分散試料及びブランク測定の光の強度
差から,減衰率又は透過率が求められ,それは散乱光及び粒子濃度の指標となる。
7.3.1.5 適正な光学モデルの選択
多くの装置では,散乱行列の計算にミー理論又はフラウンホーファ回折近似を使っている。散乱行列は,
それぞれの検出器での,与えられた粒子径区間の粒子の単位体積当たりの信号を表すものである。計算方
法の選択は,測定される粒子の粒子径範囲,光学特性,及び応用に依存する(附属書A参照)。散乱行列
の計算に,他の光散乱理論が使われることもあるが,それは一般的ではない。
ミー理論を使うときは,粒子及び媒質の屈折率,又はその比(相対屈折率)をモデルマトリックスの計
算のために決定し,装置に入力することが望ましい(液体及び固体の屈折率については,参考文献[19-29]
を参照)。表面が,光をランダムに散乱するような粗面である粒子に適用するには,現実的な理由で,屈折
率の虚数部(約0.01i0.03i)が必要となる(屈折率については,箇条5の注記3に参考記載がある。)。
ミー理論又はフラウンホーファ回折近似を正しく適用するには,粒子からの光散乱に対する屈折率の影
響をよく理解することが強く推奨される。不適切な光学モデル,又は屈折率の選択は,粒子径分布の結果
に大きな偏りを与えることがある。この偏りは,粒子径分布下限近くの粒子径区間の粒子量として不適切
な値を与える。
測定結果を再確認できるように,屈折率の値は記録して,使用することが大切である。
7.3.1.6 散乱パターンの粒子径分布への変換
逆演算の過程は,粒子径分布から散乱パターンを求める過程の逆である。このために幾つかの数学手法
(アルゴリズム)が開発され,それぞれの機器で使われている(参考文献[7-8],[12-17]参照)。こうした手
法には,測定結果と計算から得た散乱パターンとの差に重みを付ける手法(例えば,最小二乗法),粒子径
分布曲線に拘束条件(例えば,粒子径は負とならないこと)を付ける手法,粒子径分布曲線を平滑化する
手法などがある。測定された検出器信号の変動を用いて,適正な重み付けを求めたり,粒子径分布におけ
る信頼区間(confidence interval)を計算する新しい計算法もある(参考文献[18]参照)。
7.3.2 注意事項
測定開始前及び測定中は,個々の装置のマニュアルで与えられた指示に従う。一般的な注意事項を,附
属書JBに示す。
7.4 精度の評価
7.4.1 標準物質
精度を表すために全ての場合でCVを用いる。評価試験では,x90 / x10の値が1.510の範囲の値をもつ
標準物質(RM)を使用することが望ましい。これらの物質は,粒径分布パラメータに関するバックグラ
ウンドデータをもつとともに,レーザ回折・散乱法に適した,文書化された安定したサンプリング,分散
及び測定のプロトコル(規定)があることが望ましい。さらに,精度及び安定性についての測定結果が文
書化されていることが望ましい。
7.4.2 繰返し精度
適切に装置を立ち上げ,動作条件を正しく設定し,全ての部分を十分に暖機する。
標準物質の測定のプロトコルに従う。
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評価試験用分散試料の同一の部分試料の計測又は全量計測を,少なくとも3回連続して行う。この場合,
適切な濃度及び信号積算時間を確保し,十分多数の粒子を測定するようにする(JIS Z 8833参照)。平均値
を計算し,x10,x50,x90の,及び/又は,x10x90の間に他の留意すべきパーセンタイル値があれば,対応
する粒子径のCVを計算する。全ての操作及び結果の詳細を正しく記録する。
粒子径分布のCV,例えば,メジアン径x50のCVが3 %を超えなければ,装置は,この規格を満たすと
考えられる。粒子径分布の両端の数値,例えば,x10及びx90のCVが5 %以下であることが望ましい。10 μm
以下の試料では,これらの最大値は2倍の値としてもよい。
正確に機能する装置を用いて,熟練したオペレータが,特性のよい試料を正しい手順で測定した場合に
は上記各特性値について,1 μm以上の粒子径では 0.5 %,1 μm以下の粒子径では1 %より高い精度を得ら
れる。
もし,大きなCV値が得られたならば,全ての誤差要因(7.6及び附属書JC参照)を調べる。
7.4.3 再現性
再現性の評価試験は,繰返し精度と同じ手順及びプロトコルに従うことが望ましい。それにもかかわら
ず,繰返し精度の場合より大きなCVが得られるときは,サンプリング若しくは分散の手順の差異,又は,
解析者若しくは装置間の差異が考えられる。
7.5 正確さの評価
7.5.1 一般事項
レーザ回折・散乱法は,粒子の特性を理想化してはいるが,基本的には第一原理に基づく測定法である
(附属書A参照)。したがって,校正済の測定システムについて,使用者による妥当性確認は必要ない。
適格性の確認手順(7.5.27.5.5)によって,装置が正しく作動していることを確認する。
7.5.2 標準物質
正確さの認証においては,トレーサブルな球形の認証標準物質(CRM,certified reference materials)を用
いる。例えば,国家計量標準機関に対してトレーサブルな粒子である。これによって,装置が分析プラッ
トフォームとして正しく機能していることが保証される。装置に対して何らかの変更,又は主要な保守が
必要になった場合は,装置の正確さを確保するために再びトレーサブルなCRMを使用する。
正確さの認証に用いられるCRMには,レーザ回折・散乱法にとって適切であると明示されていること,
球形粒子の分布の幅としてx90 / x10の値が少なくとも1.5であるような既知の粒子径分布を構成しているこ
ととともに,全ての粒子が同一の密度及び光学特性をもつことが求められる。CRMの粒子径分布は,国家
計量標準機関によって,又はその指示の下で,絶対的でトレーサブルな方法によって,質量分率又は体積
分率に関して認証されていることが望ましい。ミー理論をデータ解析に用いる場合,その物質に対する屈
折率の実数部及び虚数部を特定しておくことが望ましい。
注記 JIS Z 8900-1[5]に規定されている標準粒子は,上記の要件を満足する認証標準物質である(附
属書JD参照)。
試料の調製,分散及びレーザ回折・散乱測定に関して十分詳細に記載された安定な手順を使えることが
必須である。この手順は,その全体,並びに報告されたタイトル及びバージョンについて追跡可能でなけ
ればならない。
ひとたび装置性能がCRMを基準に比較され,正確さが許容限界内にあることが確認されたならば,又
は,正確さテストが義務付けられていないと考えてよい場合には,これ以降,認証標準物質ではない標準
物質を用いて装置の適格性を確認することができる。さらに,標準物質は球形である必要はない。レーザ
回折・散乱法にとって適切であると明示されていれば,非球形粒子を含む標準物質も使用することが可能
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JIS Z 8825:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13320:2009(MOD)
JIS Z 8825:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 19 : 試験 > 19.120 : 粒度分析.ふるい分け
JIS Z 8825:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8819-1:1999
- 粒子径測定結果の表現―第1部:図示方法
- JISZ8819-2:2019
- 粒子径測定結果の表現―第2部:粒子径分布からの平均粒子径及びモーメントの計算
- JISZ8824:2004
- 粒子径測定のための試料調製―粉体の液中分散方法
- JISZ8833:2011
- 粒子特性を評価するための粉体材料の縮分