JIS Z 8825:2013 粒子径解析―レーザ回折・散乱法 | ページ 4

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である。粒子径分布はx90 / x10の値が2以上である既知の範囲から構成されていることが望ましい。非球形
粒子のアスペクト比は1 : 3以下でなければならない。この粒子径分布は,一定の時間の範囲で適切かつ安
定した結果を与えることが確認された,合意され詳細に記載された操作手順に従い,一つ以上の装置形式
におけるレーザ回折・散乱の解析から得られる,文書化された参照値を有していなければならない。その
参照値がレーザ回折・散乱法以外の方法で得たものである場合,先に示した理由から,重大なバイアスが
かかる可能性がある。
全量測定の場合は,容器の内容物全てを使用する。試料サンプリングが必要な場合は,適切な結果を与
えると証明されている方法を使用するとしても,相応の注意を払う必要がある(JIS Z 8833参照)。
サンプリング,分散,又は測定に関するプロトコルが利用できない場合,使用される手順は,最終結果
と一緒に報告されなければならない。
7.5.3 装置の準備
個々の装置マニュアルに記載されている,装置の準備に関する指示及びアドバイスに従う。装置の機能
は,装置を供給する製造業者による日付及び試験結果の記録を伴う動作適格性の確認(OQ,operational
qualification)試験,又は,相当する試験を通過したものでなければならない。適切な光学系とセルとのア
センブリが組み込まれなければならない。装置は清浄であることが望ましい。測定を通じて粒子フリーな
分散系(気相又は液相)を用いることが望ましい。
解析モードを選択する余地があるならば,モードは行う測定の種類に対して適合していなければならな
い。測定時間及び粒子輸送に関わるガス流速又はポンプ速度を十分なものに設定する。気泡及びコンタミ
ネーションが存在しないことを確実にするには,ブランク(バックグラウンド)測定結果が要求される値
の範囲以内に入らなければならない(製造業者の仕様を参照。)。
熟練したオペレータが装置を準備し,適格性の確認試験を行わなければならない。
結果の表示ソフトは,なるべくJIS Z 8819-1に沿ってふるい下積算分布の出力をするように設定する。
7.5.4 適格性の確認試験
測定を通じてCRMの試験手順に従わなければならない。
通常は全量測定を行う。部分試料のサンプリングが必要な場合,サンプリング手順がよい再現性を与え
ることが証明されている場合だけ,単一試料の分析が許容される。そうでないときには,少なくとも三つ
の部分試料の分析が好ましく,その平均の値を使用しなければならない。
試料量(濃度)は,操作手順に指定されている減衰率又は透過度に達するものでなければならない。
光散乱パターン,又は減衰率値のリアルタイム表示ができることが望ましい。全ての値には重大な変動,
又は突然の変化がないことが望ましい。
7.5.5 適格性の許容基準
CRMでは,各粒子径分布パラメータについて,最大値と最小値の組合せとして, 95 %許容限界が記載
されている。
測定して得られた粒子径分布が次の基準に達しているならば,この規格の要求項目を満足するものとし
て,適格性の確認試験を合格としなければならない。
a) 得られたx10とx30との間の積算量が,この範囲に対して値付けされている標準物質の最大値又は最小
値を,相対値で3 %以上超えない。
b) 得られたx30とx70との間の積算量が,この範囲に対して値付けされている標準物質の最大値又は最小
値を,相対値で2.5 %以上超えない。
c) 得られたx70とx90との間の積算量が,この範囲に対して値付けされている標準物質の最大値又は最小

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値を,相対値で4 %以上超えない。
大きな偏りが出たときは,全ての潜在的な誤差要因を確認し(7.6参照),必要な場合には,専門家のア
ドバイスを求める。
何らかの理由によって,より高度の正確さが求められる場合は,狭い信頼区間をもつCRMを選択する
ことがよい。さらに,最小の偏りを保証するようなサンプリング,分散,及び測定の全プロトコルを使用
することが望ましい。
CRMでない物質(球形及び非球形)に対して,許容基準は装置の供給者から提供されるべきであり,文
書化,安定性及び再現性に関する上記の基準を満たさなければならない。

7.6 誤差の要因及びその診断

  系統的測定誤差(偏り)は,次の要因によって発生する可能性がある。
a) 不適切な試料調製
b) 粒子状物質に対する理論的仮定からの逸脱
c) 装置の不適正な操作,又は動作,及び/又はデータの不確定性
附属書JCに参考となる情報を示す。

7.7 分解能及び感度

  粒子径分布の分解能,すなわち,異なる粒子径の識別能力及び与えられた粒子径区間の粒子数の僅かな
変化に対する感度は,次の要素で決まる。
a) 検出器の数,位置及び形状
b) 検出器のSN比
c) 測定散乱パターンの微細構造
d) 隣接する粒子径区間の間における散乱パターンの検出可能な差異
e) 測定粒子の実際の粒子径範囲
f) 光学モデルの妥当性
g) 逆演算手順で適用するスムージング
これらの因子は,高分解能のレーザ回折・散乱技術を設計することを難しくしている。各粒子径区間の
最小の幅は通常約1.12(粒子径区間の上限と下限との比)である。特別の場合には,より高い分解能が
可能なことがある。

8 測定結果の記録

  測定結果は,JIS Z 8819-1,JIS Z 8819-2及びISO 9276-4に従って報告する。また,次に示す推奨記録事
項については,場所又は測定者が異なっても測定が容易に再現できるように,記録するか,又はプロトコ
ルを定めた文書の形で記載されることが望ましい。
サンプリングの問題及びレーザ回折・散乱法の限界があるため,x5以下及びx95以上の特性値は,追加的
な不確かさ及び/又は系統的誤差の点でぜい弱である。レーザ回折・散乱法によってx100の値を付けるこ
とを,この規格は認めるものではない。
記録には少なくとも次の情報を含めることが推奨される。
注記 対応国際規格では,次の記録項目を含めることを,推奨事項ではなく,必須の要件としている。
a) 試料
1) 試料の完全な同定 : 化学的情報(性質),バッチ番号及び/又は採取場所,サンプリングの日付け,
時間など。

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2) サンプリング手順,すなわち,サンプリング方法及び試料分割手順。
3) 試料の前処理を行う場合(例えば,ふるい分け前処理)には,その方法及び条件
4) 試料量
5) 解析の日付
b) 分散
1) 乾式分散について
1.1) 分散装置の詳細仕様,例えば,輸送管の直径,一次圧
1.2) 供給装置の形式
1.3) 供給速度
1.4) 分散圧力
2) 温式分散について
2.1) 分散液 : 名称,体積,及び,必要に応じて温度
2.2) 分散剤 : 種類及び濃度
2.3) 超音波 : 装置の形式,周波数(エネルギー),照射時間及び測定開始までの休止時間
2.4) ポンプ速度
2.5) 光路長
c) レーザ回折・散乱測定
1) 装置の形式及び番号
2) ソフトウエアのバージョン
3) 分散装置の体積
4) 使用した光学系(レンズの焦点距離など)
5) 最終の光学系調整日
6) 最終の適格性試験日
7) 測定の日及び時間
8) 減衰率
9) 測定開始及び停止のトリガのいき(閾)値(使用した場合)
10) データの取込みのいき(閾)値(使用した場合)
11) 使用した光学モデル
12) (ミー理論を用いた場合)粒子の屈折率の実数部及び虚数部
注記 屈折率の虚数部については,粒子の形状等の影響を考慮して,見かけ上の値を用いる場合
がある。この場合には,見かけ上の値を使用したことを記録する(A.2参照)。
13) (ミー理論を用いた場合)分散媒体の屈折率
注記 対応国際規格では,分散媒体の屈折率は,光学モデルによらず記録することを要求してい
る。
14) (必要に応じて)逆演算の結果得られる最小化残差パラメータ[例えば,対数差分,χ(カイ)2乗
値,相対残差]
d) 測定者
1) 実験室の名前及び場所
2) 測定者の名前又はイニシャル

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附属書A
(参考)
レーザ回折・散乱の理論的背景
A.1 はじめに
光と粒子との間には,次の四つの相互作用が働く(参考文献[6-13],[17]参照)。
a) 粒子の輪郭での回折(フラウンホーファ回折)
b) 粒子の内側及び外側の両表面での反射
c) 媒体から粒子へ及びその逆からくる光の界面での屈折
d) 粒子内部での光の吸収
こうした相互作用は,干渉作用を引き起こし,入射光強度の減少(減衰)と同時に散乱角に対する特有
の散乱光強度パターン(散乱パターン)を生じる。散乱パターン及び減衰は,粒子の大きさ,形状及び光
学的特性に依存する。これらの現象はレーザ回折・散乱による粒子径分布測定の基礎をなしている。
一例として,図A.1に5 μm球形粒子に波長633 nmの光を入射したときの光散乱パターンを示す。ただ
しこれは,前方焦点面上で観測された光強度分布である。
記号
x 検出器のx軸
y 検出器のy軸
z 相対光強度
媒体の屈折率 nH20=1.33,波長 λ=633 nm,粒子の屈折率 Np=1.59−0.0i
図A.1−5 μm球形粒子の散乱パターン(前方焦点面での光強度分布)
これは,単一粒子の散乱パターンが次のような特性をもつことを明確に示している。
1) 最大強度は前方(散乱角0°)に位置し,散乱角が大きくなるにつれて徐々に減少する。
2) 粒子径に依存して,異なる角度で特有の極大値及び極小値があり,散乱光強度に大きな差がある。
3) 球形粒子の散乱パターンは円対称を示す。ただし,このような対称性は非球形粒子の場合には生じ
ない。
4) こうした特有の散乱パターンが,粒子径分布測定にレーザ回折・散乱法が応用される基礎となって
いる。レーザ回折・散乱法では,測定領域に存在する粒子の集合に対する粒子径分布が得られる。
単一球形粒子による散乱光は,次の条件が満たされれば,粒子群に対しても拡張できる。

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4.1) 各粒子はそれぞれ独立に光散乱する。これは多重散乱はほとんどない条件が満たされているとい
うことで,このためには粒子濃度が低いことが望ましい。
4.2) 他の粒子からの散乱光の光学的な干渉はない。全ての粒子が互いに無関係に動き,全体の散乱パ
ターンが何回も測定され平均化される場合,この条件が満たされる。
A.2 減衰
照射光の波長よりも粒子が十分大きい場合,入射光の減衰量は,粒子の幾何学的断面積に入射される量
の2倍になる。これは減衰が粒子から十分な距離をおいて検出される場合であり,遠距離場と呼ばれる。
参考文献[7]は2倍という見かけ上の矛盾を次のように説明している。すなわち,粒子の幾何学的断面積
に入射した光は吸収,又は反射によって,入射光から取り除かれ,反射光量と同量の光は回折によって取
り去られる。これによって,十分な距離(遠距離場)での観測結果が説明される。このことは,大きな粒
子の場合に,散乱断面積と幾何学的断面積との比である散乱係数が1に等しいことを意味している。
照射光の波長が粒子の大きさに比べて十分に小さいという状態ではなくなると,図A.2に示すように,
光の減衰量は粒子の幾何学的断面積の2倍ではなくなる。
一般的に,粒子に対する光線の減衰量は,次の要素に依存する。
a) 粒子径(散乱断面積)
b) 粒子と媒体との相対屈折率
c) 光源の波長
d) 粒子形状
e) 開口角
粒子の屈折率は,実数部をnp,虚数部をnIpとして,複素数Np=np−inIpで表される。
例 高分子ラテックス粒子の屈折率はNp=1.59−0.0iである。虚数部の値が0であることは吸収がな
いことを示している。乳白色に見える懸濁液は可視光での多重散乱によるものである。
吸収項nIpは,通常,正であり,マイナス記号はNpの定義に含まれている。吸収のない分散媒の屈折率
は実数部だけで表される。物質の屈折率の値については参考文献[19-29]などに記載されている。屈折率の
実数部は直接測定することができる(参考文献[22]参照)。屈折率の虚数部については決定的な方法がない。
注記 レーザ回折・散乱法において,妥当な屈折率を得るためのガイドラインは現状でも研究課題で
はあるが,幾つかの方法が提案されている(参考文献[30-33])。
虚数部は,光エネルギーが熱に変換されて失われるときの吸収であると考えられる。さらに,表面に凹
凸のあるような粒子の界面では,全体的な内部反射によってある程度光が失われる。この寄与を含めるた
めに,見かけ上の屈折率として虚数部nIpに0.01から0.03の値を加算することができる。
虚数部nIpが吸収だけに関係していると単純に考えることは物質によっては誤りである。物質系の見かけ
上の吸収を説明するためにnIpの値を,多少調整し,その有効性を確認する必要がある。
見かけ上のnIpの値を使用したことを,測定報告書に明確に記載しておく。
A.3 散乱
散乱光は,屈折境界及び屈折率勾配において発生する。それゆえに,粒子と媒質との相対屈折率mrelは,
散乱光を計算する場合に必須である。もし粒子及び媒質が同じ屈折率であるならば,それらは屈折率整合
ということになり散乱光は発生しない。
レーザ回折・散乱法では,粒子径及び粒子数を測定するために,粒子によって光がどのように散乱した

――――― [JIS Z 8825 pdf 20] ―――――

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JIS Z 8825:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13320:2009(MOD)

JIS Z 8825:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8825:2013の関連規格と引用規格一覧