JIS Z 8830:2013 ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法 | ページ 5

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Z 8830 : 2013 (ISO 9277 : 2010)
附属書C
(参考)
ミクロ細孔性物質の表面積
比表面積は,メソ細孔性物質(メソ細孔をもつ物質)及びマクロ細孔性物質(マクロ細孔をもつ物質)
だけでなく,ミクロ細孔性物質(ミクロ細孔をもつ物質)を多くの分野で最適に利用する際の極めて重要
なパラメータである。しかしながら,細孔性物質の複雑な性質のために,どんな方法を用いても単独の測
定方法だけで表面積の絶対的な値を評価することは困難である。表面積の値は,一連の手順に従って定義
されており,常に実験で使用される測定方法,条件,吸着質ガス(プローブ分子)に関係するべきもので
ある。その制約についてはよく分かっているはずなのに,1938年のブルナウアー-エメット-テラー
(Brunauer-Emmett-Teller: BET)法は,細孔性物質の比表面積を評価するのに広く使われ続けている(文献
[6]参照)。
箇条7で指摘したように,通常BET比表面積の評価には二つの段階が含まれる。最初に物理吸着等温線
をBETプロットに変換し,そのプロットからBET単分子層比吸着量nmを得る。2番目に分子断面積の値
とnmとから比表面積asを計算する。
文献[6]では,種々の吸着材のII型窒素吸着等温線が,BETプロットにおいて約0.050.35のp/p0の範囲
で直線を与えることを示している。
表面の化学的及び幾何学的不均一性から生じる問題に加えて,細孔(すなわち,マクロ細孔,メソ細孔,
又はミクロ細孔の存在)の種類がBET式の適用性に対して重要な役割を果たす。BET式は,無孔性物質
及び広い細孔径をもつ細孔からなるマクロ細孔性物質及びメソ細孔性物質の比表面積解析に適用可能であ
るが,厳密な意味ではミクロ細孔性吸着材には適用できない(BET法に関する批判的な評価が,細孔分布
測定を記述した様々な教科書に示されている : 文献[13][16]参照)。単分子層吸着過程とミクロポアフィ
リングとを区別できないし,ミクロポアフィリングは通常相対圧0.1以下で完了してしまう。ミクロ細孔
が存在すると直線領域(BET領域)は,通常より著しく低い相対圧にシフトする。また,4 nmより小さな
細孔径をもつメソ細孔性分子ふるい物質の比表面積を見積もるのにも,BET法の適用は問題がある。なぜ
ならば,細孔凝縮は,単分子層形成から多分子層形成が細孔壁で起こる圧力領域に大変近い圧力で観測さ
れるからである。このことはBET解析する際に,単分子層吸着量を著しく過大評価させる可能性がある。
もう一つの問題は,吸着質分子の大きさ及び形状(すなわち,表面積を評価するのに用いた実効的な物差
し)に関係するものである。非常に狭いシリンダー状ミクロ細孔性吸着材(約0.5 nm0.7 nmの細孔入口
をもつもの)では,吸着質分子(通常窒素又はアルゴン)によって覆われる面積は得られるべき総面積よ
りも非常に小さい。これは細孔入口の曲率が極端に小さく,プローブ分子が比較的大きいためである(ゼ
オライト粒子の比表面積の正しい評価に関係する問題が,最近文献[18]で議論されている。)。しかしなが
ら,より大きいスーパーミクロ細孔(>0.7 nm)では,細孔の中心に幾つもの分子が位置し,表面に接触
していない(すなわち,このことは比表面積を過大評価することにつながる。)。
したがって,ミクロ細孔性物質の吸着等温線にBET法を適用することによって得られる比表面積は,真
の内部面積を反映しておらず,ある種の特性的BET表面積又は等価BET表面積として捉えるべきである。
この場合,BETプロットの直線領域について述べておかなければならない。単分子層吸着量を見積もるた
めにいかなる主観性をも排除して,ミクロ細孔性物質のBETプロットの直線領域をいかに見出すかという
ことは当然問題となる。文献[19]は主に二つの基準に基づく手順を提案している。

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Z 8830 : 2013 (ISO 9277 : 2010)
a) は正になるはずである(すなわち,BETプロットの縦軸の切片が負であることは,BET式の範囲外
であることを意味する。)。
b) ET式の適用は,項na(p0−p)又はna(1−p/p0)がp/p0とともに連続的に増加する圧力範囲に限るべきで
ある。
フォージャサイト型ゼオライトへの87.3 Kにおけるアルゴン吸着等温線(図C.1の吸着等温線データ)
に対する直線BET範囲を決定するためにこの手順が適応された例が,図C.2に示してある。この基準に基
づくと,相対圧が0.053より大きい全てのデータ点はBET計算の適用から排除されるべきであることがは
っきりと分かる。その結果得られるプロットは,図C.3に示してある。すなわち,BET式は相対圧が約0.053
から,それより下の0.01にかけて適用可能であり,正のCを与える直線が得られる。
y=na 比吸着量
p/p0 吸着質の相対圧
図C.1−フォージャサイト型ゼオライトへの87.3 Kにおけるアルゴン吸着等温線の片対数プロット

――――― [JIS Z 8830 pdf 22] ―――――

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y=na(1−p/p0) ET式の左辺の分母
p/p0 吸着質の相対圧
1 BET限界範囲
図C.2−図C.1のアルゴン吸着等温線に対する項na(1−p/p0)対p/p0プロット
p p0 1 BET回帰直線
y BET式の左辺
na 1 p p0 2 測定データ点
p/p0 吸着質の相対圧 3 測定データ点の逸脱開始点
4 BET限界範囲
図C.3−図C.1のアルゴン吸着等温線に対するBETプロット
ミクロ細孔性物質に対して得られる吸着等温線へのBET式適用に関連する問題に取り組むために,文献
[20]ではミクロ細孔容積Vp, microを含む修正BET式を用いて,窒素物理吸着等温線データを扱うことが提案
されている。文献[20]の解析法は,吸着データからのVp, microの抽出,及び結果として固体物質の非ミクロ
細孔性部分のC及び比表面積の決定を可能とする。
既に指摘したように,付加的な問題として多くの表面がもつ不均一的性質の問題がある。もちろんこれ
は担持触媒及び他の多成分系触媒を含むものである。例えば,窒素の四重極モーメントが表面の水酸基と

――――― [JIS Z 8830 pdf 23] ―――――

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特異的に相互作用し,吸着窒素分子の配向効果を誘起することが知られている(文献[21][23])。したが
って,実効的な分子断面積は通常用いられる値0.162 nm2より小さくなる。完全に水酸化された表面に対
しては,窒素の分子断面積は0.135 nm2が提案されている。この値は既知の直径をもつシリカ球に吸着し
た窒素ガスの体積の測定から得られたものである(文献[21])。したがって,87.3 Kにおけるアルゴン吸着
が比表面積測定法に対するもう一つの吸着質となりそうである。なぜならば,アルゴン分子は単原子気体
であり,四重極子モーメントをもつような2原子分子である窒素より不活性だからである。四重極モーメ
ントがなく,窒素の沸点より高い温度なので,アルゴンの分子断面積(87.3 Kで0.142 nm2)は,吸着剤表
面の構造の違いに対してそれほど敏感ではない。しかしながら,表A.1の注b) に示したように,77.3 K
におけるアルゴンは,主にアルゴン単分子層の構造及び吸着等温線の型が吸着材の表面化学に大きく依存
するために,あまり信頼性が高くない。
ガス吸着から比表面積を得るための他の方法は,標準等温線の応用に基づいている。例えば,t-プロッ
ト及びαs-プロットである(JIS Z 8831-3又はISO 15901-3[3]を参照)。これらは特に外部比表面積(すなわ
ち,非ミクロ細孔性部分の比表面積)を与える。見かけのBET比表面積(総比表面積)から外部比表面積
を引き去ることで見かけのミクロ細孔表面積を決定できる。
非局所密度汎関数理論(NLDFT,JIS Z 8831-3又はISO 15901-3[3]を参照)と分子シミュレーションと
を適用すると,細孔性固体の比表面積を決定でき,ミクロ細孔表面積,メソ細孔表面積,及び外部表面積
の間の区別を可能とする。しかしながら,これらの先端的方法の適用は,実験で用いられた吸着質−吸着
材系が手に入るNLDFTカーネルに合致するときにだけ正確な結果を与えるものである。

――――― [JIS Z 8830 pdf 24] ―――――

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Z 8830 : 2013 (ISO 9277 : 2010)
参考文献
[1] ISO 15901-1,Pore size distribution and porosity of solid materials by mercury porosimetry and gas adsorption
−Part 1: Mercury porosimetry
[2] JIS Z 8831-2:2010 粉体(固体)の細孔径分布及び細孔特性−第2部 : ガス吸着によるメソ細孔及び
マクロ細孔の測定方法
注記 対応国際規格 : ISO 15901-2,Pore size distribution and porosity of solid materials by mercury
porosimetry and gas adsorption−Part 2: Analysis of mesopores and macropores by gas adsorption
(MOD)
[3] JIS Z 8831-3:2010 粉体(固体)の細孔径分布及び細孔特性−第3部 : ガス吸着によるミクロ細孔の
測定方法
注記 対応国際規格 : ISO 15901-3,Pore size distribution and porosity of solid materials by mercury
porosimetry and gas adsorption−Part 3: Analysis of micropores by gas adsorption(IDT)
[4] ISO 80000-1:2009,Quantities and units−Part 1: General
[5] ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
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http://zumbuhllab.unibas.ch/pdf/refs/BETJACS1938.pdf
[7] SING, K.S.W., EVERETT, D.H., HAUL, R.A.W., MOSCOU, L, PIEROTTI, R.A., ROUQUEROL, J., SIEMIENIEWSKA,
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[8] ROUQUEROL, J., AVNIR, D., FAIRBRIDGE, C.W., EVERETT, D.H., HAYNES, J.H., PERNICONE, N., RAMSAY, J.D.F.,
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http://media.iupac.org/publications/pac/1994/pdf/6608x1739.pdf
[9] FRISCH, B., RPER, M. Theorie der Strmungsmethode bei der Messung spezifischer Oberflchen und
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[10] BRUNAUER, S., SKALNY, J., BODOR, E.E. Adsorption on nonporous solids. J. Colloid Interf. Sci. 1969, 30, pp.
546-552
[11] STRAUBE, B. Kritische Untersuchung und Standardisierung physikalisch-chemischer Memethoden zur
Ermittlung der spezifischen Oberflche und Porenverteilung von Adsorbentien [Critical investigation and
standardization of physicochemical measuring methods for the determination of the specific surface and pore
distribution of adsorbent materials]. Dissertation, Mainz University, 1985
[12] MCCLELLAN, A.L., HARNSBERGER, A.H.F. Cross-sectional areas of molecules adsorbed on solid surfaces. J.
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[13] GREGG, S.J., SING, K.S.W. Adsorption, surface area and porosity, 2nd edition. London: Academic Press, 1982.

――――― [JIS Z 8830 pdf 25] ―――――

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JIS Z 8830:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9277:2010(IDT)

JIS Z 8830:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8830:2013の関連規格と引用規格一覧