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カーボンモレキュラーシーブの破過容量は温度と流量とにはあまり影響されないが,高濃度のVOCの気
体又は高い相対湿度で大きく減少する。適切な定量性確保のため,安全試料採取量(SSV)は,例えば,5 %
破過したときの容量の70 %以下の量(A.1.1参照)又は保持容量の50 %(B.1参照)と定義されている。
表1表6に保持容量及び安全試料採取量の典型的な値を示す。これらの量はクロマトグラフ法によって
決められている(附属書B)。
注記2 表1表6の安全試料採取量は,保持容量外挿法(附属書B)によって決められているもの
である。直接法(附属書A)の測定(A.3)によって,高濃度又は非常に高い湿度の条件下を
除いて,保持容量外挿法が信頼できる真の破過容量を表す。これらの測定(A.3)によれば高
湿度(80 %)での破過容量は,低湿度に比べて多孔性ポリマーでは1/2ほど低く,また,炭
素系の吸着剤では1/10になる。もし高濃度[300 mg/m3(100 ppm)]が予想されるならば,
炭素系吸着剤の破過容量は更に1/2減少するとみられる。
化合物の安全試料採取量が,表1にない場合は推定をする。この推定は同族化合物中の二つの化合物間
でだけ可能である。それ以外の場合は,安全試料採取量を実験で確認しなければならない。
ポンプを始動したときの時刻,温度,流量又は記録計の値及び必要に応じて温度,気圧を記録する。サ
ンプリングの終了時にも流量又は記録計表示を読み,ポンプを停止させ,時刻,必要に応じ温度及び気圧
を記録することが望ましい。
連結サンプラを切り離し,各サンプラの両端を圧着シールでしっかりと密栓する。サンプラには,目立
つようにラベルを付けることが望ましい。溶剤を含む塗料及びマーカ又は粘着式ラベルは,サンプラのラ
ベル付けには使わないほうがよい。
試料を8時間以内に分析しない場合は,清潔でコーティングされていない冷却した金属又はガラス製の
密閉容器内に保管する。試料は輸送の間,冷蔵することが望ましい。特定条件に換算した濃度を表示した
いときは,サンプリング中必要に応じて定期的に気温及び気圧を記録する(11.1)。
現場ブランク(トラベルブランク)は,サンプリングに使用したものと同じサンプラを用い,また,実
際に試料をサンプリングした期間以外のサンプラと同様の取扱い手順で処理する。これらのサンプラには,
ブランクであることのラベルを付け識別する。
注記3 この方法は加熱脱離によるため,再トラップをする設備をもった加熱脱離装置でない場合,
試料分析の機会は1回しかない。その試料が重要で,過負荷又は破過の可能性がある場合は,
二つ目の試料を低流量でサンプリングすることが望ましい。
10 手順
10.1 安全上の注意
この規格は,使用に関する全ての安全性に関して規定してはいない。この規格の使用者は,事前に,適
切な健康及び安全性のための手順を確立し,規制条件を決めなければならない。
10.2 脱離及び分析
サンプラを適合する加熱脱離装置内に設置する。空気をサンプラから不活性ガスによってパージし,吸
着剤及びガスクロマトグラフの固定相の加熱酸化から生じる生成物による妨害を防ぐ。次にサンプラを加
熱し,気化したガスを,キャリヤーガス流によってガスクロマトグラフに導入する。この段階でガスの流
れの方向は,サンプリング時とは逆とする。サンプラのサンプリング側の端,すなわち,マークを付けた
ほうをガスクロマトグラフカラム入口に接続する。最適脱離効率を示すサンプラ内のガス流量は,3050
mL/minである。
――――― [JIS A 1966 pdf 11] ―――――
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初回のエアパージでは,サンプラ内の空気量(23 mL)を完全に置き換えるため,不活性ガスはサン
プラ容積の10倍(2030 mL)が通常必要とされる。しかし,親水性の強い吸着剤を使用する場合は,冷
却トラップに氷が形成されないよう,吸着した空気と水とを除くより多くのパージが必要となる。パージ
中は,サンプラの加熱が最小となるよう注意する。
脱離試料は数mLのガス量となるので,キャピラリーガスクロマトグラフ分析前に濃縮が必要である。
濃縮は小形の二次吸着剤冷却トラップを用いれば可能で,このトラップは低流量(5 mL/min未満)で十分
急速に脱離され,成分幅を最小にし,かつ,キャピラリーに適したピークをつくる。若しくは,空の二次
トラップ又はガラスベッドなどの不活性材料を含むものを,試料の予備濃縮に用いてもよいが,これらの
トラップは−100 ℃以下での冷却を必要とする。また,脱離試料を直接ガスクロマトグラフ(一段階脱離)
へ直接通過させ,そこで再フォーカスしてもよい。一般的には,高相比のカラム(例えば,膜厚5 μm,内
径0.20.32 mm)と,初期温度を室温に設定することが要求される。
二次吸着剤冷却トラップが使用できない場合であって氷点下のキャピラリークライオフォーカスを分析
対象成分の予備濃縮に用いる場合,キャピラリーチューブを詰まらせて加熱脱離プロセスを停止させる氷
の生成を防ぐため,脱離前に,試料サンプラの水を完全に除去するのが望ましい。
注記1 二次冷却トラップが使用できず,試料サンプラの最適脱離流量を3050 mL/minとする場合,
高分解能キャピラリーカラムでの分析のためには,最低30 : 150 : 1のスプリット比が必要
となる。このため,一段加熱脱離では検出感度が制約される。
脱離条件は,試料サンプラからの脱離が完全で,かつ,二次冷却トラップ中で試料成分の損失がないよ
うに条件を選択することが望ましい。一般的なパラメータを,次に示す。
− 冷却トラップ吸着剤 使用する場合は,一般的にサンプラと同じもの,40100 mg
− 冷却トラップ温度 +20−180 ℃,冷却トラップのタイプによる。
− 脱離温度 250325 ℃
− 脱離時間 515 min
− 脱離流量 3050 mL/min
− キャリヤーガス ヘリウム又は窒素(冷却の程度によって選択する。)
− スプリット比 試料サンプラ,二次冷却トラップ間及び二次冷却トラップと分析カラム(あれば)間
のスプリット比は,想定される空気中の濃度に応じて選択する(詳細は,加熱脱離装置製造業者の手
引きを参照。)。
脱離温度は,分析対象成分と使用する吸着剤によって決まる。推奨値を表1表6に示すが,特定の吸
着剤に対しては,附属書Eで与えられる最高脱離温度を守ることが望ましい。熱的に不安定な,2級及び
3級の揮発性アミン,及び炭素原子数が1個又は2個のある種のポリハロゲン化合物,特に臭素化合物は,
多少熱分解する可能性がある。
分析対象成分の凝縮を防ぐために試料流路の温度(移送ライン温度)は十分高く設定する。ただし,熱
分解を起こすほど高くしてはならない。室温で十分揮発する分析対象成分は,通常,流路の温度を150 ℃
以上にする必要はない。ある種の装置及び成分によっては,より高温を必要とすることもある。
VOCのガスクロマトグラフ分析条件を設定する。各種のガスクロマトグラフ用カラムが使用できる。カ
ラムは多くの場合,どのような妨害成分が存在するかによって選択する。
注記2 一般的な例として(表8のデータ測定に使用された)カラムは,ポリジメチルシロキサン結
合相の厚い膜厚(15 μm),長さ50 m,内径0.22 mmの溶融シリカカラム又は7 %シアノプ
ロピル,7 %フェニル,86 %メチルシロキサン結合相の長さ50 mのカラムである。これらの
――――― [JIS A 1966 pdf 12] ―――――
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カラムにあっては,初期ホールド時間を50 ℃で10分間とし,5 ℃/minで50250 ℃まで
昇温させる温度プログラムが,一般的な設定条件となる。
キャピラリーカラム又はなるべく全長がコーティングされていない不活性溶融シリカ製カラムを,加熱
脱離装置からガスクロマトグラフへトランスファーラインを通じて接続させる。また,冷却トラップ内の
吸着剤にできるだけ密着させるか又は一段階脱離器のチューブにできるだけ接近させるのがよい。
内部チューブは不活性とし,デッドボリュームを最小限とする。スプリットバルブを二次トラップの入
口及び/又は出口の適切な位置に設置する。二次トラップ出口のスプリットバルブは,トランスファーラ
インの入口又は出口のいずれに設置してもよい。スプリット比は対象成分への適応性によって設定する。
注記3 低スプリット比は大気(普通は1 : 110 : 1),室内空気及びある種の作業場空気(普通は1 :
120 : 1)測定に適しており,高スプリット比(普通は100 : 11 000 : 1)は,ほとんどの
作業環境空気測定に適している。
単一のカラムでの保持時間の一致だけでは,同定の根拠とならない。
10.3 検量線
各標準サンプラ(5.6又は5.8)を加熱脱離し,ガスクロマトグラフによって分析する。
5.7の標準溶液又は5.5の標準空気に対応した標準サンプラを分析し,μgで表示した分析対象成分の質
量の常用対数を横軸に,分析対象成分のピーク面積の対数を縦軸にプロットして,検量線用グラフを作成
する。
注記 検量線範囲が1桁以内であるならば,そのデータの対数をとる必要はない。
10.4 試料濃度の測定
10.2で規定したように,試料及びトラベルブランクを分析する。ピーク面積を求め,脱離した試料中の
分析対象成分の質量を検量線から読み取る。
10.5 脱離効率の測定
脱離効率は,標準サンプラ(10.3)測定のクロマトグラフのピーク面積又は高さと,標準溶液又は標準
空気を直接ガスクロマトグラフに注入して測定したピーク面積又は高さを比較して求める。脱離効率は,
標準サンプラによるピーク面積又は高さを,標準液を直接注入したときのピーク面積又は高さで除した値
である。脱離効率が95 %以下の場合は,脱離条件を変更する。
注記 ある種の加熱脱離装置には,直接液体注入部がないものもある。この場合,標準サンプラを混
合空気から調製するとき,脱離効率は,分析対象成分の検量線をn-へキサン(5.1)の検量線と
比較して確認することが望ましい。分析対象成分の検量線の傾きに対するn-ヘキサンの傾きの
比は,対象成分の相対感度と同じでなければならない。他の化合物の検出感度は,有効炭素数
からおおよそ計算できる(参考文献[3])。検量線の傾きの比が相対感度と10 %以内で合致しな
い場合は,脱離条件を変更する。
11 計算
11.1 分析対象成分の質量濃度
式(1)によって,試料空気中の分析対象成分の質量濃度を算出する。
mf mb
m 1 000 (1)
V
ここに, ρm : 試料空気中の分析対象成分の質量濃度(μg/m3)
――――― [JIS A 1966 pdf 13] ―――――
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mf : 10.4で求めた試料中に実際に存在する分析対象成分の質
量(μg)(複数のサンプラを使用する場合は,その合計)
mb : ブランクのサンプラに存在する分析対象成分の質量
(μg)
V : 試料空気吸引量(L)
注記1 mfとmbとの単位がmgのとき,結果として得られる濃度ρmの単位はmg/m3となる。
注記2 特定の条件に換算した濃度を表示するときの濃度は,式(2)を用いる(例えば,25 ℃で101.3
kPa)。
1013. T 273
c m (2)
P 298
ここに, ρc : 特定の条件に換算した試料空気中の分析対象成分の濃
度(μg/m3)
P : 試料空気の実際の圧力(kPa)
T : 試料空気の実際の温度(℃)
11.2 分析対象成分の体積比濃度
式(3)によって,空気中の分析対象成分の体積比濃度を計算する(ppb)。
245. 1013. T 273
v m (3)
M P 298
ここに, ρv : 分析対象成分の体積比濃度(ppb)
24.5 : 25 ℃,101.3 kPa時のモル体積
M : 分析対象成分の分子量(g/モル)
注記 ρmの単位がmg/m3のとき,濃度ρvの単位はppmとなる。
12 妨害
ガスクロマトグラフ分析において,分析対象成分と保持時間とが同一か又は近接する有機成分によって
妨害が生じることがある。ガスクロマトグラフカラム及び条件の適切な選択並びにサンプラ及び分析シス
テムの使用前の適切な調整によって,妨害を最小限に抑えることができる。
この方法は,多孔質ポリマー及びCarbopack/Carbotrapのような全ての疎水性吸着剤について,相対湿度
95 %までの空気に適用できる。純活性炭,カーボンモレキュラーシーブなどの疎水性の低い強力な吸着剤
を,相対湿度65 %以上の空気の測定で使用するときは,水分が分析過程で妨害要因とならないよう注意す
る。
注記1 水分を除去又は減量する方法として,試料のスプリット,二次冷却トラップからの水分のパ
ージ,吸引試料空気量を0.5 Lに減らすなどの対策が有効である。
注記2 当初は良好なブランク値を示したサンプラが,後に妨害物質を形成することがある。オゾン
(参考文献[11],[17])及び窒素酸化物(NOx)は,水分の存在下でTenax TAを損傷するこ
とがある(参考文献[12])。これらの反応によってベンズアルデヒド及びアセトフェノンが生
成する可能性がある。反応性が高い気体成分が存在しTenax TAが安定性を示さない場合は,
Carbopack(参考文献[12][14])を吸着剤としてもよい。
オゾン及び窒素酸化物は,分析対象成分と反応する可能性があるため,試料空気中にこれらの成分が多
量に含まれると想定される場合には,サンプリング量はできるだけ減らすようにする。
――――― [JIS A 1966 pdf 14] ―――――
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13 分析特性
この規格の手順で試験した場合の,分析特性(総合的な不確かさ,精度,偏り,保管安定性及びブラン
クレベル)の例を,附属書F及び表7表13に示す。
14 試験報告書
試験報告書は,少なくとも次の情報を含まなければならない。
a) 試料内容の明確な識別
b) この規格番号及び参照した他の補足規格
c) サンプリングの場所及び時間並びに吸引空気量
d) 必要な場合は,気圧及び気温
e) 試験結果
f) 測定中に観察された特記事項
g) この規格若しくは参照した規格に含まれない操作,又は任意とみなされる操作
15 品質管理
適切なレベルの品質管理を行うことが望ましい(参考文献[5])。
サンプラのブランクは,妨害成分のピーク面積値が分析対象成分の通常値の10 %以下であることが望ま
しい。
ベンゼン,トルエン及びキシレンのブランクレベルは,6.1及び箇条7で規定するように,標準添加せず
に前処理されたサンプラ(参考文献[15])を,調査地点(世界的規模での調査)に送り,試料サンプラの
そばに密閉して1か月間おいた後,測定機関に送り返して計測した。Chromosorb 106とCarbograph TD-1
の結果を,表13に示す。いずれの吸着剤も,検出量は低レベル(ng)で,参考文献[1]に示される新たに
前処理されたCarbographの値より若干高かった。
サンプラの安全試料採取量は,年度ごと又は20回使用ごとに(いずれか早いほう)附属書A又は附属
書Bに規定された手順の一つを用いて再試験することが望ましい。サンプラが劣化し,安全試料採取量が,
一般的なサンプリング容量よりも小さくなったら,新しい吸着剤を詰め直し,再び前処理することが望ま
しい。
――――― [JIS A 1966 pdf 15] ―――――
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JIS A 1966:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16017-1:2000(MOD)
JIS A 1966:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.20 : 雰囲気
JIS A 1966:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8710:1993
- 温度測定方法通則