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1 1 1 H2
(J.2)
Ke Kb Ks Kr
SRモデルの固有周期は,式(J.3)で表される。
Te T2b T2s T2r (J.3)
ここに, Tb : 上部構造から計算される固有周期
Ts : スウェイから計算される固有周期
Tr : ロッキングから計算される固有周期
同様に,(SRモデルによる)SSIシステムの減衰定数も式(J.4)及び式(J.5)によって求めている。
3 3 3
Tb Ts Tr
ζeζb ζs ζr (J.4)
Te Te Te
1 cb 1 cs 1 cr
ζb , ζs , ζr (J.5)
2ωb m 2ωs m 2ωr mH2
ここに, ζb : 上部構造の減衰定数
ζs : スウェイの減衰定数
ζr : ロッキングの減衰定数
ωb : 上部構造の固有円振動数
ωs : スウェイの固有円振動数
ωr : ロッキングの固有円振動数
m : 構造物の基本振動モードにおける上部構造の有効質量
――――― [JIS A 3306 pdf 46] ―――――
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a) Rモデル
b) Rモデルによる水平変位
記号
m 基本振動モードの上部構造の有効質量
H 基本振動モードの上部構造の等価高さ
F 上部構造の有効質量による慣性力
Kb,cb及びub 上部構造のばね定数,減衰係数,水平変位
Ks,cs及びus スウェイのばね定数,減衰係数,水平変位
Kr,cr及びur ロッキングのばね定数,減衰係数,水平変位
ue 水平変位の総和
図J.1−SRモデル及び変位分布
――――― [JIS A 3306 pdf 47] ―――――
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附属書K
(参考)
高層建築物の耐震設計
K.1 一般
一般に多層の高層建築物には多数の人々が集まり,一つの高層建築物が倒壊すると中低層建築物の倒壊
に比べて重大な影響を周辺の施設に与える。このことから高層建築物にはULSにおける高い信頼性が求め
られる。加えて,通常はその規模が非常に大きいことから,高層建築物の損傷は損失又は修復の費用及び
長い機能停止期間という意味においても重大である。したがって,高い信頼性は,SLSにおいても必要か
もしれない。
しかしながら,現行の耐震設計規準の大部分は,建築物が高層であるというだけの理由で,構造物の信
頼性に関する荷重係数に相当する重要度係数を割り増すことを明確には規定はしていない。それに代わっ
て多層の高層建築物の耐震設計においては,一般に次の事項に対して必要な考慮を払っている。
a) 地震の荷重効果を評価するに当たって,最も先進的な解析手法と構造モデルとを採用すること。
b) 高層建築物で特徴的な動的特性に照らして最も影響の大きな波を含めて,適切な設計用入力地震動を
選定すること。
c) 次のような通常の設計上の配慮を徹底し,次の事項を含む,より厳格な受入基準を採用すること。
1) 重心と剛心との間の偏心距離を最小化すること。
2) 層の水平剛性の急激な変化を最小化すること。
3) 付加減衰機構又は応答制御システムを導入すること。
4) 構造体の重要な部材及び部分がじん(靱)性に富んだ挙動をするように,特別な余力を付与するこ
と。
注記 高層建築物の典型的な定義は,高さが50 mを超え,高次振動モードによる質量の寄与及び応答
が重要な意味をもつ建築物である。
K.2 評価法及び構造モデル
地震作用及びその荷重効果を評価する基本は,高層建築物を含む全ての建築物に共通である。等価静的
解析における暗黙の前提条件が高層建築物に適さないことがあり得るので,高層建築の耐震設計には通常
は動的解析法を採用している。
全ての種類の動的解析に共通であるが,構造物の解析モデルとして空間的又は3次元で表示するものが
推奨されている。この原則を特に高層建築物に適用する理由は,一般的に2方向ラーメン構造又は他の空
間的若しくは3次元のモデルを(高層建築物に)採用しており,荷重効果を評価するに当たって地震力の
作用と直交方向の架構の影響とが無視できないからである。さらに,附属書Eにおける地震力の水平2方
向の組合せによる影響も,3次元の構造モデルに直交2方向の同時入力を行って解析すれば足りるので,ε
又はλのような経験的な係数を導入することなしに評価できる。
高層建築物を含む大規模建築物を設計する場合に,軟らかい地盤上にあり,深い基礎によって支持され
る建築物への地震作用を評価するときには,地盤と構造物との相互作用の影響を含めることが望ましい。
特に高層建築物においては,構造体の各要素の地震(動が生じている)間の非線形挙動に関する詳細な
情報が重要なので,ULSの地震作用に対する応答時刻歴解析を非線形の構造モデルで行うことが望ましい。
――――― [JIS A 3306 pdf 48] ―――――
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そうした挙動には部材応力だけでなく,非線形変形の最大値,繰返し応力の回数なども含まれている。弾
性応答から非線形応答を評価するための構造設計係数は,主として中低層建築物の典型的な例に対して設
定されたものであって,高層建築物の様々な先進的構造システムに適用するには検証を行わなければなら
ないかもしれないことに注意することが望ましい。
K.3 入力地震動
ハザード一定の設計用地震動を考慮することのほかに,高層建築物の動的特性に照らして重大な意味を
もつ成分をもつ地震動も採用することが望ましい。高層建築物は一般に長周期構造物であり,設計用地震
波を選定する場合は,高レベルの長周期成分をもつものも含むように特別な注意を払う必要があるとされ
ている。非線形応答時刻歴解析においては,継続時間及び/又は大振幅の回数も重要となり得る。時には
地殻プレートの境界で発生する巨大地震による地動を考慮すると,たとえそれが敷地から遠く離れた地震
であったとしても,予想していなかった程の大きく継続時間の長い応答を高層建築物にもたらすことがあ
る。決定論的シナリオに基づく模擬地震動を用意するに当たっては,こうした現象に対して必要な考慮を
払うことが望ましい。
K.4 応答制御システムの導入
構造物のための応答制御システムの研究開発は急激に進んでおり,附属書Mに記載する様々なタイプの
システム,特に(積層ゴム支承を用いるなど)パッシブな制御又は減衰システムは,実際に適用される段
階に達している。この結果,地震リスクの高い地域の高層建築物に対しては,地震作用による床応答の最
大値及び振動の継続時間を減じると同時に,頻度の高い風荷重が作用している間の居住性改善のために,
応答制御(システム)が標準的装備になりつつある。
応答制御システムを採り入れるに当たっては,その特性を十分に検討し,地震作用の想定される種類及
び強さの影響を最も効果的に制御できるシステムを選ぶことが望ましい。装置固有の特性を反映した適切
な解析モデルを確立することが望ましい。例えば,温度,振幅などに対して減衰特性に依存性がある場合
は,応答制御効果の過大評価を避けるために,その特性を適切に取り入れることが望ましい。加えて繰返
し変形による疲労の影響も,鋼材又はほかの金属ダンパーに対しては考慮することが望ましい。
K.5 地盤と構造物との相互作用(SSI)
地震作用による上部構造の慣性力は基礎を通して地盤に伝達され,基礎及び/又は地下構造の変形を生
じつつ地盤によって支持される。この結果,固有周期及び減衰定数を含む動的特性が変化する。敷地地盤
が軟らかい場合は,その効果は高層建築物においても顕著である。加えて上部構造に対する入力地震動は,
一般に構造物の基礎固定モデルに対する地震入力として用いられる地表面での地震動とは,地下及び/又
はくいの効果があるので異なったものとなる。このこと,すなわち,地盤と構造物との相互作用について
は,附属書Jに詳しく記載している。
SSI及びその影響は中層又は低層建築物に対してはほとんど考慮されることがない一方で,軟らかい地
盤の上に建設されて深い基礎で支持される高層建築物に対してはしばしば考慮される。相互作用が地震応
答に重大な影響を及ぼす場合は,H.1及び附属書Jに示すような構造モデルを採用することによって適切
に考慮することが望ましい。
――――― [JIS A 3306 pdf 49] ―――――
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附属書L
(参考)
変形制限
制御すべき変形は2種類である。一つは層間の水平変位である層間変位で,もう一つは(層間変位の和
である)ある高さにおける基部との相対水平変位である。層間変位は,第一に,中地震動に対して,ガラ
ス,カーテンウォール,せっこうボード壁,間仕切り壁などの非構造要素の損傷を限定するために,第二
に,大地震動に対して,構造部材の破壊及び構造物の不安定を制御するために,制限されることが望まし
い。制限はしばしば層間変位を層間高さで除した層間変形角として表現している。大地震動時の変形の評
価においては,一般的に,大地震動の結果として生じる,変形した構造物に作用する重力と鉛直地震力と
の和による付加的なモーメントの2次的効果(P-Δ効果)を検討する必要があるとされている。
終局限界状態での居住建築物における生命を脅かす損傷を制御するために,建設材料,建物高さ及び建
物用途に応じて,層間変形角は0.005(1/200)0.025(1/40)の間に制限することが望ましい。表L.1は
そのような影響を示した例である。構造物によっては,層間変位の制限は非構造要素及びシステムの変形
能力に支配されるかもしれない。重要な施設では,層間変形角の制限は不可欠なシステムの機能保持のた
め,より小さくすることが望ましい。
表L.1−建築物に対する層間変形角の制限の例
項目 中影響度区分 高影響度区分
組積造のない低層 0.0100.025 0.0040.015
(1/1001/40) (1/2501/67)
組積造のない高層 0.0050.020 0.0020.010
(1/2001/50) (1/5001/100)
組積造建築物 0.0050.010 0.0020.010
(1/2001/100) (1/5001/100)
全変位の制御は,大地震動時において,二つの隣接する構造物の損傷を伴う接触を避けるための十分な
間隔がとれているかに関係している。確かさの程度及び損傷を伴う接触のぜい(脆)弱性に応じて,二つ
の構造物の変位に基づく必要な建物間隔を定量化する二つの一般的な方法がある。1) 絶対値の合計,又は
2) 二乗和平方根である。また,二つの構造物にまたがる部材については,支持部分にその機能を維持する
十分な変位能力が必要である。
――――― [JIS A 3306 pdf 50] ―――――
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JIS A 3306:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3010:2017(MOD)
JIS A 3306:2020の国際規格 ICS 分類一覧
JIS A 3306:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA3305:2020
- 建築・土木構造物の信頼性に関する設計の一般原則