JIS A 8338:2021 土工機械―物体検知装置及び視界補助装置―性能要求事項及び試験 | ページ 3

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A 8338 : 2021 (ISO 16001 : 2017)

6 取扱説明書

6.1 取扱説明書

  ISO 6750-1に適合した取扱説明書を提供しなければならない。この説明書は,適切な土工機械の説明書
に組み込んでもよく,該当する場合は,次の項目を含まなければならない。
− 装置の機能の説明
− 検知領域の形状及び大きさ,並びに運用上の要因及び外的要因(例えば,混信,天候,他のシステム
の存在)によるばらつき
− 必要に応じて,ODS及びVAの使用に関連する現場体制の情報
− 気象上の制約
− 必要に応じて,地形上の制限
− 装置の感度又は物体を区別する能力を損なう可能性のある環境条件に対する必要な措置を含む,日常
的な整備のための指示
− 装置の始動要領
− 操作説明
− 安全な作動についての説明
− 故障の場合の対応処置
− 必要な場合は,法規制適合証明(地域の規制機関による電波機器の適合試験証明書など)
− 必要な場合は,型式認証が得られた国名
− 必要に応じて,ODS及びVAの使用者による定期的な性能点検の推奨手順

6.2 その他の情報文書

  ODS及びVAについては,別々に上市されている場合は,次の内容を含む追加の指示書を備えていなけ
ればならない。
− 性能及び作動限界,特に,取り付ける高さ及び角度の違いによる影響についての詳細の記載
− 必要な場合は,取付位置を含む取付方法及び組立方法の説明
− 性能の検証についての説明
− 必要な場合は,他の構成部品との接続についての情報
− 法規制適合証明(地域の規制機関による電波機器の適合試験証明書など)
− 必要に応じて,電源についての要求事項

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附属書A
(参考)
ODS及びVAの選定
A.1 概要
運転員の直接視界及び間接視界を補完するために,ODS及びVAを使用することが可能である。ODS又
はVAの選定に当たっては,運転員の必要情報及び与えられた情報への対応能力を考慮するのがよい。運
転員は,多くの求められる注意義務を経験する。ODS又はVAを選定するとき,どのような情報の形(視
覚又は聴覚)にすれば物体が進入したときに運転員にとって最も有用であるかを慎重に考慮するのがよい。
ODS及びVAには,長所もあるが短所もあることを考慮することが重要である。所要の検知領域に対し
て,全ての状況下において,完全に機能する装置は存在しない。視覚情報は,常に見逃すリスクがある。
聴覚情報は運転員の注意を得ることが可能であるが,不要な警報が多すぎる場合は無視される可能性があ
る。装置の使用者がODS及びVAの欠点を認識し,意識することは非常に重要なことである。それらの欠
点の幾つかは,複数の技術を組み合わせることによって克服できる可能性がある。幾つかの技術の長所及
び短所を表A.1に示す。
注記 基盤技術は,常に進歩している。したがって,将来の開発でその欠点の幾つかは対応がなされる
こともあり得る。
A.2 ODS及びVAの機能面からの考慮
A.2.1 一般
ODS及びVAは,次に示す装置の機能,運用及び環境の側面を考慮して選ぶのがよい。
A.2.2 運転員にとっての必要事項及び装置の使用に関する能力
これらの必要事項については,例えば次のものがある。
− 誤警報の許容度
− 信号対ノイズ比
− 視覚装置を見る時間及び頻度
− 複数のODS及びVAを使用する場合の情報過多の懸念
− 人間工学的要素(例えば,反応時間)
− 訓練及び教育指導
− 運転員又は検知領域内にいる人にとって必要となる警報の種類
A.2.3 運用環境
例えば,次の運用環境があり,また,その影響を受ける。
− 開放された現場,混雑した現場又は制限のある現場
− 現場の地形
− 現場条件[例えば,粉じん(塵),水,明るさ,明暗の差]

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− 気候
− 干渉源(例えば,他の機械,強い反射体又は放射体など)
A.2.4 機械機能
例えば,次の機械機能がある。
− 進入する物体の検知領域
− 現場における機械動作及び使用の分析
− 適用し得る取付部
− 予期される動作速度
− 旋回半径
− 車体屈折の影響
− 停止距離
A.3 ODS及びVAの選定
装置は,次の特性を考慮して選定するのがよい。
− 視覚による検知か,検知装置によるのか。
− 能動反応か,受動反応か。
注記 例えば,附属書C,附属書D及び附属書Fの型式1の装置は,能動的応答であり,他方,附
属書B及び附属書Fの型式2の装置は,受動応答に基づいている。また,附属書Eのよう
に,能動的入力によって受動的応答が起動されるような組み合わされた装置も存在する。
− 視覚警報及び/又は聴覚警報
− 反応時間
− 検知領域
− 運用上の確実性
− 取付部の保護
− 優先作動,消音化及び動作不能化についての要求事項
− 不要な警報
− 保守,整備及び清掃の要求
− 検知領域の定期的検証など性能点検の要求
− 人(歩行者)と他の障害物とを区別する能力
− 悪天候時に機能する能力
− 厳しい条件において機能する能力

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表A.1−ODS及びVAの長所及び短所例
技術 説明 長所 短所 範囲
フレネル 厚さを減らすため,通常の運転位置から 水平 : >90°
周囲端近くでは像がひず(歪)む可
レンズ 幾つかの同心で輪 の視線より下の物体 能性がある。 垂直 : 通常は2 m,
帯状のレンズで構 を見ることが可能。 監視装置取付位
外光によってレンズに光があふれる
成されたレンズ。溝 可能性がある。 置による。
は,光を屈折·焦束 外光源が必要。
させて,プリズムの 像解釈及び距離判断が困難となる可
ような役割をする。 能性がある。
鏡 間接視野を得るた 整備が少なく,使い 十分な明るさが必要。 光学特性によっ
めの反射表面。 方が簡単。 て,遠距離になる
取付け方が性能に影響する可能性が
ある。機械的損傷を受けやすい。 可能性がある。
選択式外 音響警報装置を作 機械動作時に起動 音響出力,周波
機械の走行経路上の歩行者が回避行
部警報 動させるために検 し,物体を検知した 動をすることに依存する。 数,取付位置及び
知装置を使用する ときにだけ警報を発 環境特性によっ
音響の発生方向を判定するのは困難
警報システム。 する。 な可能性がある。 て変化する。
複数の機械が近接作業しているとき
は混乱を生じる懸念がある。
超音波 反射する音波を利 対象までの距離の正 水平 : 最大6 m
時間遅れがあるため適用が低速車両
用して,物体を検知確な検出。 に制限される。後進速度10 km/hま
し,その距離を測定LED及び聴覚信号の でに限定される。
する装置。 両方を運転員に提 気象条件によって性能に影響が出る
示。 場合がある。
機械の後方全域を対象範囲とするに
は複数の検知装置が必要となる。
人とその他の物体とを識別しない。
地上からの取付高さに制限がある。
レーダ : 放射マイクロ波を 低価格。 検知範囲に制限
静止物体の検知困難。反射信号の強
周波数固 発し,移動目標物かほとんどの危険源か なし。ただし,“短
さだけによって距離を推測可能であ
定ドップ ら反射される放射 らの良好な反射を得 所”参照。
る。そのため,ある感度で検出機器
ラレーダ マイクロ波を使用 る。 設計によっては,
から遠方の大きな物体にも近傍の小
する装置。 レーダ表面に付着の さな物体にも同等に反応する。 160°までの範囲
物体の動きは,周波どんな汚れも無視で を検知可能であ
フェールセーフ機能なし。車両進路
数の差異として示 外の物体も検知可能である。
き,雪,風,雨などに る。
される。 影響されない。 人とその他の物体とを識別しない。
物体の速度及び方向 移動している物体だけ検知すること
を検知するような設 が可能である。
計が可能である。
レーダ : “周波数固定ドッ 検知範囲を測定する 検知範囲に制限
測定された検知範囲は,物体全ての
周波数切 プラレーダ”の項目ことが可能である。 なし。ただし,“短
距離の加重平均である。そのため,
換ドップ を参照。ただし,発ほとんどの物体から 所”参照。
遠方の大きな物体によって近傍の小
ラレーダ 信される周波数は,良好な反射を得る。 さな物体が隠れてしまうことがあ 設計によっては,
二つ以上の周波数 レーダ表面に付着の る。 160°までの範囲
を次々に切り換え どんな汚れも無視で を検知可能であ
フェールセーフ機能なし。人とその
る。 他の物体とを識別しない。
き,雪,風,雨などに る。
影響されない。 車両進路外の物体も検知可能であ
物体の速度及び方向 る。
を検知するような設
計が可能である。

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表A.1−ODS及びVAの長所及び短所例(続き)
技術 説明 長所 短所 範囲
レーダ : 反射パルスを使っ 複数の物体の範囲を 車両進路外の物体も感知可能であ 範囲は制限され
パルスレ て物体の有無を検 特定可能である。 る。 る可能性がある。
ーダ 知し,物体の距離を 人とその他の物体とを識別しない。
設計によっては,
測定する装置。 160°までの範囲
を検知可能であ
る。
レーダ : “パルスレーダ”の複数の物体の範囲を 車両進路外の物体も感知可能であ 制限なし。
連続波周 項目を参照。ただ 特定可能である。設 る。 設計によっては,
波数変調 し,伝達される周波計によって物体の速 160°までの範囲
人とその他の物体とを識別しない。
(FMCW 数は,低周波数から度及び方向検知も可 を検知可能であ
)方式レ 高周波数までを掃 能。 る。
ーダ 引往復する。
監視カメ 広角レンズカメラ きず,汚れ及び水に 水平 : 最大127°
映像のひず(歪)みによって距離判
ラ 及び運転室内モニ 強い。 定が難しい。 垂直 : 最大115°
(CCTV) タを使用。 それほど明るくなく カメラへの直射光によって視覚を阻
ても有効。 害する。
モニタ上への直射日光で画像の視認
が妨げられる。
日陰にある物体の判別困難。
カメラレンズに付着した泥及びほこ
り(埃)によって画像にひずみを生
じるが,ワイパ/ウォッシャを組み
込むことによって対処可能である。
赤外線 : 物体からの放射に 人と背景との違いを 汚れ,水及び振動に弱い。 検出装置として
受動 よる赤外線(IR)の理想的に検知可能。 距離測定不可。 の使い方には,制
(PIR) 差異を検出する装 約がある可能性
遠方の高温の機械と近傍の人とを区
置。 別することが不可能である。 がある。“短所”参
照。
赤外線 : 物体から放射され 不明 不明 不明
能動(IR)る赤外線を使って,
物体の有無を検知
し,機械と物体との
距離を測定する装
置。
接触 可動バンパによっ 簡単で,比較的低価 装置の寸法で定
全ての機械に適切とはいえない。事
てスイッチ入り後 格。 まる。
前に物体又は歩行者を検知しない。
に起動する制動装 歩行者保護のためには安全とは考え
置を使用する。 られていない。
超低速走行機械への使用にだけ適す
る。
高周波 電波信号又は無線 両者へ相互警告。 タグがないものは監視不可。 全方向に20 mま
(RF)無 を使って,車両搭載全方向を監視。 で調整可能であ
放射力が弱いため,人体を透過せず,
線トラン 型のトランシーバ る。
全ての検知領域をカバーすることが
スポンダ と作業員又は他の 不可能である。
物体に取り付けた 超音波トランスポンダのような指向
電子タグとの間で 性がある(E.4.1参照)。
交信し,近接又は衝 要求される検知領域以外の人も検知
突を知らせる装置。 可能であり,無線の適切な選択を必
要とする。

――――― [JIS A 8338 pdf 15] ―――――

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JIS A 8338:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 16001:2017(IDT)

JIS A 8338:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 8338:2021の関連規格と引用規格一覧