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A 8425-1 : 2019 (ISO 14990-1 : 2016)
定常運転中は作動しないオフライン冗長性を採用する場合には,この制御回路が必要なときに確実に作
動することを保証する許容可能な方策をとらなければならない。
部分的冗長性又は全体的な冗長性を備えることによって,電気回路の単一故障が危険状態を生む可能性
を最小にすることができる。冗長性は,定常運転中に冗長系も働いているようにする(オンライン冗長系)
か,定常運転中働いている保護機能が故障したときに初めて冗長系がその機能を引き継いで作動する別回
路(オフライン冗長系)として設計してもよい。
14.4.2.3 多様化設計(ダイバーシティ)の採用
互いに異なる作動原理若しくは異なる種類の部品又は機器(インターロック付きガードによって作動す
る常時閉接点及び常時開接点の組合せ使用)をもつ制御回路を用いることによって,障害又は故障による
危険源を低減する多様性を実現することができる。
電気を用いるシステムと電気を用いない(例えば,機械的,液圧,空圧)システムとの組合せによって
も,冗長機能をもつ多様化設計(ダイバーシティ)を備えるようにしてもよい。
14.4.2.4 機能試験の採用
機能試験は,次のどの組合せで実施しても差し支えない。
− 制御システムによる自動試験,及び
− (作業者が)手動で行う検査,起動試験及び一定間隔の周期的試験。
14.4.3 地絡(又は電源内蔵式機械では車台への地絡類似障害),瞬時停電及び導通性の喪失による誤機能
に対する保護
14.4.3.1 地絡(又は電源内蔵式機械では車台への地絡類似障害)
制御回路の地絡(又は電源内蔵式機械では車台への地絡類似障害)が,予期しない起動及び危険な運動
を引き起こすこと,又は機械の停止を妨げることがあってはならない。
これらの要求事項を満たす方法としてa) c) があるが,これらだけに限定されない。
方法a) 制御用変圧器から給電される制御回路
制御回路電源を,制御用変圧器から給電し,次の1) 又は2) の要求を満たす。
1) 制御回路電源を接地する場合(電源内蔵式機械では車台を電位基準とする) 制御回路の共通導体
は,電源接続点(変圧器二次側の一端)において保護ボンディング回路に接続する。電磁的機器又
はその他の機器(例えば,リレー,表示灯)を制御する半導体素子を含む全ての接点を,開閉され
る側の導体と機器の端末との間に接続する。機器のもう一方の端末(常に同一のマーキングである
ことが望ましい。)には,開閉素子を接続せず,制御回路電源の共通導体へ直接接続する。
例外 保護機器の接点は,次の条件を満たす場合には共通導体と機器との間に接続してもよい。
− 地絡が起きたときは自動的に回路が遮断される。
− その制御接点から被制御機器までの接続線が短いので(例えば,同じエンクロージャ内に
あるので)地絡(又は電源内蔵式機械では車台への地絡類似障害)が起きそうもない(例
えば,過負荷リレーの場合)。
2) 制御回路電源を接地しない場合 制御回路は,制御変圧器から給電し,1) に記すものと同じ配置で
はあるが,保護ボンディング回路に接続しない場合には,地絡(又は電源内蔵式機械では車台への
地絡類似障害)発生時に自動的に回路を遮断する機器を設ける。
方法b) 中間タップ付き制御変圧器から給電される制御回路 中間タップ付き制御変圧器から制御回路
に電源を供給し,中間タップを保護ボンディング回路に接続する場合,全ての(制御変圧器の二
次側である)制御回路電源導体を開閉する過電流保護機器を設ける。
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注記 中間タップが接地された制御回路では,保護回路がなければ一線地絡(又は電源内蔵式機
械では車台への地絡類似障害)の場合にリレーコイルに50 %の電圧が残り得る。この状態
ではリレーが持続し,機械を停止できないことが起こり得る。
機器は,片切りでも両切りでもよい。
方法c) 制御回路電源を制御変圧器を介さずに供給する場合
制御回路への電源が制御変圧器から供給されず,次の1) 又は2) のいずれかの場合 :
1) 制御回路を,一端を接地(又は電源内蔵式機械では車台への接続)した電源の相導体間に直接接続
する場合,又は,
2) 制御回路を,相導体間又は相導体と接地しない中性線との間,又は相導体と高インピーダンスを介
して接地(又は電源内蔵式機械では車台への接続)した中性線との間に接続する場合,
意図しない起動が起こったとき又は停止機能が故障したときに,危険状態を招くか,又は機械に損
傷を与えるおそれがある機械機能の起動・停止の制御には,全ての充電導体を開閉する多極制御スイ
ッチを用いる,又はc) 2) において,地絡(又は電源内蔵式機械では車台への地絡類似障害)の場合
に回路を自動的に遮断する機器を設ける。
14.4.3.2 瞬時停電
制御システムにメモリを用いる場合には,停電時にメモリ喪失を防止する対策を行わなければならない。
そのような対策としては,例えば,不揮発性メモリの使用及びバッテリバックアップがある。
14.4.3.3 導通性の喪失
安全関連制御回路に用いるしゅう動接点の接触不良が,危険状態を招く可能性がある場合は,例えば,
しゅう動接点の二重化などによって,導通性の喪失の可能性への対策をとらなければならない。
14.5 オペレータインターフェース及び機械に取り付けた制御機器
14.5.1 一般事項
14.5.1.1 (制御機器に関する)一般(推奨)事項
オペレータインターフェース及び機械に取り付けた制御機器は,JIS A 8340-1,JIS A 8336及びJIS A 8407
によることが望ましい。
14.5.1.2 配置及び取付け
(制御機器の)配置及び取付けの要求事項は,JIS A 8340-1及びJIS B 9960-1:2011の10.1.2によること
が望ましい。
14.5.1.3 保護
エンクロージャの保護等級は,他の適切な方策と合わせて,土工機械の運転環境又は機械で用いる,侵
食性の高い液体,蒸気,ガス又は汚染物の侵入に対する保護を備えなければならない。
オペレータインタフェース用の制御機器は,直接接触に対する保護を,最低限保護等級IPXXDとしな
ければならない。
14.5.1.4 携行式操作盤及びペンダント形操作盤
携行式操作盤及びペンダント形操作盤の要求事項は,ISO 15817に規定されている。
14.5.2 押しボタン
14.5.2.1 色
押しボタンの色は,JIS B 9960-1:2011の10.2.1によらなければならない。
14.5.2.2 マーキング
マーキングの要求事項は,JIS A 8310-1及びJIS A 8310-2によることが望ましい。
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14.5.3 表示灯及び表示器
表示灯及び表示器の要求事項は,JIS A 8340-1及びJIS B 9960-1:2011の10.3によることが望ましい。
14.5.4 照光式押しボタン
照光式押しボタンの要求事項は,JIS B 9960-1:2011の10.4によることが望ましい。
14.5.5 ロータリ形制御機器
ポテンショメータ及び選択スイッチのような回転部のある機器は,固定部が回転しないように,摩擦力
だけに頼らずに取り付けしなければならない。
14.5.6 始動装置
始動装置の要求事項は,JIS A 8340-1及びJIS A 8919によることが望ましい。
14.5.7 非常停止用機器
非常停止用機器の要求事項は,JIS A 8340-1,JIS B 9960-1:2011の10.7及びISO 13850によることが望
ましい。
非常停止用機器は,運転席及び非常停止操作が必要となるその他の各位置に配置しなければならない。
注記 非常停止などの非常操作機能については,附属書Cに説明されている。
14.5.8 非常スイッチングオフ機器
非常スイッチングオフ機器の要求事項は,JIS B 9960-1:2011の10.8によることが望ましい。
14.5.9 イネーブル制御機器
イネーブル制御機器の要求事項は,JIS A 8340-1及びJIS B 9960-1:2011の10.9によることが望ましい。
14.6 制御装置の配置,取付け及びエンクロージャ
14.6.1 一般要求事項
制御装置は,接近しやすく,外部の影響又は周囲条件に対して保護され,運転及び保全を行いやすいよ
うに配置し,取り付けなければならない。
例外 この要求及び14.6.214.6.5の要求事項は,土工機械の寸法によって接近性及び保全性が実現で
きない場合だけを除いて適用する。
14.6.2 配置及び取付け
14.6.2.1 接近性及び保全性
制御装置は,機器又は配線を外さずに識別できなければならない。部品の作動確認又は交換が必要とな
る場合は,他の装置及び部品を外さずに(扉の開放,カバー,バリア,オブスタクルの取外しは除く。)確
認及び交換を行えることが望ましい。
制御装置は,操作及び保全を前面から容易に行えるように取り付けなければならない。機器の調整,保
全又は取外しに特殊な工具を必要とする場合は,その工具を(機械とともに)納入しなければならない。
操作,表示,測定及び冷却以外の用途に用いる機器を,エンクロージャの扉又は通常取外し可能なカバ
ーに取り付けてはならない。制御機器をプラグイン形式で接続する場合は,種類(形状),マーキング又は
略号のいずれかによって,又はこれらの組合せによって,受け側との対応関係を明確にしなければならな
い。
通常運転中に取り扱う(複数の)プラグイン形式の機器は,受け側との組合せを誤ると機能が正しく作
動しない場合は,誤挿入できない構造にしなければならない。
通常運転中に取り扱うプラグ・ソケット対は,これへの接近を妨げるものがない位置に取り付けなければ
ならない。
14.6.2.2 隔離又はグループ分け
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14.6.2.2.1 制御装置を収納するエンクロージャの中には,電気装置と直接関係ない非電気的な部品及び機
器を配置してはならない。
14.6.2.2.2 電磁弁のような機器は,他の電気装置から(例えば,別の区画に)隔離することが望ましい。
14.6.2.2.3 同じ場所に取り付ける制御機器で,入力電源だけに,又は入力電源及び制御電源の両方に接続
する機器は,制御電源だけに接続する機器とグループ分けしなければならない。
14.6.2.2.4 端子は,電力回路,(当該)制御回路及び外部電源から給電される他の制御回路(例えば,イ
ンターロック回路)にグループ分けしなければならない。
14.6.2.2.5 各グループが,容易に(例えば,マーキング,寸法の違い,バリアの使用,色分けなどによっ
て)識別できる場合は,制御グループを隣接して取り付けてもよい。
14.6.2.2.6 (機器相互の切僕を含め制御機器の)制御機器の供給者が規定する空間距離及び沿面距離を確
保して配置しなければならない。
14.6.2.2.7 高電圧装置では,高電圧装置を収容するエンクロージャが,低電圧装置又は非電気部品を収容
してはならない。ただし,高電圧の装置の不可欠の一部を構成し,正常な運転に必須のものである場合を
除く。高電圧装置は,明確にマーキングして,低電圧装置から明確に見分けられるようにしなければなら
ない。低電圧装置に隣接する高電圧開閉装置は,金属で囲い,内部の電弧障害に耐えることのできるもの
でなければならない。
14.6.3 保護等級
固体及び液体の侵入に対する制御装置の保護は,運転環境を考慮した適切なものでなければならない。
注記1 感電に対する保護は,箇条5で規定している。
水の浸入に対する保護等級は,JIS C 0920に規定されている。水以外の液体に対しては追加の保護方策
が必要となることがある。
制御装置のエンクロージャによる保護は,最低限保護等級IP22でなければならない。
例外1 電気設備区域が,固体及び液体の侵入に対する適切な保護等級をもつ保護エンクロージャ内
にあるとき
例外2 導体ワイヤ及び導体バーシステムにおいて引離し式集電子を用いる場合で,保護等級IP22は
達成できないが5.5の手段を適用するとき
エンクロージャが典型的に備える保護等級としては,次の例がある。
− 電動機始動用抵抗器及び他の大形装置だけを収容する換気式エンクロージャは,保護等級IP10
− その他の装置を収容する換気式エンクロージャは,保護等級IP32
− 一般産業用エンクロージャは保護等級,IP32,IP43及びIP54
− (ホースによる)低圧の洗浄水がかかる場所で用いるエンクロージャは,保護等級IP55
− 粉じん(塵)に対して保護するエンクロージャは,保護等級IP65
− スリップリング機構を保持するエンクロージャは,保護等級IP2X
実際の運転条件によっては,他の保護等級を要求してもよい。
抵抗器の格子部分の空冷のためのエンクロージャは,保護等級IPXXBとしなければならない。
14.6.4 エンクロージャ,扉及び開口部
(制御装置の)エンクロージャは,通常の使用状態における機械的,電気的及び熱的ストレス,並びに
湿度及び他の環境要因の影響に耐え得る材料を用いて構成しなければならない。
内部に取り付けた表示機器を見るための窓の材料は,機械的・化学的強度をもつもの(例えば,強化ガ
ラス,厚さ3 mm以上のポリカーボネート板)でなければならない。
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扉,蓋,カバー及びエンクロージャに用いるジョイント又はガスケットは,土工機械に用いる腐食性液
体,蒸気又はガスの化学作用に耐えるものでなければならない。運転時又は保全時に,開ける又は取り外
す必要がある扉,蓋,カバーの保護等級を確保するために用いる手段(ガスケットの類)は,扉,カバー
又はエンクロージャに,堅固に取り付け,扉又はカバーの取外し又は交換によって,劣化せず,保護等級
が低下しないものでなければならない。
扉及びカバーの止め金具は,脱落防止形にすることが望ましい。
制御装置エンクロージャの扉は,幅を0.9 m以下とし,垂直に丁番を付け,95°以上開くことを推奨す
る。
(エンクロージャに)開口部を設ける場合は,その開口部が土工機械の床又は土工機械の他の部分に通
じるものである場合も含めて,装置に必要な保護等級をエンクロージャが確保する手段を用いなければな
らない。ケーブル引込み用の開口部は,現場で容易に開けられるものでなければならない。エンクロージ
ャの底部には,結露を排出するために適切な開口部を設けてもよい。
電気装置を収納するエンクロージャと,冷却剤,潤滑油,作動油が入っている区画,又は油,液体,ほ
こりが侵入するおそれがある区画との間には,開口部を設けてはならない。この要求は,特に油中で作動
するように設計した電気機器又は冷却剤を用いる電気装置には適用しない。
エンクロージャに取付け孔がある場合は,取り付け後それらの孔は,必要な保護を損なってはならない。
正常作動時又は異常作動時に,装置又は機器は,
− 火災又は有害な損傷のリスクがなく,発生する温度に耐えることができるエンクロージャ内に設置す
る。さらに,
− 熱が安全に放散するように,隣接する装置から分離して配置する,又は,
− 火災又は有害な損傷のリスクがなく,装置が発生する熱に耐える材料によって,遮蔽しなければなら
ない。
16.2.2による警告ラベルを付けることが必要な場合もある。
14.6.5 制御装置への接近
14.6.5.1 全体としての乗降用・移動用設備
乗降用・移動用設備全体としてはJIS A 8302に適合しなければならない。
14.6.5.2 他の整備用開口部
JIS A 8302で扱う以外の整備用開口部は,JIS A 8301に適合しなければならない。
14.6.5.3 接近用扉
通路の扉,電気設備区域の入口扉は,次の事項を実現しなければならない。
− JIS A 8302:2017の表1の整備用開口部の寸法に適合している。
− 外側に開く。
− 内側から鍵又は工具を用いずに開けられる手段(例えば,パニックボルト)がある。
人が容易に入れる(空間をもつ)エンクロージャには,例えば,扉内部のパニックボルトのような,脱
出を可能にする手段を備えなければならない。そのような接近が想定されるエンクロージャは,JIS A
8302:2017の箇条5の常用出入口に対する寸法要求事項に適合しなければならない。
近接中に装置が充電される可能性があり,かつ,導電部が露出している場合,少なくとも1.0 mの障害
物のない幅を確保しなければならない。このような部分が近接路の両側に存在する場合は,少なくとも1.5
mの障害物のない幅を確保しなければならない。
注記 これらの数値は,ISO 14122規格群から引用している。
――――― [JIS A 8425-1 pdf 45] ―――――
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JIS A 8425-1:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14990-1:2016(IDT)
JIS A 8425-1:2019の国際規格 ICS 分類一覧
JIS A 8425-1:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA8301:1952
- モータグレーダ用切刃
- JISA8301:2000
- 土工機械―整備用開口部最小寸法
- JISA8425-3:2019
- 土工機械―電機駆動式機械並びに関連構成部品及び装置の電気安全―第3部:電源内蔵式機械の特定要求事項
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC60364-1:2010
- 低圧電気設備―第1部:基本的原則,一般特性の評価及び用語の定義
- JISC60664-1:2009
- 低圧系統内機器の絶縁協調―第1部:基本原則,要求事項及び試験
- JISC61558-1:2019
- 変圧器,リアクトル,電源装置及びこれらの組合せの安全性―第1部:通則及び試験
- JISC61558-2-6:2012
- 入力電圧1 100V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全性―第2-6部:安全絶縁変圧器及び安全絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験