JIS B 0160:2015 歯車―歯面の摩耗及び損傷―用語 | ページ 12

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2.5.8
乗り上げ(tooth on tooth jamming)
軸受の破損などが原因となって歯車軸が大きく動くことによって歯車の歯と歯が乗り上げてしまう現象。
かさ歯車が軸方向に抜け出したときに起こる歯と歯の乗り上げなどであり,かみ合いが正常に行われな
くなってしまった場合が,この損傷形態に該当する。
歯車が空転して気付くことが多い。
図46−乗り上げの例 [1]
図46は,まがりばかさ歯車の歯の頂部がつぶされ,歯たけの半分がなくなっている乗り上げの例である。
軸心が外側に移動したために生じたりしたもの。運転時間とともに軸心が狂い,かみ合いが浅くなって,
かみ合い率が低下し,荷重負担が大きくなり,組み付けが狂い,歯の頂部がつぶされ,歯と歯が乗り上げ,
空転に至った。

――――― [JIS B 0160 pdf 56] ―――――

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2.6
表面疲労(surface fatigue phenomena)
作用歯面が繰返し応力を受けているうちに,接触面下の材質の一部が疲労破損して脱落し,穴状の痕跡
(ピット)又は大きな離痕を残す現象。
類似しているピット若しくは離痕でもその見かけ上又はその発生原因の違いによって,幾つかに区分
される。
ここで扱う損傷形態は,次による。
− ピッチング
− マイクロピッチング
− フロスティング
− フレーキング
− スポーリング
− ケースクラッシング

――――― [JIS B 0160 pdf 57] ―――――

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2.6.1
ピッチング(pitting)
歯面上に小さな穴が生じる現象。
接触応力を繰り返し受けることによる接触面の局部的な疲労破壊である。歯面間の油膜を破って接触す
る表面粗さの突起部辺りから,表面に比較的浅い角度で亀裂が入り,内部へ進展し,ついには片となっ
て脱落して穴ができる。
ピッチングが出始めると,普通負荷繰返し数とともに増加し続けるが,ときには歯面がなじんでピッチ
ングが増加しなくなることがある。この場合には,歯車装置として実害がないことから初期ピッチングと
して区別している。
なお,接触域の端部で応力集中が生じ,その領域にピッチングの発生することがある。この場合を接触
端部ピッチングという。
ピッチングは,表面硬化処理を施さない鋼で最も多く見られる表面疲労現象である。
図47−ピッチングの例 [1]
図47は,あや(綾)織り状の線は研削仕上げしたときの加工目で,ピッチ点よりやや歯元側に出ている
白い米粒状の穴がピッチングの例である。この図から,次のようなピッチングの特徴の幾つかが観察でき
る。
− ピッチングは高い突起部に発生しやすいので,加工目の畝部に沿って並んで出ている。
− ピッチングは,ピッチ点より歯元側に発生しやすい。
− ピッチングは個々に独立して発生し,一つのピットの面積が拡大していくことはほとんどない。
− 歯面には油膜が形成されているので加工目が鮮明に写っている。加工目は,しゅう動時の摩耗によっ
てなくなることもある。

――――― [JIS B 0160 pdf 58] ―――――

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− ピッチングの破面を拡大してよく観察すると,その発生起点が表面付近に特定できる。
− ピットの形状は,扇形又は円形に近いものが多い。

――――― [JIS B 0160 pdf 59] ―――――

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2.6.1.1
初期ピッチング(initial pitting)
運転初期にだけ発生し,それ以上増加しない場合のピッチング。
ピッチングは,歯面上に小さな穴を生じる現象で,接触応力を繰り返し受けることによって接触面に起
こる局部的な疲労破壊である。歯形又は歯すじ形状が十分でなかったり,歯の表面粗さの突起部が予期以
上に大きいと,この箇所の接触応力が高くなり,ピッチングが発生する。それによって突起部が取れてし
まい,荷重が再配分され,局部的応力が低下することでピッチングはそれ以上発生しないことがある。
ピッチングと損傷形態は同じであるが,歯車の寿命に影響を及ぼさない場合を指して,特に名付けたも
のである。
図48−初期ピッチングの例 [1]
図48は,ホブ切りした歯車に発生した初期ピッチングの例である。横向きに流れる白黒のしま(縞)は
加工目で,その加工目に沿って並んだ米粒状の白い斑点がピッチングである。この歯車は負荷繰返し数が
1×107回の時点で撮影されたものであるが,5×106回の時点で観察したときとほとんど変わりがないこと
が確認されていることから,この後もピッチングが急増することはないものとして初期ピッチングとみな
された。
加工時にできる粗さの特に高い畝に沿ってピットが発生しており,その畝がピッチングで低くなること
によって,ピットの発生が止まっている。
なお,初期ピッチングが観察されるのは,一般にピッチ点より歯元側に限られる。また,一つのピット
が時間とともに大きく成長することはない。

――――― [JIS B 0160 pdf 60] ―――――

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  • ISO 10825:1995(MOD)

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