JIS B 0160:2015 歯車―歯面の摩耗及び損傷―用語 | ページ 14

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2.6.4
フレーキング(flaking, flake pitting)
離片が歯面から脱落し,比較的大きな面積をもった浅い穴が歯面に発生する損傷形態。
主として表面硬化鋼に発生する。発生起点が表面で,その亀裂が内部で広がり,やがてピットとなって
現れる。典型的なものは歯元付近にできた亀裂が三角形状に歯先の方へ広がるものであるが,歯先領域に
出ることもある。穴の深さは大部分がほぼ同じである。
その大きさは時間とともに大きくなる傾向にあり,ときには亀裂が進行し,歯の折損,欠けなどの歯車
としての致命的な損傷を誘引する。
フレーキング発生は,マイクロピッチング又は干渉摩耗といった小さな離部が起点となることが多い。
図54−フレーキングの例 [1]
図54は,はすば歯車に発生したフレーキングの例である。歯元のトロコイド干渉によると見られるピッ
ト(黒点)が幾つか散在し,そのうちの一つから亀裂が入り,歯先の方に向かって大きく進展し,歯末面
に至っている。この図では破損面に貝殻模様の線が見られ,亀裂の伝ぱ(播)状況が分かる。このように
フレーキングは,破損面の観察から損傷発生の起点が特定しやすい場合が多い。
なお,類似の損傷形態であるスポーリングは,亀裂の発生起点が表面から内部に入ったところであり,
亀裂の進展状況も特定しがたい場合が多い。また,ピッチングと異なり,ピットの面積は負荷繰返し数の
増加につれて拡大する。

――――― [JIS B 0160 pdf 66] ―――――

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2.6.5
スポーリング(spalling)
歯面から大きな離片が脱落する損傷形態。
損傷は表面から幾分内部に入ったところで亀裂が発生し,かつ進展し,やがて表面に現れるもので,ピ
ットは,大きくかつ時間とともに拡大しやすい。ピットの形状には特定のパターンが存在せず,その発生
位置も高荷重点なら歯面のいずれの箇所にも生じる。
図55−スポーリングの例 [1]
図55は,はすば歯車に発生したスポーリングの例である。片当たりのために歯幅の右側部分での損傷が
激しく,場所によってはほぼ全面が離してしまっている。

――――― [JIS B 0160 pdf 67] ―――――

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2.6.6
ケースクラッシング(case crushing)
母材と表面の硬化層との間に亀裂が走り,硬化層が離してできる表面損傷。
この損傷は,軟らかいものの上に硬いものが被さっているところへ高い荷重が作用するとき,一般に,
硬い層の一部が割れて,軟らかい母材から薄片となってがれる現象である。歯面に亀裂が先行して生じ
ることがしばしばある。
図56−ケースクラッシングの例
図56は,浸炭したまがりばかさ歯車の作用歯面に生じたケースクラッシングの例である。多数の亀裂が
斜めに曲がって認められ,1か所で離が生じている。離部分だけを観察する限りスポーリングと同じ
であるが,脱落する薄片が大きく,表面に幾重にも走っている亀裂が特徴である。

――――― [JIS B 0160 pdf 68] ―――――

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2.7
亀裂及び欠け(fissures, cracks, and chipping)
歯の損傷など歯車の致命的な損傷形態に結びつくおそれがある損傷。
亀裂及び欠けの存在の有無は,常に注意が必要である。亀裂も欠けも単独で存在する場合もあれば,別
の損傷形態から波及する場合もあるが,その発端となった損傷形態に重点を置いて観察される。
ここで扱う損傷形態は,次による。
− 亀裂
− 欠け
2.7.1
亀裂(fissures and cracks)
歯の曲げ応力の繰り返しによって歯元に発生したり,歯面の疲労損傷又は歯の側端の欠けを起点として
発生する損傷。
歯先,歯の端部などで歯の一部が欠けることがある。この場合,損傷の支配的な要因は亀裂の発生と進
展であることから,亀裂の一部に含める。
なお,歯面損傷の発生経緯で見られる亀裂については該当する損傷形態の箇条で取り上げている。すな
わち,仕上げ加工での研削割れ,不適切な熱処理による焼割れ及び材料欠陥については2.2の運転前欠陥
で取り上げている。また,表面疲労によって発生するマイクロクラック,ピッチング,スポーリング,ケ
ースクラッシングなどから発生する亀裂については2.6の表面疲労で取り上げている。そのほか,歯側端
の欠けから発生する亀裂については2.7.2.1のマイクロチッピングで取り上げている。
ここで扱う亀裂は,次による。
− 歯元疲労亀裂
− ピッチ点付近疲労亀裂
− ピッチング起点疲労亀裂
− スポーリング起点疲労亀裂
− フレッチング起点疲労亀裂
− 材料欠陥起点疲労亀裂
− 熱割れ

――――― [JIS B 0160 pdf 69] ―――――

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2.7.1.1
歯元疲労亀裂(fatigue cracks at tooth fillet)
材料の抗張力以下の応力が繰り返し作用することによって生じる亀裂。
こうした亀裂は,歯元のすみ肉部の危険断面(例えば,外歯車ではホーファーの30°接線位置,内歯車
では45°接線位置)の最大曲げ応力発生箇所となる。
こうした亀裂は多くの場合,歯の折損に至る。
図57−歯元疲労亀裂の例
図57は,荷重の作用する歯面(図の右側歯面)の歯元すみ肉部に入った疲労亀裂の例で,歯厚の中央近
くまで進展したひときわ黒い1本の線が該当する。引張応力が繰り返し作用したために材料が疲労したも
のである。反負荷側の歯元に小さな亀裂が入ることもあるが,圧縮応力のために進展しない。ただし,反
負荷側の応力の絶対値は負荷側より大きいので,負荷が両面に作用する場合は片振りの場合より低い荷重
で亀裂が発生する。

――――― [JIS B 0160 pdf 70] ―――――

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JIS B 0160:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10825:1995(MOD)

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