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図16 b) は,このスクラッチングが凝着摩耗由来のものであることを示しており,アブレシブ摩耗由来
の場合には,白い線条傷部が硬い粒子などによって掘られた溝となる。
――――― [JIS B 0160 pdf 21] ―――――
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2.3.3
アブレシブ摩耗(abrasive wear)
歯面間において,硬い異物が介在して起きる三元摩耗及び一方の面が硬くて粗い場合に軟らかい側の歯
面を削り取る二元摩耗。
摩耗した歯面は,滑り方向の細い擦りきず,かききずから成り立っている。ともに硬いものが軟らかい
ものを削る作用を伴うことから切削摩耗の異名もある。
三元摩耗では,潤滑油中に入ったじんあい(塵埃),砂,鋳造スケール,溶接の飛散物,研磨粉,軸受又
は歯車から出た摩耗粉が歯車にかみ込まれ,ときには歯面に埋め込まれこれが相手の歯面を削るようにな
る。したがって,軟らかい歯面に異物が埋め込まれ,硬い側の歯車の歯面が摩耗するといった現象も生じ
る。また,粒子が極めて小さいときは目立ったきずは見えず,歯面は鈍い光沢のある外観を示すが,この
場合も拡大すると無数のかききずが見える。
図17−アブレシブ摩耗の例 [1]
図17は,アブレシブ摩耗が進行したはすば歯車で,作用歯面だけ摩耗が進行し,歯先の厚さがなくなり
とが(尖)っている。歯面は比較的滑らかであるが,歯たけ方向に無数の線条傷が生じており,かつ,そ
れと直角にピッチ点位置(ピッチ円筒と歯面の交線)が明瞭に観察できる。歯の左端に非かみ合い部が運
転前の状態のまま残っており,摩耗面との対比から摩耗量が分かる。
――――― [JIS B 0160 pdf 22] ―――――
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2.3.4
凝着摩耗(adhesive wear)
しゅう動しあう2歯面が凝着,引きがしを繰り返しながら生じる摩耗。
歯面が初期状態よりひどく荒れ,その状態も不規則なきず跡を形成することが多い。
軽度な場合は,しゅう動方向にひっかききず状の線が目立ち,スクラッチングと呼ぶ。接触条件が過酷
になるにつれ,線条きずの幅が大きくなったり,不規則,又は境界が分からなくなるようになる。この状
態を凝着摩耗という。ときには線条きずが発達し,アブレシブ摩耗によく似ている場合があるが,アブレ
シブ摩耗はピッチ点をくっきりと浮かび上がらせるのに対し,凝着摩耗はピッチ点周辺で摩耗量が減るた
め,それほど鮮明でなく,ぼやけて見える。
図18−凝着摩耗の例1 [1]
図18は,低速高荷重で使用された歯車に生じた凝着摩耗の例である。ピッチ点から歯先又は歯元に向か
うほど摩耗が激しい。その変化からピッチ点が線状になって見受けられるが,その太さ及び境界が一定し
ていない。この歯面はこの後も同様な状態を呈しながら摩耗し続ける。
――――― [JIS B 0160 pdf 23] ―――――
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図19−凝着摩耗の例2
図19は,運転中にポンプが故障して潤滑油が供給されなかったために生じた凝着摩耗の例である。油が
焦げ付いた状態になり,しゅう動きずは目立たない。摩耗粉が飛び散り,その中に針状の摩耗粉が混在す
る。この針状の摩耗粉は,歯先りょう(稜)に付着したままのものが見られることもある。
――――― [JIS B 0160 pdf 24] ―――――
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2.3.5
摩滅(wear out)
歯面の摩耗が進行し,歯がすり減って正常なかみ合いが行われなくなったり,歯厚が過小になり使用で
きなくなる現象。
摩滅に至る摩耗の種類は問わない。
図20−摩滅の例 [1]
図20の例は,まがりばかさ歯車の歯が摩滅してなくなり,空転したものである。
――――― [JIS B 0160 pdf 25] ―――――
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JIS B 0160:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10825:1995(MOD)
JIS B 0160:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.200 : 歯車
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.21 : 機械的システム及び構成要素(用語集)