JIS B 0160:2015 歯車―歯面の摩耗及び損傷―用語 | ページ 7

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2.3.7.2
フレッチングコロージョン(fretting corrosion)
負荷を受けて接触している2面間で,微小な相対運動が繰り返されるときに生じる表面損傷。
歯車形軸継手,スプライン又は歯車周辺のはめあい部でよく見られる。
赤褐色をした酸化粉(ココアと通称している。)を伴う。時間とともに進行するので,そのぶん母材がや
せ細る。発生した微粉末は接触域にそのまま残り,そのアブレシブ作用で接触面の劣化を一層加速する。
付着している摩耗粉を取り除くと,焼けただれたケロイド状の表面の現れることが多い。ときにはその
面に亀裂が見られることもある。
図24−フレッチングコロージョンの例
図24は,歯車形軸継手の内歯車歯面に生じたフレッチングコロージョンの例である。図の左の方にある
歯面の下側,歯幅の6割程度の滑らかに見える領域で損傷が進行しており,そのため歯厚が薄くなってい
る。この状態になると,摩耗は継続して進み,ついには歯が完全になくなってしまい,空転するようにな
る。

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2.3.7.3
キャビテーションエロージョン(cavitation erosion)
潤滑油中に発生するキャビテーション気泡が,油流の流体力学的圧力の急激な変化によって高速で崩壊
し,それに伴って発生する衝撃圧力によって歯面の一部が脱落する現象。
歯面全体が一様に摩耗する場合が多いが,潤滑方法によっては局所的に生じることもある。歯面全体が
サンドブラスト処理をしたようになることもある。損傷面は一見荒々しかったり滑らかだったりするが,
その面も顕微鏡観察すると,キャビテーションによって穴が蜂の巣状になったり,粒々の変化の激しい面
になっているのが分かる。
a)
b)
図25−キャビテーションエロージョンの例
図25 a) は,大歯車に発生したキャビテーションエロージョンの例である。歯面が梨地状をなしている。
図25 b) は,図25 a) の損傷面を拡大したSEM(走査電子顕微鏡法)像である。ちょうどサンドブラス
ト処理をしたように見える。

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2.3.7.4
流体エロージョン(hydraulic erosion)
微粒子を含んだ潤滑油が歯車に供給された場合に,油中のこれら異物が歯車に衝突することによって発
生するアブレシブ摩耗。
給油ノズルと関連した場所に発生しやすい。多くは歯の頂部だけが損傷し,その場合歯車に実害はない。
しかし,潤滑油中に異物を含んでいるので,歯面にアブレシブ摩耗を起こさせる可能性のあることを示し
ており,コンタミネーション対策が望まれる。
図26−流体エロージョンの例
図26は,高速運転をしている歯車の歯先付近に生じた流体エロージョンの例で,発生位置は給油ノズル
の位置に一致している。

――――― [JIS B 0160 pdf 33] ―――――

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2.3.7.5
電食(electric corrosion)
かみ合っている歯面間に生じた火花放電に起因する損傷。
電食の発生は,運転中,全歯に同じように発生する場合もあれば,停止中にある特定の歯だけに生じる
こともある。
最も一般的な症状は,多数の小さなピットが広がるもので,ピットを拡大してみると,半球状のクレー
タをなし,その表面は滑らかで溶けた跡をしており,結晶組織が崩れている。クレータ周辺に亀裂が入る
こともある。そのほかの症状として,焼けたようになり,テンパカラーが見られる場合,激しい摩耗を伴
う場合などがある。
大電流が流れた場合,歯面の広範囲にわたって溶融し,スカッフィングを発生したような様相になるこ
ともある。
図27−電食の例
図27は,電食がひどく進行している歯面の例で,大電流が通過したか,又は長時間流れたためと考えら
れる。白く斑点模様の重なったところが電食で,1個を拡大すると火山の噴火口に似ており,更に拡大す
ると,一旦溶融したことによって表面が滑らかになっているのが観察される。

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2.3.7.6
スケーリング(scaling)
熱処理工程で酸化によって歯面にできた酸化物層(スケール)が離すること。
スケールは,一般にまだらに盛り上がっているので,負荷運転すると,最初にこれらの歯面の突起部が
当たり,力を伝えるので,スケール部ががれ,急速に金属光沢を呈するようになる。
このスケールが潤滑油中の異物となり,アブレシブ(三元)摩耗を進展させることがある。
図28−スケーリングの例
図28は,はすば小歯車の歯面に生じたスケーリングの例である。歯面の白い部分がスケールが離して
金属光沢をなしている部分である。

――――― [JIS B 0160 pdf 35] ―――――

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JIS B 0160:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10825:1995(MOD)

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