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としてブロックゲージ又はステップゲージの選択である。後者の例は,要求される検査条件内
の周囲温度の選択である。
注釈2 検査要領が,検査における測定量を規定する場合に,規定が必要となる。例えば,反復測定を
指定するときの測定回数である。
注釈3 検査では,代替案及び規定を同時に適用することがある。例えば,検査装置は,検査依頼者の
判断(代替案)で選択された限られた数の構成(規定)で指示測定器に適用される。
注釈4 代替案は,二つの目的に役立つ。
1) 実際の条件に合わせる。例えば,実際の検査環境に適応するために要求される代替検査装
置,又は実際の検査環境に対応するための要求検査条件内の任意の環境条件。
2) 検査時まで決定できなかった詳細仕様がある場合は,それを保留にする。機器の不合格を
避け,全体にわたって合致している指示測定器を提供するために指示測定器製造業者にこ
れを奨励する。例えば,幾つかの手順の詳細は,検査依頼者に任せることを検査時に決め,
指示測定器製造業者には,任意の対応可能な手順の選択肢の対応を要請することとしても
よい。
3.4
検査測定量(test measurand)
検査要領によって定義された単一の許容可能な検査設定に基づいて,検査において検証されることが意
図された指示測定器の計測特性
注釈1 検査要領では,複数の許容可能な検査設定に対応するために,実際の状況に適応したり,実験
の労力を制限してもよい。検査測定量は,それぞれの単一の検査設定に対して定義され,異な
る許容可能な検査設定によっては,異なる検査測定量となる場合がある。
3.5
検査要領(test protocol)
検査測定量,要求された検査条件及び判定基準を定義する検査の所定の詳細な仕様
注釈1 検査要領は,関連する規格によって定義されるか,又は利用可能なものがない場合には,検査
実施者又は検査依頼者によって定義される。
注釈2 検査実施者及び検査依頼者は,検査の前に検査要領に合意しなければならない。
注釈3 既定の判定基準は,JIS B 0641-1で与えられている。代替の判定基準の定義については,JIS B
0641-1の附属書JAを参照。
注釈4 明確な検査要領は,検査の有効性にとって重要である。特に,許容可能な検査設定の定義は,
検査の完全性と実用的で経済的な実行可能性との間のトレードオフを構成する。
注釈5 JIS B 0641-1の既定の判定基準は,詳細な検討が行われているので,この場合,検証は確実な
証明となる。
3.6
測定された検査指示値(measured test indication)
検査指示値処理手順による検査値に寄与する,検査で行われた測定結果
注釈1 検査値は,検査要領で規定されているように,単一又は複数の測定された検査指示値のいずれ
かに基づいてもよい。
3.7
検査指示値処理手順(test operator)
――――― [JIS B 0641-5 pdf 6] ―――――
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検査値を導出するために事前に定義された,検査で収集し測定された検査指示値に適用される数学的又
は統計的演算の処理手順
注釈1 それぞれの検査値は,検査指示値処理手順に応じて提供される。複数の検査値を生じる検査の
場合(3.8の注釈4参照),同数の検査指示値処理手順が必要である。
注釈2 処理手順における演算は,四つの広範なカテゴリ,すなわち,外れ値除去,雑音低減,統計処
理,及び他の数学的演算に分割することがある。
− 外れ値除去の例 :
1) 検査で収集し測定された検査指示値の99パーセント点を超える検査指示値を破棄す
る。
2) 測定された検査指示値が,仕様を満たさない場合が2 %以下の場合,これらの測定を
3回繰り返す。
− 雑音低減の例 :
1) 反復測定値の中央値をとる。
2) (空間)周波数分析を実行すること,及び所定のしきい(閾)値を超える全ての波長
を破棄する。
− 統計処理の例 :
1) 検査で収集し測定された検査指示値の絶対値の平均値をとる。
2) 検査で収集し測定された検査指示値の絶対値の最大値をとる。
− 他の数学的演算の例 :
1) 測定された検査指示値として得られた座標に関連する最小二乗球,及び球中心に対す
る各測定された検査指示値として得られた座標からの個々の距離を計算する。
2) 線上の走査で得られ,測定された検査指示値の平均を計算する。
3.8
検査値(test value)
検査測定量の大きさを推定する検査で測定された量値
注釈1 検査値は,測定された検査指示値に基づいており,検査指示値処理手順に従って導出される。
注釈2 検査値は,検査要領で制限されており,通常,指示測定器の性能を完全に捕捉できるわけでは
ない。
注釈3 検査値は,検査指示値処理手順に従って,測定された幾つかの検査指示値から導出される場合
がある。
注釈4 検査は,二つ以上の検査値をもたらすことがある。例えば,検査は,最大許容誤差が設定され
る指示測定器の幾つかの計測特性を扱うことがあり,その結果,多くの検査値が得られる。
注釈5 図1は,単一の最大許容誤差を用いた検査の事例を示す。また,検査において最大許容誤差が
複数存在する場合は,項目3項目7を繰り返す。
注釈6 比較する最大許容誤差が設定されていない場合がある。この場合,項目5項目7は省略され,
検査は検査値の決定で終了する。
――――― [JIS B 0641-5 pdf 7] ―――――
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図1−検査の概要
3.9
検査値不確かさ,検査不確かさ(test value uncertainty, test uncertainty)
検査値に付随した測定不確かさ
注釈1 検査値不確かさは,検査中の指示測定器の性能の尺度ではない。性能は,検査値によって捕捉
される。
注釈2 検査値不確かさは,判定基準の適用において一般的に使用される。
注釈3 検査装置を提供及び使用する検査実施者が検査値不確かさを管理し,その責任を負う。検査依
頼者が代替検査装置を提供している場合は,7.4を参照。
注釈4 検査値不確かさは,許容可能な検査設定において検査値が一意でない可能性があるため,定義
における不確かさは含まない。検査要領の合意によって,その検査は,任意の許容可能な検査
設定に対して有効であり,それぞれに固有の検査測定量が適用される(3.4の注釈1参照)。
注釈5 検査値不確かさは,計測特性を評価する際の検査要領の有効性及び異なる許容可能な検査設定
に対する検査値の再現性を明示するわけではない。
3.10
検査装置(test equipment)
検査に使用する測定システム及びその附属品(検査対象の指示測定器及びその認定された附属品を除
く。)
例1 マイクロメータの検査において,検査装置はブロックゲージの組合せ。
例2 座標測定機の検査において,検査装置は支持体を含んだ校正された検査長さ及び校正された球体。
3.11
検査対象関連の入力量(instrument-related input quantity)
指示測定器に関連する検査値に影響を及ぼす入力量
――――― [JIS B 0641-5 pdf 8] ―――――
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例1 指示測定器の温度分布並びにその空間的及び時間的勾配。
例2 検査装置のおもり(錘)の負荷によって誘起される指示測定器の変形によるひずみ分布。
3.12
検査装置関連の入力量(test equipment-related input quantity)
検査装置に関連する検査値に影響を及ぼす入力量
例1 検査装置の温度分布並びにその空間的及び時間的勾配。
例2 検査中に発生する指示測定器に対する検査装置の位置ずれ(ドリフト及び揺動),及び固定による
検査装置のひずみ。
注釈1 検査における測定の役割は,指示測定器の場合と測定物の場合とで逆になる(何を測定するか
については,序文を参照)。測定物の測定の場合,既知の精度をもつ指示測定器は,測定物の未
知の特性を測定する。しかし,この規格では,未知の精度をもつ指示測定器の検査値を測定す
るために,既知の精度をもつ検査装置が使用される。そこで,検査装置関連の入力量は影響量
(JIS Z 8103:2019の3.3の302参照)であり,検査対象関連の入力量は影響量ではない。
3.13
検査実施者(tester)
測定器の適合性検査を実施する関係者
3.14
検査依頼者(tester counterpart)
測定器の適合性検査を依頼する関係者
注釈1 測定器の受入検査では,検査依頼者は,顧客又は供給者のいずれかで,第三者が代表する場合
もある。
注釈2 定期検査では,検査依頼者は使用者であり,第三者が代表する場合もある。
3.15
検査実施者の責任基準(tester responsibility criterion)
検査実施者によって直接的又は間接的に入力量が管理される場合にだけ,入力量を検査値不確かさ成分
として含むことを示す基準
注釈1 検査実施者の直接制御の下での不確かさ成分の例は,検査装置の温度安定化及び設定である。
注釈2 検査実施者の間接制御の下での不確かさ成分の例は,検査装置の校正不確かさ及び設定である。
これらの値が検査実施者ではなく測定器の校正機関によって決定される場合であっても,検査
実施者は,代替案が許可されるときにいずれの装置及びいずれの校正機関を使うかを選択する
ことによって,それらを間接的に制御することになる。
3.16
使用者が提供する量値(user-provided quantity value)
指示測定器が設計どおりに機能するのに要する,通常動作中の指示測定器の使用者によって提供される
量値
注釈1 指示測定器は,予測された系統的影響を補償するために使用者が提供する量値を使用する。例
えば,測定物及びアーティファクトの使用者が提供するCTE(熱膨張係数)が,その熱膨張を
補正するために使用される。
注釈2 全ての指示測定器が,使用者が提供する量値を必要とするわけではない。
――――― [JIS B 0641-5 pdf 9] ―――――
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B 0641-5 : 2021
注釈3 既定値は,使用者が提供する量値に割り当ててもよく,使用者は,既定値を認識しないことも
ある。例えば,注釈1で使用者が提供するCTEは,使用者が積極的に他の量値を入力しない限
り,実際の補正のために使用されているCTEは,典型的な鉄のCTEである11.5×10−6 K−1に
設定されている場合がある。
注釈4 例えば,指示測定器のソフトウェアインタフェースなどで,あらかじめ定義された値又は事例
の一覧の中から,使用者が提供する量値を選択してもよい。
注釈5 検査実施者は,使用者が提供する量値(ある場合)を用意することが求められる。
4 指示測定値の検査不確かさ
JIS B 0641-1は,仕様が測定物に対応するか,又は指示測定器に対応するかにかかわらず,仕様への適
合(又は不適合)の検証を一様に扱う。公差(測定物)及び最大許容誤差(測定機器)の用語を除き,二
つの場合に差異はない。この一貫性は,統一されたアプローチを提供するので,非常に価値がある。両方
の場合において,判定基準は,その本質的な部分である測定不確かさに基づいている。
測定物を検査する際の測定不確かさの評価は,単純ではないが,概念的に理解しやすい。仕様が決めら
れ,検査される項目は,測定物の一つ以上の形体を示す寸法又は幾何特性である。製品の幾何特性仕様の
規格は,形体の特性を指定するための,高度で詳細かつ明確な言語的,記号的,及び概念的ツールの設定
を提供する。検査に必要な全ての情報は,測定物仕様として,例えば,技術図面に含まれる。検査実施者
は,所与の部位が仕様に適合するかどうかを検査するために,幾つかの測定機器と技術とを(例えば,経
済性に基づいて)選択することが可能である。全ての代替の検査方法は,それぞれの異なった不確かさの
範囲内で同じ検査値を提供することが意図されている。
指示測定器を検査する際の測定不確かさの評価は単純であるが,概念的に簡単ではなく,慎重な検討が
必要である。ここでの検査の目的は,指示測定器の計測特性を評価することである。非常に簡単な指示測
定器の場合でさえ,考えられる測定作業は多くあり,複雑な指示測定器(例えば,座標測定機)の場合,
それらは事実上無限にあり得る。さらに,環境は,性能に影響を及ぼしながら,必要とされる検査条件に
わたって変化する可能性がある。異なる許容可能な検査設定は,異なる検査値をもたらす。原理的には,
全ての可能な測定作業及び環境条件で検査するのがよいが,これは通常不可能であり,経済的に実行可能
ではない。
検査を実行可能にし,明確に定義され,価値のあるものにするためには,検査要領が必要である。検査
要領は,検査測定量及び検査を実行するために必要な要求事項,例えば,測定手順,検査装置などを指定
する。検査要領は,完全性と経済的な実行可能性との間のトレードオフにあり,多くの場合,最大許容誤
差の決定に含まれる変数の全範囲をカバーしていないことは明白である。経済的な理由による適用範囲の
不足を補うために,検査要領は,時には,受入検査のための幾つかの手順の種類を考慮に入れ,購入者が
検査の時点で一つを選択する自由を残してもよい。このようにして,指示測定器製造業者は,手順の種類
の中の任意の手順に対して適合した指示測定器をもつことを奨励される。良好な検査要領は,限られた労
力及び費用で指示測定器の性能の大部分を網羅する。
一旦,当事者が検査要領の使用に同意すると,そこに記載された代替案及び任意の組の規定が許容され
る。次に,様々な許容可能な検査設定から生じる検査値の変動性が検査値不確かさにおいて考慮されるべ
きかどうかの問題が生じる。例えば,検査要領が制限された回数の測定を課す一方で,より多くの測定が
異なった検査値をもたらす場合,この変動性が検査値不確かさの一部であるかどうかの問題が生じる。
この規格の箇条5箇条7は,この問題に対処し,検査値不確かさ成分として,どれを考慮して,どれ
――――― [JIS B 0641-5 pdf 10] ―――――
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JIS B 0641-5:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14253-5:2015(MOD)
JIS B 0641-5:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.040 : 線及び角度の測定 > 17.040.40 : 製品の幾何特性仕様(GPS)
JIS B 0641-5:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0641-1:2020
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―製品及び測定装置の測定による検査―第1部:仕様に対する合否判定基準
- JISB0642:2010
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―測定器の一般的な概念及び要求事項
- JISB7440-1:2003
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第1部:用語