JIS B 1562:2021 転がり軸受―損傷及び故障―用語,特性及び原因 | ページ 9

                                                                                            39
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.2.4.1.3 アンギュラ玉軸受の内輪軌道面の接触腐食
故障原因
− 水分が混入した状態で軸受を使用した。
対策
− 軸受及び水分が混入した潤滑剤を交換する。
− 組込み時に,シールにきずをつけていないかを
確認する。
− シールを交換する,シールの選定を見直して密
封性を向上する,又は潤滑剤の供給頻度を増や
す。
A.2.4.1.4 円すいころ軸受の内輪軌道面のころピッチ間隔での接触腐食
故障原因
− 水,酸などの腐食性物質の侵入。
− 結露
− 適切でない包装及び保管条件。
対策
− 密封性の改善。
− 長期間使用しない場合には防せいを行う。
A.2.4.2 フレッチング
A.2.4.2.1 円筒ころ軸受の内輪内径面の全周のフレッチング
故障原因
− 内輪と軸との間のしめしろが十分でない。
対策
− かかる荷重を考慮して,適切なはめあいを選定
する。
− 軸との接触部での表面粗さの影響を考慮する。

――――― [JIS B 1562 pdf 41] ―――――

           40
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.2.4.2.2 玉軸受の内輪内径面のフレッチング
故障原因
− 十分でないしまりばめ。
− 内輪と軸との間に繰り返し生じた微小な滑り。
対策
− しめしろを増やす。
− はめあい面に(潤滑性の優れた)表面処理を施
す。
A.2.4.2.3 自動調心ころ軸受の外径面のフレッチング
故障原因
− 重荷重がかかった状態での微小運動。
対策
− フレッチング防止剤を,はめあい面に塗布する。
− はめあい面に(潤滑性の優れた)表面処理を施
す。
A.2.4.2.4 深溝玉軸受外径面のフレッチング
故障原因
− 重荷重がかかって変形した。
− ハウジング内径面の摩耗。
対策
− かかる荷重を減らすか,ハウジング又はシステ
ムの剛性を高める。
− ハウジングの点検保全を定期的に行う。
− ハウジングを交換又は修理する(軸受製造業者
のアドバイスを受ける)。
− はめあいの改善。

――――― [JIS B 1562 pdf 42] ―――――

                                                                                            41
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.2.4.2.5 深溝玉軸受内輪側面のフレッチング
故障原因
− 運転中の振動による内輪と(軸に固定している)
相手側の部品との間の微小運動
対策
− 軸方向に締め付けて固定する。
− フレッチング防止剤を接触表面に塗布する。
A.2.4.3 擬似ブリネル圧痕
A.2.4.3.1 アンギュラ玉軸受内輪軌道面の擬似ブリネル圧痕
故障原因
− 軸受の輸送中の振動による内輪と外輪との間の
相対的な動き。
対策
− 輸送中に内輪と外輪との間の相対的な動きが発
生することを避ける。
− 可能であれば,軸受に予圧を与える。
A.2.4.3.2 深溝玉軸受内輪軌道面の擬似ブリネル圧痕
故障原因
− 装置停止(待機)中の振動。
対策
− 軸受が受ける振動を減らす。
− 軸受に予圧を与える。
− 軌道面に表面処理を施す。

――――― [JIS B 1562 pdf 43] ―――――

           42
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.2.4.3.3 針状ころ軸受内輪軌道面の擬似ブリネル圧痕
故障原因
− 装置が停止している軸受が振動を受け,ころと
接触する軌道面に,ころピッチ間隔での跡がつ
いた。
対策
− 定期的に軸受を回転させる。
− 軸受が受ける振動を減らす。
− 軸受に予圧を与える。
− 表面処理を施す。
A.2.4.3.4 円筒ころ軸受外輪軌道面の擬似ブリネル圧痕
故障原因
− 停止(待機)状態の軸受が振動を受け,ころと
接触する軌道面に,ころピッチ間隔での跡がつ
いた。軸受の停止のたびに,軌道面についた跡
とは異なる位置で振動を受けることが繰り返え
され,幾つかの組のピッチ間隔での跡がついた。
対策
− 適切な装置設計によって,振動を減らす。
− 適合する潤滑を採用する。
− 軸受形式の変更を検討する。
A.2.5 電食
A.2.5.1 過大電流による電食
A.2.5.1.1 深溝玉軸受外輪軌道面のクレータ
故障原因
− 過大電流の通過によって,軌道面及び玉にクレ
ータが発生。
対策
− 装置又は軸受の電流に対する絶縁を的確に行
う。
− 例えば,電気溶接などを行うときは,装置に適
切なアースを施す。

――――― [JIS B 1562 pdf 44] ―――――

                                                                                            43
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
A.2.5.1.2 円すいころの電食クレータ
故障原因
− 静止している軸受について,適切なアースを施
していない。
対策
− 溶接時又は電源取得時に,適切なアースを施す。
− 溶接又は電源に対して,適切に軸受を絶縁する。
A.2.5.2 電流漏れによる電食
A.2.5.2.1 深溝玉軸受内輪·外輪軌道面のフルーチング(ウォッシュボーディング)
故障原因
− 比較的軽微な電流の通過によって,軌道面の転
走部にフルーチングが発生。フルーチングのへ
こ(凹)みの底面は暗色に,玉はくすんだ灰色
に変色する。
対策
− 絶縁していることを確認する。
− 適切なアースを施す。
− 電気を絶縁する軸受,又はセラミック転動体を
使用しているハイブリッド軸受を使用する。
注記 ハイブリッド軸受とは,軌道輪若しくは軌道盤,又は転動体にセラミックスを使った軸受を
示す。
A.2.5.2.2 円筒ころ軸受内輪軌道面及びころの電流漏れによるフルーチング
故障原因
− 内輪と外輪との電位差によって,内輪ところと
の接触部の薄い潤滑油膜部分での電流の通過に
よって,アーク放電及び変色が発生した。
対策
− 絶縁しているかを確認する。
− 適切なアースを施す。
− 電気を絶縁する軸受を使用する。

――――― [JIS B 1562 pdf 45] ―――――

次のページ PDF 46

JIS B 1562:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15243:2017(IDT)

JIS B 1562:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 1562:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB0104:1991
転がり軸受用語