JIS B 1585-1:2017 滑り軸受―つば付き及びつばなし薄肉半割り軸受―第1部:公差,設計及び検査方法 | ページ 5

                                                                                             19
B 1585-1 : 2017

9 組立つば付き薄肉半割り軸受の機能及び特性

9.0A 一般

  この箇条では,組立つば付き薄肉半割り軸受について規定する。組立つば付き薄肉半割り軸受は,通常
2枚のスラストワッシャと1個の薄肉半割り軸受とを23か所の凹凸部で組み合わせた構造をしている。
スラストワッシャの凸部が薄肉半割り軸受の凹部に固定状態ではなく可動状態に組み合わされ,必要に応
じてかしめなど(の局部変形工程)が施される。その結果,スラストワッシャは,薄肉半割り軸受の軸方
向に可動できるよう組み立てられている(図22参照)。組立つば付き薄肉半割り軸受は,必要性及び機能
の重要性に基づき,三つのタイプに分類する(9.2参照)。
図22−組立つば付き薄肉半割り軸受の構造

9.1 特長

  組立つば付き薄肉半割り軸受の特長は,次による。
a) 組立つば付き薄肉半割り軸受は,ラジアル力及びスラスト力を同時に負荷することができるつば付き
薄肉半割り軸受の機能を“一体つば付き薄肉半割り軸受”と同様にもつ。
b) 組立つば付き薄肉半割り軸受は,スラストワッシャと薄肉半割り軸受を分離してエンジンに組み付け
るスラストワッシャ分離タイプとは異なり,スラストワッシャが薄肉半割り軸受と組み合わされた一
体の軸受である。また,エンジンへの組付け時スラストワッシャの脱落のおそれがなく,組付工程で
の作業性がよい。さらに,(自動機械などによる)自動組付けにも適している。
c) 組立つば付き薄肉半割り軸受におけるスラストワッシャは,一体つば付き薄肉半割り軸受とは異なり,
スラストワッシャ部が薄肉半割り軸受に対して可動状態にあるため,スラスト力が作用したとき,ス
ラストワッシャが軸方向に移動し,ハウジングの側面に密着することができる。そのため,スラスト
しゅう(摺)動面とクランクシャフトスラスト面との当たりがよく,分離タイプ軸受の単独のスラス
トワッシャと同様に安定したスラスト負荷能力をもつ。
d) 組立つば付き薄肉半割り軸受は,一体つば付き薄肉半割り軸受とは異なり,薄肉半割り軸受及びスラ
ストワッシャに対して,必要に応じてそれぞれ使用条件にあった別々の軸受材料を適用できる。
e) 一体つば付き薄肉半割り軸受の寸法及び形状は,塑性変形工程を伴う成形機械の製造能力に制限を受
ける場合が多い。“組立つば付き薄肉半割り軸受”では“一体つば付き薄肉半割り軸受”とは異なり,

――――― [JIS B 1585-1 pdf 21] ―――――

20
B 1585-1 : 2017
スラストワッシャの外径寸法の製造上の自由度が高い。また,スラストワッシャの油溝なども設計上
の自由度が高い。
f) 組立つば付き薄肉半割り軸受は,スラストワッシャが薄肉半割り軸受と組み合わされた一体軸受であ
るため,スラストワッシャ分離タイプに必要とされるスラストワッシャのための回り止め機構及びハ
ウジング側の座ぐり加工を省略できる。

9.2 分類

  組立つば付き薄肉半割り軸受が機能を発揮するには,次の点が重要である。
a) スラストワッシャが薄肉半割り軸受から脱落しない。
このため薄肉半割り軸受の張りを利用してスラストワッシャの凸部を薄肉半割り軸受の凹部に引っ
掛けるものがある。その他,これら凸部凹部それぞれの一部にかしめなどが施され脱落を防止するも
のがある。
b) スラストワッシャは軸方向に自由に可動する。
組立つば付き薄肉半割り軸受がエンジンに組み付けられた状態で,スラストワッシャは自由に軸方
向に可動し,またスラスト力が作用したときに,ハウジング側面に均一に接触することができる。
c) スラストワッシャが軸方向に自由に動く範囲で,ハウジングの内径部又はクランクシャフトのすみ半
径部と干渉しない。
このため薄肉半割り軸受とd)のタイプのスラストワッシャとの内径の移行部にてR面取りが適用さ
れることがある(図12参照)。また,薄肉半割り軸受にスラストワッシャを組み付けた後,組合せ部
背面に座ぐり加工をするものがある。
d) 組立つば付き薄肉半割り軸受はおおよそ表5の3種類に分類され,おのおの必要性及び重要性によっ
て使用するタイプが選択される。
表5−組立つば付き薄肉半割り軸受の分類
タイプA タイプB タイプC
組立後の機械加工 なし なし あり
組立後のコーキング なし あり あり

9.3 組立つば付き薄肉半割り軸受の機能を保証するための確認項目

  組立つば付き薄肉半割り軸受の機能を保証するための確認項目は,次による。
a) ハウジングに取り付けるときの作業性 ハウジングにスムーズに製品を組み付けられるようにするた
めに,ハウジング幅寸法の上限側のジグに組み付けたとき,つば間の寸法がハウジング幅寸法の上限
側より大きくなる。
b) スラストワッシャを含む全幅 組立つば付き薄肉半割り軸受をハウジング幅寸法の上限側のジグに組
み付けたときに,軸受の軸方向の幅寸法は軸方向に力を与えた状態で測定する。測定値は,クランク
シャフトとの適切なサイドクリアランスを確保するため,図面上の最大幅寸法以内であることを確認
する。測定方法は,図21を参照する。
c) スラストワッシャのハウジング上における軸方向の自由移動 組立つば付き薄肉半割り軸受をハウ
ジング幅寸法の下限側のジグに組み付けたときに,軸方向に力を与えた状態で,スラストワッシャが
可動し,ジグ側面に均一に接触することができる。

――――― [JIS B 1585-1 pdf 22] ―――――

                                                                  附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
ISO 3548-1:2014,Plain bearings−Thin-walled half bearings with or without flange−Part
JIS B 1585-1:2017 滑り軸受−つば付き及びつばなし薄肉半割り軸受−第1部 :
公差,設計及び検査方法 1: Tolerances, design features and methods of test
(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと(V) JISと国際規格との技術的差
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 番号 の評価
3 用語及び − − 追加 ISO規格では該当する箇条はない JIS利用者の理解を助けるために
定義 が,JISでは“用語及び定義”の箇 追加したもので,実質的な差異は
条を設け,JIS B 0162-1及びJIS B ない。
0163-2によることを記載した。
4 記号及び 表1に量記号及び 3 ISO規格ではTable 1に 変更 添字はその内容を反映しているものISO規格の見直しの際に提案を
単位 単位の一覧を記 おいて,Outside chamfer が好ましい。一般に外径に関するも検討する。
載。 をC1,Inside chamferを のはoを,内径に関するものはiを
C2としている。 使用している。それに合わせ,C1,
C2をそれぞれCo,Ciとした。これに
伴い,図9及び表4の該当箇所も変
更した。
図1につばなし薄 JISとほぼ同じ 変更 図1において,符号2,3,4,5の位 ISO規格の見直しの際に提案を
肉半割り軸受の図 置を明確にするために,拡大図を追検討する。
を記載。 加した。また,s3が示す寸法をs1及
びs2との対比で明確にするため表示
位置を変更した。
B1 585-
1 : 2017
6

――――― [JIS B 1585-1 pdf 23] ―――――

                                                                                                                                              B1
6
(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと(V) JISと国際規格との技術的差
5
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
85-
1
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
: 2
及び題名 番号 の評価
01
5 寸法及び つば付き及びつば 4 ISO規格ではTable 2に 変更 50 mm以下のとき0.03 mm,80 mm ISO規格の見直しの際に提案を
7
公差 なし半割り軸受の おいて,ハウジング内径 を超え120 mm以下のとき0.04 mm 検討する。
寸法,公差及び許 が50 mmを超え80 mm であることから0.035 mmの誤記と
容差について規 以下のときのクラッシ 判断し,0.045 mmを0.035 mmに変
定。 ュの許容差を0.045 mm 更した。
と記載している。
ISO規格ではTable 2に 変更 50 mm以下のとき0.8 μm,80 mmをISO規格の見直しの際に提案を
おいて,ハウジング内径 超え120 mm以下のとき0.8 μmであ検討する。
が50 mmを超え80 mm ることから0.8 μmの誤記と判断し,
以下のときの軸受背面 1.2 μmを0.8 μmに変更した。
の粗さパラメータRaを
1.2 μmと記載している。
ISO規格ではTable 2に 変更 5 mmが重複しており5,6,8の誤 ISO規格の見直しの際に提案を
おいて,ハウジング内径 記と判断し,真ん中の5 mmを6 mm 検討する。
が250 mmを超え315 に変更した。
mm以下のときの肉厚
の好ましい基準寸法と
して5,5,8 mmが記載
されている。
5.2 薄肉半割り軸 4.2 ISO規格では箇条のタ 変更 本文に“軸受背面及び滑り面の粗さ本文の内容に合わせてタイトル
受の肉厚,内径及 イトルに“粗さパラメー パラメータ”についても表2に掲載 を変更したもので,実質的な差異
び粗さパラメータ タ”が含まれていない。 する旨記載されているので,粗さパはない。
ラメータを追加したタイトルにし
た。

――――― [JIS B 1585-1 pdf 24] ―――――

     (I)   JISの規定                (II)国際  (III)国際規格の規定          (IV)   JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと(V)   JISと国際規格との技術的差
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 番号 の評価
6 設計要素 設計要素の公差及 5 ISO規格ではFigure 5及変更 JISでは寸法b3の起点を周方向溝の 寸法の起点を明確にした。ISO規
び許容差について び6の寸法b3の起点を 軸方向つめ側の端部とした。 格の見直しの際に提案を検討す
規定。 周方向溝の中央にして る。
いる。
ISO規格ではFigure 7に削除 寸法b4の意味するところが不明であISO規格の見直しの際に提案を
寸法b4が規定されてい るため,JISでは寸法b4に関連する 検討する。
る。 記載を図及び図の説明文から削除し
た。
ISO規格ではFigure 12 変更 寸法b5については既に図7において ISO規格の見直しの際に提案を
に寸法b5が規定されて 規定されている。図7の寸法b5とは 検討する。
いる。 異なる部分の寸法であるためJISで
は図中及び図の説明文のb5をb6に
変更した。
ISO規格ではFigure 12 削除 文章の意味するところが不明であるISO規格の見直しの際に確認す
の図の説明文に“Oil ためJISでは削除した。 る。
groove depth···.”なる記
載がある。
ISO規格ではFigure 13 変更 ISO規格に記載の図はFigure 22に記ISO規格の見直しの際に提案を
に重ね取りスラストワ 載された組立つば付き薄肉半割り軸検討する。
ッシャの図が記載され 受に用いる重ね取りスラストワッシ
ている。 ャの形状を反映していない。JISで
はこれを反映した図とするとともに
重ね取り状態を示す図とした。
ISO規格ではFigure 14 変更 角度αについては既に図4において ISO規格の見直しの際に提案を
にαが規定されている。 規定されている。図4の角度αとは 検討する。
異なる角度を表すものであるためα
B1
をβに変更した。
5
ISO規格ではFigure 15 変更 B1がつばなし薄肉半割り軸受の幅でISO規格の見直しの際に提案を
85-
につばを二点鎖線で記 あること及びデータムの位置から,検討する。
1 : 2
載している。 つばの記載は不要と判断し,削除し
0
た。
17
6

――――― [JIS B 1585-1 pdf 25] ―――――

次のページ PDF 26

JIS B 1585-1:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3548-1:2014(MOD)

JIS B 1585-1:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 1585-1:2017の関連規格と引用規格一覧