JIS B 1585-3:2017 滑り軸受―つば付き及びつばなし薄肉半割り軸受―第3部:周長の測定 | ページ 4

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ライン用測定ブロックの摩耗は,初期状態の補正量Ccor,chs,newと摩耗状態の補正量Ccor,chs,wornとの差が,
表12に示す値以下がよい。

12 マスターシェル及び基準軸受の必要事項

12.1 マスターシェルの必要事項

12.1.0A   一般
必要事項の事例として示すが,国内の運用実態と異なる。
なお,詳細は,受渡当事者間の協定によってもよい。
マスターシェルの基本寸法は,検査する半割り軸受に対応する必要がある(図7参照)。
マスターシェルは測定ブロックに装着したとき,半割り軸受と類似の挙動をする必要がある。
注記1 円筒状のマスターシェルは,つば付き半割り軸受の検査でも使用することができる。
マスターシェルは,焼入れ鋼から作られる必要がある(硬さはHRC58以上)。通常,マスターシェルは
直径200 mmまで使用される。
一つのマスターシェルでアンダーサイズ1 mmの軸受まで使うことができるように,マスターシェルの
肉厚smsは半割り軸受の全肉厚stot+0.125 mmと等しくする必要がある。
注記2 アンダーサイズとは,軸を再使用する際に,軸の摩耗及び再研磨によるクリアランスの増加
を相殺するために使用する肉厚の厚い軸受のことである。
注a) ms,M,F及びCcor,msの刻印部(13.2.3参照のこと)
b) 平行度t8及び平面度t9は,基準ブロックに装着して所定の力がかかった状態での値を示す。
図7−マスターシェル
マスターシェルの幾何公差は,検査する軸受に近いことが必要である。摩擦及び弾性変形が検査する軸
受と大きく異なってしまう可能性があるため,異なる幾何寸法のマスターシェルを使用してはならない
(図8参照)。

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図8−段差のあるマスターシェル(均一な肉厚の軸受を検査するためには適切ではない場合)
12.1.1 製造公差
マスターシェルの製造公差を表13及び表14に示す。
表13−マスターシェルの製造公差−No.1
外径 Bmsの公差 smsの公差 粗さパラメータ 粗さパラメータ
Dms Ra3 Ra5
(mm) (mm) (mm) (μm) (μm)
Dms≦160 ±0.10 ±0.015 0.2 2
160 表14−マスターシェルの製造公差−No.2
外径 粗さパラメータ 平行度 自由状態での張り 平面度
Dms Ra4 t8 t9
(mm) (μm) (mm) (μm)
Dms≦160 0.3 0.004 検査する半割り軸受 0.003
16012.1.2 補正量Ccor,ms
13.2.3による。
12.1.3 許容摩耗限界
マスターシェルの摩耗は,初期状態の補正量Ccor,ms,newと摩耗状態の補正量Ccor,ms,wornとの差が表15に示
す値以下がよい。
表15−マスターシェルの許容摩耗限界
単位 mm
測定ブロック径 補正量の差の許容差
Dms | Ccor,ms,new−Ccor,ms,worn |
Dms≦160 0.030
160

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12.2 基準軸受の必要事項

  半割り軸受のクラッシュは,マスターシェルではなく基準軸受を用いて決めてもよい。
基準軸受はステンレス鋼又は冷間若しくは熱間圧延鋼から作る必要がある。特別な場合には,通常の製
品軸受を用いてもよい。
製造公差は,受渡当事者間の協定による。

13 補正量

13.1 参照器具 : 基準測定ブロックの補正量,Ccor,chm

  基準測定ブロック内径の周長lchm,Mは,式(6)による(11.2.3参照)。
π dchm,M
lchm,M dchm,M 2 Hchm,M (6)
2 2
基準測定ブロック内径の理論的な周長lchm,thは,式(7)による(11.2.3参照)。
πd
lchm,th (7)
chm, th
2
したがって,基準測定ブロックの補正量は,式(8)による。
Ccor,chmlchm,M (8)
lchm,th
他に考慮する因子及びその計算方法は,附属書A(検査方式A用)又は附属書B(検査方式B用)によ
るのがよい。
補正量Ccor,chmを算出する基準は,基準測定ブロックの基準面である。

13.2 ライン用器具

13.2.1  単独で使用されるライン用測定ブロックの補正量Ccor,chs
補正量Ccor,chsは,ある半割り軸受に対して等しい検査条件において,基準測定ブロックを用いて測定し
たクラッシュhchmとライン用測定ブロックを用いて測定したクラッシュhchsとの差である(算出方法は,
附属書Cによるのがよい。)。
Ccor, chs
hchm,M (9)
hchs,M
ダイヤルゲージを設定する際は,補正量Ccor,chsだけを考慮する。
補正量Ccor,chsの基準は,ライン用測定ブロックの基準面である。
13.2.2 マスターシェルとともに使用されるライン用測定ブロックの補正量
マスターシェルを用いて測定を行うときに,ライン用測定ブロックの補正量Ccor,chsを使ってはならない。
この値は,ライン用測定ブロックの摩耗限界を評価するためだけに用いる。
ダイヤルゲージを設定するときは,マスターシェルの補正量Ccor,msだけを考慮する(13.2.3参照)。
13.2.3 マスターシェルの補正量Ccor,ms
マスターシェルの補正量Ccor,msは,マスターシェルに所定の力を加えた状態で基準測定ブロック内面に
装着したときの周長と,基準測定ブロック内径の理論上の周長との差である。
補正量Ccor,msの算出方法は,附属書Dによるのがよい。
ダイヤルゲージを設定する場合,マスターシェルの補正量Ccor,msを考慮する必要がある。
補正量Ccor,msの基準は,マスターシェルの合せ面及び13.1によって測定する基準測定ブロックの周長で
ある。
注記 補正量Ccor,msの値は,内径dchmが検査する半割り軸受の外径Dbsに一致する基準ブロックの周

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長に対して,マスターシェルの周長が等しくなるように調整しているときにゼロとなる。
13.2.4 基準軸受の補正量Ccor,cs
基準軸受の補正量Ccor,csは,基準軸受に所定の力を加えた状態で基準測定ブロック内面に装着したとき
の周長と,基準測定ブロック内周の理論上の周長との差である。
補正量Ccor,csの算出方法は,附属書Dによるのがよい。
ダイヤルゲージを設定する場合,基準軸受の補正量Ccor,csを考慮する必要がある。
補正量Ccor,csの基準は,マスターシェルの合せ面及び13.1によって測定する基準測定ブロックの周長で
ある。
注記 補正量Ccor,csの値は,内径dchmが検査する半割り軸受の外径Dbsに一致する基準ブロックの周長
に対して,基準軸受の周長が等しくなるように調整しているときにゼロとなる。

13.3 刻印

  算出した補正量は,検査ジグのそれぞれに刻印する必要がある。

14 検査手順

  検査手順の代表例を次に示す
a) 測定ブロックを測定装置に設置し,横方向に動かないように装着する。
b) 仕様に応じて,加える力の大きさを設定する。
c) 所定の力を加えながら,マスターシェル又は基準軸受の合せ面に対して直角になるように,ピボット
式当て金(検査方法Aの場合)又は二つの当て金(検査方法Bの場合)を下げる。
検査方法Aの場合には,測定ブロック(Ccor,ch又はCcor,chs),マスターシェル(Ccor,ms)又は基準軸受
(Ccor,cs)のいずれかに刻印した補正量の値にダイヤルゲージを調整する。
検査方法Bの場合には,補正量の半分の値になるよう,両方のダイヤルゲージを調整する(図3参
照)。
d) マスターシェルを取り外し,測定ブロックに検査する半割り軸受を配置し(箇条15も参照),測定ヘ
ッドを介して力を加える。
e) 半割り軸受のクラッシュの偏差を決定する。検査方法Aの場合には,ダイヤルゲージの値から直接読
み取る。検査方法Bの場合には,二つのダイヤルゲージで記録した偏差を足し合わせる。
f) 基準ブロックを使用する場合,測定温度は20 ℃と25 ℃の間でなければならない。ただし,測定装置
及び検査される半割り軸受の両方が同じ温度である場合には,ラインにおける検査は室温で行うこと
ができる。
g) 基準測定(10.1参照)を行うときには,クラッシュの値は,20 ℃の温度で測定した3回の平均を用い
る。

15 検査される半割り軸受の条件

  半割り軸受の合せ面及び背面には,異物,グリース及びきずがあってはならない。また,その温度は,
使用する測定ブロックと同じとする。

16 測定上の注意点

  次の要因によって測定誤差が生じるため注意を要する。
a) 測定装置

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1) 測定ブロックが誤った位置に設置される(縦又は横方向)。
2) 測定ブロックが測定装置に誤って固定される。
3) 力の大きさが誤まって設定される。
4) 力を加える際の測定子の接近速度が速すぎる。
5) ピボット式当て金がきつ過ぎる,又は過大のクリアランスをもつ。
6) 当て金の損傷又は摩耗。
b) 測定ブロック
1) 半割り軸受と測定ブロックとの温度差
2) 測定ブロックの破損及び摩耗
3) 大き過ぎるつめ逃げ溝
4) 測定ブロックのつめ逃げ溝の汚損
5) 測定ブロックの内径のクロムめっき
6) 軸受の止め金が合せ面全体を覆っていない(検査方法Aの場合)。
7) 止め金の過度な変形,又は取付け不良(検査方法Aの場合)
8) 止め金の損傷及び摩耗
9) つばなし軸受の場合,測定ブロック幅Bch3が,軸受幅よりも短い。
10) つば付き軸受用の測定ブロック幅Bch1又はBch3が過大であるため,軸受背面とつば間のフィレット
半径部で軸受と測定ブロックとが干渉する(不適切な面取りK1又はK2)。
c) 補正量
1) ch,M及びHch,M測定時の読取り誤差
2) 補正量の計算誤差
d) 半割り軸受
1) 外周又は合せ面のグリース,汚れ又は破損
2) 過大な合せ面のテーパ
e) 検査方法の選定 半割り軸受を図面で指示された方法と異なる方法で検査する場合,補正量δを考慮
しないと誤差が生じる場合がある(7.1及びE.3を参照)。

17 各検査方法の精度

17.0A 一般

  この細分箇条では,測定結果の繰返し性,再現性及び同等性を算出し,検査方法A及び検査方法Bで得
られる結果を比較することによって,各検査方法の精度を評価するための統計的手法の一例を紹介する。

17.1 検査条件

  検査条件は,表16による。

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JIS B 1585-3:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3548-3:2012(MOD)

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JIS B 1585-3:2017の関連規格と引用規格一覧