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B 1757-3 : 2013
附属書A
(参考)
平面基準器の設計
A.1 設計に必要な仕様
測定円の大きさが分かっているものとすると,平面基準器の主な設計仕様は,次の3点である。平面基
準器が製作された後でも,測定円の大きさを変更することは可能である。
a) 測定用平面と基準軸とのなす角度
b) 平面基準器の外径
c) 平面基準器の高さ
A.2 測定用平面と基準軸とのなす角度
測定用平面と基準軸とのなす角度は,歯車のねじれ角とほぼ等しくする。しかし,僅かな角度の違いに
よってS字曲線は大きく変化するので,図12の計算フローチャートに従ってS字曲線を求め,形状偏差
が測定可能な範囲に入るかどうかを確認する必要がある。
a) 測定用平面と基準軸とのなす角Ωの簡易計算法
図A.1のS字曲線に示すように,曲線の頂点と谷との差δHppが与えられたとき,測定用平面と基準軸と
のなす角Ωは,式(A.1)で近似的に求めることができる。
rp sint
1 tan
r
tan Ω 2 (A.1)
3
3 2 cos t Hpp
1
8 r
形状偏差 ( m)
μ
δHpp
歯幅方向位置 (mm)
図A.1−S字曲線の頂点と谷との差
b) 歯車の設定ねじれ角βの簡易計算法
平面基準器が既に製作されているときは,S字曲線の頂点と谷との差δHpp,測定円半径r,及び測定子先
端球の半径rpを与えれば,設定する歯車の測定円上ねじれ角βを,式(A.2)及び式(A.3)で近似的に求めるこ
――――― [JIS B 1757-3 pdf 21] ―――――
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B 1757-3 : 2013
とができる。
2
3
3 2 cos t Hpp
1 tan Ω
8 r
tan (A.2)
rp sint
1
r
ただし,
tan n
t (A.3)
cosΩ
A.3 平面基準器の外径
平面基準器の外径は,(測定円の直径+測定子の直径)とすればよい。この場合,外周近くの測定用平面
は,だれないように加工することが望ましい。測定円が非常に大きいとき,歯すじ測定部分だけを切り出
したブロック状の平面基準器としてもよい(図A.2参照)。この場合,右ねじれ及び左ねじれに対応したも
のが必要である。また,基準軸を定義するためのもの,及び基準軸と測定用平面との交点である座標原点
位置を測定するためのものも,一体として備わっていることが望ましい。
なお,測定子の軸が被評価装置のX軸方向にある場合,測定用平面の回転位置によっては平面基準器の
外周が測定子の柄に接触することもあるので,注意が必要である。測定子の柄の中心軸と測定用平面との
角度λが最大で45°と仮定すると,平面基準器の外径Ro,測定子先端球の半径rp,及び測定子の柄の先端
近くの半径rsは,式(A.4)の関係を満足するとよい(図A.3参照)。
Ro < 2r+ (2rprs )2 (A.4)
ζ
座標原点
基準軸
歯すじ測定部分
歯すじ測定部分
測定円
図A.2−部分的に切り出した平面基準器
――――― [JIS B 1757-3 pdf 22] ―――――
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B 1757-3 : 2013
η
O Y
rb
r
αt
λ
A 平面基準器の外周
ξ
作用線
Y'
rp
Z
A
rs
Ω
O
X
A-A
図A.3−測定子のシャフト柄と平面基準器の外周とが接触している図
――――― [JIS B 1757-3 pdf 23] ―――――
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B 1757-3 : 2013
A.4 平面基準器の高さ
平面基準器の歯すじ測定部分の歯幅方向高さは,精度評価対象範囲で歯すじ測定ができればよいが,多
少の余裕をもたせることが望ましい(図A.4参照)。
精度評価対象範囲の上限Zmax及び下限Zminは,近似的に次の式で求めることができる。厳密には,S字
曲線を求め,精度評価ができる十分な高さを計算することが望ましい。
tan rp sin
t
c 1 1 0 (A.5)
tan Ω r
a) 左ねじれ左歯面,右ねじれ右歯面の測定の場合
r
2p 2r
Zmax 2c (A.6)
sin Ω tan
rp 2r
Zmin 2c (A.7)
sin Ω tan
b) 左ねじれ右歯面,右ねじれ左歯面の測定の場合
rp 2r
Zmax 2c (A.8)
sin Ω tan
r
2p 2r
Zmin 2c (A.9)
sin Ω tan
H (
形状偏差 δ m)
μ
Le(精度評価対象範囲)
Zmin Zmax
歯幅方向位置 Z (mm)
図A.4−精度評価対象範囲
――――― [JIS B 1757-3 pdf 24] ―――――
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B 1757-3 : 2013
附属書B
(参考)
取付け誤差を考慮した形状偏差の計算方法
B.1 取付け誤差の扱い
平面基準器の基準軸を定義した軸方向2か所で基準軸の偏心を測定し,それぞれ軸心の偏心量及び位相
を求める。そして,取付け誤差によって変化した座標原点位置,及び回転軸に対する測定用平面の角度を
求め,この変化した座標原点,及び変化した傾斜角度で設定した新たな座標系を,取付け誤差のない元の
座標系と同様に扱うことによって,形状偏差を計算することができる。球の中心と球の中心とを結ぶ軸で
基準軸を定義したものは,円筒の中心軸で定義したものと同様に扱うことができる。
B.2 円筒の中心軸で定義した基準軸の場合
B.2.1 取付け誤差の測定
図B.1において,Z軸は被評価装置の回転軸である。ζ軸は平面基準器の基準軸で,Oが平面基準器の座
標原点である。いま,ζ軸がZ軸に対して平行に偏心し,更に傾斜しているとして,測定用平面はZ軸と
点O'とで交差するものとする。基準軸を定義した2か所,すなわち,座標原点からZ軸方向にZ1及びZ2
だけ離れた点での基準軸の偏心量及び位相を測定する。
B.2.2 新しい座標系
O'を座標原点とする平面基準器の直交座標系(ξ',η',ζ')を新たに設定する。ζ' 軸はZ軸に一致し,ξ' 軸
は測定用平面上にあるものとする。η' 軸は測定用平面の実体側から空間側に向かう方向を+とする。この
新しい座標系では,測定用平面とZ軸とのなす角度がΩ' に変化している。
B.2.3 偏心量,傾き及び原点移動量
Z軸方向Z1及びZ2において,(ξ',η')面における基準軸の偏心をe1(e1ξ',e1η')及びe2(e2ξ',e2η')とし,
座標原点Oにおいて,(ξ',η')面における基準軸の偏心をe(eξ',eη),及び座標原点の軸方向移動量をeζ'
とすると,次の式が得られる。
eξ ( Z1 e2 ξ
Z2 e1ξ (/) Z1
Z2 ) (B.1)
eη ( Z1 e2 η
Z2 e1η (/) Z1
Z2 ) (B.2)
e (B.3)
eη / tanΩ
ただし,
sinΩ cos (sinΩtan ξcosΩ ) (B.4)
e2 ηe1η
tan ξ (B.5)
Z1 Z2
Z1 Z2
cos (B.6)
2
(eξ2eξ1 ) e1η ) 2
(e2 η (Z1 Z2 ) 2
――――― [JIS B 1757-3 pdf 25] ―――――
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JIS B 1757-3:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.200 : 歯車
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.040 : 線及び角度の測定 > 17.040.30 : 測定機器
JIS B 1757-3:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0102:1999
- 歯車用語―幾何学的定義