JIS B 1757-3:2013 歯車測定機の評価方法―第3部:平面基準器を用いた歯すじ測定 | ページ 6

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Z
e1
e1ξ'
e1η'
ζ' 軸とη' 軸を通る平面
及び測定用平面との交線
Ω ζ'(Z軸と一致)
Ω'
Z1
ωξ'
ζ
ζ"
ω
eξ' e Z=0
O eζ'=eη'/tanΩ'
η'
O'
eη'
測定用平面(一部)
Z2
ξ'
e2ξ'
e2
e2η'
図B.1−円筒の中心軸で定義された基準軸が偏心している図
式(B.1)式(B.6)によってΩ' を求めることができるが,基準軸の偏心量はZ1,Z2に比べて非常に小さい
と考えると,角度変化も非常に小さいと考えられるので,式(B.7)によってΩ' の近似値が得られる。
e2 ηe1η
Ω Ω ξ (B.7)
Z1 Z2
Ω' が得られると,座標原点の軸方向移動量eζ' は,式(B.2)及び式(B.3)によって,η' 軸方向だけの偏心量
から求められる。Z1及びZ2は,基準軸の偏心量及び傾斜角度の変化が非常に小さいので,元の座標系(ξ,

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η,ζ)で考えて差し支えない。
なお,e1η' 及びe2η' は,符号を含んでいることに注意する必要がある。座標原点Oにおける偏心eがゼ
ロの場合,(e2η'−e1η')の絶対値は,e1η' 及びe2η' の絶対値の和となる。
B.3 球と平面とで定義した基準軸の場合
図B.2は,球と面とで定義した基準軸が回転軸に対して傾斜している図で,半径Rhだけ離れた点で測定
した面の振れの片振幅をehとする。面の中心から(Z1+Z2)だけ回転軸方向に離れた位置にある球の中心
は,面が傾斜している方向に偏心し,回転軸に直角な方向の偏心量をepeakとすると,epeakは式(B.8)のよう
に計算される。
基準軸が傾斜し,更に回転軸と平行に偏心した場合,回転軸に直角な方向に測定したときの球の中心の
偏心ベクトルをe1とすると,回転軸と平行な偏心ベクトルe2は,ベクトルe1とベクトルepeakとの差(e1
−epeak)として表される。このe1及びe2を用いて,B.2と同様に,座標原点及び測定用平面の傾斜角度の
変化を求めることができる。
なお,面の振れの測定において,面の最大傾斜方向と直角な方向の角度測定精度は低いので,ベクトル
epeakの精度も低いことに注意する必要がある。
(Z1 Z2 ) eh
epeak (B.8)
Rh
Z
不確かな領域
epeak
e2 = e1−epeak
e1
ω' (Z1+Z2)
eh
ω'
Rh
e2
図B.2−球と平面とで定義した基準軸が偏心している図

――――― [JIS B 1757-3 pdf 27] ―――――

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B.4 取付け誤差があるときの形状偏差
取付け誤差があるときの形状偏差は,式(5)式(15)において,変化した傾斜角度Ω' をΩとして,変化
した座標原点に対する式(B.9)のη0を用いて計算すればよい。
なお,式(B.9)の中の符号は,図B.1のように左ねじれの左歯面に対応している。
rp rp
0 e tan Ω eη (B.9)
cos Ω cos Ω
B.5 偏心による形状偏差の変化の近似式
基準軸(ζ軸)が回転軸(Z軸)と平行に偏心したとき(図B.3参照),ζ軸がξ軸方向に偏心しても,δH
は変化しない。偏心のη軸方向の成分が,δHの変化に関係する。η軸方向の偏心を考慮した式(B.9),又は
歯面のねじれ方向に対応した式を用い,式(10)又は式(15)のδHを,η軸方向の偏心量で偏微分すると,高次
の項を無視すれば,次の式が得られる。
2
H 3 Zw tan
cos t (B.10)
eη 2 r
式(B.10)はZ軸座標Zwの2次関数となり,精度評価対象範囲の端部で最大となる。式(B.10)のZwに,式
H/e
(18)又は式(21)の歯幅方向位置を代入し,更に近似計算を行うと, の最大値は式(B.11)のようにな
η
H/e
る。測定子の先端半径rpは測定円半径rに比べて非常に小さいので, ηの最大値は小さく,回転軸
と平行な基準軸の偏心が形状偏差δHに及ぼす影響は,小さいことが分かる。
H 3 rp
8 cos t tan t ≪ 1.0 (B.11)
eηmax
2 r
B.6 傾きによる形状偏差の変化の近似式
基準軸(ζ軸)が回転軸(Z軸)に対して傾斜したとき(図B.3参照),ζ軸が測定用平面上の軸(ξ軸)
の方向に傾いても,δHはほとんど変化しない。ζ軸の傾きの,η軸方向の成分(ξ軸回りの回転)がδHの
変化に関係する。すなわち,平面基準器の傾斜角Ωの変化に対するδHの変化を求めればよい。
ζ軸の傾きによる形状偏差の変化を求めるため,式(10)又は式(15)のδHをΩで偏微分すると,高次の項
を無視すれば,式(B.12)が得られる。式(B.12)はZ軸方向の座標Zwの1次関数となる。
H Zw
2
(B.12)
Ω cos Ω cos t
角度Ωの変化を,Zwの位置におけるζ軸の半径方向の偏心量として表し,これをe 地 式(B.12)
は,式(B.13)のように表される。式(B.13)によって,ζ軸の傾斜が形状偏差δHに及ぼす影響は,大きいこと
が分かる。
H 1
2
0.1 (B.13)
eΩ cos Ω cos t
精度評価対象範囲の端部での基準軸の偏心量の最大値をe1及びe2とすると,振れの位相が180°反対な
ので,精度評価範囲の両端における偏心量の差の最大値は(e1+e2)となり,形状偏差δHの変化 Δ
H は,
式(B.14)のように表される。

――――― [JIS B 1757-3 pdf 28] ―――――

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(e1 e2 )
ΔH 2
(B.14)
cos Ω cos t
Z Z
Z= Zmax Z= Zmax
e
e1
ζ
ζ
Z= 0 Z= 0
e O
O
Z= Zmin e2 Z= Zmin
e
Z Z
ζ
Ω'
Ω ζ
Ω
Z=0

η
O η
eζ =eη/tanΩ
O

ξ 測定用平面(一部)
測定用平面(一部)
ξ
a) 回転軸に平行な偏心 b) 傾き
図B.3−基準軸の偏心及び傾き

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B.7 計算例
表B.1に示す諸元及び基準軸の偏心量並びに傾きの大きさに対する形状偏差δHの変化(S字曲線の変化
量)を,式(5)式(15)で計算すると図B.4のようになる。
表B.1において,Δeηは,式(B.9)のeη'と同じものである。図B.4のグラフは,式(B.7)で求めた測定用平
面の角度Ω',及び式(B.9)で求めたη0を用いて計算した結果である。
計算結果から分かるように,基準軸の偏心による形状偏差δHの変化は,基準軸の傾きによる形状偏差δH
の変化に比べると小さく,平面基準器の取付けは,主に,基準軸の傾きに注意すればよいことが分かる。
表B.1−計算例
記号 記号の意味 計算条件
Ω 測定用平面と基準軸とのなす角度 30°
r 測定円半径 55 mm
β 測定円筒上ねじれ角 29.85°
αn 歯直角圧力角 20°
αt 正面圧力角 22.765 1°
rp 測定子先端球の半径 1.5 mm
Δeη 回転軸に平行なη軸方向の偏心量 10 μm
ΔeΩ 傾きによる精度評価対象範囲の上端Zmaxと下端Zminとの偏心量の差 2 μm
S字曲線(左目盛)
精度評価対象範囲の両端が2 μmの差をもつように
m)
基準軸が傾いたときのS字曲線の変化量(右目盛)
μ
m)
(

S字曲線の変化
形状偏差
η軸方向に+10 μmだけ基準軸が平行に偏心
したときのS字曲線の変化量(右目盛)
歯幅方向位置 (mm)
図B.4−基準軸の偏心及び傾きによるS字曲線の変化
表B.1に示す諸元及び基準軸の偏心量並びに傾きの大きさに対する形状偏差δHの変化を,近似的な計算
式で求めると表B.2のようになる。表B.2に示す計算結果を図B.4のグラフと比較すると,よく一致して
いる。

――――― [JIS B 1757-3 pdf 30] ―――――

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JIS B 1757-3:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 1757-3:2013の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB0102:1999
歯車用語―幾何学的定義