JIS B 7440-2:2013 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第2部:長さ測定 | ページ 2

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
3.4
長さ測定誤差,EL(length measurement error)
ラム軸スタイラスオフセットLをもつ座標測定機を使って,校正された検査用の長さのそれぞれの端に
おける一つのプロービング点(又は相当する)によって測定した場合の指示誤差。
注記1 この規格では,規定値としてL=0 mm及びL=150 mmを使用する。
注記2 測定位置の要求事項は,附属書Bを参照。
3.5
長さ測定誤差の繰返し範囲,R0(repeatability range of the length measurement error)
ラム軸スタイラスオフセットが0 mmにおける,3回繰り返した長さ測定誤差の範囲(最大から最小を
減じた値)。
3.6
最大許容長さ測定誤差,EL, MPE(maximum permissible error of length measurement)
仕様として許容される最大の長さ測定誤差。
注記1 この規格では,規定値としてL=0 mm及びL=150 mmを使用する。
注記2 検査測定値が誤差の場合,最大許容限界ではなく,最大許容誤差を使用する。したがって,
最大許容誤差の検査では校正されたアーティファクト2) が必要である。アーティファクトの
例を附属書Bに示す。
注記3 この最大許容誤差は,JIS B 7440-1の図12,図13及び図14に示す方法で表現する。
注2) アーティファクトとは,検査用の長さを実現する方法。附属書Bを参照。
3.7
繰返し範囲の最大許容限界,R0, MPL(maximum permissible limit of the repeatability range)
仕様として許容される長さ測定の最大許容限界。
注記1 検査測定値が誤差の場合,最大許容限界ではなく,最大許容誤差を使用する。したがって,
最大許容限界の検査では校正されたアーティファクトは必要ない。
注記2 この最大許容限界は,JIS B 7440-1の図12,図13及び図14に示す方法で表現する。
3.8
デュアルラム座標測定機(dual ram CMM)
二つの独立したラムをもつ座標測定機で,両方のラムによって得られた座標測定値を,一つの座標系に
おいて記述することのできる座標測定機。
注記1 二つのラムは,通常,共通の測定範囲をもつ。しかし,これは要求事項ではない。
注記2 一つの座標系を確立するために,位置決めの作業が必要となる。
注記3 デュアルラム座標測定機は,それぞれのラムの測定結果を別々の座標系で記述することもあ
る。単一動作モード(3.9参照)。
3.9
単一動作モード(simplex operating mode)
デュアルラム座標測定機で,二つのラムをそれぞれ独立した測定システムとして使用するモード。
注記 単一動作モードでは,二つのラムの座標測定値を一つの座標系で記述しない。
3.10
複合動作モード(duplex operating mode)
デュアルラム座標測定機で,二つのラムの座標測定値を一つの座標系で記述するモード。

――――― [JIS B 7440-2 pdf 6] ―――――

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)

4 記号

  この規格で用いる主な記号は,表1による。
表1−記号
記号 用語
EL 長さ測定誤差
R0 長さ測定誤差の繰返し範囲
EL, MPE 最大許容長さ測定誤差
R0, MPL 繰返し範囲の最大許容限界
注記 製品文書,図面,データシートなどにおけるこれらの記号と対応する記号の表記については,
箇条9を参照。

5 環境条件及び計測特性に対する要求

5.1 環境条件

  測定に影響を与える設置場所の温度,湿度及び振動のような環境条件の最大許容限界は,受入検査の場
合には製造業者が指定し,定期検査の場合には使用者が指定する。
いずれの場合にも,使用者は,この規格の検査を環境条件が製造業者のデータシート(ISO 10360-1,
Cor 1参照)に明記されたとおりの範囲内で実施してもよい。
使用者は,座標測定機の設置環境が,製造業者の提供したデータシートに明記された環境に適合してい
ることに責任をもつ。
環境が仕様に適合しない場合には,使用者は最大許容長さ測定誤差E0, MPE,EL, MPE及び最大許容限界R0,
MPLの検証を要求することはできない。

5.2 操作条件

  箇条6の検査を実施する場合には,製造業者の提供した手順書に従って座標測定機を操作しなければな
らない。通常,このような手順書は,次の事項を含む。
a) 機械の起動及び暖機サイクル
b) スタイラスシステム構成
c) スタイラスチップ清掃手順
d) プロービングシステムのパラメータ設定
e) 校正前におけるプロービングシステムの温度ならし
f) スタイラスシステム及び/又はプロービングシステムの質量
g) 温度センサの位置,種類及び数

5.3 長さ測定誤差,EL

  長さ測定誤差ELは,受入検査の場合には製造業者が指定し,定期検査の場合には使用者が指定する最大
許容長さ測定誤差EL, MPEを超えてはならない。
長さ測定誤差EL及び最大許容長さ測定誤差EL, MPEは,マイクロメートル単位で表示する。
注記 Lの既定値は,0 mm及び150 mmであるので,EL=E0及びEL=E150である。

5.4 長さ測定誤差の繰返し範囲,R0

  長さ測定誤差の繰返し範囲R0は,受入検査の場合には製造業者が指定し,定期検査の場合には使用者が
指定する繰返し範囲の最大許容限界R0, MPLを超えてはならない。

――――― [JIS B 7440-2 pdf 7] ―――――

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長さ測定誤差の繰返し範囲R0及び繰返し範囲の最大許容限界R0, MPLは,マイクロメートル単位で表示す
る。

5.5 測定物の質量による影響

  座標測定機の性能を評価するための最大積載質量が,座標測定機にかけられた場合,L=0(又は余裕の
ための最小間隔)における長さ測定誤差E0は,製造業者が指定した最大許容長さ測定誤差E0, MPE以下であ
る。
長さ測定誤差E0の検査は,次の条件を仮定して,使用者が選択したどの測定物質量(ゼロから最大積載
質量)においても実施する。
− 検査のために質量を与える物理的体積(おもり)は,座標測定機の測定範囲に納めなければならない。
また,おもりは自立しなければならない。
− 製造業者は,座標測定機の支持(例えば,テーブル)表面における単位面積当たりの最大積載質量,
及び/又は個別の点における最大積載質量を指定する。接触点における質量については,どの指定さ
れた接触点における質量も他の接触点における質量の2倍以下である。
− 製造業者から特に指定がない場合,おもりをおおよそ中心で座標測定機の中心に対して対称的に置か
なければならない。
使用者及び製造業者は,おもりの供給について調整することが望ましい。
使用者及び製造業者は,おもりのために測定位置へアクセスできないことがあるので,座標測定機のテ
ーブルにおもりを載せる方法について検討することが望ましい。

6 受入検査及び定期検査

6.1 一般

6.1.1  受入検査は,この規格に適合する製造業者の仕様及び手順に従って実施する。特に,使用者が校正
された検査用の長さ(ISO/TS 23165の制約による)を提供しない限り,製造業者は,附属書B及び附属書
Dに規定する校正された検査用の長さを代表するアーティファクトを選択してもよい。
定期検査は,使用者の仕様及び製造業者の手順に従って実施する。
デュアルラム座標測定機に関して注意するのが望ましい点は,6.6を参照。
6.1.2 この規格は,光学式プローブを用いる座標測定機には適用しない。しかし,受渡当事者間の協定の
下にこの規格を,光学式プローブを用いる座標測定機に適用する場合には,追加の注意点として次の項目
を考慮する必要がある。
− 2次元センサ(ラム軸の動作を伴わないとき)付きシステムを検査する場合,2Dの添字の表示。例え
ば,E0−2Dなど。
− 2次元測定のためのシステムを検査する場合,測定を行う位置を減らしてもよい。
− 倍率及び照明に関する仕様。
− 検査の結果に影響を及ぼすアーティファクトの材質及び表面仕上げ。
− アーティファクト及びプロービングシステムの構成によって,双方向のプロービングが可能であった
り可能でなかったりする(附属書B参照)。

6.2 評価原理

  評価原理は,長さ標準にトレーサブルな校正された検査用の長さを使用すること,座標測定機が規定さ
れたラム軸スタイラスオフセット(0 mm及び150 mmの両方について)において定められた最大許容長さ
測定誤差E0, MPE及びE150, MPEの範囲で測定できるかどうかを決定すること,並びに定められた繰返し範囲

――――― [JIS B 7440-2 pdf 8] ―――――

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の最大許容限界R0, MPL内にあることである。
評価は,5種類の互いに長さの異なる校正された検査用の長さを,各々3回繰り返して測定した指示値を,
その校正値と比較することによって行わなければならない。指示値は,1点と他の1点との測定によって
得られた長さ測定値をアーティファクトの方向調整方向(附属書C参照)に投影して計算する。
3回の繰返し測定の各々は,次の手順による。
校正された検査用の長さの一方をA,他方をBと表すと仮定すれば,測定の順序はA1B1,A2B2,A3B3,
又はA1B1,B2A2,A3B3のいずれかである。
その他の順序,例えば,A1A2A3,B1B2B3で行うことはできない。3回の繰返し測定の各々の測定値は,
各々の固有の測定点をもたなければならない。すなわち,一般にB1,B2,及びB3は,同一の目標点Bに
ついての,全て異なる実際の測定点でなければならない。
一つの検査用の長さの一連の測定中には,この規格に規定する検査に必要な長さ測定以外の,追加の測
定をしてはならない。例えば,A1からB3までの測定の間に,方向調整のための測定点を追加することは
できない。
測定物の熱膨張補正の機能をもたない座標測定機は,座標測定機と校正された検査用の長さとの間の補
正されない熱膨張の差に起因する大きな誤差を生じることがある。したがって,検査用の長さの熱膨張係
数は,開示しなければならない。
測定物の熱膨張補正機能をもつ座標測定機では,この熱膨張に起因する誤差は大幅に減少する。この場
合,熱膨張に起因する残りの誤差の大部分は検査用の長さの熱膨張係数の不確かさによって生じる(不完
全な熱膨張補正となる。)。したがって,検査用の長さの熱膨張係数の不確かさは,開示しなければならな
い。

6.3 ラム軸スタイラスオフセットが0 mmにおける長さ測定誤差,E0

6.3.1  一般
E0の検査は,0 mm又は実用的に最小値となるラム軸スタイラスオフセットを使用して行わなければな
らない。座標測定機の形式,校正された検査用の長さとして使用するアーティファクト又は特定の検査の
位置に依存して,校正されたアーティファクトの校正された点に到達するために0 mmではないラム軸ス
タイラスオフセットを使用することが求められることがある。このような場合には,実用的に最も短いラ
ム軸スタイラスオフセットを使用しなければならない。
注記 ラム軸スタイラスオフセットの例については,図1を参照。図1には,0 mmではない実用的
に最も短いラム軸スタイラスオフセットの例についても図示してある。
6.3.3に規定する広範囲な検査を実施するのに先立ち,プロービングシステムが仕様のとおりに動作して
いることを検証するために,JIS B 7440-5に規定するシングルスタイラスシステム又はマルチスタイラス
システムのプロービング検査の適用可能な検査項目を実施することが望ましい。
6.3.2 評価器具
それぞれの検査位置における最も長い校正された検査用の長さは,校正された検査用の長さを通過する
測定線に沿った座標測定機の最大移動可能範囲の66 %以上でなければならない。
注記 空間の対角方向(表2参照)を検査する場合の,校正された検査用の長さの最も長い長さにつ
いて許される最小値は,軸方向の検査の場合の,校正された検査用の長さの最も長い長さにつ
いて許される最小値よりも長くなる。
それぞれの校正された検査用の長さは,他の長さの種類とは十分に異なった長さでなければならない。
それぞれの長さの種類は,その測定線において十分に均等に配置しなければならない。測定線ごとに異な

――――― [JIS B 7440-2 pdf 9] ―――――

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
る座標測定機の移動可能範囲によって,一般に,ある位置において使用する5種類の校正された検査用の
長さは,他の位置における5種類の校正された検査用の長さと異なることがある。
例1 全長1 mにわたる測定線における十分に均等に配置された校正された検査用の長さの一例とし
て,100 mm,200 mm,400 mm,600 mm,800 mmを示す。
製造業者は,校正された検査用の長さの熱膨張係数の上限値を表示しなければならない。任意には下限
値も表示してよい。
製造業者は,校正された検査用の長さの熱膨張係数を校正してもよい。製造業者は,校正された検査用
の長さの熱膨張係数の拡張不確かさ(この規格においては,k=2は正規分布において約95 %の信頼水準
に相当する。)を表示しなければならない。校正された検査用の長さが単一方向の長さ及び短いブロックゲ
ージで構成される場合(附属書B参照),考慮する熱膨張係数は,単一方向の長さの熱膨張係数でなけれ
ばならない。製造業者の仕様に表記される場合を除き,校正された検査用の長さの熱膨張係数の既定値は
“ノーマルCTE”である。
校正された検査用の長さが“ノーマルCTE”をもつ材料ではない場合,対応するE0, MPEはアスタリスク
(*)を付けて明示し,校正された検査用の長さの熱膨張係数についての追加の説明を提供しなければなら
ない。
例2 E0, MPE*
* アーティファクトは,0.5×10−6/℃以下の熱膨張係数及び0.3×10−6/℃以下の熱膨張係数の
拡張不確かさ(この規格においてはk=2は正規分布において約95 %の信頼水準に相当する。)
をもつスーパインバである。
製造業者の仕様が“ノーマルCTE”ではない校正された検査用の長さを記載し,かつ,その熱膨張係数
が2×10−6/℃よりも小さい場合には,6.3.3.3に規定する追加の測定を実施しなければならない。
附属書Dの要件を満足する場合に限り,低熱膨張係数の検査用の長さの熱膨張について,“ノーマルCTE”
をもつ材料と同等の挙動を示すように計算によって補正することができる。ただし,この場合においても
校正された検査用の長さは低熱膨張係数をもつものとみなされ,6.3.3.3の要求を満足する必要がある。
校正された検査用の長さの例については,附属書Bによる。
6.3.3 評価方法
6.3.3.1 測定位置
座標測定機の測定空間において,7種類の異なる位置(位置及び方向)に,5種類の異なる長さの校正さ
れた検査用の長さを設置し,各々の長さを3回ずつ測定し,合計105点の測定を実施しなければならない。
7種類の位置のうちの4種類の位置及び方向は表2に示すとおり,空間の対角方向でなければならない。
特に指定がない場合,残りの3種類の既定の位置は表2に示す各軸に沿った位置であるが,使用者はこの
3種類の位置を指定することができる。

――――― [JIS B 7440-2 pdf 10] ―――――

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  • ISO 10360-2:2009(IDT)

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