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作製した検査用参照試験片ゲージ。
3.22
打撃位置角度,αI(impact angle)
最下点から試験片を打撃する位置までの振り子の角度(°)。
3.23
振り上がり角度,αR(angle of rise)
振り子の回転運動において,鉛直下から上昇する振り子が落下に反転する位置までの角度(°)。
3.24
吸収エネルギー,Wi(absorbed energy)
衝撃エネルギー目盛の校正時において,その目盛が示す衝撃エネルギーの算出された値(J)。
4 測定機器
試験機の構成要素の幾何学的特性及び物理的特性がこの規格の要求事項に適合していることを検証する
ためには,直定規,ノギス,三角定規,水準器,力計,ロードセル又ははかり,及び時間測定装置を用い
る。
これらの測定機器は,表4に示す規定値の範囲内で,試験機の構成要素を測定するために十分な精度を
もっていなければならない。
5 振り子形衝撃試験機
5.1 振り子形衝撃試験機の概要
振り子形衝撃試験機の衝撃エネルギーWは,振り子の位置エネルギーEと試験片打撃後の振り子に残存
するエネルギーとの差に等しいとして算出する。
低容量の振り子を用いる場合,試験片の吸収エネルギーに対して振り子の回転軸受の摩擦損失及び空気
抵抗損失が相対的に大きいため,補正を必要とする場合がある(表2及び6.7参照)。
試験機の幾何学的特性及び物理的特性の検証を行うに当たり,幾何学的特性の検証は,組立後に実施す
ることが難しいため,組立前にこの規格に準じて検証を行う。製造業者は,必要に応じて参考図面を提供
する。
これらの検証方法は,試験機の設置時,修理時,移動時又は定期点検時に使用する。
5.2 振り子形衝撃試験機の種類
この規格では,3種類の試験機を対象としている。附属書Aに,シャルピー衝撃試験用に構成する機器
の構造及び仕様の詳細を示す。図A.1に,代表的なシャルピー衝撃試験機の例を示す。検証しなければな
らない規定値を,表A.1に示す。試験条件は,JIS K 7111-1による。
附属書Bに,アイゾット衝撃試験用に構成する機器の構造及び仕様の詳細を示す。図B.1に,代表的な
アイゾット衝撃試験機の例を示す。検証しなければならない規定値を,表B.1に示す。試験条件は,JIS K
7110による。
附属書Cに,引張衝撃試験用に構成する機器の構造及び仕様の詳細を示す。図C.1及び図C.2に,代表的
な引張衝撃試験機の例を示す。検証しなければならない規定値を,表C.1に示す。試験条件は,JIS K 7160
による。
5.3 振り子形衝撃試験機の構成要素
振り子形衝撃試験機は,次の要素から成る。
――――― [JIS B 7739 pdf 6] ―――――
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a) 機枠 試験機の基礎部分であり,次から構成される振り子を支える構造体。
1) 振り子回転軸の軸受け
2) 振り子の保持機構及び解放機構
3) 基部
b) 振り子
1) 振り子の腕
2) 衝撃刃 シャルピー衝撃試験及びアイゾット衝撃試験では衝撃刃縁,引張衝撃試験では衝撃面又は
つかみ具を備えたもの(JIS K 7160のA法及びB法を参照)。
3) 増しおもり 振り子の位置エネルギー容量を増加する場合に使用するもの。
注記 この規格の要求事項を満たす利用可能な振り子構造は,複数存在する。
c) その他の試験ジグ
1) シャルピー衝撃試験用の載せ台及び受け台(JIS K 7111-1参照) シャルピー衝撃試験用の受け台
及び載せ台は,振り子の運動平面の両側に一つずつ配置する。受け台は,載せ台に対して直角,か
つ,振り子の運動平面に直交するように取り付ける。基本的に,試験片は載せ台上に設置し,試験
片にかかる衝撃の反作用を受け台で吸収する。
2) アイゾット衝撃試験用の固定台(JIS K 7110参照)
3) 引張衝撃試験用のつかみ具又は停止装置(JIS K 7160のA法及びB法を参照)
4) 引張衝撃試験用クロスヘッド(JIS K 7160のA法及びB法を参照)
d) 吸収エネルギー表示装置(スケール目盛盤,電子読取装置など)
6 振り子形衝撃試験機の検証及び検査手順
6.1 試験機の設計及び製造業者による検証
試験機の設計及び製造には,その性能に影響する重要な幾つかの必要条件があり,a) d)を含めて,製
造業者が製造時に表1に適合していることを検証する。
a) 打撃中心
b) 回転軸
c) 振り子の運動平面
d) 機枠の質量 機枠の質量と使用する最も重い振り子の質量との比mF/mP,maxが40を下回る場合,機枠
は,高い剛性の基礎台にねじなどで固定する。機枠と振り子との質量比の詳細を記載した製造業者の
証明書が備わっていない場合は,試験機は基礎台にねじ止めし,シムを用いて水平出しする。
表1−製造時に検証する試験機の仕様
構成要素(パラメータ) 単位 規定値
打撃点から打撃中心までの距離は,打撃点長さ
打撃中心 %
の±1
振り子の回転軸a) − 基準面に対する平行度 2/1 000
回転軸に対する振り子の運動平面 ° 90±0.1
最も重い振り子の質量の40倍以上,又は重く安
機枠の質量 kg
定した基礎台にねじで固定
注a) 各試験機の基準面の位置は,試験機ごとに異なる。
――――― [JIS B 7739 pdf 7] ―――――
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6.2 試験機設置時及び定期的な検証(表4参照)
6.2.1 設置
振り子形衝撃試験機は,振動のない場所に置かれた頑丈な基礎台又はテーブル上に設置する。試験機が
レベル調整ねじを装備している場合は,機枠を所定の位置に保持し,据付けの剛性を維持するために,水
平出しの後にレベル調整ねじを固定する。衝撃試験の実施中に,据え付けた機枠に目視できる変位が生じ
てはならない。試験機を利用可能な最大エネルギー容量の振り子で構成し,振り子を解放したとき,基部
に置いた水準器の気泡の動きを観察する。気泡の移動が観察された場合は,試験機をより安定する方法で
据え付ける。
6.2.2 基準面の水平度
振り子の回転方向,及び回転方向に垂直な方向で,基準面の2/1 000以内に試験機を設置する。
6.2.3 振り子の軸受の軸方向の遊び
振り子の回転軸と軸受との軸方向の遊びは,0.25 mmを超えないものとする。
6.2.4 振り子の軸受の半径方向の遊び
振り子の回転軸と軸受の半径方向との遊びは,振り子の回転軸に直角な2方向から交互に2 N±0.2 Nの
力を負荷した状態で測定する。半径方向の総遊びは,0.05 mmを超えないものとする。
6.2.5 振り子の保持及び解放機構
持上げ角度から振り子を解放する機構は,目視で検査する。適切に機能する解放機構は,エネルギー損
失をもたらす初期衝撃,初動の遅延又は横振動がなく,振り子を解放できる構造とする。
6.2.6 自由つり下げ位置
振り子を自由につり下げたとき,振り子の衝撃刃縁は,受け台に押し当てた棒状ゲージと接触する位置
から2.5 mm以内とする。
6.2.7 棒状ゲージと衝撃刃縁との接触
シャルピー衝撃試験機及びアイゾット衝撃試験機の場合,衝撃刃縁は,棒状ゲージの全幅に接触しなけ
ればならない。
この検証方法の一つは,次による。
− 棒状ゲージを密着するように薄紙で包み(接着テープなどを使用),載せ台に設置する。
− 同様に,カーボン紙を衝撃刃縁にカーボン面が外側を向くように密着させて包む(衝撃刃側にはカー
ボン面を向けない。)。カーボン紙の代わりに光明丹を用いて行ってもよい。
− 自由つり下げ位置の振り子を数度程度持ち上げ,振り子を解放して衝撃刃を棒状ゲージに打撃接触さ
せる。その際,棒状ゲージに二度打ちしないようにする。
棒状ゲージを覆った紙の上にカーボン紙によって付けられた痕跡は,紙幅を完全に横断している必要が
ある。この検査は,衝撃刃縁と棒状ゲージとの接触角の検査と並行して実施してもよい。
6.2.8 位置エネルギー,E
シャルピー衝撃用,アイゾット衝撃用及び引張衝撃用の各試験機で通常用いる振り子の位置エネルギー
の公称値を,表2に示す。位置エネルギーの誤差は,表2に示す位置エネルギーの公称値の1 %以内とす
る。位置エネルギーは,次の手順によって測定する。
a) はかり又は力計を用いて,回転軸から任意の長さLH(m)で振り子を支える。回転軸から振り子の重
心までの軸線を水平にする[図1 a)参照]。
b) 長さLH及びLHにおける鉛直方向の力FH(N)を,±1.0 %の精度で測定する。
c) 回転軸に関する振り子の水平位置におけるモーメントMH(N·m)は,式(1)によって算出する。
――――― [JIS B 7739 pdf 8] ―――――
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MH FL
H H (1)
d) 持上げ角度α0を,位置エネルギーEの1/400に相当する精度で測定する[図1 b)参照]。さらに,適用
できる場合には,持上げ角度α0の測定精度を,±0.25°とする。例えば,140°,150°及び160°の
持上げ角度α0に必要な精度は,それぞれ0.39°,0.54°及び0.81°になる。
e) 位置エネルギーEは,式(2)によって算出する。
EMH cos I cos 0 (2)
ここに, E : 振り子の位置エネルギー(J)
MH : 振り子の水平位置におけるモーメント(N·m)[式(1)参
照]
α0 : 持上げ角度(°)
αI : 打撃位置角度(°)
注記1 振り子形衝撃試験機では,一般に,打撃位置角度αIは,振り子の自由つり下げ位置で角度
0°とするので,cos αI=1となる。
注記2 試験機から振り子を外し,モーメントMHを求める場合がある。
表2−シャルピー衝撃試験機,アイゾット衝撃試験機及び引張衝撃試験機の基本特性
位置エネルギー E 試験の種類 衝撃速度 vI 空振り時における
J m/s 摩擦損失の最大許容値
Eに対する比 %
0.5 シャルピー 2.9(±10 %) 4
1.0 シャルピー 2
2.0 シャルピー及び引張 1
4.0 シャルピー及び引張 0.5
5.0 シャルピー 0.5
7.5 シャルピー及び引張 3.8(±10 %) 0.5
15 シャルピー及び引張
25 シャルピー及び引張 0.5
50 シャルピー及び引張
1.0 アイゾット 3.5(±10 %) 2
2.75 アイゾット 1
5.5 アイゾット 0.5
11 アイゾット 0.5
22 アイゾット 0.5
6.2.9 振り子長さ,LP
振り子長さLPは,製造業者が製造時に検証する。通常の条件下では,振り子の長さの変化は発生しない
が,修理又は交換時には,校正手順の一部として検証を行う。振り子の長さは,利用可能な個々の振り子
ごとに検証を行う。
振り子長さは,指定された精度内で決定する(表3参照)。
振り子長さは,振り子の周期(往復の時間)TPの測定によって検証する。振り子を5°以下となる高さ
から離したときの周期を求める。最小往復回数nに要した時間から1往復に要した時間に平均化する。こ
の操作を4回繰り返し,4回の1往復に要した時間の平均値をTPとする。
――――― [JIS B 7739 pdf 9] ―――――
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表3−TPの測定に必要な最小往復回数の例
LP TP 時間の測定精度 最小往復回数
m s s n
0.1 50
0.225 0.95
0.01 10
0.1 50
0.390 1.25
0.01 10
振り子長さは,振り子の周期TPから式(3)によって算出する。
L TP2
P (3)
4π 2
ここに, g : 重力加速度(m/s2)
TP : 振り子の周期(s)
6.2.10 打撃点長さ,LΙ
打撃点長さLI(3.8参照)は,振り子の周期TPから求める振り子長さLPに対して±l %とする[式(3)及
び図l a)参照]。
6.2.11 打撃時における振り子の速度,vI
シャルピー衝撃試験機,アイゾット衝撃試験機及び引張衝撃試験機の衝撃速度vIを,それぞれ表2に示
す。
衝撃速度は,式(4)によって算出する。
vI 2gLI cos I cos 0 (4)
ここに, vI : 衝撃速度(m/s)
g : 重力加速度(m/s2)
LΙ : 打撃点長さ(m)
α0 : 持上げ角度(°)
αI : 打撃位置角度(°)
注記 打撃後の振り子の減速については,附属書Eに示す。
――――― [JIS B 7739 pdf 10] ―――――
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JIS B 7739:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13802:2015(MOD)
JIS B 7739:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.200 : ゴム及びプラスチック工業用設備
JIS B 7739:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK7110:1999
- プラスチック―アイゾット衝撃強さの試験方法
- JISK7111-1:2012
- プラスチック―シャルピー衝撃特性の求め方―第1部:非計装化衝撃試験
- JISK7111-2:2006
- プラスチック―シャルピー衝撃特性の求め方―第2部:計装化衝撃試験
- JISK7160:1996
- プラスチック―引張衝撃強さの試験方法