JIS B 8610:2020 冷凍用ユニットクーラの冷凍能力計算方法 | ページ 3

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Δtsup
ΔtsupΔt (12)
2
したがって,実際の製品によっては,過熱のために必要なコイル長a値は,式(12)に基づき求めた長さ
より短いもの,又は長いものもあることから,それぞれの製品について,送風空気と過熱冷媒ガスとの平
均温度差 Δtsup に応じたa値を算出し,式(1)を用いてΦ0を求めることが望ましい。
なお,過熱度は式(12)では算術平均値を使用する。

6.4 熱通過率K

  乾式直接膨張式ユニットクーラでは,温度自動膨張弁を使用しているため,ユニットクーラ出口側で冷
媒ガスは過熱状態にある。このため,この部分の冷媒側熱伝達率は極めて小さく,空気冷却の場合,ここ
でのK値は熱交換部と比較すると小さい値となる。さらに,a値は1回路長につき10 %20 %になるのが
一般的であり,K値の算出において過熱部の長さを含む全伝熱面積又は過熱部を除く伝熱面積のいずれを
用いるのかによって,冷凍能力の算出結果に大きな差異が生じることがある。
K値は,有効外表面伝熱面積Ae及びユニットクーラの対数平均温度差tΔから求められる値を使用する。
潤滑油の影響を考慮しないとき,コイル内で冷媒がある管長lで完全蒸発する場合には,冷媒R410Aを使
用するユニットクーラの有効外表面伝熱面積でのK値は,式(13)式(15)によって求めることが可能である。
Δh
φrdil qmr (13)
3.6
0.4
1 000Δh λL
αr .001 Re 2 (14)
lg di
4 qmrdi 4 qmr
Re 2
3 600 πdi μL
3 600 πdi μL
1 1 m

(pdf 一覧ページ番号 )

                         K   αa αr
すなわち,ある1回路長l,コイル前面風速Uaf及びユニットクーラ通過空気と冷媒との対数平均温度差
Δのとき,ある運転条件の場合のユニットクーラ内冷媒の乾燥飽和蒸気とコイル入口の冷媒のエンタルピ
t
ーとのΔhをp-h線図から求めておき,qmrの推定を行う。次の順序で計算を行い,φrとmKt Δとが一致す
るまでqmrの推定を繰り返す。
図9図11から求められるK値は,これらの計算による値である。K値を補正する指針として,次に示
す点を考慮する必要がある。
なお,参考として,冷媒R404AのK値及びa値を,それぞれ図15図17及び図18図20に示す。

――――― [JIS B 8610 pdf 11] ―――――

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a) 潤滑油の影響を考慮しないこと コイルに入る冷媒の含有量が質量比で3 %までは,αrはあまり変化
しない。したがって,K値には全く影響がないとしてもよい。しかし,これ以上に油量が増加すると,
それに伴って少しずつαrが小さくなるため,K値も僅かずつ減少する。
b) フィン接触効率ηcが小さいとK値は小さくなること(6.2参照)
c) ユニットクーラ各列に対する冷媒の分流が均一であること 各列に対する冷媒の分流が均一である
場合のK値が,図9図11に示されており,不均一の場合は式(1)から求められる冷凍能力は信頼性
が低い。式(14)から,ある1回路長lについて定まるqmrより少ない冷媒が流れると,その管のαrが小
さくなり,したがって,コイル全体の平均値であるK値が小さくなる。また,実際には冷媒の全く流
れていない管列もある。しかし,不均一な分流は,この規格では考慮しない。
d) 1回路長10 m(直径9.52 mm銅管),1回路長12.5 m(直径12.70 mm銅管)又は1回路長15 m(直
径15.88 mm銅管)についての値であること ユニットクーラ冷媒側熱流密度φrが同一(ユニットク
ーラ単位長さ当たりの負荷が同一)でも,1回路長が長い場合は式(13)によってqmrが大きくなる。し
かし,1回路長が長すぎると管内圧力降下が増加する。このため,圧縮機の吸込圧力は低下し,圧縮
のための動力を増加することになり,省エネルギーの観点からも適切ではない。このため,この吸入
圧力より高い適正な吸入圧力で運転しようとすれば,qmrを逆に減少しなければならず,更に吸入ガス
は過熱を余儀なくされ,ユニットクーラの冷凍能力は減少することになる。逆に1回路長が短いとqmr
が小さくなり,αr,つまり,K値も小さくなる。
この理由によって,1回路長には最適値が存在し,10 m(直径9.52 mm銅管),12.5 m(直径12.70 mm
銅管)及び15 m(直径15.88 mm銅管)は,使用される範囲のt の適正な値であるの
で,この長さを選んでK参考値と記載する。しかし,この長さより1回路長が長くても,又は短くて
も,過大なものでない限りK値の変化量は大きくない。ただし,1回路長が過大のときは,圧力損失
による冷凍能力の低下を考慮しなければならない。圧力損失による冷凍能力の低下については,附属
書Aを参照する。
e) 管内冷媒蒸発温度t0が高い場合は僅かながらK値が大きくなること 蒸発温度が高くなると冷媒の粘
性が小さくなるため,αrは少し大きくなり,K値も僅かに増加する傾向をもつ。しかし,空気側の熱
伝達抵抗があるためK値に対する影響は小さい。
例えば,コイル内外面の熱伝達抵抗が等しい程度の一般的ユニットクーラでは,αrの変化量(%)
に対してK値変化はその1/2になる。したがって,t0=5 ℃の場合,t0=−30 ℃の場合に対して約20 %
程度αrが大きくなるためK値は10 %程度大きくなる。しかし,冷凍用の範囲ではt0が低いため,ほ
とんどK値は変わらないとしてもよい。
f) 冷凍機の運転条件による変化 冷凍機の運転条件によってΔhは変化する。図9図11のK値を計算
する場合は,凝縮温度tk=25 ℃,管内冷媒蒸発温度t0=−30 ℃のときの値であるΔh=170.19 kJ/kg
を使用している。式(14)によればαrはΔhの0.4乗に比例するため,Δhの大小によって最大±5 %程度
変化する。したがって,e)によってK値は±2.5 %程度で,僅かながら変化する。
g) ユニットクーラ管ピッチの影響 管ピッチが大きくなるとαaは小さくなる性質がある。例えば,PP
=40×40の式(11)に対し,直径15.88 mm銅管,PP=50×50の場合は,次のようになる。
.063
a 256. Uaf (実験式)
このαaを使用してK値を求めると,各tΔ,Uaf,mについてPP=40×40の場合のK値から,冷媒
R410Aでは13.2 %14.6 %程度小さくなる。これによって,PP=50×50の場合は図11のK値の14 %

――――― [JIS B 8610 pdf 12] ―――――

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減とした。また,PP=60×60の場合は,次のようになり,
.063
a 244. Uaf (実験式)
PP=40×40の場合のK値より16.7 %18.4 %程度小さくなる。これによって,PP=60×60の場合は
図のK値の17.8 %減とした。また,直径12.70 mm銅管,PP=45×52の場合は,次のようになり,
.065
a 247. Uaf (実験式)
K値の減少率はPP=33×38のK値に対し,17.0 %18.3 %減となる。
直径9.52 mm銅管使用の場合は,管ピッチは一般に25 mm程度であるので,それ以外の管ピッチに
ついては特に記載しない。
h) 着霜による影響 着霜によるK値への影響については,附属書Bを参照する。

――――― [JIS B 8610 pdf 13] ―――――

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( 1の場合)
図6−直径9.52 mm銅管のユニットクーラのk(Ae/A)とPpとの関係

――――― [JIS B 8610 pdf 14] ―――――

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( 1の場合)
図7−直径12.70 mm銅管のユニットクーラのk(Ae/A)とPpとの関係

――――― [JIS B 8610 pdf 15] ―――――

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