JIS B 8672-1:2011 空気圧―試験による機器の信頼性評価―第1部:通則 | ページ 4

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B 8672-1 : 2011
表B.1−中途打切りを含む間欠測定の場合のデータ例(最ゆう推定法を適用)
最終正常稼働 故障発見 故障モード1 故障モード2 故障モード3
サイクル数 サイクル数 例 : シールAの漏れ 例 : シールBの漏れ 例 : 切換時間
2.5×106 3.2×106 − − 標本5
4.8×106 6.2×106 − 標本12 −
10.5×106 12.5×106 − 標本1 −
15.0×106 詳細検査のため,標本4は試験から除く
16.0×106 18.0×106 標本9 − −
21.2×106 24.2×106 − − 標本2
29.6×106 33.6×106 標本2 標本8
35.0×106 故障を検査するため,標本10は試験から除く
37.8×106 40.8×106 − − 標本3
40.8×106 44.1×106 標本11 標本5 −
48.9×106 55.9×106 標本6 − 標本1
55.9×106 試験の打切り−標本7は該当故障なし
B.2.2 解析結果
図B.1に,解析結果を示す。解析した寿命データは,表B.1の最終正常稼働サイクル数及び故障発見サ
イクル数の両方で,図中にその範囲を線分で,中央値(この場合は平均値)を黒点で示してある。プロッ
トに当てはめた直線及び対応する母数は最ゆう推定法から求めており,信頼限界はその母数を用いフィッ
シャーのマトリックス法に基づいて求めている。
B.2.3 母数の推定値
− 尺度母数(特性寿命) : η=36.5×106サイクル
− 形状母数(ワイブル係数) : β=1.36
B.2.4 B10寿命の推定値
ワイブル分布関数の両辺の対数を2回とり変形すると,式(B.1)が得られる。
1
1
t ln ln (B.1)
1 F(t)
B10はF(t)=0.1における寿命であるから,式(B.1)にこれを代入すると,推定した母数に対し次のように
なる。
B10=6.98×106サイクル
B.2.5 B10寿命の信頼限界
95 %信頼水準におけるB10寿命の信頼限界は,フィッシャーのマトリックス法(附属書JA参照)による
と,2.9×106サイクルである。
B.3 メディアンランク回帰法の適用例
B.3.1 対象とするデータ
メディアンランク回帰法は,故障寿命が確定している場合に適用する。通常は,特性パラメータの測定
装置が故障の起こった寿命時間を直接示すことができるようにしておく。ここでは最ゆう推定法との比較
のため,表B.1のデータをそのまま借用し,最終正常稼働サイクル数と故障発見サイクル数との平均値を,
仮に寿命サイクル数とみなして解析する。

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この例で使用する寿命サイクル数は,標本の大きさ12に対する中途打切りを含むデータのメディアンラ
ンク(B.3.3参照)とともに表B.2に示す。
なお,表3から,この場合の要求最小故障数は8であるが,試験は55.9×106サイクルで打切りとしたの
で,故障データは9個となっている。
注記 表B.1のデータは特性パラメータの間欠測定に基づいているが,10.2ではそのような場合,故
障寿命は最後に正常稼働を確認したサイクル数とすることを規定している。この例で故障発見
サイクル数との平均値を寿命としたのは,あくまでも最ゆう推定法との比較のための便宜的な
処置である。
B.3.2 中途打切りデータの順位数
式(B.2)を用いて,平均順位jを計算する。
kj0 n 1
j (B.2)
k 1
ここに, k : 逆順位,k=n+1−i,iは順位
j0 : 直前の故障データに対する平均順位
n : 試験した全数,この例では12
計算結果を,表B.2に示す。ここで,直前の故障データに対する平均順位は,表のjの列ですぐ上の値
と同じであり,順位i=1の最初のデータについてはj0=0である。
B.3.3 メディアンランク
式(B.3)に対し平均順位jを用いて,メディアンランクpを計算する。
3.0
p (B.3)
4.0
計算結果を,表B.2に示す。
注記1 式(B.3)は,JA.2.2に示す式(JA.4)のF(ti)をpに置き換えたものである。
表B.2に,この例の回帰計算を行うために使用したデータ及び計算結果を示す。
表B.2−中途打切りを含む連続測定の場合の寿命データ例(メディアンランク回帰法を適用)
標本番号 寿命サイクル数 状態 順位i 逆順位k 平均順位j メディアンランクp
5 2.85×106 故障 1 12 1.00 0.056
12 5.5×106 故障 2 11 2.00 0.137
1 11.5×106 故障 3 10 3.00 0.217
4 15.0×106 中途打切り 4 9 − −
9 17.0×106 故障 5 8 4.11 0.307
2 22.7×106 故障 6 7 5.22 0.396
8 31.6×106 故障 7 6 6.33 0.486
10 35.0×106 中途打切り 8 5 − −
3 39.3×106 故障 9 4 7.66 0.593
11 42.4×106 故障 10 3 9.00 0.701
6 52.4×106 故障 11 2 10.33 0.808
7 55.9×106 打切り 12 1 − −
注記2 回帰計算は,pをF(ti)と読み換えて,JA.3.2に示す方法で行う。
1
X Y ln (B.4)

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ここに, X : X=ln t
Y : Y=ln ln(1/1−p)で,pは式(B.3)による。
B.3.4 解析結果
図B.2に,解析結果を示す。計算に用いた故障寿命は表B.2の寿命サイクル数を使用しているが,デー
タの範囲は表B.1に示されている。
データに当てはめた直線及びそれに基づく母数の推定値は,メディアンランク回帰法によっており,信
頼限界はフィッシャーのマトリックス法に基づいている。
B.3.5 母数の推定値
− 尺度母数(特性寿命) : η=41.0×106サイクル
− 形状母数(ワイブル係数) : β=1.06
B.3.6 B10寿命の推定値
B.2.4と同様にして,式(B.1)でF(t)=0.1とおきB.3.5による母数の値を用いてB10寿命を計算すると,こ
の場合は次のようになる。
B10=4.91×106サイクル
B.3.7 B10寿命の信頼限界
95 %信頼水準におけるB10寿命の信頼限界は,フィッシャーのマトリックス法から,次の値となる。
2.1×106サイクル
1 最ゆう推定法による直線 a 信頼水準95 %における
2 フィッシャーのマトリックス法による B10寿命の信頼限界
95 %信頼限界 b B10寿命
3 故障確率F(t)=10 %の線 c 特性寿命η,この場合36.5×106サイクル
4 故障確率F(t)=63.2 %の線
図B.1−中途打切りを含むデータの最ゆう推定法による解析結果(表B.1のデータ)

――――― [JIS B 8672-1 pdf 18] ―――――

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1 メディアンランク回帰法による直線
2 フィッシャーのマトリックス法による95 %信頼限界
3 故障確率F(t)=10 %の線
4 故障確率F(t)=63.2 %の線
a 信頼水準95 %におけるB10寿命の信頼限界
b B10寿命
c 特性寿命η,この場合41.0×106サイクル
d ワイブル係数βは1.06
図B.2−中途打切りを含むデータのメディアンランク回帰法による解析(表B.2のデータ)

――――― [JIS B 8672-1 pdf 19] ―――――

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附属書C
(参考)
指定の信頼度に対する寿命の実証試験
C.1 概要
この附属書では,指定の信頼度に対する製品の最小寿命がある基準値以上であることを,所定の信頼水
準で実証する方法について示す。この試験では母集団の故障寿命分布を推定するのではなく,ただ母集団
の寿命の片側信頼限界が,基準値より長寿命側にあることを試験によって証明するだけである。
この方法の利点は,試験全体に要する時間を箇条10に規定した方法より,短くできることにある。
C.2 前提条件
前提として,母集団の寿命分布はワイブル分布に従うものであり,その形状母数(ワイブル係数)は過
去の経験及び故障モードに関する技術的判断から,既知でなければならない。
注記 形状母数は,一般に故障モードと関連してある範囲の値をとると考えられている。過去の経験
からいろいろな値があり,どれをとるか決めかねる場合には,小さめの値を採用すれば安全側
の評価となる。
C.3 試験方法
試験は,通常の信頼性試験と同様な方法で,この規格の該当する部の規定に従って行う。この場合,製
品に要求される信頼度及びその信頼水準,試験個数などに応じて,与えられた基準値の寿命時間より長く
した割増し試験時間をあらかじめ設定しておき,その割増し試験時間内に標本が故障しなければ合格とす
る。全ての標本が合格であれば,その信頼度に対する母集団の最小寿命が基準値以上であることを,所定
の信頼水準において実証できたといえる。
C.4 記号
この附属書で用いる記号及び定義を,表C.1に示す。
表C.1−記号及び定義
記号 定義
t 試験による故障寿命(サイクル数又は距離)
tp 指定の信頼度に対する基準寿命
n 標本の大きさ
β ワイブル分布の形状母数(ワイブル係数),既知とする。
R(t) tにおける信頼度
最 所定の信頼水準
C.5 問題の定式化
C.5.1 目的
指定の信頼度に対する母集団の基準寿命に対し,標本の最短寿命がそれを下回らないことを所要の信頼
水準において実証するため,試験時間を長くした割増し試験時間を求める。この場合,ワイブル係数は既

――――― [JIS B 8672-1 pdf 20] ―――――

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JIS B 8672-1:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 19973-1:2007(MOD)

JIS B 8672-1:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8672-1:2011の関連規格と引用規格一覧