JIS B 9921:2010 光散乱式気中粒子計数器―校正方法及び検証方法 | ページ 2

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d) 粒径分解能(試験に用いた粒子)
e) 計数効率
f) 偽計数
g) 粒径区分のしきい値電圧又は内蔵している波高分析器(以下,PHAという。)のチャンネル

7 試験方法

7.1 粒径区分のしきい値設定方法

  校正用粒子の個数平均粒径は,国際単位系(SI)にトレーサビリティがあり1),粒径の値付けの標準不
確かさは,2.5 %以下である。また,粒子の屈折率は,波長589 nm(ナトリウムD線)において1.59付近
である。粒子計数器を校正用粒子で校正する場合は,試験用空気を測定したときの粒子計数器からのパル
ス信号分布を分析する。このとき,メジアン電圧がその粒径に対する応答値である(図2参照)。メジア
ン電圧は,粒子計数器に内蔵しているPHA又は外部のPHAを用いて決める。又は,しきい値電圧が可変
できる粒子計数器の設定電圧を用いて決める。メジアン電圧は,VlとVuとの間の累積度数を二分する電圧
である。内蔵しているPHA又は粒子計数器のしきい値電圧を可変してメジアン電圧を求める方法は,外部
のPHAを用いる方法よりも粒径の設定誤差要因が少ない。
注記1 内蔵しているPHAを用いる場合は,応答値などは電圧ではなくPHAのチャンネルのまま扱
うことが望ましい。
注記2 外部のPHAを用いてメジアン電圧を求める場合は,PHAの電圧誤差及び粒子計数器の電圧
の誤差が粒子計数器の粒径区分のしきい値電圧の誤差に含まれる(附属書JA参照)。
注1) 粒径は長さの単位であり,その定義は国際単位系(SI)の基本単位において定義されている。
X パルス波高値(電圧) Vl 累積範囲の下限電圧
Y パルス数の頻度 Vm メジアン電圧
1 校正用粒子のパルス波高値分布 Vu 累積範囲の上限電圧
図2−PSL粒子信号の波高値分布
波高値分布に,微小な粒子に相当するノイズが現れる場合は,これを“偽粒子”として除いてからメジ
アンを求める[図3 a)参照]。偽粒子を除外してもよいのは,校正用粒子によるピークが,ノイズと校正用
粒子信号による境界部分の谷の高さの2倍以上の場合である[図3 b)参照]。この場合には,Vl及びVuは,
校正用粒子による信号のピーク波高値の1/2の値に対する電圧としてメジアン電圧を求める。

――――― [JIS B 9921 pdf 6] ―――――

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a) b)
X パルス波高値(電圧) Vl 累積範囲の下限電圧
Y パルス数の頻度 Vm メジアン電圧
1 校正用粒子のパルス波高値分布 Vu 累積範囲の上限電圧
2 ノイズ(偽計数,微小粒子,光学的,電気的ノイズ)
図3−ノイズが含まれる場合のPSL粒子の波高値分布
粒径区分に対応したしきい値電圧は,製造業者から提供される応答曲線によって求める(図4参照)。
注記3 応答曲線が製造業者から提供されない場合は,センサの光学条件からMieの理論式(参考文
献[1])を用いて求めることもできる。
X 粒径 Vm,1 粒径Xm,1に対するメジアン電圧
Y 校正用粒子に対するメジアン電圧 Vm,2 粒径Xm,2に対するメジアン電圧
1 応答曲線 Vm,3 粒径Xm,3に対するメジアン電圧
図4−応答曲線

7.2 粒径区分のしきい値の誤差

  7.1の方法に従い,粒子計数器の測定粒径範囲において,少なくとも3種類の校正用粒子を用いて応答電
圧を求める。これらの応答電圧と校正用粒子との粒径から応答曲線を決める。粒子計数器のしきい値電圧
と応答曲線とから仕様書などに記載されている粒径に対応する粒径xsを求める。粒径区分のしきい値の誤
差εを式 (1) によって求め,6.2の要求事項を満たしていることを確認する。
xs xr

(pdf 一覧ページ番号 )

                             xr
ここに, ε : 粒径区分のしきい値の誤差

――――― [JIS B 9921 pdf 7] ―――――

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xr : 粒径区分(
xs : 試験で求めた粒径区分(

7.3 計数効率

  粒子計数器の計数効率試験には,2種類の校正用粒子を用いる。一つは最小可測粒径に近いものであり,
もう一つは最小可測粒径の1.5倍から2倍の大きさの粒径である。凝縮粒子計数器(CPC)又は校正され
た粒子計数器を参照器とし,試験対象とする粒子計数器及び参照器の両方で粒子個数濃度を測定する(附
属書A参照)。参照器は,その計数効率が気中粒子個数濃度の国家標準又は国際単位系(SI)に対するト
レーサビリティが確認されたものを用いる。参照器の計数効率は,被試験器の最小可測粒径に近い校正用
粒子において,すべての粒子を計数するものでなければならない。計数効率は,式 (2) によって求める。
C1

(pdf 一覧ページ番号 )

                            C0
ここに, η : 計数効率
C0 : 参照器によって得られた粒子個数濃度(個/m3)
C1 : 被試験器によって得られた粒子個数濃度(個/m3)
注記 凝縮粒子計数器(CPC)は,凝縮核計数器(CNC)ともいう。

7.4 粒径分解能

  この試験には,粒子計数器の仕様書などに記載されている粒径の校正用粒子を用いる。校正用粒子の標
準偏差σPは,既知でなければならない。図5に示すように,校正用粒子のメジアン電圧Vmを決める。下
側電圧Vl及び上側電圧Vuは,頻度が最大値に対して61 %になるところの電圧である(附属書B参照)。
応答曲線を用いてVl及びVuに対応する粒径を決定する。校正用粒子の粒径とVl,及びVuに相当する粒径
との差の絶対値を算出する。これらのうち大きい方の値を標準偏差σとする。粒径分解能Rは,式 (3) に
よって求める。
2
σ2 σP
R (3)
xP
ここに, R : 粒径分解能
σ : 粒子計数器で測定した校正用粒子の標準偏差(
σP : 校正用粒子の標準偏差(
xP : 校正用粒子の粒径(
注記 σPは,校正用粒子の製造業者が提供する標準偏差であるが,実際の粒子の標準偏差は,この値
よりも小さい場合があり,粒子計数器の分解能が高いときは,σ2<σP2となることがある。この
場合は,σ2=σP2として,R=0とする。

――――― [JIS B 9921 pdf 8] ―――――

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X パルス波高値(電圧) Vl 頻度が61 %に相当する下側電圧
Y パルス数の頻度 Vm メジアン電圧
1 校正用粒子の波高値分布 Vu 頻度が61 %に相当する上側電圧
2 下側分解能
3 上側分解能
図5−粒径分解能

7.5 偽計数

  偽計数は,粒子計数器が最小可測粒径において,清浄空気を測定したときの計数値である。偽計数の出
現確率をポアソン分布とし,上限信頼限界が95 %となる値をその粒子計数器の偽計数とする。清浄空気を
一定時間測定し,その測定結果とポアソン分布表から求められる値を1 m3当たりに換算した値を偽計数と
する(附属書C参照)。

7.6 同時通過損失

  同時通過損失は,試料空気流量と粒子が粒子検出領域を通過する時間及び電気的な信号処理時間によっ
て決まる。この値は,粒子計数器の設計によって決まるものである。同時通過損失は,式 (4) によって求
める。
L=1−exp (−q×t×C )×100 (4)
ここに, L : 同時通過損失(%)
q : 流量(m3/s)
t : 粒子検出領域の通過時間(s)+電気的処理時間(s)
C : 試料の粒子個数濃度(個/m3)

7.7 試料空気流量

  流量は,校正された膜式流量計,湿式ガスメータ又は圧力損失の少ない流量計で測定する。流量は,体
積流量とする。流量の規定流量からのずれは,6.7の要求を満たしていることを確認する。質量流量計を用
いた場合は,質量流量を体積流量に換算する。粒子計数器にバルブなどによる流量調整機能又はオリフィ
スなどによって流量を決める手段がない場合は,流量が粒子計数器の仕様に記載されている範囲内である
ことを確認する。流量調整機能はあるが,吸引ポンプを内蔵していない場合は,粒子計数器の仕様を満足
する外部ポンプを接続して流量を測定する。

7.8 測定時間

  測定時間は,粒子計数器が計数を開始してから終了するまでの時間である。測定時間の設定誤差は,式
(5)によって求め,6.8の要求を満足していることを確認する。測定時間の測定には,校正された測定器を
用いる。粒子計数器が測定時間を制御する機能をもっていない場合は,適用しない。

――――― [JIS B 9921 pdf 9] ―――――

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t t0
×100 (5)
t0
ここに, τ : 測定時間の設定誤差(%)
t : 実際の測定時間(s)
t0 : 設定した測定時間(s)

7.9 応答性

  粒子計数器の測定粒径を最小可測粒径にする。最大粒子個数濃度に近い試験用空気を10分間測定する。
なお,校正用粒子は,最小可測粒径に近い粒径とする。
上記に続き,粒子をT秒間測定した後,清浄空気に切り替える。切替え10秒後から粒子個数をT秒間
測定する。切替え前の粒子個数に対する切替え後の粒子個数の比を計算して,6.9の要求事項を満たしてい
ることを確認する。測定時間Tは,60 s以下とし,最初の校正用粒子の計数値は,少なくとも1 000でな
ければならない。

7.10 校正

  校正周期(6.10)ごとの校正には,少なくとも粒径区分のしきい値,粒径分解能,計数効率及び試料空
気流量の誤差を含む。

――――― [JIS B 9921 pdf 10] ―――――

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JIS B 9921:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 21501-4:2007(MOD)

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JIS B 9921:2010の関連規格と引用規格一覧