JIS B 9930:2006 油圧―作動油汚染―光学顕微鏡を用いた計数法による微粒子測定方法 | ページ 2

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B 9930 : 2006 (ISO 4407 : 2002)
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1 3 4
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a)格子 b)格 子付 薄 膜 フィル タ の
サン プ リ ン グ面 積
6
7
c)格 子 な し薄 膜 フ ィ ルタ の
サ ン プリ ン グ 面 積
1 格子幅
2 格子長さ
3 格子面積
4 サンプリング面積を定義したときの高さ
5 サンプリング面積
6 格子なし薄膜フィルタの有効ろ過径部におけるサンプリング面積の高さ
7 薄膜フィルタの有効ろ過径
図 1 サンプリング面積の例

4. 測定原理

 規定量の作動油を薄膜フィルタによって吸引ろ過し,作動油から汚染物質を捕集する。薄
膜フィルタを投射光式顕微鏡を用いて,又は透明化処理を施した後に透過光式顕微鏡を用いて,捕集した
微粒子の最長粒径及び粒子数を計測する。

5. 器具及び装置

5.1 乾燥装置

 70±2 ℃まで温度制御可能な乾燥装置。

5.2 外部照明装置

 試料台に斜照明が必要なときに用いる光量の可変可能な照明装置。

5.3 フィルタ支持具

 フィルタ支持具は,次の器具からなる。
− 容量300 mLで,校正された目盛付の漏斗(例えば,25±2 mLの精度)
− 漏斗のふた(例えば,ペトリ皿)
− 締付具
− 薄膜フィルタを支えるのに適した支持具
− ろ過作業中に発生する静電気を除去する器具

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5.4 目盛付シリンダ

 試験用試料を正確にはかることができる目盛付シリンダ。JIS R 3505に適合する
精度のシリンダ又は適切に容量を示す目盛を校正したサンプル瓶を用いてもよい。目盛の精度は±2 %で
あることが望ましい。

5.5 画像解析装置

 数種類の対物レンズ及び適切なビデオモニタに接続できるビデオカメラがついた三
眼顕微鏡で構成される装置。ビデオカメラからの出力は,コンピュータに取り込まれてデジタル画像とし
て再生し,この目的のために開発されたソフトウェアで画像解析することで,粒子の粒径及び粒子数を測
定する。
手動形のX-Yステージ及び焦点装置を用いてもよいが,電動形で,ソフトウェアによる粒子の位置決定
が可能なものであることが望ましい。

5.6 薄膜フィルタ

 試料及び溶剤又はろ過作業中に接触する可能性のある液体に対して使用可能な薄膜
フィルタ。通常,薄膜フィルタは,直径47 mm,白色,格子付で(格子は1辺3.08 mm±0.05 mmの正方
形で有効面積の1/100に相当),1.5 満の孔径をもち,2 湟 粒子まで計測できるものを用いる。
画像解析装置用には,格子のない薄膜フィルタを用いる。異なる直径の薄膜フィルタの使用も認められる。
測定する微粒子の最小径及び試料の状態によって,異なる孔径の薄膜フィルタを用いてもよい。薄膜フ
ィルタの孔径は,測定する最小粒子の99.9 %を捕そく(捉)可能なものが望ましい。
薄膜フィルタの色は,観察する汚染微粒子が最も明確に見える色を選ぶ。例えば,汚染微粒子の大部分
が半透明,透明又は白色であった場合,黒色の薄膜フィルタが望ましい。

5.7 スライドガラス及びカバーガラス

 透過光式の場合だけに用いる薄膜フィルタを挟むスライドガラ
ス及びカバーガラス。スライドガラス及びカバーガラスは,薄膜フィルタの直径より大きいサイズを選ぶ。
カバーガラスは,選択された拡大倍率で,微粒子に焦点が合う厚さのものを選択する。

5.8 フィルタ容器

 投射光式顕微鏡で測定する場合だけに用いる,薄膜フィルタ保持用のプラスチック
又は同等材質からなるふた付の容器。

5.9 微粒子計測用顕微鏡

 接眼レンズ及び数種類の対物レンズの組合せによって,2 μm以上の微粒子を
判別可能な顕微鏡。顕微鏡には,次の装備が必要である。
− 焦点の粗調整及び微調整機構。
− 投射光式用の光源,及び/又は透過光式用の光源。
− 薄膜フィルタの有効ろ過面積を走査できる可動ステージ。
− フィルタ容器又はスライドガラスを可動ステージ上に確実に保持できる器具。
− 適切な倍率において,計測される最小微粒子の大きさより,目盛間隔が狭い接眼ミクロメータ。
透過光式で計測するための最適な装置は,スクリーンに投影可能な顕微鏡である。
備考1. 画像解析装置を用いる場合,画像処理用ソフトウェアによって制御される安定光源を使用す
ることによって,輝度の変動がなく,光源の明るさの変化に対する自動調整ができるように
なっていることが望ましい。
2. 投射光式で正確に微粒子を識別するためには,さらに斜照明を用いる場合もある(5.2参照)。
目視計数のための,公称倍率及びレンズ倍率の組合せを,表 1に示す。
3. 三眼鏡筒及びビデオ又はカメラの組合せによって得られる倍率は,画像解析装置の製造業者
に確認することが望ましい。

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表 1 公称倍率とレンズの組合せ
推定最小粒径
公称倍率 接眼レンズ 対物レンズ
× 50 ×10 ×5 20
×100 ×10 ×10 10
×200 ×10 ×20 5
×500 ×10 ×50 2

5.10 プラスチックフィルム

 試料容器のふたの内側にシール機能をもたない場合,けい(頸)部に挿入
する厚さ0.05 mm×50 mm×50 mmのプラスチックフィルム。このフィルムは洗浄液と試料溶液のいずれ
にも適合性をもつものでなければならない。

5.11 試料容器

 公称250 mLの容器。平底で口径が大きく,樹脂製シールのついたねじ込み式ふた付の容
器が望ましい。

5.12 試料かくはん装置

 試料中の凝集した汚染物質を分散させるのに適した装置。実験用振とう装置,
塗料容器振とう装置,3 00010 000 W/m2の能力をもつ超音波洗浄器などの装置があり,汚染物質の粒径
分布に影響を与えるものであってはならない。

5.13 洗浄瓶

 1           下のインライン薄膜フィルタを通して溶剤を供給できる加圧式の洗浄瓶。

5.14 対物ミクロメータ

 長さの原器にトレーサビリティのある0.1 mm及び0.01 mmの目盛をもつ対物ミ
クロメータ。

5.15 数取器

 測定する粒径範囲及び粒子数を集計するのに十分な数取器。

5.16 ピンセット

 先端が平らで鋭角部をもたないステンレス製ピンセット。

5.17 吸引装置

 86.6 kPa(0.87 bar,650 mmHg)の真空度が得られる吸引装置。

5.18 吸引フラスコ

 フィルタ支持具に接続可能で,試料の全量をろ過可能な容量をもつフラスコ。

6. 試薬及び化学薬品

6.1 試薬,すすぎ及び洗浄用化学薬品

a) 2-プロパノール(イソプロピルアルコール,IPA)
b) 洗浄液 固形物を含まない洗浄液。
c) 蒸留水又はイオン交換水
d) 溶剤 装置のすすぎ及び試料の希釈に用いる溶剤。試料が石油系又は合成油の場合は,石油系溶剤(沸
点が100 120 ℃の範囲)又は同等品が適している。一方,試料が水系の場合は,蒸留水又はイオン
交換水が溶剤として適している。溶剤は試料及び装置と物理的,化学的に適合するものでなければな
らない。

6.2 薄膜フィルタを透明にするための液体(透過光式)

a) 定着液 3.5参照。
b) 固定液 3.8参照。カバーガラスと同等の屈折率をもつ液体。

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7. ガラス器具の洗浄方法

7.1   ろ過装置,目盛付シリンダ(5.4),試料容器(5.11),スライドガラス及びカバーガラス(5.7),フィ
ルタ容器(5.8)を洗浄し,JIS B 9937に従って清浄度を確認する。すすぎに用いる液体は,石油系又は合
成系試料の場合,石油系溶剤(又は同等の溶剤)を用い,水系試料の場合は,2-プロパノール又はイオン
交換水を用いることが望ましい。
7.2 装置の要求清浄度(RCL)は,汚染物質の計数結果に重要な影響を与えない程度に保つのが望まし
い。試料容器のRCLは,5 上の粒子が,容器容量100 mL当たり250個未満に保つことが望ましい。
洗浄及びすすぎに用いる液体は,1 下の孔径の薄膜フィルタによってろ過しなければならない。

8. 校正手順

8.1 顕微鏡の校正

8.1.1  接眼ミクロメータの校正は,少なくとも年1回実施し,光学系に大きな調整又は変更を加えた場合
にはその都度実施する。対物ミクロメータ(5.14)の校正は,5年ごとに実施する。
8.1.2 目視計数に用いる顕微鏡で適切な観察倍率を選択して,対物ミクロメータをステージに装着する。
このとき,接眼ミクロメータ及び対物ミクロメータの目盛線が重なるように装着する。両方の目盛に焦点
が合っていることを確認する。
8.1.3 接眼及び対物ミクロメータの像を観察しながら,接眼ミクロメータのすべての目盛が対物ミクロメ
ータの目盛の範囲に収まるように調整して,接眼ミクロメータの片端の目盛線及び対物ミクロメータの任
意の目盛線を一致させる。接眼ミクロメータの目盛数を適宜選び(例えば,50),対物ミクロメータによっ
てその間隔を測定する。その観察倍率における接眼ミクロメータの目盛間隔が示す長さを決定する。
8.1.4 すべての観察倍率において8.1.2及び8.1.3の手順を繰り返し,校正記録手順に準じて結果を記録す
る。
8.1.5 画像解析装置においても8.1.3と同様の校正が望ましいが,装置によって方法が異なるため,装置
製造業者の説明書に従って校正を実施する。

8.2 有効ろ過面積の決定

8.2.1  新しい吸引漏斗を用いる前,及び5年ごとの再校正を行うときに,次の手順で有効ろ過面積を決定
するのがよい。
8.2.2 有効ろ過面積を決定するのに適切な固形汚染物質の懸濁液を調整する。汚染物質としては,ベンガ
ラが適当である。適切な量の溶剤に約1 mg/Lの濃度となるように固形汚染物質を入れ,激しく振とうする
か,1分間の超音波照射によって混合する。
8.2.3 校正する吸引装置に薄膜フィルタ1 着し,しっかり固定する。25 mL又は明りょうな染み
がフィルタに残るのに十分な量の懸濁液を吸引ろ過し,吸引乾燥する。
8.2.4 フィルタを取り外し,少なくとも2箇所において0.1 mm単位まで有効ろ過径を測定する。測定結
果の平均値を用いて,有効ろ過面積を算出する。漏斗に識別記号を印し,校正結果を記録する。

9. 薄膜フィルタの準備

9.1 試料の準備

9.1.1  すべての測定試料の詳細を記録した後,結束したラベル及びはく離しかけたラベルを識別に注意し
ながら取り除く。特にふたの周辺に留意して,フィルタ付きの洗浄瓶に入れた溶剤を用いて試料容器を十
分に洗浄する。ふたの周辺に汚染物質が入り込まないように注意する。

――――― [JIS B 9930 pdf 9] ―――――

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9.1.2 試料をしばらく放置した場合,粒子の沈降及び凝集が生じている可能性がある。この場合は必ず,
分析前に試料内部の凝集物を破壊し,汚染粒子を再分散しなければならない。
9.1.3 少なくとも1分間試料容器をよく振とうするか,少なくとも5分間塗料容器振とう装置にかけるな
どの適切な方法で汚染粒子を再分散させる。再分散の方法は元の粒度分布を変えないように選択する。
9.1.4 超音波洗浄器によって凝集物を破壊する場合,洗浄器槽内の液面は,試料容器内部の液面直下,又
は試料容器の高さの3/4のいずれか低い方とする。処理時間は1分以内とし,処理後30秒間手で振とうす
る。

9.2 ブランク分析

9.2.1  ブランク分析は,試料ごとの計数の前にその都度実施する。ただし,一定のブランク数が常時得ら
れ続けることが立証できる場合は,ブランク分析は計測開始前に1回実施し,一連の試料計測の途中に最
低1回実施するのがよい。
9.2.2 試料の代わりに溶剤を用いて9.3を実施する。適切な薄膜フィルタを装着した吸引装置に100 mL
のろ過した溶剤を入れ吸引し,乾燥させる。
9.2.3 10.3に従って5 上の粒子を計数する。5 上の粒子数が次の備考に示す許容範囲を超えて
いる場合は洗浄不足と判断し,再度器具を洗浄した後に9.2.29.2.3を繰り返す。
備考 ブランク数は,試料計数結果の10 %以内となることが望ましい。もし超えた場合は,分析試
料のろ過量を増やす。また,溶剤100 mL中の5 上の粒子数が100個以下となるブランク
数が望ましい。
9.2.4 洗浄を繰り返したにもかかわらずブランク数が基準を満たさない場合,すべての手順,すなわち,
洗浄工程,溶剤のろ過,準備手順及び室内環境の調査を要する。
9.2.5 ブランク数を,記録表に記録する(図 2参照)。
1 6
1 2 3 4 12 7
1 2 3 4 5 8 7 6 5 13 20
9 10 11 12 28 21
10 9 8 7 6 16 15 14 13 29 36
17 18 19 20 44 37
45 50
有効ろ過径
1 有効ろ過径
1 有効ろ過径
1
図2.1 10格子
10格子 20格子
図2.220格子 図2.3 50格子
50格子
図 2 10格子,20格子及び50格子の計数手順例

――――― [JIS B 9930 pdf 10] ―――――

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JIS B 9930:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4407:2002(IDT)

JIS B 9930:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 9930:2006の関連規格と引用規格一覧