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B 9930 : 2006 (ISO 4407 : 2002)
9.3 吸引ろ過による汚染物質の分離
9.3.1 9.1の手順に従い,また適正な室内環境内において,測定準備を行う。室内環境は,JIS B 9920の
クラス5以上の清浄度が適する。
9.3.2 使用するすべての器具が,要求清浄度まで洗浄されていることを確認する。
9.3.3 ピンセットを溶剤で洗浄し,容器から薄膜フィルタを取り出し,溶剤で注意深く上面をすすぎ洗い
した後,フィルタ支持具の中央にセットする。あらかじめ溶剤で内面をすすいだ漏斗を,薄膜フィルタが
ずれないように注意深く置く。締付具で固定し,静電防止線を取り付ける。漏斗にふたをかぶせ,ろ過準
備が整うまで外さない。吸引フラスコと吸引装置とを接続する。
9.3.4 9.1.3に従って汚染物質を再分散させた後,規定量の試料を目盛付シリンダ若しくは校正済の容器
に注ぐか,又は校正済の漏斗に直接注ぐ。試料を直接漏斗に投入しない場合,計量後試料を漏斗に注ぎ,
容器に残った試料を溶剤ですすぎながら漏斗に注ぐ。複数回のすすぎが必要な場合もある。漏斗にふたを
し,吸引を始める。
9.3.5 漏斗内の試料量が残り少なくなったとき(例えば,20 mL程度),吸引を止め真空を解く。フィル
タ付き洗浄瓶を用い,漏斗内壁にらせん状に溶剤をかけて漏斗をすすぎ洗いする。このとき,薄膜フィル
タ上の粒子を乱さないように注意する。薄膜フィルタに試料の液体成分が残らないように,十分な溶剤を
漏斗に加える。ふたを元に戻し,薄膜フィルタを吸引し乾燥させる。
9.3.6 洗浄したピンセットを用い,吸引装置から薄膜フィルタを取り外して清浄なフィルタ容器に置く。
角形のフィルタ容器の場合は,格子がフィルタ容器の一端と平行となるように置く。汚染されないように
ふたをかぶせ,容器に識別記号を付ける。
9.3.7 試料が水系液体の場合,薄膜フィルタは吸引では乾燥できず,乾燥装置による乾燥を必要とする場
合がある。このような場合,薄膜フィルタは内部の水分を透過できる適切なふたで外部からの汚染を防い
だ上で,5560 ℃に調節された非循環式の乾燥装置に少なくとも1時間置く。薄膜フィルタに試料の液体
成分が残っている場合,薄膜フィルタに定着した汚染物質の測定の障害となるために,9.3.29.3.6の手順
を繰り返すことが望ましい。
9.4 計数の妥当性評価
9.4.1 9.3に準じて(100±5) Lの試料をろ過した薄膜フィルタを,投射光式顕微鏡を用いて50倍で観察
して,粒子が有効ろ過面積全体に均一に分散しているか確認する。
備考 大きな単一粒子として測定される可能性がある重なった粒子及び接触した粒子の存在を確認す
るために,100倍又は200倍での観察が必要な場合もある。
9.4.2 粒子同士の重なりがなく,汚染物質が均一に分散している場合は,10. に従って粒子の計数を実施
する。不均一な場合は廃棄し,9.3を繰り返す。
9.4.3 重なった粒子が認められた場合,5 上の粒子が適切に分散して正確な計数が可能となるように
試料量を減量する。新たな試料量で9.3の手順を実施し,ろ過した試料量を記録表に記録する。
9.4.4 100 mLをろ過中に薄膜フィルタの目詰まりが生じた場合,吸引を続けながら漏斗内の残っている
試料を捨て,漏斗の内面をすすぎ,薄膜フィルタを吸引乾燥させる。投射光式顕微鏡で薄膜フィルタを観
察して,目詰まりの原因を検討する。
a) 高い粒子濃度で目詰まりが生じた場合,適切な粒子の分散状態が得られる試料量に減量し,9.3の手順
を繰り返す。記録表にその試料量を記録する。
b) 微細な生成物質で目詰まりが生じた場合,目の粗い薄膜フィルタに変更する,及び/又は試料量を適量
まで減らし,9.3の手順を繰り返す。記録表にその試料量及び薄膜フィルタの孔径を記録する。
――――― [JIS B 9930 pdf 11] ―――――
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B 9930 : 2006 (ISO 4407 : 2002)
備考1. 目の粗いフィルタを用いた場合,小さな粒子の捕そく(捉)率が低下することがある。
2. 目の粗いフィルタを用いた場合,計測する最小粒径を大きくしてもよい。目安として,最小
粒径はフィルタ孔径の1.5倍程度である。
9.4.5 最適な試料量及び/又は薄膜フィルタ孔径の選定後,投射光式顕微鏡による計数(10.)を実施す
るか,又は透過光式顕微鏡による計数を選択した場合,薄膜フィルタの準備(9.5)を実施する。
9.5 透過光式顕微鏡による測定のための薄膜フィルタの準備
9.5.1 清浄なスライドガラスをフィルタを通した溶剤を用いて洗浄し,薄膜フィルタを浸すのに十分な量
の定着液を塗布する。
9.5.2 ピンセットを用いて注意深く薄膜フィルタを支持具,又はフィルタ容器から取り出し,汚染物質を
捕そく(捉)した面を上向きにして,定着液を塗布したスライドガラス上に載せる。薄膜フィルタの格子
をスライドガラス端と平行になるように向きを合わせる。スライドガラスに識別記号を付ける。
9.5.3 加熱,冷却の間の汚染を防ぐためにスライドガラス及び薄膜フィルタに防じんカバーをかぶせ,55
60 ℃に調節した非循環式の乾燥装置に入れ,約1時間乾燥させる。薄膜フィルタがスライドガラスに定
着すると白濁する。
9.5.4 乾燥後,乾燥装置から防じん(塵)カバーとともにスライドガラスを取り出し,室温と同程度とな
るまで23分間放冷する。放冷後,カバーガラスの接触面を溶剤で洗浄し乾燥させ,速やかに洗浄した面
に固定液を塗布する。
9.5.5 スライドガラスにかぶせた防じんカバーを外し,薄膜フィルタの接着したスライドガラスを取り出
し,気泡が入らないように固定液を塗布したカバーガラスをのせる。スライドガラス及びカバーガラスが
平行となっていることを確認して,カバーガラスを固定する。
備考 カバーガラスとスライドガラスとの間で粒子を押しつぶさないよう注意する。
9.5.6 作製したスライドを乾燥装置に注意深く戻し,防じんカバーをかぶせて5560 ℃で少なくとも90
分間加熱する。
備考 完全な固定には,長時間(36時間まで)の加熱が望ましい。
9.5.7 乾燥工程後,スライド及び防じんカバーを乾燥装置から取り出し,室温になるまで放冷する。
10. 粒径及び計数手順
10.1 粒径
粒径を要求する粒径区分に従って分類する。粒径の選択は個々の要求に従うが,各種清浄度
コード体系に適合するように≧2 ≧5 ≧15 ≧25 ≧50 び≧100
又はすべてが含まれることが望ましい。粒径範囲としてのデータが必要な場合,累積粒子数から差分粒子
数を算出する。
繊維状粒子(3.4参照)は,粒径≧100 数に含め,さらに区別して分類する。
10.2 公称倍率の選択
表1に従い,計数対象となる粒径に適した倍率を選択する。
10.3 統計的計数手順
10.3.1 薄膜フィルタの準備が完了した後,ふたを取り外したフィルタ容器(投射光式の場合),又は準備
したスライド(透過光式の場合)を顕微鏡のステージに置き,フィルタの表面又は格子の線に焦点を合わ
せる。斜照明を用いる場合には,粒子が最も鮮明になるように,その角度及び輝度を調整する。
10.3.2 画像解析の場合には,装置の取扱説明書に従って種々パラメータを調整する。
10.3.3 薄膜フィルタ上の任意の場所を選び,計測する最大粒径に応じて拡大倍率を選択する(表 1参照)。
最初のサンプリング面積を走査し,選択した粒径以上の粒子数を粒径の定義(3.9)に従って計測する。
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備考 粒子の脱落の影響を最小限にして,より正確な計数結果を得るために,最も大きな粒子から計
数を開始するのが望ましい。
10.3.4 薄膜フィルタの総粒子数を推定し,3.11に規定した統計的係数法に適合するようにサンプリング面
積を選択する。
10.3.5 薄膜フィルタ上の異なる格子でサンプリング面積内の粒子を計測する。繊維状粒子を含め,すべて
の粒子の計数を実施する。繊維状粒子については,区別して計数を実施する。さらに,薄膜フィルタ上の
異なる格子についても同様に計数を実施する。計数対象の格子は,一定の手順(図 2に推奨する計測手順
例を示す。)又は,任意に選択する。少なくとも10か所の独立した位置(フィールド)の計数結果の合計
が150個以上となるまで粒子計数を継続する。記録表に粒子数及びフィールド数を記入する。
備考1. サンプリング面積は,全部を同一領域から選択するのではなく,薄膜フィルタの有効ろ過面
積の全体に分布していることが望ましい。
2. 計測領域の上部又は左側の境界格子上にある粒子は,その粒子は計測領域の境界内にあるも
のとして計測する。対象領域の下部又は右側の境界線上にある粒子は,計測に含めない。
3. 薄膜フィルタ上の粒子の濃度が極めて低く,10か所の異なった場所で計測した粒子数が不十
分な場合は,粒子数が計測基準に達するまでほかの場所について計測を続ける。
4. 繊維状粒子(3.4参照)は,粒径≧100 数に含め,さらに区別してその数を記録する。
10.3.6 ほかの粒径区分については,拡大倍率を選択して10.3.110.3.5の手順を適宜繰り返す。
10.4 総粒子数の計算
測定粒径を超える総粒子数N(100 mL当たり)は,次の式で表される。
An
N 10 5(100 mL当たり)
f LW V
ここに, A : 薄膜フィルタの有効ろ過面積(EFA)(mm2)
n : 測定粒子数
f : 測定したサンプリング面積の数
105 : 定数
L : サンプリング面積の長さ(mm),格子の大きさ又はサンプ
リング面積の長手方向の長さ
W : サンプリング面積の高さ(
V : ろ過した試料の容量(mL)
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表 2 顕微鏡による粒子計数記録表例
試料名称 : 顕微鏡製造番号 : 分析担当者名 :
薄膜フィルタの有効ろ過径(mm) :
薄膜フィルタの孔径(
薄膜フィルタの有効ろ過面積(mm2) :
サンプリング面積の長さL (mm) : 試料容量V (mL) :
照明方式 : (透過光式/投射光式)
繊維状
粒径 (
粒子(1)
ブランク
測定粒子数 n
測定サンプリング
面積の数 f
サンプリング面積の
高さ W (
総粒子数 N (2)
試料
測定粒子数 n
測定サンプリング
面積の数 f
サンプリング面積の
高さ W (
総粒子数 N (2)
注釈
分析日付 : 署名 :
注(1) 繊維状粒子は,長さと幅との比が10 : 1以上で100 誕 鉛
(2) 総粒子数は,次の式によって計算する。
An 5
N 10 (100 mL当たり)
f LW V
10.5 妥当性確認
報告書を作成する前に,測定結果の妥当性を確認する必要がある。これは結果を検査
し,粒子径が大きくなるに従い粒子数が徐々に減少していること,又はJIS B 9933の附属書A図1におけ
る汚染度グラフ[log N−(log d )2]に描いて,粒径が増加したときに粒子数の急激な減少,粒径が増加して
も粒子数の変化が小さいなどがないかを確認することで行う。薄膜フィルタ上の分散が均一でない場合に,
これらの現象がみられる。計算間違いが原因でなければ,該当する粒径について薄膜フィルタの計数を再
度実施する。
11. 結果の表記
記録表にすべての測定及び試験の詳細を記録し,少なくとも次の項目を報告書に記載す
る(表2参照)。
a) 試料の名称
b) 試料100 mL中の粒子数及び粒径
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c) 100 mL中のブランク数
d) 薄膜フィルタの有効ろ過径及び孔径
e) 測定方法(目視計数又は画像解析)及び照明方法(投射光式又は透過光式)
f) 測定に用いた試料の容量
g) 注釈
12. 規格準拠表示
この規格に従っている場合には,試験報告書,カタログ及び販売資料に,次の趣旨の
文言を用いる。
透過光式/投射光式顕微鏡を用いた計数法による固形微粒子の測定は,JIS B 9930(油圧−作動油汚染
−光学顕微鏡を用いた計数法による汚染微粒子の測定)に基づいて実施した旨。
参考文献
(1) IS B 9936 油圧−微粒子分析−運転中のシステム管路からの作動油試料採取方法
備考 ISO 4021:1992,Hydraulic fluid power−Particulate contamination analysis−Extraction of fluid
samples from lines of an operating systemが,この規格と一致している。
JIS B 9930:2006の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 4407:2002(IDT)
JIS B 9930:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.100 : 流体動力システム > 23.100.60 : ろ過器,シール及び流体の汚れ
JIS B 9930:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0142:2011
- 油圧・空気圧システム及び機器―用語
- JISB9920:2002
- クリーンルームの空気清浄度の評価方法
- JISB9933:2000
- 油圧―作動油―固体微粒子に関する汚染度のコード表示
- JISB9933:2021
- 油圧―作動油―固体微粒子に関する汚染度のコード表示
- JISB9937:2001
- 油圧―作動油試料容器―清浄度の品質及び管理方法
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計