JIS B 9932:2015 油圧―液体用自動粒子計数器の校正方法 | ページ 3

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B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
APC及びセンサの適切な校正履歴を十分に蓄積することによって,校正の周期を長くすることができる。
ただし,校正の周期は1年を超えてはならない。
校正の全ての段階で流量は,同じでなければならない。APCの流量限界は,附属書Cに規定する方法に
よって決定する。限界を超えた流量で得られたデータは破棄し,適切な流量で操作を繰り返す。
粒径校正は,5.2と同じサンプル容量で行う。5.2と異なったサンプル容量で行った場合は,誤測定を避
けるために新たにそのサンプル容量で5.2の操作を繰り返す。
6.2に進む前にA.2の手順でAPCのノイズレベルを決定することが望ましい。ノイズレベルが前回より
も30 %以上変化している場合は,校正値が外れている場合があり,APCの修理を必要とすることがある。
6.2に進む前にノイズレベルの確認を怠れば,機器の校正時間の無駄又は測定結果の有効性に問題を生じる
ことがある。
6.2 APCを累積モードにし,六つ以上の異なったチャンネルを次のような粒径区分電圧に設定する。
a) 最も低い粒径区分電圧(測定可能な最小粒径)は,機器のノイズレベルの1.5倍以上とする。
b) 最も高い粒径区分電圧は,機器の動作電圧範囲(APCの製造業者に確認する。),粒径分布及び校正サ
ンプルの容量によって限定できる。
c) 中間の粒径区分電圧は,対象粒径を含むように選択しなければならない。
分析のため校正用懸濁液のサンプルを準備する。サンプルを手で強く振る。30秒間以上超音波でサンプ
ルを分散させる。次に,1分間以上機械式振とう器でダストを分散させる。分析するまでサンプルを振と
うし続ける。
6.26.8の手順は,粒径区分電圧の数が少ない場合の手動校正を想定している。代わりに,同じ手順に
従いソフトウェア及びマルチチャンネルアナライザ(MCA)を用いて校正することができる。MCAを用
いる場合は,MCAが測定した電圧とAPCの粒径区分電圧との関係を確立することが基本である。一般的
に,ソフトウェア及びMCAによる方法は手動法より早くて正確な傾向がある。
6.3 減圧状態又は超音波を用いて,サンプル中の気泡が表面に上昇するまで脱気する。サンプルに気泡
を巻き込まないように注意しながら,5回以上サンプルボトルの上下を反転させる。10 mL以上のサンプ
ルを計数し,最小粒径区分の粒子数が10 000個以上となる結果を5回連続で求める。
式(1)を用いて,各粒径区分の粒子の総数Nを計算する。
N 5XV (1)
ここに, X : 粒径区分ごとにおける5回の計数の平均粒子濃度であり,
1 mL当たりの粒子数。
V : 1回の計数におけるサンプルの容積で,単位はミリリット
ル。
Nの値は,粒径区分ごとに統計的に有効な結果にするため,1 000以上でなければならない。
式(2)を用いて,粒径区分ごとに検出された粒子数の最大(Xmax)と最小(Xmin)との差の平均粒子濃度
に対する比率(DQ)を計算する。
Xmax Xmin
DQ 100 (2)
X
表2に粒径区分ごとの粒径区分電圧,粒子濃度,X及びDQの値を記録する。
表C.2を用いて,粒径区分ごとのXに対応するDQの最大許容値を求める。DQの値が最大許容値未満の
場合は,その粒径区分のXの値は用いることができる。六つ以上の粒径区分において許容値を満足する場

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合は,6.4に進む。これを満足しない場合は,次の方法で許容値を外れる粒径区分を調べる。
式(3)を用いてD0を計算する。
Xmax Xmin
D0 (3)
X0 XN
ここに, X0 : 不合格とみなした粒子計数値(Xmax又はXminのいずれか)。
XN : X0の値に最も近い粒子計数値。
いずれかのチャンネルのD0が1.44以下の場合,外れた測定点(X0)を捨てて,残る四つの測定値を用
いてXを計算し直し,計算し直したXの値を校正に用いる。いずれかのチャンネルのD0が1.44を超える
場合,このチャンネルからの値は許容されないため捨てなければならない。(DQ及びD0の判定基準を用い
て)適切な値が6チャンネル以上ある場合には,6.4に進む。それ以外の場合には,適切な処理の後に6.1
6.3を繰り返す。
いずれのチャンネルにおいてもNが1 000未満の場合,そのチャンネルからの値は使用してはならない。
カウント数だけが基準を満たさない場合は,基準を満足する粒子数が計測できるように粒径区分電圧を変
更する,又はより多い容量のサンプルを用いて6.16.3を繰り返す。
一次校正用サンプル及び二次校正用サンプルを回収して再利用してはならない。
注記 品質判定基準から外れる結果が出る要因には,次のものがある。
a) 希釈液若しくはガラス容器の汚染,容量誤差,計算誤差,APCのノイズレベルに近すぎる
ところでの測定又はサンプル中の気泡。
b) サンプルチャンバを加圧して測定することによる流量変動,又は他の原因による流量変動。
c) 粒子の沈降。
d) 強いかくはん(攪拌)による濃度分布の不均一(粒子に遠心力が作用することによる。),
又は気泡の混入。

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表2−APCの粒径校正ワークシート(6.3,6.8,A.9参照)
APC 形式 年月日
製造番号 校正者
センサ 形式 校正サンプル
製造番号 ロット番号
ノイズレベル 流量 mL/min 粒子濃度
1回目校正懸濁液 校正用懸濁液番号
粒径区分電圧
計数結果1
計数結果2
計数結果3
計数結果4
計数結果5
X(個/mL)
DQ
2回目校正懸濁液 校正用懸濁液番号
粒径区分電圧
計数結果1
計数結果2
計数結果3
計数結果4
計数結果5
X(個/mL)
DQ
3回目校正懸濁液 校正用懸濁液番号
粒径区分電圧
計数結果1
計数結果2
計数結果3
計数結果4
計数結果5
X(個/mL)
DQ
6.4 6.3で規定した適切なデータだけを用いて粒子濃度(1 mL中の表示粒径以上の粒子数)と粒径区分
電圧(mV)との関係を両対数グラフにプロットする。統計回帰手法を用いて,粒子濃度と粒径区分電圧と
の関係(回帰曲線)を明らかにする。
6.5 六つ以上の異なったチャンネルについて,校正用サンプルの粒径分布データから粒子濃度を計算で
求める。これらの粒子濃度に対応する粒径区分電圧を6.4で明らかにした関係から求める。ただし,6.4で

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求めた関係は,校正用サンプルの粒径分布データ範囲外の粒径には適用できない。粒径区分電圧がAPCの
ノイズレベルの1.5倍未満である場合は,適切な粒径区分電圧となるように,大きい粒径側の粒子濃度を
選択する。APCの粒径区分電圧をこれらの値に設定する。
注記 この規格において,NIST校正懸濁液の粒径,濃度及び標準偏差については懸濁液に附属する表
を参照する。二次校正懸濁液の粒径,濃度,標準偏差については,附属書Fで得られるデータ
を参照する。
6.6 六つ以上の異なる粒径区分電圧で6.16.5を異なるサンプルで繰り返す。ただし,6.4及び6.5にお
ける粒子濃度と粒径区分電圧との関係を決めるために,二つのサンプルから得られた全ての有効なデータ
(6.3で規定した)を用いる。
6.7 再度,六つ以上の異なる粒径区分電圧で6.16.5を異なるサンプルで繰り返す。粒子濃度と粒径区
分電圧との最終的な関係を決めるために,三つのサンプルから得られた全ての有効なデータ(6.3で規定し
た)を用いる。
6.8 6.7で定めた粒子濃度と粒径区分電圧との関係を用いて,次の手順によって校正曲線を作成する。
a) 適切な粒径分布データから18の異なった粒径を選択する。
b) 6.36.7において実際に測定した粒径範囲だけを選択する。
c) 表3に18の異なった粒径,それに対応する粒径区分電圧及び粒子濃度を記録する。
d) 粒径区分電圧と粒径との関係をプロットする。
e) 統計的回帰法を用いて校正曲線を描く。校正に用いた粒径範囲外への推定(外挿)は行わない。
一部の用途では,SRM 2806に報告されているよりも大きい粒径での校正が要求される。50 c) ) を超
える粒径を測定するためにAPCを校正する場合には,JIS B 9916による。大きい粒径を対象とした粒子計
数は,多くの誤差要因があることに注意しなければならない。誤差要因としては,a) サンプルの採取,取
扱い,及び測定時における粒子の沈降,並びにb) 作動油中に含まれる大きい粒径の粒子数が少ないこと
による統計的な不確かさがある。
JIS B 9916は,単分散のポリスチレンラテックス粒子を用いた粒径校正方法を規定している。一方,こ
の規格は,多分散テストダストを用いる計数校正方法を規定している。いずれの方法もAPCの粒径区分電
圧と粒径との関係を決定する。この規格に用いているNISTの粒径分布は粒子の投影面積の相当直径を基
本としているため,JIS B 9916のような粒径校正方法は,50 c) を超える粒径に対する校正に用いるこ
とができる。50 c) を超える粒径を検出する場合,APCは粒子及び液体の屈折率に大きな影響を受けな
い。
ポリスチレンラテックス校正方法を用いる場合には,そのポリスチレンラテックス粒子の大きさは,国
家標準又は国際標準にトレーサブルであり,かつ,変動係数は5 %未満でなければならない。ポリスチレ
ンラテックス粒子が水に懸濁した状態で供給される場合は,附属書Dに規定する手順で作動油
MIL-PRF-5606に懸濁しなければならない。また,ポリスチレンラテックス粒子が乾燥した状態で供給さ
れる場合は,直接MIL-PRF-5606に超音波を用いて懸濁しなければならない。
注a) c) の (c) は,この規格(JIS B 9932)におけるAPC校正であることを示す[7.1 b) 参照]。

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表3−APC校正の要約
APC 形式 年月日
製造番号 校正者
センサ 形式 前回校正日
製造番号
ノイズレベル サンプル容量 mL 流量 mL/min
CV,vol % 流量限界 mL/min
同時通過損失限界 個/mL
sR c) RR %
sL c) RL %
d c) R %
粒径校正
校正サンプル ロット番号 濃度
粒径 粒径区分電圧 測定粒子濃度
c) mV
粒子計数精度の確認
粒径 目標粒子濃度(表A.1参照) 測定粒子濃度
c)
5
10
注記 CV,volは変動係数で式(A.2)による。sR,sL及びdはD.10,RR,RL及びRはD.11を参照。

――――― [JIS B 9932 pdf 15] ―――――

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JIS B 9932:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11171:2010(IDT)

JIS B 9932:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 9932:2015の関連規格と引用規格一覧