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B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
D.3 APCを,差分モードに設定する。校正曲線(箇条6参照)を用いて,ポリスチレンラテックス球粒
子の粒径に対応する粒径区分値を,次に示す手順によって推定する。
a) 第1チャンネルを,APCのノイズレベルの1.5倍に設定する。
b) 第3チャンネルを,ポリスチレンラテックス球の粒径に相当する粒径区分電圧に設定する。
c) 第2チャンネルを,第3チャンネルの0.72倍に対応する粒径区分電圧に設定する。
d) 第4チャンネルを,第3チャンネルの粒径区分電圧の1.32倍に対応する電圧に設定する。
第2チャンネル及び第3チャンネルの粒子数だけを利用する。
注記1 D.3D.5では,ポリスチレンラテックス球の粒径の中央値に対応する粒径区分電圧を判断す
るための,ウィンドウ移動式ハーフカウント法について規定している。ここで得られたデー
タは,センサの分解能の判定に大きな影響を与える。ポリスチレンラテックス球の粒径の中
央値に対応する粒径区分設定の判定が正確でないと,センサの見かけ上の分解能が悪くなり,
APCはセンサ仕様を満足しないことがある。
注記2 ポリスチレンラテックス球と校正用ダストSRM 2806(4.4参照)とは光学的な特性に違いが
あるために,この規格によって校正したAPCを用いて得た粒径と,ポリスチレンラテックス
球の供給者から提供された粒径とは異なる。最初の設定値として,ポリスチレンラテックス
球の供給者が示す粒径よりも1050 %大きい粒径を選ぶ。
注記3 ハーフカウント設定値をより早く決めるには,次のようにD.3D.5を実施すればよい。すな
わち,D.4では第2チャンネルの計数結果が2 500個以上であるものを5回としているが,500
個以上を示す計数を1回だけ行う。必要に応じてチャンネルを再調整し,D.5に規定するハ
ーフカウント状態になるまでこの工程を繰り返す。このあと,D.4で規定したように,5回の
計数値を用いてD.3D.6を繰り返す。
D.4 希釈したポリスチレンラテックス球懸濁液のサンプルを,機械的に1分間以上かき混ぜて分散させ
る。減圧状態又は超音波を用いて,サンプル中の気泡が表面に上昇するまで脱気する。粒子を連続5回計
数し,それぞれの計数において最低10 mL,第2チャンネルでは粒子数が2 500個以上になるようにする。
粒子計数データを,6.3の判定基準で評価する。DQが表C.2中の該当数値よりも小さければD.5へ進む。
上記を満足しない場合は,分析手法における誤差によるものと考え,そのデータを破棄する(6.3の注記
参照)。適切な処置を施した上でD.2D.4を再度実行する。
D.5 第2チャンネルと第3チャンネルとの差異Dを,式(D.2)を用いて百分率で表す。
N2
D 1 100 (D.2)
N3
ここに, N2 : 第2チャンネルの粒子計数の平均値
N3 : 第3チャンネルの粒子計数の平均値
Dの絶対値が3 %以下の場合,第3チャンネルの粒径区分電圧はポリスチレンラテックス球の粒径に対
応していると判断する。この場合は,D.6へ進む。Dの絶対値が3 %を超える場合,及びDの値が負の場
合,D.3での粒径区分電圧は高すぎる。Dが正であればD.3の粒径区分電圧は低すぎる。このような場合
は,第2第4チャンネルの粒径区分電圧を再調整した上でD.3D.5を繰り返す。粒径区分電圧をいかな
る値に設定してもDの絶対値が3 %未満にならない場合は,Dの絶対値が最小となる第3チャンネルの粒
――――― [JIS B 9932 pdf 31] ―――――
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B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
径区分電圧を,ポリスチレンラテックス球の粒径に対応する電圧値とする。
D.6 箇条6による校正曲線を用いて,第3チャンネルの粒径区分電圧に対応する粒径を決定する。この
粒径の0.9倍及び1.1倍に対応する粒径及び粒径区分電圧を決定する。
D.7 APCの最初の5個のチャンネルを,次のようにして設定する。
a) 第1チャンネルをチャンネルAとし,チャンネルCの粒径区分電圧の0.72倍に対応する電圧に設定
する。
b) 第2チャンネルをチャンネルBとし,チャンネルCの粒径の0.9倍に対応する値に設定する。
c) 第3チャンネルをチャンネルCとし,D.5で判定したポリスチレンラテックス球の粒径に対応する値
に保つ。
d) 第4チャンネルをチャンネルDとし,チャンネルCの粒径の1.1倍に設定する。
e) 第5チャンネルをチャンネルEとし,チャンネルCの粒径区分電圧の1.32倍に対応する電圧に設定
する。
分解能は,差分計数値だけで判断する。
D.8 希釈したポリスチレンラテックス球懸濁液のサンプルを機械的に1分間以上かき混ぜて分散させる。
減圧状態又は超音波を用いて,サンプル中の気泡が表面に上昇するまで脱気する。それぞれの計数におい
て10 mL以上,第2チャンネルでは粒子数が2 500個以上になるように粒子を連続5回計数する。粒子計
数データを,6.3の基準で評価する。DQが表C.2中の該当数値よりも小さければD.9へ進む。DQが表C.2
中の該当数値を超える場合は,分析手法における誤差によるものと考え,そのデータは破棄する(6.3の
注記参照)。適切な処置を施した上でD.8を再度実行する。
D.9 区間粒子濃度の平均をチャンネルごとに計算する。
D.10 APCの見かけ上の標準偏差を,式(D.3)及び式(D.4)を用いて計算する。
d
sL (D.3)
6 ln 1(2NB / NA
d
sR (D.4)
6 ln 1(2NC / ND
ここに, sL : 左側又は負側の見かけ上の標準偏差(μm)
sR : 右側又は正側の見かけ上の標準偏差(μm)
d : 箇条6の校正曲線と,第3チャンネルの粒径区分電圧とを
用いて得た,ポリスチレンラテックス球の見かけ上の粒径
(μm)
NA : チャンネルAの平均粒子計数値
NB : チャンネルBの平均粒子計数値
NC : チャンネルCの平均粒子計数値
ND : チャンネルDの平均粒子計数値
D.11 正側及び負側(それぞれRR,RL)の分解能を,式(D.5)及び式(D.6)を用いて百分率で表す。
――――― [JIS B 9932 pdf 32] ―――――
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B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
100 sL2 sI2
RL (D.5)
d
100 sR2 sI2
RR (D.6)
d
ここに, sI : 供給元が報告するポリスチレンラテックス球の標準偏差
(μm)
APCの分解能Rは,RR又はRLの大きい方を採用する。d,sR,sL,RL,RR及びRを表3に記録する。
D.12 公称粒径が10 μmのポリスチレンラテックス球(4.1参照)に対するRが15 %未満で,かつ,RR
とRLとの差の絶対値が5 %以下の場合,センサの分解能は合格と判断する。Rが15 %以上か,又はRRと
RLとの差の絶対値が5 %を超える場合,APCは不合格と判断し,点検又は交換が必要である。また,ポリ
スチレンラテックス球懸濁液のサンプルを調製したときの手順若しくは分析したときの手順に間違いがあ
った可能性,又はポリスチレンラテックス球そのものが4.1の要件に適合していなかった可能性が考えら
れる。この場合は,その間違いを特定して修正した後,この附属書に規定する分解能の判定手順を繰り返
す。
注記 APCの製造業者の取扱説明書に従ってシステムを清浄にすると,低い分解能を修正できること
がある。
D.13 APCが分解能に関するD.12の要件を満たさない場合は,MCA又はAPCの累積モードを用いてポ
リスチレンラテックス球の粒径分布を次のように調べる。
a) .6で決定したポリスチレンラテックス球の粒径の0.85倍及び1.15倍に対応する粒径の範囲を決め
る。この粒径範囲を少なくとも10等分し,対応する粒径区分電圧を箇条6で得た校正曲線を用いて決
める。チャンネルには,これらの粒径区分電圧を可能な限り多く設定する。
b) ポリスチレンラテックス球懸濁液のサンプルを,D.2及びD.4で説明したように調製し分析する。た
だし,APCは累積モードに設定する。全部の粒径区分について十分な粒子の数が得られるまで,異な
った粒径区分値で分析を繰り返す。分析を繰り返す場合,最小粒径に対応するチャンネルは変えては
ならない。
c) 各チャンネルの計数値を,同一計数時の最小チャンネルの計数値に対する比率で表すことによって,
各計数の結果を正規化する。正規化した結果を,粒径が大きくなる順に表にする。そして粒径ごとに,
次に大きい粒径の累積結果から各粒径の累積結果を差し引いて,差分率を計算する。
d) 粒径に対する差分結果をプロットし,滑らかな曲線で結ぶ。
d) によってプロットした曲線は,第2のピークがない正規分布が望ましく,かつ,最小粒径及び最大粒
径での差分率はゼロに近いことが望ましい。こうした測定ができ,かつ,分解能に対するD.12の要件を満
足できない場合,APCを修理若しくは点検をする,又は粒径区分を増やして,ポリスチレンラテックス球
の粒径の分布を確かめる必要がある。こうした測定ができない場合,ポリスチレンラテックス球又はサン
プルの調製に問題がないかを考える。APCが合格しなかった理由にかかわらず,APCの分解能はD.12で
決められたものに合わせなければならない。
――――― [JIS B 9932 pdf 33] ―――――
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B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
ポリスチレンラテック
ス球懸濁液のサンプル
を調製
APCを準備
ポリスチレンラテックス球懸濁
液のサンプルを分析
第2と第3チャン いいえ
ネルとの差は3 %
を超えるか
はい
チャンネル間 はい 新しいチャンネル設定
の差異を最小 値を決め,最初の五つの
化したか チャンネルを設定
ポリスチレンラテックス球懸濁
いいえ 液のサンプルを分析
最初の四つの
チャンネルを
再調整
分解能を計算
いいえ 分解能は15 %未満であり,
APCを修理又は交換 正側と負側の分解能の絶
対値の差が5 %以下である
はい
分解能判定完了
図D.1−分解能の判定手順
――――― [JIS B 9932 pdf 34] ―――――
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B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
附属書E
(規定)
粒子計数精度の確認
E.1 図E.1は,粒子計数精度の確認手順のフローチャートを表す。APCを新たに製造したとき,並びに
APC若しくはセンサを修理又は再調整したときは,センサの性能を確認する。
E.2 附属書Dで判定した分解能がD.12の合格基準を満たす場合は,E.3へ進む。満たしていない場合は,
そのAPCは,使用できないので修理又は交換が必要である。
E.3 RM 8632(4.7参照)を清浄な希釈溶媒で1.00 mg/Lに懸濁したサンプルを3個準備する。
注記 分析から得た結果を表A.1の数字と比較するので,このサンプルではダスト濃度が正確である
ことが重要である。サンプルの調製又は計数が正確でない場合,表A.1から外れることになり,
使用可能なセンサでも不合格になってしまう場合がある。この3個の1.00 mg/LのRM 8632サ
ンプルは,A.4で調製した濃縮液を希釈して調製してもよい。この方法を用いる場合,質量測
定,容量測定,沈殿などに十分注意する必要がある。また,認証された信頼できる供給者から
1.00 mg/LのRM 8632サンプルを購入することも可能である。
E.4 サンプルを30秒間以上超音波で分散した後,機械式振とう器で1分間以上振とうし,ダストを分散
させる。サンプルは,分析にかけるまで振とうを続ける。
E.5 APCを累積モードに設定し,粒径区分電圧を,5 μm15 μmで六つ以上の粒径に設定する。ここで
の設定値は,APCのノイズレベルの1.5倍よりも大きくなければならない。また,この設定値には,5 μm(c)
及び10 μm(c) に加えて対象とする最小粒径を含めなければならない。箇条6で決めた校正曲線からそれら
の粒径に対応する粒径区分電圧を決定する。センサがこのような粒径のうちの一つ,又はそれ以上を計数
できない場合は,この範囲内で別の粒径を選択する。
E.6 流量を定格流量に調節する。
E.7 減圧状態又は超音波を用いて,サンプル中の気泡が表面に上昇するまで脱気する。サンプルに気泡
を巻き込まないように注意しながら,5回以上サンプルボトルの上下を反転させる。10 mL以上のサンプ
ルを計数し,最小粒径の粒子数が10 000個以上となる結果を5回連続で得る。得られたデータが,6.3の
品質基準を満たしている場合,E.8へ進む。満たさない場合はデータを破棄し,分析手法における誤差に
よるものと判断する。この場合は,適切な対策をとった上でE.3E.7を再度実行する(6.3の注記参照)。
E.8 3個のサンプル全ての分析が終わるまでE.4E.7を繰り返す。
E.9 3個のサンプルについて,粒径ごとに平均粒子濃度Xを計算する。また,百分率で表す変動係数CV
を,式(E.1)を用いて計算する。
――――― [JIS B 9932 pdf 35] ―――――
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JIS B 9932:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11171:2010(IDT)
JIS B 9932:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.100 : 流体動力システム > 23.100.60 : ろ過器,シール及び流体の汚れ
JIS B 9932:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0142:2011
- 油圧・空気圧システム及び機器―用語
- JISB8356-8:2002
- 油圧用フィルタ性能評価方法―第8部:フィルタエレメントのろ過性能試験(マルチパステスト法)
- JISB9916:2010
- 光遮へい式液中粒子計数器―校正方法及び検証方法
- JISB9937:2001
- 油圧―作動油試料容器―清浄度の品質及び管理方法