39
B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
附属書G
(参考)
APCの校正 ラウンドロビン
G.1 背景
この規格の対応国際規格の審議原案を評価するためにラウンドロビンが行われた。この審議原案と国際
規格との間には技術的差異はほとんどない。このラウンドロビンには27の研究機関が参加し,24台の光
遮蔽式センサ及び5台の光散乱式センサを含めた29台のAPCによる測定結果を得た。この29台のAPC
は異なる6社によって製造され,計数センサは12種類に及んだ。
校正用サンプル,10 μmの球状ラテックス粒子のオイル分散液及び乾燥ISO UFTD(Ultra Fine Test Dust)
を,参加研究機関に提供した。NISTがSRM 2806(4.4参照)の認証試験を完了する前にラウンドロビン
を行ったため,参加機関には,ISO 4402:1991に規定するAC fine test dust(ACFTD)を用いた校正方法に
基づいた校正用サンプルの粒径分布(以下,この附属書ではACFTD校正粒径という。)の情報を与えてい
た。
NISTによる一次校正用サンプル(SRM 2806)の認証が完了した後,ラウンドロビンで得たACFTD校
正粒径を,JIS B 9932校正に基づく新たな粒径(以下,この附属書ではNIST校正粒径という。)に置き換
えた。ACFTD校正粒径とNIST校正粒径との相関関係を明確にするために,ラウンドロビンに参加した3
研究機関が,5台のAPCをISO 4402:1991及びJIS B 9932:2003に従って校正した。この検討では,異なる
3社のAPCを用い,これらのセンサは,光遮蔽式3種及び光散乱式2種の5種類であった。ACFTD校正
粒径とNIST校正粒径との相関結果を,表G.1に示す。この表は,ラウンドロビンによって得たACFTD校
正粒径をNIST校正粒径に置き換える際に用いた。
表G.1−NIST校正粒径とACFTD校正粒径との相関関係
次の規格に従って校正したAPCで測定された粒径
NIST校正粒径 ACFTD校正粒径
(JIS B 9932) [ISO 4402:1991(廃止)]
c) c)
4 <1
5 2.7
6 4.3
7 5.9
8 7.4
9 8.9
10 10.2
15 16.9
20 23.4
25 30.1
30 37.3
図G.1は,4種類の試験サンプル,すなわち,校正用サンプル,確認用サンプル,サンプルA及びサン
プルBの粒径分布を表している。グラフ上の線は,ラウンドロビンに参加した研究機関での測定値の平均
値を示したものである。校正用サンプルは,ISO MTDを清浄な希釈溶媒に分散させたものである。これら
――――― [JIS B 9932 pdf 41] ―――――
40
B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
は,NIST一次校正用懸濁液を調製した研究機関が調製したものである。ISO MTDは,フィルタのマルチ
パステスト(JIS B 8356-8)にも使用している。確認用サンプルは,乾燥したISO UFTDを用い,附属書E
に従って各参加研究機関で調製した。ISO UFTDの粒径分布は,フィルタのマルチパステストにおけるフ
ィルタ二次側の粒径分布に似ている。
サンプルAは,単一の研究機関で調製したという点を除き,確認用サンプルと同じく,1.00 mg/Lの濃
度でISO UFTDを清浄なオイルに分散させたものである。
サンプルBは,030 c) のダストを清浄な希釈溶媒に分散させたものである。その粒径分布は,フ
ィルタのマルチパステスト(JIS B 8356-8)における,フィルタ一次側での粒径分布に似ている。
個/mL
校正用サンプル
粒子個数濃度(表示粒径以上)
サンプルB
確認用サンプル
サンプルA
粒径 c)
図G.1−ラウンドロビンサンプルの粒径分布
G.2 データ解析方法
確認用サンプル,サンプルA及びサンプルBから得たラウンドロビンデータを統計的に解析した。その
結果を表G.2表G.4に要約して示す。平均値,標準偏差及び95 %信頼区間は,粒子濃度の累積の対数を
基に算出した。データのばらつきの要因は,主に校正の相違に起因すると推定される。それぞれの研究機
関によって測定した粒径は,正規分布である。累積濃度は粒径の対数の関数として変化するため,得られ
る粒子濃度は対数正規分布となる。平均値(Xlog),標準偏差(s)及び変動係数(CV,log)は,式(G.1),式
(G.2)及び式(G.3)によって定義する。
N
log Xi
i 1
Xlog (G.1)
N
――――― [JIS B 9932 pdf 42] ―――――
41
B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
N
2
log Xi Xlog
i 1
s (G.2)
N 1
100 s
CV, log (G.3)
Xlog
ここに, X :
i研究機関(i)による特定の粒径における平均粒子濃度デ
ータ
N : サンプルの種類ごと及び表示粒径におけるAPCの数
Xlog,s及びCV,logは,表G.2,表G.3及び表G.4に記載されている。
それぞれのサンプルの粒径における粒子濃度の平均値及び95 %信頼区間は,Xlog及びsによって求める。
粒子濃度の平均値(XG),95 %信頼区間の上側(XU)及び下側(XL)は,次の式(G.4),式(G.5)及び式(G.6)
によって定義される。
XG 10X log
(G.4)
s
XU 10 2 XG (G.5)
2s
XL 10 XG (G.6)
XG及びsを用いて,粒径の信頼区間dU及びdLを求めた。粒径分布は,XGと粒径データとの相関を直
線回帰することによって確定した。サンプル数が少ないことによる統計上の不自然さを避けるために,N
>5の粒径のデータだけを用いて回帰を行った。表G.2表G.4には,回帰式d,dU及びdLを用いて計算
した平均粒径を示す。
表G.2−サンプルAの結果
粒径 c)
パラメータ
4.2 4.6 5.1 6.4 7.7 9.8 11.3 13.6 17.5 21.2
統計的解析値
Xlog 3.79 3.68 3.53 3.15 2.75 2.10 1.71 1.03 0.40 0.10
s 0.02 0.03 0.04 0.06 0.10 0.14 0.16 0.17 0.15 0.17
CV,log 0.45 0.87 1.01 2.02 3.64 6.84 9.18 16.35 37.44 168
n 10 19 6 27 22 28 4 28 15 26
粒子濃度の95 % 信頼区間 個/mL
XG 6 105 4 739 3 414 1 420 558 125.64 51.27 10.74 2.50 1.26
XU 6 601 5 489 4 021 1 905 884 243.31 105.67 23.35 4.98 2.75
XL 5 647 4 092 2 899 1 059 352 64.88 24.88 4.94 1.26 0.58
粒径の95 % 信頼区間 c)
d 4.2 4.6 5.1 6.4 7.8 9.8 11.1 13.6 17.6 21.1
dU 4.1 4.4 4.8 6.0 7.1 8.9 10.1 12.2 15.4 17.2
dL 4.3 4.8 5.4 6.9 8.4 10.7 12.2 15.4 21.1 30.3
――――― [JIS B 9932 pdf 43] ―――――
42
B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
表G.3−サンプルBの結果
粒径 c)
パラメータ
4.2 4.6 5.1 6.4 7.7 9.8 11.3 13.6 17.5 21.2
統計的解析値
Xlog 3.23 3.12 3.01 2.27 2.54 2.27 2.15 1.91 1.63 1.37
s 0.03 0.03 0.04 0.04 0.04 0.04 0.01 0.06 0.02 0.07
CV,log 0.81 0.86 1.26 1.30 1.63 1.94 0.37 3.40 1.49 5.24
n 10 19 5 27 22 28 3 28 11 26
粒子濃度の95 % 信頼区間 個/mL
XG 1 692 1 326 1 020 563 346 188 141 80.65 42.38 23.52
XU 1 909 1 501 1 214 663 418 231 147 108.66 47.38 32.75
XL 1 500 1 171 856 477 286 154 136 59.86 37.91 16.89
粒径の95 % 信頼区間 c)
d 4.2 4.6 5.1 6.4 7.8 9.8 11.0 13.6 17.5 21.2
dU 4.0 4.4 4.8 6.0 7.2 9.1 10.8 12.1 15.5 18.8
dL 4.4 4.9 5.5 6.9 8.4 10.6 11.1 15.2 19.7 23.8
表G.4−確認用サンプルの結果
粒径 c)
パラメータ
4.2 4.6 5.1 6.4 7.1 7.7 8.4 9.1 9.8 11.3 13.6
統計的解析値
Xlog 3.80 3.68 3.53 3.16 3.00 2.78 2.56 2.38 2.14 1.73 1.19
s 0.04 0.04 0.04 0.07 0.17 0.11 0.13 0.18 0.13 0.11 0.13
CV,log 1.06 1.18 1.19 2.09 5.60 3.97 4.98 7.61 6.20 6.49 10.83
n 8 20 17 25 3 20 8 5 24 5 8
粒子濃度の95 % 信頼区間 個/mL
XG 6 286 4 769 3 415 1 458 1 009 600 361 241 137 53.28 15.66
XU 7 570 5 827 4 146 1 977 2 190 997 649 555 251 89.26 28.42
XL 5 221 3 903 2 812 1 076 465 361 201 104 74 31.80 8.63
粒径の95 % 信頼区間 c)
d 4.2 4.7 5.2 6.5 7.0 7.7 8.4 9.1 9.9 11.5 13.6
dU 3.9 4.3 4.9 6.0 5.9 7.0 7.5 7.8 8.9 10.6 12.9
dL 4.5 5.0 5.5 6.9 8.1 8.4 9.4 10.4 10.9 12.4 14.3
G.3 結論
3種類のサンプル全てについて,ラウンドロビンに参加した研究機関の間でよい一致をみた。ただし,
粒子カウント数が500を下回るケースでは,各研究機関でのばらつきが大きかった。類似のAPC間では,
そのばらつきは小さかった。測定結果のばらつきを小さくするためには,APCの性能レベルを附属書A,
附属書D及び附属書Eに規定する許容値以内に調整すること及び附属書A,附属書B及び附属書Cに規
定する限界幅の範囲中で操作することが重要である。
――――― [JIS B 9932 pdf 44] ―――――
43
B 9932 : 2015 (ISO 11171 : 2010)
附属書H
(参考)
サンプルの計算
H.1 例1−データ品質の基準計算
H.1.1 6.3の規定に従って校正用サンプルを分析し,5回の計数結果を得た。あるチャンネルで,35 710,
35 283,35 345,35 389及び43 522の計数が得られた。その計数結果が校正用として適切であるかどうか
を,6.3に規定するデータ品質判定基準によって確認する。
H.1.2 Xmax,Xmin及びXを求める。
Xmax=43 522及びXmin=35 283
35 710 35 283 35 345 35 389 43 522
X 37 050
5
H.1.3 DQを計算する。
Xmax Xmin 43 522 35 283
DQ 100 100 22.24
X 37 050
H.1.4 表C.2を参照し,DQと最大許容率とを比較する。Xが37 050なので,Xの値が10 000以上の行
及びステップ1の列から最大許容率を読み取る。ここで,最大許容率は11.0である。DQの計算値はこれ
よりも大きいため,このデータは適切でないので,許容率から外れた要因を調べる。
H.1.5 外れる要因となる可能性のある計数値を調べる。元データを調べると,最初から4個の計数値
(35 710,35 283,35 345及び35 389)は相対的に接近しているが,最後の計数値(43 522)はかけ離れて
いる。最後の計数値が外れる要因と疑われるので,X0=43 522となる。外れる要因と疑われる値に最も近
い計数値は35 710であるからXN=35 710となる。
H.1.6 D0を計算する。
Xmax Xmin 43 522 35 283
D0 .105
X0 XN 43 522 35 710
H.1.7 データの中から,外れた要因となる計数値を捨てることができるかどうかを判定する。D0の計算
値が1.44未満なので外れた要因となる計数値を捨てることができる。
H.1.8 残った4個の計数値を用いて,DQを再計算する。ここで,Xmax=35 710及びXmin=35 283であるか
ら,次のようになる。
35 710 35 283 35 345 35 389
X 35 432
4
Xmax Xmin 35 710 35 283
DQ 100 100 .120
X 35 432
H.1.9 表C.2を参照し,DQと最大許容率とを比較する。Xは35 432なので,Xの値が10 000以上の行
及びステップ1の列から最大許容率を読み取る。ここで,最大許容率は11.0である。DQの計算値はこれ
よりも小さいため,このデータ(4個の計数値)は適切である。再計算したXを用いて校正手順に進む。
――――― [JIS B 9932 pdf 45] ―――――
次のページ PDF 46
JIS B 9932:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11171:2010(IDT)
JIS B 9932:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.100 : 流体動力システム > 23.100.60 : ろ過器,シール及び流体の汚れ
JIS B 9932:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0142:2011
- 油圧・空気圧システム及び機器―用語
- JISB8356-8:2002
- 油圧用フィルタ性能評価方法―第8部:フィルタエレメントのろ過性能試験(マルチパステスト法)
- JISB9916:2010
- 光遮へい式液中粒子計数器―校正方法及び検証方法
- JISB9937:2001
- 油圧―作動油試料容器―清浄度の品質及び管理方法