JIS C 2136:2017 過酷な環境条件下で用いる固体電気絶縁材料―耐トラッキング性及び耐浸食性試験方法 | ページ 3

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高い電圧値をいう。
材料のクラス分けは,次による。
− クラス1A0又はクラス1B0
5.4の終点基準A又は終点基準Bで,2.5 kVで6時間以内に終点に達する試験片が1個以上ある場
合。
− クラス1A 2.5又はクラス1B 2.5
5個の試験片の全てが2.5 kVに耐え,かつ,3.5 kVで6時間以内に終点に達する試験片が1個以上
ある場合。
− クラス1A 3.5又はクラス1B 3.5
5個の試験片の全てが3.5 kVに耐え,かつ,4.5 kVで6時間以内に終点に達する試験片が1個以上
ある場合。
− クラス1A 4.5又はクラス1B 4.5
5個の試験片の全てが4.5 kVに耐える場合。
いずれの場合にも,浸食の最大深さを報告書に記載する。

5.3 方法2 : 段階昇圧トラッキング電圧印加法

  試験開始時の電圧は,250 Vの倍数で,かつ,3段階目の電圧印加よりも前に5.4の終点基準Aによる終
点に到達しないような値を選ぶ(予備的な試験を必要とする場合がある。)。汚損液を規定の流量で定常的
に流した状態で,電源を投入し,先に選んだ試験開始電圧まで上昇させる。この電圧を1時間保持し,続
いて250 Vステップで1時間ずつ保持しながら,終点基準A又は終点基準Bに到達するまで昇圧する。電
圧の上昇に応じて,汚損液の流量及び直列抵抗の値を表1に従って増加する。
耐段階昇圧トラッキング電圧とは,5個の試験片の全てが終点に達することなしに1時間耐えたときの
最も高い電圧値をいう。
材料のクラス分けは,次による。
− クラス2A x又はクラス2B x,ここにxは,試験した材料が耐えた最高電圧をキロボルト(kV)の単
位で表した値とする。
いずれの場合にも,浸食の最大深さを報告書に記載する。
注記1 有効に劣化を引き起こすためのシンチレーションを発生させることが必要である。発生しな
い場合には,電気回路,汚損液の流れの状態及び汚損液の抵抗率を注意深く確認する。
シンチレーションとは,電圧を印加してから数分以内に,くし(櫛)状の下部電極の歯のす
ぐ上の部分に生じる黄色又は白(ある種の材料ではしばしば青)の微小なアークをいう。
これらの放電は,連続的な形で生じるが,一つの歯から他の歯に飛び移ることもある。この
ような放電は,試験片表面を焼損することになり,結果的にトラッキング破壊を生じる。二
つの電極の間の表面を素早く移動する形式の放電がトラッキングを生成することはまれであ
る。
有効なシンチレーションの状態は,オシロスコープによって観測することができる。その場
合の信号は,過電流検出装置に直列に挿入した抵抗(例えば,330 Ω,2 W)の両端から取り
出す。適切なシンチレーションは,商用周波数電圧の電流波形の各半サイクルに頻繁に現れ
る形の定まらないひずみとして観測される。
注記2 トラックが上部電極に到達する以前であっても,生成した導電性のトラック及び表面に残存
する汚損液の流れを通して60 mAの電流が流れたときには,過電流検出装置は作動する。

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注記3 浸食の深さは,試験片材料の損傷を受けていない部分を削らないように注意しながら,絶縁
材料の分解生成物及び破片を削り取った後に測定する。

5.4 終点基準

  試験の終点を決める基準には次のいずれかの基準を用いる。
− 終点基準A
試験片を通って高電圧回路中を流れる電流値が60 mAを超えたとき(過電流遅延リレーは2秒4秒の
間に回路を遮断する。)を終点とする。また,終点到達の前に,激しい浸食によって試験片が損傷し,試験
を継続できなくなったときは試験を中止し,終了する。
注記1 60 mA終点基準による場合には,複数の試験片を同時に試験する自動化装置を使うことがで
きる。
注記2 材料によっては,試験中に溶融,せん孔又は着火して燃焼性の損傷を生じるものがある。
− 終点基準B
トラックが,下部電極から25 mm離れた試験片上のマーク(図1及び図7参照)に達した時点を終点と
する。
注記3 この終点基準Bの場合は,目視観察を行い,手動で試験を中止する必要がある。
注記4 溶融,せん孔又は着火がない終点基準Aが望ましい。

6 試験報告書

  試験報告書には,次の事項を含める。
a) 供試材料の種類及び名称
b) 試験片の詳細 製法及び寸法。洗浄の方法及び使用した溶剤,並びに実施した場合には,表面研磨,
事前の状態調節及び厚さを報告書に記載する。
c) 複合材料(繊維強化プラスチックなど)のほか,向きによって異方性のある材料の試験片については,
電極配置に対する試験片の向き(すなわち,成形加工の方向に平行方向,直角方向,斜め方向など)
d) 電圧の印加方法及び採用した終点基準
e) 5.2又は5.3による材料のクラス分け
f) クラス分けと併せて浸食の最大の深さ。例えば,浸食の最大の深さが0.5 mmの場合,クラス 1A3.5
−0.5と表す。
g) 試験片の損傷によって,試験を終了したときは,破壊までの時間及び破壊の状態[溶融,せん孔又は
着火(燃焼)]

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参考文献
JIS C 2134 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
JIS R 6001:1998 研削といし用研磨材の粒度
IEC 60050-212,International Electrotechnical Vocabulary−Part 212: Electrical insulating solids, liquids and
gases

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C2
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附属書JA
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(参考)
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JISと対応国際規格との対比表
017
IEC 60587:2007,Electrical insulating materials used under severe ambient conditions−
JIS C 2136:2017 過酷な環境条件下で用いる固体電気絶縁材料−耐トラッキン
グ性及び耐浸食性試験方法 Test methods for evaluating resistance to tracking and erosion
(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 番号 の評価
2 用語及 − 2.4 “time to track”を規定。 削除 − 対応国際規格の2.4に規定の用語
び定義 “time to track”は本文中に使用な
し。
IECに削除を提案予定。
3.1 寸法 図1中に記載の寸法 3.1 (1) 下部電極の取付け 変更 (1) 下部電極取付け孔の寸法線及 試験片上端とろ紙のパッドとの間
線及び寸法(数字) 孔の寸法線及び寸法を び寸法を削除。 の位置関係を図7の状態にするた
記載。 (2) 上部電極取付け孔の寸法線及 めには,上部電極の取付け孔の位
(2) 上部電極の取付け び寸法を追加記載。 置が肝要である。下部電極につい
孔の寸法線及び寸法の ては任意でよい。
(3) 5.4(終点基準),終点基準Aに
記載なし。 記載の目印の位置の寸法線及び寸 また,終点基準Bに規定の試験片
(3) 目印の位置の寸法 法を追加記載。 上の目印の位置の寸法を明示。
線及び寸法の記載なし。 IECに修正提案を予定。
4.1 電気 表1(試験条件),試 4.1 Table 1,試験電圧1.0 変更 試験電圧1.01.75 kVにおける直 対応国際規格に記載の抵抗値で
回路 験電圧1.01.75 kV 1.75 kVにおける直列抵 列抵抗の抵抗値を1 kΩから10 kΩは,試験片の破壊・短絡時の過大
における直列抵抗の 抗の抵抗値 : 1 kΩ に変更。 な電流によって,電気回路を損傷
抵抗値 : 10 kΩ するおそれがある。
IECに修正提案を予定。

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(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 番号 の評価
4.1 電気 試験電圧2.02.75 kV 試験電圧2.02.75 kV 変更 試験電圧2.02.75 kVに対応する 抵抗値10 kΩでは,試験片の破
回路 に対応する直列抵抗 に対応する直列抵抗の 直列抵抗の抵抗値10 kΩは過小と 壊・短絡時に流れる電流が,ほか
(続き) の抵抗値 : 15 kΩ 抵抗値 : 10 kΩ 判断し,15 kΩとした。 の条件の電流(200 mA以下)に比
べて突出して大きい(250 mA以
上)。
IECに修正提案を予定。
過電流遅延リレーの 過電流遅延リレーの動 変更 許容差“±6 mA”を削除。 過電流遅延リレーの動作電流値に
動作電流値 : 60 mA 作電流値 : “60 mA±6 ±10 %以上の許容差を設けること
mA or more” は不適切と判断。
IECに修正提案を予定。
4.2 電極 ステンレス鋼の例示 : 4.2 “grade 302” − 技術的差異はない。 −
SUS302
図6,ろ紙パッドの上 Figure 6 変更 滴下による汚損液の供給が可能な 対応国際規格の図では,ろ紙パッ
端を延長。 図に修正。 ドへの汚損液の供給は,感電の危
険があるチューブ挿入による方法
だけが可能で,滴下による供給は
困難。
IECに修正提案を予定。
4.3 汚損 界面活性剤の名称と 4.3 変更
“Isooctylphenoxypoly- 汚損液の名称を変更。 現行のIUPAC命名法では,接頭語
液 して,現行の命名違法 Ethoxyethanol” 技術的差異はない。 “イソ(iso-)”は付けない。広く
によるもの及び一般 用いられている名称を調査の上,
に用いられている呼 記載。
称(トリトンX-100) IECに訂正提案を予定。
を記載。
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JIS C 2136:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60587:2007(MOD)

JIS C 2136:2017の国際規格 ICS 分類一覧