JIS C 2143-6:2014 電気絶縁材料―熱的耐久性―第6部:固定時間枠法を用いる絶縁材料の熱的耐久性指数(温度指数及び相対熱的耐久性指数)の求め方 | ページ 3

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C 2143-6 : 2014 (IEC 60216-6 : 2006)

5.2 劣化処理時間及び劣化処理温度

  ほとんどの場合,要求される熱的耐久性は20 000時間での耐久性を前提としている。ただし,それ以外
の長時間又は短時間での熱的耐久性に関する情報が必要なことがある。20 000時間よりも長い規定時間の
場合,この規格の要求事項又は推奨事項となっている時間(例えば,最長の劣化処理時間の4分の1とし
て規定される最低値5 000時間)を,規定時間の20 000時間に対する比で増加させる。
規定時間がより短い場合,必要があれば,関係する時間は同じ比で減少させる。
規定時間が非常に短い場合,より高い劣化処理温度が必要となり,また,劣化処理温度が,例えば,ガ
ラス転移温度又は部分溶融など,結果に非直線性をもたらすような転移点を含む温度領域になることがあ
るため,特別な注意が必要である。規定時間が非常に長い場合もまた非直線性をもたらすことがある。
推奨する劣化処理時間及び劣化処理温度については,附属書Dに記載する。

5.3 試験片

5.3.1  準備
劣化処理試験に用いる試験片は,調査する母集団から無作為に抽出したもので構成し,一様に取り扱う。
幾つかの材料では,試験片の調製条件が劣化特性に顕著に影響することがあるため,例えば,サンプリ
ング,対象のロールからのシートの切出し,異方性材料の規定の方向での切出し,成形,硬化,予備処理
などは,全ての試験片について同じ方法で行う。
個別材料規格又は特性試験方法の規格は,試験片の準備に必要な指針を全て含んでいる。
試験片の厚さは,熱的耐久性の測定に関する特性測定リストの中に詳しく規定している場合がある(JIS
C 2143-2を参照)。規定がない場合は,厚さを報告する。幾つかの物理特性は,試験片の僅かな厚さの違
いであっても影響されやすい。このような場合,関連した個別材料規格中に要求がある場合は,それぞれ
の劣化処理周期の後の厚さを測定し,報告する必要がある。
また,劣化の速度が厚さで変化するため,厚さは重要である。厚さが異なる材料の劣化データは,必ず
しも比較できるとは限らない。したがって,一つの材料について,厚さが異なる試験片から求めた二つ以
上の熱的耐久性を評価してもよい。
試験片の寸法の許容差は,一般の試験で通常使用されるものと同じとする。寸法の許容差が通常使用の
ものより小さい試験片が必要な場合は,その特別な許容差を規定する。
試験片を測定(厚さ,寸法など)し選別することによって,試験片が均一な品質であること及び試験す
る材料の代表にふさわしいことを確認できる。
5.3.2 試験片の数
熱的耐久性試験結果の精度は,それぞれの温度で劣化処理する試験片の数に大きく依存する。
試験片の総数(N)は,次の式によって求める。
N A B C D
ここに, A : 一つの温度で同じ処理を受け,特性評価後に廃棄する試験グ
ループの中の試験片の数(通常5個)
B : 処理の水準の数。すなわち,一つの時間での劣化処理温度の
総数。
C : 劣化処理の時間水準の数。
D : 初期特性値を確定するために用いるグループの試験片の数。
判定基準が,特性の初期水準からの変化率(百分率)の場合,
通常はD=2Aとする。判定基準が絶対的な特性水準の場合,
初期値の報告の要求がなければ,D=0とする。

――――― [JIS C 2143-6 pdf 11] ―――――

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追加の試験片を準備しておくこと,又は少なくともそれらの試験片が後で準備できるように,元の材料
バッチを保存しておくことが望ましい。これによって,不測の問題が発生した場合,いかなる追加試験片
の劣化処理の要求があっても,試験片のグループ間で起きる系統誤差が発生するリスクを最小にできる。
このような問題は,例えば,熱的耐久性の関係が直線から外れること,オーブンの熱的暴走によって試験
片が失われることなどで生じる。

5.4 特性試験

  個別材料規格を利用する場合,通常は温度指数の値の受入れ可能な下限に関する特性試験としての要求
特性項目を規定している。このような個別材料規格が利用できない場合,特性の選択及び熱的耐久性の評
価に関する方法は,JIS C 2143-2に規定がある。
このような方法を見つけることができない場合は,国際規格,国家規格,団体規格及び特別に考えられ
た方法をこの順序で用いることが望ましい。この場合,特性試験の内容を特性項目,測定方法及び終点を
含めて,報告書に記載する。

5.5 終点の選択

  電気絶縁材料の熱的耐久性は,その実際の用途に関連した適切な電気絶縁材料を容易に選択できるよう
に,(異なる特性項目及び/又は終点から導いた)異なる特性で求めた耐久性データによって表す必要があ
る(JIS C 2143-2を参照)。
終点の選択は,次のいずれかの方法による。
a) 特性測定値の初期水準からの増加又は減少の百分率をとる方法 この方法は,材料の間の比較が可能
であるが,実用上要求される特性値についてはb)より相関が乏しい。
b) 特性の固定値をとる方法 この値は,実際の使用時の要求に関連して選ぶ。保証試験の終点は,主に
特性の固定値の形で規定する。
電気絶縁材料が劣化した場合,電気絶縁システムの実稼働中のストレスに耐える能力が低下する。終点
は,この能力の程度を示すように選択することが望ましい。試験の終点とする劣化の程度は,使用時に要
求される材料特性について,許容できる安全な値をとることが望ましい。

5.6 初期特性値の確定

  初期特性値を測定する試験片は,劣化処理に用意した試験片から無作為に抽出した部分集合を構成する
ように選定する。この試験片は,特性値を測定する前に,試験のときの最も低い劣化処理温度(5.2参照)
に2日間[(48±6)時間]暴露して,状態調節を行う。
注記 かなり厚さのある試験片などでは,安定した値を得るために3日間以上の長い時間が必要とな
ることがある。
試験特性を測定する方法で,ほかに記載がない場合(例えば,試験方法を扱っている材料規格の一部分
又はJIS C 2143-2に記載の方法),初期値は試験結果の算術平均とする。

5.7 劣化処理条件

5.7.1  劣化処理オーブン
劣化処理オーブンは,試験片を入れる処理空間部分では加熱劣化処理の期間を通して,温度をJIS C
2143-4規格群で規定する許容差内に維持する。ほかに規定がない場合は,JIS C 2143-4-1を適用する。JIS
C 2143-4-2及びJIS C 2143-4-3は,特別な場合に指定してもよい。
オーブン中の空気の循環及び換気は,熱劣化の速度が分解生成物の蓄積及び酸素の消耗による影響を受
けないよう,十分に行うことが望ましい(5.7.2参照)。

――――― [JIS C 2143-6 pdf 12] ―――――

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5.7.2 環境の条件
ほかに規定がない場合,劣化処理は通常の試験室雰囲気で運転するオーブン中で行う。ただし,オーブ
ン中の湿度に非常に敏感な材料では,劣化処理オーブン中の相対湿度がJIS C 2142の標準雰囲気Bの相対
湿度と同じ値に保たれるとき,より信頼性のある結果が得られる。この場合又はその他の特別に規定した
環境条件は,報告する。
注記 多くの場合における,極端な湿度,化学的な汚染,振動などの特別な環境条件の影響は,絶縁
システム試験によって,より適切な評価が行われる。空気以外の雰囲気条件及び油などの液体
浸せきの周囲条件は重要ではあるが,この規格の範囲外である。
5.7.3 特性測定の条件
ほかに規定がない場合,試験片は測定に先立って状態調節を行い,個別材料規格で指定する状態の下で
測定する。

5.8 劣化処理の手順

  附属書Dで概要を例示すように,試験計画を策定する。
5.3.2の規定に従って,必要な数の試験片を準備する。必要な場合は,5.6の規定によって,特性の初期
値を測定する。試験計画に従って,無作為抽出で試験片を試験グループに分配する。適切な数のグループ
を,規定の温度のそれぞれのオーブンに収める。
注記 電気絶縁材料の熱的耐久性が附属書Dの基本的推奨事項に適合しない場合もあるので,表D.0A
の注記2に記載の推奨事項(試験片追加の準備)に留意することが望ましい。
それぞれの劣化処理時間の後に,該当するそれぞれの劣化処理オーブンから無作為に1グループを選び,
取り出す。ほかに規定がない場合,室温まで冷却させる。規定がある場合は,規定の雰囲気中で規定の時
間を状態調節し,規定の試験手順で試験する。
データが得られ次第,箇条6の計算を行うことが望ましい。特に最も短い暴露時間については必要であ
る。
箇条6の規定によって,結果を評価する。

6 計算手順

6.1 一般原理

6.1.1  熱的耐久性の計算
一般的な計算手順及び6.4で規定する指示は,IEC 60493-1:1974に記載の原理に基づいているが,この
規格では次のように一部修正している(IEC 60493-1:1974の3.7.1参照)。
a) 規定の終点に到達する熱力学的(絶対)温度の逆数の平均(x)と劣化処理時間の対数(y)との関係
は,直線的である。
b) 直線関係からのxの値の偏差の値は,劣化処理時間によらず,分散は正規分布する。
一般の計算手順に用いるデータは,試験データから予備的な計算によって得る。計算データは,z,y,n
及びkからなる。
ここに, zij : 劣化処理温度 ij
℃)の熱力学的温度(K)の逆数 :
zij 1 ijΘ0
yi : 劣化処理時間(τi)の対数 : yi=log τi
ni : 時間τiで劣化処理したグループ番号i中のzの値の数
k : 劣化処理時間又はxの値のグループの数

――――― [JIS C 2143-6 pdf 13] ―――――

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注記 計算を通して一貫していれば,対数の底には,いかなる数も用いてもよい。ほとんどのコンピ
ュータ言語及び計算機では,自然対数(底がe)を使用しているので自然対数を用いることが
望ましい。
6.1.2 特性値−相当する温度変換(特性値から仮想の劣化処理温度を導く計算)
判定基準として破壊試験を用いる場合,それぞれの試験片は特性値を得ることによって破壊される。こ
のために,終点到達に必要となる時間及び/又は温度の値は,直接測定できない。終点到達時間を推定す
るため,終点の近傍で(一つの劣化処理時間について)次の仮定を置く。
a) 特性値の平均と熱力学的温度の逆数との間の関係は,おおよそ直線的である。
b) この直線関係からのそれぞれの特性値の偏差の値は,温度に関係なく一定の分散で正規分布となる。
c) 個々の試験片に関して,特性値と劣化処理(熱力学的)温度との関係は,a)の関係で示す線に平行な
直線である。
これらの仮定を適用して,それぞれの劣化処理時間で求めたデータの劣化曲線を描く。それぞれの劣化
処理時間の曲線は,それぞれの試験片グループでの特性の平均値を劣化処理(熱力学的)温度の逆数に対
してプロットすることで求める。できることなら,グループ平均の一つ以上が終点レベルの上及び下にな
るよう,十分に高い温度及び低い温度で,劣化処理を行う。この曲線のおおよそ直線となる領域を,(3グ
ループ以上の平均を含むように)終点の近傍に引く(図E.1)。
注記 一般に横軸として,熱力学的温度(絶対温度)の逆数を等間隔に取り,その上に対応する温度
目盛(℃)を非等間隔で加える(図E.1参照)。
選んだ領域の直線性からの偏差が,受入可能かどうかについて,統計検定(F−検定)を行う(6.3.3参
照)。受入可能な場合,同じグラフ上に個々の試験片の特性を表す点を記入する。劣化の線に平行な線を個々
の試験片のデータ点を通るように引く。したがって,それら試験片に関するxの値の推定は,終点ライン
と線との交点に相当する熱力学的温度の逆数の値である(図E.1)。
幾つかの制限の下で,平均値から求めた直線部分を終点レベルまで外挿してもよい。
上記の操作は,6.3.2及び6.3.3に規定する計算の中で数値的に実施できる。

6.2 計算の精度

  多くの計算の段階が,数値自体に比べて一般にその値は小さいとはいえ,数値の差の合計又はこれらの
差の平方和を含んでいる。このような状況から,計算結果に有効数字3桁の精度を求める場合は,6桁以
上の有効数字の内部精度で計算を行う必要がある。計算において同じことの繰返しが単調に続くことを考
慮してコンピュータの利用が望ましい。この場合は,内部精度10桁以上の有効数字による計算が容易に行
える。

6.3 特性値に相当する温度の誘導

  それぞれの時間τiで劣化処理した試験片のグループで,6.3.16.3.3の手順を実施する。
6.3.1 予備的な計算
それぞれの劣化処理時間τに対応するyの値を,式(1)によって計算する。
iy
log i (1)
それぞれの劣化処理温度 歛 するzの値を,式(2)によって計算する。
zij 1Θ (2)
ij 0
6.3.2 回帰計算(温度に対する特性)
それぞれの劣化処理温度で求めたデータグループについて,特性の平均値[式(3)参照]及び対応するz

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C 2143-6 : 2014 (IEC 60216-6 : 2006)
の値を計算する。これらの値を,特性値pを縦軸に,zを横軸にとったグラフ上にプロットする(図E.1
参照)。
目視によって,平均特性点を通るなめらかな曲線を当てはめる。
当てはめた曲線の中で,ほとんど直線とみなせる温度範囲を選ぶ(6.3.3参照)。その温度範囲は,3点以
上の測定値を含み,終点ラインp=peの両側に1点以上があるようにする。これに当てはまらない場合で,
例えば,試験片の残りがないなどの理由によって,より高温での測定ができない場合は,6.3.3の条件に従
って,僅かに外挿をしてもよい。
添え字iは,多数の複合した指標の組合せの混乱を防ぐために,6.3.2及び6.3.3の中の表現から省いて
ある。6.3.2及び6.3.3の計算は,それぞれの劣化処理時間からのデータについて,別々に行う。
選んだ平均値(及び対応する数値グループ)の数をr,それぞれの劣化処理温度の逆数をzg,更に個々
の特性値をpghと置く。
ここに, g : 温度 g
化処理した選択したグループの指標添字 :
g=1...r
h : グループgの中の特性値の指標添字 : h=1...ng
ng : グループgの中の試験片の数
注記 ほとんどの場合,全ての温度で試験する試験片の数ngは同じであるが,これは必要な条件では
ない。また,異なるグループでngが異なる値についても計算が可能である。
21g
それぞれの選んだ特性グループについて,平均値
gp及び分散
sを,式(3)及び式(4)によって計算する。
ng
pgh
pg (3)
h1
ng
ng
2
pgh ngpg2
21 h1
s
g (4)
ng 1
ν,z及びpを,式(5)式(7)によって計算する。
r
gn

(pdf 一覧ページ番号 )

                            g 1
r
zgng
z (6)
g 1
v
pgng
p (7)
v
p
回帰式 p a bpz の係数を,式(8)及び式(9)によって計算する。
ap p bpz (8)
r
ngzgpg zp
g 1
bp r

(pdf 一覧ページ番号 )

                                     2   2
nz
g g z
g 1
特性グループの中のプールした分散を,式(10)によって計算する。

――――― [JIS C 2143-6 pdf 15] ―――――

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  • IEC 60216-6:2006(IDT)

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