JIS C 2143-6:2014 電気絶縁材料―熱的耐久性―第6部:固定時間枠法を用いる絶縁材料の熱的耐久性指数(温度指数及び相対熱的耐久性指数)の求め方 | ページ 5

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C 2143-6 : 2014 (IEC 60216-6 : 2006)
TIa = TC + 0.6 HIC (48)
この値を,HICとともにTI (HIC): ···(···) の形式で報告する。
その他の全ての場合は,結果を式(49)の形式で報告する。
TIg = ···.. : HICg = ···.. (49)

8 試験報告

  試験報告には,次の事項を含める。
a) 試験片の寸法及び状態調節を含む試験した材料の記載
b) 試験した特性,選択した終点,及び必要があれば特性の初期値
c) 特性の測定に用いた試験方法(例えば,参照した規格など)
d) 試験方法に関連した情報,例えば,劣化処理雰囲気など
e) 個々の試験時間,劣化処理温度及び個々の特性値並びに劣化処理温度での特性の変化のグラフ
f) 熱的耐久グラフ
g) 7.2.2で規定した形式に従った温度指数及び半減値幅
h) 6.5.1で要求があった場合は,χ2及びPの値

9 相対熱的耐久性指数の求め方

9.1 相対熱的耐久性指数を求める目的

  相対熱的耐久性指数を求める目的を,次に示す。
a) 劣化処理に関する適切な判定基準による熱的耐久性と実用特性との間に想定される関係を導く。また,
比較的使用経験の少ない電気絶縁材料の使用温度の予備的な評価に関する値として使用する(既知の
照査標準電気絶縁材料との比較による。箇条11及び箇条12参照。)。
注記 ほとんどの場合,試験データよりも長い時間又は低い温度への外挿が含まれる。外挿の範囲
が増すほど,結果の不確実性が急速に増すことから,劣化処理温度及び劣化処理時間を適切
に選び,外挿を最少にとどめることが望ましい。ただし,外挿がない場合でも,試験データ
のばらつき及び試験誤差に伴って,不確かさは残る。
b) 劣化処理過程での系統誤差の低減によって,熱的耐久性を求める精度を改善する。劣化処理の後で,
照査標準電気絶縁材料の結果が以前の経験から著しく異なる場合,それは材料の変化又は装置の変化
を意味している。これらは調査して,できる限り是正するのがよい。いかなる場合でも,照査標準電
気絶縁材料と評価対象電気絶縁材料とを同時に劣化処理することによって,少なくとも系統的な変化
を部分的に補正できる。変化の信頼性評価に用いる統計的手段を,附属書Fに示す。

10 追加記号

  これらの記号は,3.2に追加するもので,箇条11箇条13にだけ関係する。
記号 説明 箇条番号
A 照査標準電気絶縁材料を表す下付き文字
ATE 既知の照査標準電気絶縁材料の熱的耐久特性 12.3
B 評価対象電気絶縁材料を表す下付き文字
HICB(c) 対比時間での評価対象電気絶縁材料の半減温度幅 13.1
ND 評価対象電気絶縁材料と照査標準電気絶縁材料との統合データでの値の全数 12.4

――――― [JIS C 2143-6 pdf 21] ―――――

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C 2143-6 : 2014 (IEC 60216-6 : 2006)
RTE 評価対象電気絶縁材料の推定した熱的耐久特性(対比時間での温度指数) 12.3
2D
s 評価対象電気絶縁材料と照査標準電気絶縁材料との統合データの分散 12.4
2
Dsの平方根)
sD 相対熱的耐久性指数の標準誤差( 12.4
xA 実績熱的耐久性指数の熱力学的温度の逆数 12.3
xB 相対熱的耐久性指数の熱力学的温度の逆数 12.3
Xc(B) xBの信頼限界 12.4
Yc 対比時間の対数 12.3
τc 対比時間(照査標準電気絶縁材料の実績熱的耐久性指数に対応する時間) 12.3
τk 最も長い劣化処理時間 12.5
RTE 推定した熱的耐久特性の値(℃) 12.3
c B 推定した熱的耐久特性の(上側又は下側の)信頼限界 12.4
lc 推定した熱的耐久特性の下側信頼限界 12.4
ΔR 推定した熱的耐久特性の下側信頼区間 12.4

11 相対熱的耐久性指数の試験手順

11.1 照査標準電気絶縁材料の選択

  照査標準電気絶縁材料に最も重要な必要条件は,対象とする用途について実績熱的耐久性指数の値が既
知なことである。実績熱的耐久性指数を,熱的耐久性手順によって測定した場合は,実際の使用経験によ
って証拠立てなければならない。実績熱的耐久性指数の根拠は,報告する。
両材料に予想される劣化の機構及び速度は,類似しており,かつ,用途に関連していなければならない。

11.2 劣化の程度を評価するための特性試験の選択

  特性試験は,相対熱的耐久性指数を必要とする用途を考慮したものとする。照査標準電気絶縁材料及び
評価対象電気絶縁材料の両方に同じ試験及び終点を適用する。

11.3 劣化処理手順

  両方の材料について,試験片の数及び種類,並びに劣化処理時間及び劣化処理温度は,箇条5による。
附属書Dの推奨に従う場合は,最も低い劣化処理温度は両材料に期待する温度指数の値より低くする。
それぞれの劣化処理温度では,オーブンの積載量は,両材料の試験片の適切な数で構成する。試験片は
オーブン中に分布させ,両材料の試験片の劣化処理条件の間に系統的な差がないようにする。

12 相対熱的耐久性指数の計算手順

12.1 一般原理

  計算の基礎は,両材料の熱的耐久性を計算することである[6.1.1及び9.1のa)参照]。
照査標準電気絶縁材料で得た熱的耐久性データから,その既知の温度特性に等しい温度指数における時
間を計算する(これが,“対比時間”として参照される時間である。)。評価対象電気絶縁材料で得た熱的耐
久性データから,対比時間における温度指数を計算する。この値が,求める相対熱的耐久性指数である。
この結果に付随する信頼区間は,基本的な統計方法で計算する。

12.2 入力データ

  照査標準電気絶縁材料及び評価対象電気絶縁材料の両材料について,温度指数の計算に表1の中間値が
必要となる(6.4参照)。

――――― [JIS C 2143-6 pdf 22] ―――――

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C 2143-6 : 2014 (IEC 60216-6 : 2006)
表1−中間値
中間値 記号 式
y−軸に関連する回帰線の勾配 b (25)
x−軸上の回帰線の切片 a (26)
yの値の重み付き平均 y (21)
yの値の2次中心モーメント μ2(y) (23)
データxの値の重み付き平均 x (20)
データxの値の統合した全分散 s2 (33)又は(34)
xの値の数 N (19)
半減温度幅 HIC (46)
最も長い劣化処理時間 τk −

12.3 相対熱的耐久性指数(RTE)

  実績熱的耐久性指数(ATE)の熱力学的温度の逆数を,式(50)によって計算する。
1
xA (50)
ATE Θ0
対比時間τc及びYcを,式(51)によって計算する。
xA aA
Yc , c qYc (51)
bA
ここに, q : 計算に用いた対数の底(6.1.1の注記参照)
評価対象電気絶縁材料について,対比時間におけるxの推定値を,式(52)によって計算する。
xB aB YcbB (52)
相対熱的耐久性指数の値は,式(53)によって計算する。
RTE
x1 Θ0 (53)
B

12.4 信頼限界

  照査標準電気絶縁材料について,対比時間におけるxの推定値を,式(54)によって計算する。
xA aA YcbA (54)
注記 数値的に,xAはXAに等しい。ただし,後者はスカラー量(すなわち,非変数)であるが,前
者は任意で正規分布をする。相対熱的耐久性指数の分散は,xAとxBとの差の分散によって決ま
る。
xAの分散を,式(55)によって計算する。
2
Yc y
s2A s2 1 (55)
2 y
A
同様に,xBの分散を,式(56)によって計算する。
2
Yc y
s2B s2 1 (56)
2 y
B
分散の比Fを,式(57)によって計算する。
s2B s2A
s2B s2A の場合は, F 2
, s≦
B sA2 の場合は, F (57)
s2A s2B

――――― [JIS C 2143-6 pdf 23] ―――――

                                                                                             21
C 2143-6 : 2014 (IEC 60216-6 : 2006)
Fの値が,自由度fn=NA−2及びfd=NB−2に関して表C.3中の値より小さい場合は,分散は著しく異な
ると考えられる。このような場合,式(58)及び式(59)を用いるか,又は式(60)及び式(61)を用いて分散を合
一する。
統計的に分散が等しい場合 :
s2A NA 2 s2B NB 2 1 1
s2D (58)
NA NB 4 NA NB
ND NA NB (59)
統計的に分散が等しくない場合 :
s2A s2B
s2D (60)
NA NB
2
s2D
ND 2 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                               s2A      s2B
NA NB
NA 2 NB 2
2番目の場合で,NDが整数でない場合は,値を最も近い整数に丸める。
XBの信頼限界を,式(62)によって計算する。
Xc B XB tNDs (62)
ここに, tND : 自由度NDでの表C.2中のtの値
相対熱的耐久性指数の信頼限界は,式(63)による。
1 Θ0 (63)
cB
XB tND sD
通常,XBの上側信頼限界に対応する熱的耐久性指数の下側信頼限界 lc
下側信頼区間ΔRは,式(64)によって計算する。
RTE
lc (64)

12.5 外挿

  比τc/τkとして,外挿の計算をする。

13 相対熱的耐久性指数の結果及び報告

13.1 統計検定及び数値検定の結果

  適用する項目及び試験基準を,次に示す。
a) 熱的耐久性の直線性[JIS C 2143-3の6.3.2[直線性の検定(F検定)]及び6.3.3(X及びYの推定値
の信頼限界)参照] 照査標準電気絶縁材料及び評価対象電気絶縁材料の両方のデータは,JIS C 2143-3
の要求を満たさなければならない。
b) 対比時間への外挿(12.5参照) 対比時間と最大劣化時間との比として表される外挿は,4未満でな
ければならない。
c) 相対熱的耐久性指数の下側信頼区間(12.4参照) ΔRの値は,対比時間と同じ時間において,評価対
象電気絶縁材料の半減温度幅[HICB(c)][式(65)]より小さくなければならない[JIS C 2143-3の7.1
(熱的耐久性の計算)参照]。

――――― [JIS C 2143-6 pdf 24] ―――――

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C 2143-6 : 2014 (IEC 60216-6 : 2006)
HICB c bB 1 ln1

(pdf 一覧ページ番号 )

                                       c          c aB
ln aB
2

13.2 結果

  結果は,12.4及び12.5の計算から求め,次のように表す。
a) 13.1の三つの試験基準を満たす場合(13.1参照),結果は相対熱的耐久性指数(RTE)の値である。結
果は,次の様式で表す。
“JIS C 2143-6によるRTE = xxx”
b) 試験基準の一つを満足しない場合,結果は相対熱的耐久性指数(RTE)の下側95 %信頼限界とする。
結果は,次の様式で表す。
“JIS C 2143-6によるRTE = xxx”
c) 二つ以上の試験基準を満足しない場合,JIS C 2143-6の要求に従った結果は報告できない。結果は,
次の様式で表してもよい。
“RTE = xxx.(結果は,統計的分析による確証不能)”

13.3 試験報告

  試験報告には,次の事項を含める。
a) 試験結果
b) 照査標準電気絶縁材料の記載,その実績熱的耐久性指数及び実績熱的耐久性指数の根拠
c) 用いた特性試験及び終点
d) 照査標準電気絶縁材料及び評価対象電気絶縁材料のJIS C 2143-1に従った熱的耐久性の報告
e) 13.2 c)の場合は,統計的確証の失敗の詳細

――――― [JIS C 2143-6 pdf 25] ―――――

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JIS C 2143-6:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60216-6:2006(IDT)

JIS C 2143-6:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 2143-6:2014の関連規格と引用規格一覧