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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
UIR
L
di
dt
この場合,インダクタンスは,次の式で計算が可能である。
スパークギャップが200 ns以内に動作すると仮定した場合,負荷側のSPDに流れる電流Iは,次のよう
になる。
di
I= 0.2μs (125A/μs) =0.2/10×1 250 A=25 A
dt
負荷側のSPDの電圧降下I×Rは,600 V程度であるので,次のようになる。
4000 600
L 27.2μH
12510 6
このインダクタンスは,1 m当たり1 μHのインダクタンスをもつ電力用配線ケーブルの場合27.2 mで
よく,又は配線長と低い値の減結合部品(インダクタンス)との組合せでもよい。
記号説明
L : インダクタンス
i : サージ電流
1 : SPD1
2 : SPD2
U1 : SPD1に加わる電圧
U2 : SPD2(負荷側のSPD)の電圧降下
図F.3−スパークギャップで構成するSPDとMOVで構成するSPDとの協調の例
この例(F.2.3.1及びF.2.3.2に示す)を用いることで,この種の協調を達成するための一般的な条件を得
ることが可能である。
F.2.3.3 結論
SPD1にスパークギャップで構成するSPDを選定した場合,次の要求を満たすSPD2を選定する。
− 侵入するサージが,クラスI試験の試験波形に相当する場合
Udyn――――― [JIS C 5381-12 pdf 111] ―――――
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
− 侵入するサージが,クラスII試験の試験波形に相当する場合
Udynここで, Udyn : SPD1のスパークギャップの放電開始電圧(V)
VV 2 : SPD2のバリスタ電圧(V)
Iimp 2 : クラスI試験の試験波形に相当する雷サージが侵入した際
の負荷側のSPDに流れるピーク電流値(侵入するサージを
軽減係数0.1で軽減した値)(V)
In 2 : クラスII試験の波形に相当する雷サージが侵入した際の負
荷側のSPDに流れるピーク電流値(侵入するサージを軽減
係数0.1で軽減した値)(V)
L : インダクタンス(H)
これらの要求は,安全側の結果になる。Lを更に小さな値にしたい場合,協調を達成するためには,コ
ンピュータでのシミュレーションが必要である。
注記 異なる場合では,更に厳しい結果となることがある。特に,波頭長が長い波形(検討中)を用い
る場合,厳しくなる。現在,IEC TC81(雷保護)は,より長い100 μsの波頭長の波形を検討して
いる。
F.2.4 解析検討 : 2個のSPDの一般的な協調
MOVとMOVとの組合せ又はスパークギャップとMOVとの組合せの場合の検討は,協調問題の複雑さ
を明白に示している。電圧−電流特性曲線(U−I特性)が分かることは少ないため,実際には許容差の範
囲を広くして対処することが必要である。そのため,解析検討は,単純な場合について実施するにとどめ
る。SPD2を通過するエネルギーを計算する必要がある場合,シミュレーションを実施することは容易で
ある。この解析検討の主な目的は,使用者が現象をよりよく理解することである。
いずれの技術によるSPDに対しても,F.2.1F.2.4の一般的なの基準及び特にエネルギー協調は,適用
可能である。
ほとんどの場合,許容可能な協調を達成するために,製造業者若しくは使用者によるシミュレーション
若しくは試験の実施,又は次(F.2.5及びF.3)に示す簡略化した方法を用いる必要がある。
特性不明のSPDが,機器の内部に存在する場合がある。機器は,設備の寿命前に交換する場合があるた
め,協調不足によって機器の内部のSPDに過度なストレスが加わらないように,注意を喚起することが望
ましい。
F.2.5 エネルギー通過(LTE)方法
F.2.5.1 一般
JIS Z 9290-4に規定する標準インパルス波形でのエネルギー協調は,SPDを選定し協調を達成するため
の方法である。この方法の主な利点は,ブラックボックス(内部回路及び構成が不明)のSPDでも検討可
能なことである(図F.4参照)。この方法では,SPD2の入力側に印加するサージとして,開回路電圧だけ
ではなく,出力電流(例えば,SPD1の出力端子を短絡して)を決めている(“エネルギー通過”方法)。こ
の出力電流を,2 Ωの実効出力インピーダンスをもつコンビネーション波形発生器(開回路電圧1.2/50,短
絡回路電流8/20)を用いて等価のストレスに変換する。この方法は,SPDの内部設計に関する特別な情報
を必要としないという利点がある。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 112] ―――――
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
記号説明
U : SPD1の負荷側に発生する電圧
U (t) : SPD1の出力側の電圧。U (t)は,SPD2の入力側に印加するインパルスの開回路電圧以下である。
I (t) : SPD1の出力側を短絡したときの出力電流
CWG : コンビネーション波形発生器
図F.4−LTEによる標準インパルスでの協調方法
この協調方法の目的は,SPD2の入力側に印加するインパルス値(例えば,公称放電電流)とSPD1の出
力側の電圧U (t)(例えば,電圧防護レベル)とを比較することである。
多段防護の,負荷側のSPD(SPD2,損傷なし)の入力側に印加する等価コンビネーション波形インパル
スは,上位(電源側)のSPD(SPD1)の出力側の電圧U (t)及び出力電流I (t)の等価値以上であることを考
慮する。
信頼性のある協調を達成するために,SPD2の入力側に印加する等価コンビネーション波形インパルス
は,SPD2が受けるストレスの最大値(Imax,Umax及び通過エネルギーLTE)に対して決定する。
減結合部品の設計での最悪の場合は,短絡となることである。これは,協調を達成するためにはかなり
難しい。上位(電源側)のSPD(SPD1)の出力側の電圧U (t)(以下,“対抗電圧”という。)を考慮するこ
とがより現実的である。
スパークギャップの負荷側のSPDは,通常,MOVで構成するSPDを用いる。このSPDの残留電圧は,
いずれの場合も電源システムの公称電圧のピーク値よりも高い(例えば,電源システムの公称電圧が240
Vの場合,ピーク電圧は,√2×240=340 Vとなり,この値は,用いるSPDのバリスタ電圧以下である。)。
この電源システムの公称電圧のピーク値は,SPDの最も低い残留電圧に相当する。したがって,このピー
ク電圧は,対抗電圧の最小値とみなすことが可能である。想定する対抗電圧の代わりに,SPD1の出力側を
短絡した時の出力電流I (t)を用いる場合,減結合部品の寸法は,過大になることがある。
注記 SPD2にサージ電流が流れ始める条件がSPD1の特性とかなり異なっている場合,この試験方法
は,よい結果をもたらし,例えば,スパークギャップとMOVとの間の協調の場合,この条件は
十分である。
この方法を用いる上での制約を,次に示す。
− 安全側の結果を必ず得るために,この方法では,減結合部品をSPD2の一部として含めることが望ま
しい。
− 安全側の結果を必ず得るために,SPD2がスイッチング部品を内蔵する場合,想定する“対抗電圧”
は,ゼロ(0)とすることが望ましい。
− SPD2が電圧スイッチング部品を内蔵する場合,この方法(LTE法)では電圧スイッチング部品のモデ
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ル化が現実的でないため,結果が過小評価となる可能性がある。この場合,この方法を用いることに
は注意を要する。
− 設備の引込口に侵入するサージの波形は,10/350又は8/20と等しい電流波形及び電圧波形とみなすこ
とが望ましい。サージ電流iの大きさは,一般に知られている。サージ電圧Uの大きさは,電源シス
テムのサージインピーダンスに依存する。
− SPDの特性の許容差を考慮することが望ましい。
F.2.5.2 方法
次に規定する方法は,ほとんどの場合,2個のSPD間の減結合部品(インピーダンス)によって,安全
側の値となる。このようなインピーダンスを2個のSPD間に設置する場合,協調は,ほとんどの場合,計
算によって予想する結果に比べて,よりよく達成する。
この方法の基本は,SPD1の出力波形を,コンビネーション波形発生器CWG(1.2/50の開回路電圧Uoc,
8/20の短絡回路電流Isc及び2 Ωの実効出力インピーダンス,すなわちUOC=2×Isc,で定義する。)を用い
て,等価波形として表すことである。
クラスIII試験に適合するSPDは,このコンビネーション波形発生器CWGによって,既に試験してい
る。SPD2が,クラスII試験に適合するSPDの場合,Iscは,In又はImax(製造業者が明示する場合)と等
しいと考える。
上位(電源側)のSPD(SPD1)は,建築物等への直撃雷がある場合,クラスI試験に適合するSPD又は
クラスII試験に適合するSPDとしてもよい。
SPD1の出力電圧は,一般に,1.2/50及び8/20波形に直接関係のない波形である。そのため,次に,実際
の波形を標準化し,1.2/50及び8/20波形に変換する必要がある。
これは,次の値で計算する。
2
Uの波高値=U (t)のピーク値, Ut() dt及び Ut() d t
2
Iの波高値=I (t)のピーク値, () dt及び
It () d
It t
注記1 公式及び各表で用いている単位は,一致していることが望ましい。
注記2 対応国際規格の誤記であり,Uの波高値及びIの波高値の式を修正した。
これらの値を,表F.1に示す。
表F.1−波高値
電圧U U (t)のピーク値 Ut() dt Ut() 2
電流I I (t)のピーク値 () dt
It ()2
It
注記3 対応国際規格の誤記であり,表F.1の値を修正した。
振幅1 Vのコンビネーション波形発生器CWGの同じ表を,表F.2に示す。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 114] ―――――
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
表F.2−振幅1 VのCWGの同じ表
電圧 1 70×10-6 6×10-3
電流 0.5 12×10-6 2×10-3
表F.1の値を,対応する表F.2の値で除すと,新しい表F.3を得る。
表F.3−表F.1の値を,対応する表F.2の値で除した値
電圧U U (t)のピーク値 Utt
() d Ut() 2
6 3
7010 610
電流I I (t)のピーク値×2 Itt
() d () 2
It
6
1210 210 3
注記4 対応国際規格の誤記であり,表F.3の値を修正した。
表F.3の最大値は,CWGの開回路電圧Uocであり,これは,SPD2の出力波形に相当し,等価値である。
負荷側のSPD(SPD2)が,クラスIII試験に適合するSPDで,開回路電圧Uoc testのCWGで試験(又は
クラスII試験に適合するSPD場合は,CWGと同等の試験)をしている場合,直ちに協調を達成している
ときがある。この場合,Uoc test>Uoc(CWG)を確認すれば十分である。
注記2 ここで用いるUoc testとは,SPD2の技術文書に明示する開回路電圧Uocと等しい。
SPD1の出力値は,入力側に加えたストレスに対して,シミュレーションソフトウェアを用いて計算す
る。この値は,製造業者が計算してもよいし,毎回計算する必要はない。製造業者は,SPDの特性許容差
及びブラインドスポット[まれに,SPDの出力で最も重要なストレスは,Iimp,In若しくはImax(製造業者
が明示する場合)又はUocの最大値を印加したときではなく,もっと低い値を印加したときとなる。]を共
に考慮し,各SPDにストレス[クラスI試験の場合はIimp,クラスII試験の場合はIn又はImax(製造業者
が明示する場合),又はクラスIII試験の場合はUocの最大値]を与えた時の出力波形と等価のCWGイン
パルスを計算してもよい。
F.3 協調試験 : エネルギー協調及び電圧防護レベルの協調
F.3.1 一般
機器を防護するために,被保護機器の過電圧カテゴリ及び電気設備の配線(配線長,配線ルートなど)
に応じて,2種類以上のSPDを用いる必要がある。ここでは,効果的なSPDの協調は,負荷側のSPDに
過度のストレスを与えず,過電圧を被保護機器の耐電圧より低いレベルに制限することが望ましい[この
新しい基準は,電圧防護レベルの協調と呼び,次(F.3.2)で説明する。]。F.3.2F.3.4では,効果的な協調
を達成するための幾つかの例を紹介する。
F.3.2 協調の基準
上記(F.3.1)したように,SPDの協調は,二つの基本的な基準,すなわちエネルギー協調及び電圧防護
レベルの協調の確認を必要とする。
エネルギー協調は,侵入するサージに対して,上位(電源側)のSPDに分流するサージのエネルギーが,
負荷側のSPDに分流するサージのエネルギーよりも大きい場合に達成可能である。加えて,上位(電源側)
のSPDと負荷側のSPDとの間の減結合インピーダンス(減結合部品及び/又は配線長)も,負荷側のSPD
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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-12:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5381-32:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第32部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-4-43:2011
- 低圧電気設備―第4-43部:安全保護―過電流保護
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム