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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
に分流するサージのエネルギーに耐えることが望ましい。
さらに,負荷側のSPDは,よりよい防護を要求する被保護機器に近接して設置するため,負荷側のSPD
の電圧防護レベルは,上位(電源側)のSPDの電圧防護レベル以下が望ましい。
2個のSPDの協調を達成するために考慮する重要なパラメータを,次に示す。
· SPDの設計[例えば,電圧スイッチング(スパークギャップ),電圧制限(MOV)]
· SPDの特性(例えば,スパークギャップの放電開始電圧,MOVの最大連続使用電圧,電圧防護レベ
ル,最大サージ耐量など)
· 侵入するサージ波形(例えば,8/20,10/350など)
· 被保護機器の種類(例えば,大きい誘導性の負荷,敏感な電子回路など)
· 2個のSPD間の離隔距離
F.3.3 協調技術
協調試験の前に,適切なSPDの選定,及び2個のSPD間の協調の方法を選定するために,次のステッ
プに従うことが望ましい。
· ステップ1
応答がよいSPD(の設計)を選定するため,SPDがない場合に想定するサージレベルを特定する。
立ち上がりの早いサージの低減には,電圧スイッチングSPDよりも,電圧制限SPDを必要とする。
サージの確認は,次に示す,理想的なSPDがある場合で,想定するサージの最大エネルギーによる評
価が望ましい。適切なSPDは,最大エネルギーレベルに応じて,選定することが可能である。
· ステップ2
上位(電源側)のSPDは,最大エネルギーに耐えることが可能なSPDを選定する。
· ステップ3
機器に必要な電圧防護レベルに応じて,負荷側のSPDを選定する。
· ステップ4
選定したSPDは,エネルギー協調及び電圧防護レベルの協調の両方を満足することが望ましい。こ
れは,主にソフトウェアシミュレーション,又は試験を実施して確認してもよい。試験を実施する場
合,次の方法を用いて確認することが可能である。
F.3.4 試験手順
F.3.4.1 一般
2個のSPD間の協調は,電流の分流に依存する。協調の規則が成立するためには,次の三つのパラメー
タを定義することが重要である。F.3.4.1F.3.4.3では,上位(電源側)のSPDをSPD1,負荷側のSPDを
SPD2とする。
· 2個のSPD(SPD1と協調するSPD2)
· 引込口でのサージ電流(SPD1の特性によって決定する。)
· 2個のSPD間(SPD1とSPD2との間)の減結合インピーダンスZ
2個のSPD間のインピーダンスZ(一般に,インダクタンス)は,減結合部品(2個のSPD間のエネル
ギーの分担を容易にするために電源線に挿入した特定の部品),又は2個のSPD間の配線長によるインダ
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クタンスでもよい。
SPDの協調試験は,SPD製造業者,設置者又は使用者で実施することが可能である。
ほとんどの場合,SPDの協調は,次の二つの判定基準を満たす場合に達成する。
1) 最小エネルギーから最大エネルギーまでの試験の全てのインパルス電流の値(クラスII試験の場合,
Inの0.1倍,0.25倍,0.5倍,0.75倍及び1倍。クラスI試験の場合,SPD1のIimpの0.1倍,0.25倍,
0.5倍,0.75倍及び1倍と等しい波高値をもつ8/20電流インパルス,並びにSPD1のIimpの0.1倍,
0.25倍,0.5倍,0.75倍及び1倍)において,SPD2で消費するエネルギー(試験で加えたエネルギー
の一部)が,SPD2の最大エネルギー耐量Emax2以下の場合,エネルギー協調は,達成する。
2) 最小エネルギーから最大エネルギーまでの試験の全てのインパルス電流の値(クラスII試験の場合,
Inの0.1倍,0.25倍,0.5倍,0.75倍及び1倍。クラスI試験の場合,SPD1のIimpの0.1倍,0.25倍,
0.5倍,0.75倍及び1倍と等しい波高値をもつ8/20電流インパルス,並びにSPD1のIimpの0.1倍,
0.25倍,0.5倍,0.75倍及び1倍。)において,SPD2の制限電圧が,製造業者が明示するUp以下の場
合,電圧防護レベルの協調は,達成する。
製造業者が明示するIn又はIimpの電流の一部を用いる試験は,低いストレスから最大ストレスまでの間
に,ブラインドスポットが存在しないことを調べるためである。クラスII試験で,製造業者がImaxを明示
する場合,InをImaxに置き換える。クラスI試験で,製造業者がImaxを明示する場合,8/20電流インパルス
の最大値は,Iimp又はImaxのいずれか大きい方とする。
F.3.4.2 試験方法
協調試験のSPDの配置を,図F.5に示す。
a) 2個のSPD間にインピーダンスとして配線を用いた場合
図F.5−協調試験のSPDの配置
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b) 2個のSPD間にインピーダンスとして減結合部品を用いた場合
記号説明
Eq : 正常状態の被保護機器
O/c : 開回路(機器を電源に接続しない)
i : 侵入するサージ電流
i1及びi2 : SPD1及びSPD2に流れるサージ電流
d : SPDとSPD2との間の配線長
U1及びU2 : SPD1及びSPD2の残留電圧Ures
Z : 減結合部品及び/又は配線長のインピーダンス
図F.5−協調試験のSPDの配置(続き)
接続リード線は,無視するものとし,可能な限り短く,及び両方のSPDに対して同様に配置する。外部
分離器(ある場合)は,この協調試験では考慮しない。
Zが減結合部品を表す場合,配線長のインピーダンスは,Zと比較してその値が小さいため,無視して
もよい。図F.5に,Zが減結合部品及び配線長のインピーダンスを表す場合における概略図を示す。
Zが,二つのSPD間の配線長によるインピーダンスを表す場合,往復する導体(2個のSPD間の充電相,
中性線及び接地線)を製造業者,設置者,又は使用者で決定する。特別な合意がない場合,往復する導体
は,よ(撚)りを行わず,往復する導体と導体との間の間隔は,10 mm以下とし,ループ形状としない。
試験は,3組の未試験の供試品で実施する。
SPDの種類による協調の可能性は,次の協調試験手順に従って試験する。
· クラスI試験に適合したSPDとクラスII試験に適合したSPDとの協調
· クラスI試験に適合したSPDとクラスIII試験に適合したSPDとの協調
· クラスII試験に適合したSPDとクラスII試験に適合したSPDとの協調
· クラスII試験に適合したSPDとクラスIII試験に適合したSPDとの協調
試験中,SPDのシステム(1組の供試品)には,故障したSPDの一つを検出するために,十分な大きさ
の短絡電流容量(最小5 A)がある電源で,Ucを課電する。電流保護は,電源側の回路に用いることは可
能だが,インパルス電流側の回路には用いない。SPD1及びSPD2が,例えば,充電相,中性線,及び接地
(PE)用の端子を備えた多極SPDの場合,全ての試験を,充電相と中性線との間,中性線と接地(PE)と
の間及び充電相と接地との間で実施する。この場合,残りの端子は,SPD1とSPD2との間で相互接続する
必要がある。
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SPD1がクラスI試験に適合したSPDの場合,製造業者が明示するIimpを,協調試験手順に用いる。製造
業者がImaxを明示する場合,8/20電流インパルスのピーク値は,Iimp又はImaxのいずれか大きい方とする。
SPD1がクラスII試験に適合したSPDの場合,製造業者が明示するInを協調試験手順に用いる。製造業
者がImaxを明示する場合,Imaxを協調試験手順に用いる。
協調試験手順は,SPD2(負荷側のSPD)だけの放電電流のパラメータを超える8/20電流インパルスだ
けで実施してもよい。
正極性の電流インパルスは,Ucの電源周波数に同期し,電圧正弦波の正極の同期角60°で印加する。印
加するインパルスの間隔は,SPDが周囲温度まで冷えるのに十分な長さとする。
SPD1の種類に応じた協調試験手順の概要を,表F.4に示す。
表F.4−協調試験手順
上位(電源側)のSPD 負荷側のSPD 試験インパルス
(SPD1) (SPD2)
クラスI試験に クラスII試験又は SPD1のIimp又はImax(製造業者が明示する場合)のいずれか大
適合したSPD クラスIII試験 きい方の0.1倍,0.25倍,0.5倍,0.75倍及び1倍と等しい波高
に適合したSPD 値をもつ8/20電流インパルス,並びにSPD1のIimpの0.1倍,
0.25倍,0.5倍,0.75倍及び1倍のインパルス
クラスII試験に クラスII試験又は SPD1のIn又はImax(製造業者が明示する場合)のいずれか大
適合したSPD クラスIII試験 きい方の0.1倍,0.25倍,0.5倍,0.75倍及び1倍のインパルス
に適合したSPD
F.3.4.3 合格基準
SPDは,全ての続流も消弧し,協調試験の各インパルス印加後に熱安定となった場合,合格とする。電
圧及び電流の記録並びに目視検査において,供試品は,破損又はフラッシオーバの痕跡があってはならな
い。これらの試験中,機械的損傷が,生じてはならない。
SPD2の測定した残留電圧は,必ず,製造業者が明示するSPD2のUp以下とする。
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附属書G
(参考)
適用例
注記 この附属書は,住宅及び産業施設だけでなく,無線鉄塔への適用も含め,SPDを設置する仮想の
システムを示す。この附属書は,この規格で規定する適用基準を図解するために,限定した状況
におけるSPDの選定に関する情報を提供する。ここでは,全ての施設又はシステムに存在する固
有の条件は対処しない。
G.1 住宅への適用
住宅に適用する場合の例を,次に示す。
− 高圧(中圧)配電 架空線で10 km
− 低圧(230/400 V)配電 架空線で1 000 m,及び地下ケーブルで200 m
− NG(落雷密度) 2回の落雷/km2/年(5.2.2参照)
− 被保護建築物等の立地 平たんな場所
− 電気設備の構成 建物の引込口で反限時時延形(S形)漏電遮断器(8/20電流インパルスで3 kAに耐
える,7.5.5.3参照)で保護した設備。設備の引込口での短絡電流容量は3 kAである。住宅1階の引込
口に主分電盤,及び住宅2階に補助分電盤がある。
− 被保護建築物等の接地抵抗 50 Ω
− 低圧電源システムの接地系統 TT系統。単相及び中性線あり。
− 被保護機器の種類 電気洗濯機,コンピュータ,入口の警報器,ビデオテープレコーダ及びテレビな
ど。
リスク評価(箇条4を参照)によって,SPDを用いる重要性を確かめることが可能になる(NGが高い場
合,配電用変圧器の高圧(中圧)側及び低圧側の両方が架空線の場合,電子装置がある場合など)。
架空線では中程度の雷電流の予想が可能なため,公称放電電流Inは,引込口で1線当たり8/20電流イン
パルスで,5 kA以上とする。
入口の警報器(敏感な機器)を防護する。この場合,Upは,1.5 kV以下とする。これは,Upが1.5 kVの
クラスII試験に適合した1ポートSPD(3.1.21参照)によって,達成してもよい。
引込口での短絡電流容量は,交流実効値3 kAとする。よって,SPDの定格短絡電流ISCCRは,交流実効
値3 kA以上(6.5.4参照)となる。このため,製造業者は,ヒューズ又は短絡遮断特性をもつ漏電遮断器
(過電流保護のバックアップ)を用いることが望ましい。反限時時延形(S形)漏電遮断器を引込口で用
いる場合,8/20電流インパルスで3 kAを超えるサージの侵入に対して,電源の継続性は,保証しない。
漏電遮断器がある場合,感電(間接接触)に対する追加の保護は必要ない。熱分離器は,SPDの内部に
組み込まれている(7.6.1参照)。
TT系統の場合,充電相と中性線との間の過度なストレスを回避するために,三つの防護モードをもつ
SPDを用いること(充電相と中性線との間,中性線と接地との間,及び充電相と接地との間,7.3参照)が
望ましい。
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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-12:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5381-32:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第32部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-4-43:2011
- 低圧電気設備―第4-43部:安全保護―過電流保護
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム