この規格ページの目次
118
C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
安全目的のために接地する洗濯機を除き,接地に接続しない被保護機器は,充電相と中性線との間の防
護だけを必要とする。この場合,充電相と接地との間,及び中性線と接地との間の防護を必要としてもよ
い。
注記 テレビアンテナを接地している場合,追加防護を必要としてもよい。
引込口のSPDとその他の機器,特に2階の機器,との間の距離が長い(それぞれ10 m及び20 m)場合,
追加のSPDを,被保護機器(7.5.3参照)の近くに設置する。1個のSPDは,洗濯機の近くに,もう1個
のSPDは,ビデオテープレコーダ及びテレビの近くに設置することが望ましい。さらに1個のSPDを,2
階の補助分電盤に設置することで,直接,コンピュータの電源プラグを接続することも可能である(この
分電盤とコンピュータとの間の距離は短い。)。
追加のSPDは,サージ電流耐量の比較的低いものが望ましく,Inが,2 kAのクラスII試験に適合した
SPDで十分である。この場合,製造業者のカタログでは,Upが,0.8 kVのSPDを推奨している。
20 mの距離は,引込口に設置したSPDと2階のSPDとの間の減結合インピーダンスとして十分である。
ただし,引込口のSPDと1階にある追加のSPDとの間の距離が10 mでは,追加のSPDのUpが0.8 kVと
低いため,適切な減結合インピーダンスとしては十分でない(7.5.7参照)。そのような場合には,1階のそ
の他のSPDは,例えば,Upが1.5 kVのSPDを選定することが望ましい。
これらの追加のSPDに関しては,設置場所での短絡電流は小さいため,製造業者は,必要な分離器(熱
及び短絡電流)を組み込んでいる(図G.1参照)。
図G.1−住宅への適用例
――――― [JIS C 5381-12 pdf 121] ―――――
119
C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
G.2 産業施設への適用
産業施設に適用する場合の例を,次に示す。
− 高圧(中圧)配電 架空線で10 km
− 低圧(230/400 V)配電 地下ケーブルで2系統,各100 m
− NG(落雷密度) 0.5回の落雷/km2/年(5.2.2参照)
− 被保護建築物等の立地 平たんな場所
− 電気設備の構成 次による。
· 本棟MB内に高圧(中圧)/低圧配電用変圧器あり。
· 本棟MB内の主分電盤MDBに,低圧TN−C系統で三相電源を供給する。別棟B1には,TN−C系
統で三相電源を給電し,別棟B2には,TN−C−S系統で三相電源を給電する。別棟B1及び別棟B2
は,本棟MBから100 mの距離に位置する。
− 被保護機器 次による。
· 本棟MB 電源[高圧(中圧)/低圧配電用変圧器],空調設備,工場の照明,産業用モータ制御器,
変速機及びコンピューター数値制御(CNC)旋盤などを含む産業用生産設備。
· 別棟B1 コピー機,ファクシミリ,LAN,コンピュータ,及び分電盤DB1の近くに位置する電話
交換機(PABX)を含む一般的な事務機器。
· 別棟B2 ほとんどの場合,分電盤DB2から約50 m離れて位置する,生産管理用シーケンサ(PLC),
監視制御·データ取得(SCADA)システム,計量器,及び監視装置を含む工程管理機器。
− 接地の構成 本棟MBの接地は,実測値11 Ω,別棟B1及び別棟B2の接地は,それぞれ49 Ω及び51
Ω,TNC系統は,接地(PE)を共通とするため,接地システムの合成抵抗は,約7 Ωである。本棟MB,
別棟B1及び別棟B2には,それぞれに等電位ボンディングバー(接地端子)EB,EB1及びEB2があ
る。
− リスク評価(箇条4を参照) 施設は,直撃雷の影響を大きくは受けないが,高圧(中圧)/低圧配電
用変圧器は,高圧(中圧)側に高圧(中圧)避雷器を用いての防護を必要としてもよい[高圧(中圧)
は,架空線であり,本質的に大きい直撃雷の影響を受けるため。]。サージ電流は,配電用変圧器の接
地電位の上昇によって,各棟の接地システムへ流れる可能性があるため,低圧SPDは,別棟B1及び
別棟B2の引込口だけでなく,配電用変圧器の低圧側にも必要である。
− 防護の視点 リスク評価では,一般に,産業施設の継続的な操業の必要性を“重要事項”と分類して
いる。G.2のリスク評価に記載するように設置したサージ防護(SPD)を,別棟B1及び別棟B2の各
分電盤DB1及びDB2に分離して設置するだけでなく,主分電盤MDBの一次側引込み点への設置な
ど,施設内のあらゆる場所に用いることが望ましく,詳細は,次による。
· 本棟MB SPDを,主分電盤内の,充電相及び中性線と主等電位ボンディングバー(接地端子)EB
との間に接続する。これらの低圧用SPDは,クラスII試験に適合したSPDが望ましい。例えば,
公称放電電流Inが10 kA[高圧(中圧)避雷器と同じ定格]で,電圧防護レベルUp1が1.2 kV以下
のSPDは,機器側に用いる追加のSPDとの協調が確実なため,次の記載を参照し,この場所に用
いてもよい。
1) SPDの定格短絡電流ISCCR(及びスイッチングSPDの場合,続流遮断定格Ifi)は,主分電盤MDB
での推定短絡電流との協調が必要である。これは,製造業者が指定するSPDと直列に接続する過
電流保護器(例えば,ヒューズ,配線用遮断器など),又はSPDに内蔵するものの,いずれかの
分離器を用いることで達成することが可能である。
2) 建物内部には,敏感な機器(JIS C 60664-1に規定する定格インパルス電圧UWが1.5 kV)を含む,
――――― [JIS C 5381-12 pdf 122] ―――――
120
C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
異なる耐電圧の様々な種類の機器がある。機器は,施設の引込口に設置したSPDから30 mの距
離に位置する。この距離によって,振動現象を起こすことがある(7.4参照)。
このような場合,引込口のSPDの電圧防護レベルがUp1の場合,機器に加わる電圧は,最大で
Up1の2倍となる場合がある。この例では,Up1を1.5 kV×0.8/2(すなわち,600 V,7.4参照)
よりも低くすることが望ましいような最悪条件について記載する。このように低い電圧防護レベ
ルのSPDは,想定するTOVによって,故障の可能性が増大する場合があるため,引込口のSPD
はより高いUp(TOVに敏感でない),例えば,Up1が2.5 kVのSPDを,むしろ選定してもよい。
この場合,機器(Eq)の上位(電源側)に,Up2が1 200 V(UWの0.8倍)以下の追加のSPDを必
要とする。敏感な機器に近接してSPDを設置する場合,振動現象が起きないため,SPDのUp2は
1 200 V(UWの0.8倍)の0.5倍とする必要はない。
引込口に,より低いUp(Up1が600 V以下)のSPDを用いる場合,追加のSPDは必要ない。こ
の過程では,機器の定格インパルス電圧UWに留意する(絶縁協調)。
低い電圧防護レベルUp(2個のSPDを用いる場合はUp2,1個のSPDを用いる場合はUp1)を,
機器の誤動作を回避するために必要としてもよい(7.4.5の注記2を参照,及び機器のサージイミ
ュニティを考慮する。)。
SPD1と等電位ボンディングバー(接地端子)EBとを接続するリード線長は,7.4.4の規定を満
たしていない。そのため,SPD1とPEN導体との間に追加の導体を用いる。SPD2とPEN導体と
を接続するリード線長は,7.4.4の規定を満たすため,追加の導体は用いない。
信号及び制御回路の防護は,JIS C 5381-22に基づく。
· 別棟B1 別棟B1は,本棟MBから100 mの距離に位置するため,クラスII試験に適合したSPD
(SPD3)を,充電相及び中性線と等電位ボンディングバー(接地端子)EB1との間に接続すること
が望ましい。この場所には,公称放電電流Inが5 kAで,電圧防護レベルUpが1 kV以下のSPDを
用いると仮定する(1 kV以下のUpは,別棟B1に設置する敏感な機器を防護するために必要)。建
物が小さく,機器が分電盤DB1の近くに位置している場合,電圧がUpの2倍となる影響を考慮す
る必要はない(7.4参照)。ここでは,機器の定格インパルス電圧UWに留意する(絶縁協調)。機器
の誤動作を回避するために,低い電圧防護レベルUpを必要としてもよい。
SPD3と等電位ボンディングバー(接地端子)EB1とを接続するリード線長は,7.4.4の規定を満
足するため,追加の導体は用いない。
信号及び制御回路の防護は,JIS C 5381-22に基づく。
· 別棟B2 別棟B1と同様に,別棟B2は,本棟MBから100 mの距離に位置するため,SPD(SPD4)
を,充電相及び中性線と接地線(PE導体)(又はバー)及び/又はPEN導体(又はバー)との間に,
接続することが望ましい。これは,クラスII試験に適合したSPDが望ましい。ここには,公称放電
電流Inが5 kAで,電圧防護レベルUpが1.2 kV以下のSPDを用いると仮定する。
建物内部には,敏感な機器(JIS C 60664-1に規定する定格インパルス電圧UWが1.5 kV)を含む,
異なる耐電圧の様々な種類の機器がある。機器は,引込口に設置したSPDから50 mの距離に位置
する。この距離によって,振動現象が起きる場合がある(7.4参照)。この悪条件では,機器に加わ
る電圧は,最大でUp1の2倍となる(Up1は引込口のSPDの電圧防護レベル)。7.4.5によって,Up1
は,1.5 kV×0.8/2(すなわち,600 V)よりも低いことが望ましい。別棟1と同様に,TOVを考慮
する。引込口のSPD(SPD4)のUp1は,1.2 kVよりも高くてもよい。この場合,機器Eqの上位(電
源側)に,Up2が1 200 V(UWの0.8倍)以下の追加のSPDを必要とする。より低いUp(Up1が600
V以下)のSPDを用いる場合,追加のSPDは必要ない。この過程では,機器の定格インパルス電
圧UWを考慮する(絶縁協調)。低い電圧防護レベルUp(2個のSPDを用いる場合はUp2,1個のSPD
を用いる場合はUp1)を,機器の誤動作を回避するために必要としてもよい(7.4.5の注記2を参照)。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 123] ―――――
121
C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
追加のSPD(SPD5)が可搬用機器の近くに必要な場合,充電相と中性線との間,及び中性線と接
地(PE)との間の防護のために設置することが望ましい。これは,分電盤DB2内の中性線と接地
(PE)との間の接続点から,50 mの距離に位置する機器に発生する中性線の電位上昇の危険に対処
するために必要とする(図G.3参照)。
SPD4と等電位ボンディングバー(接地端子)EB2とを接続するリード線長及びSPD5(中性線)
と接地(PE)とを接続するリード線長は,7.4.4の規定を満足するため,追加の導体は用いない。
信号及び制御回路の防護は,JIS C 5381-22に基づく。
図G.2及び図G.3を参照。
記号説明
B1,B2 : 別棟
MB : 本棟
EB,EB1,EB2 : 等電位ボンディングバー(接地端子)
MDB : 主分電盤
DB1,DB2 : 分電盤
Eq : 機器
TN−C : TN−C系統
TN−C−S : TN−C−S系統
図G.2−産業施設への適用例
――――― [JIS C 5381-12 pdf 124] ―――――
122
C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
記号説明
B1,B2 : 別棟
MB : 本棟
EB,EB1,EB2 : 等電位ボンディングバー(接地端子)
MDB : 主分電盤
DB1,DB2 : 分電盤
Eq : 機器
MVA : 高圧(中圧)避雷器
TN−C : TN−C系統
TN−C−S : TN−C−S系統
図G.3−産業施設への適用例の回路
――――― [JIS C 5381-12 pdf 125] ―――――
次のページ PDF 126
JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-12:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5381-32:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第32部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-4-43:2011
- 低圧電気設備―第4-43部:安全保護―過電流保護
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム