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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
G.3 雷保護システムLPSがある無線鉄塔
雷保護システムLPSがある場合の例を,次に示す。
− 施設 LPSがある無線鉄塔
− 高圧(中圧)配電 架空線で10 km
− 低圧配電 架空線で500 m
− NG(落雷密度) 6回の落雷/km2/年
− 被保護建築物等の立地 丘の上
− 電気設備の構成 中性線は丘のふもと(麓)で接地
機器は直近の接地(PE)に接続
− 被保護建築物等の接地抵抗 10 Ω
− 高圧(中圧)/低圧配電用変圧器の接地抵抗 10 Ω
− 低圧電源システムの接地系統の種類 TT系統,充電相(1線)及び中性線で配電
− 被保護機器の種類 電子機器
その設備の重要性によって(リスク評価,箇条4参照),クラスI試験に適合したSPDを用いる。SPD
は,充電相と直近の接地との間,中性線と直近の接地との間,及び充電相と中性線との間に接続する。直
撃雷の分流計算を実施しない場合,鉄塔への直撃雷電流のかなりの部分がSPDに流れるとし,このSPD
は,Iimpが25 kAのクラスI試験に適合したSPDが望ましい(附属書D参照)。同じサージ耐量をもつ別の
SPDを,配電用変圧器の防護のために架空線の反対側に用いてもよい。敏感な機器に近接して設置するSPD
の電圧防護レベルは,1.5 kV以下が望ましく(より低い値は,サージイミュニティを満足するために必要
としてもよい。),配電用変圧器に近接して設置するSPDの電圧防護レベルは,6 kV(絶縁協調に基づいた,
一般的な配電用変圧器の絶縁耐力)以下でもよい。
注記 この箇条に記載している配電用変圧器は我が国の配電用変圧器(一般的に柱上変圧器という。)と
は異なる。
さらに,配電用変圧器の高圧(中圧)側に避雷器を用いてもよい。詳細は,IEC 60099-5を参照。
図G.4参照。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 126] ―――――
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図G.4−LPSがある施設への適用例
G.4 風車
G.4.1 一般
風力発電システムは,巻線形誘導発電機(DFIG又はWRIG)を含み,ダイレクトドライブ発電機及びセ
ミダイレクトドライブ発電機の3種類の風車がある。現在,風力発電所では,DFIGを最も広く適用して
いる。
注記1 巻線形誘導発電機(DFIG)は,ダブルフィード誘導発電機(Double-Feed Induction Generator)
又は二重給電誘導発電機(Doubly-Fed Induction Generator)を示している。
高周波スイッチングを用いた周波数変換装置では,SPDに対して特別な問題が生じる。DFIG風車の周
波数変換装置回路は,その一例である。
注記2 この箇条では,充電相と充電相との間,及び充電相と中性線との間を“L−L間”と表し,充電
相及び中性線と接地(PE)との間を“L−PE間”と表している。
G.4.2 DFIGの周波数変換装置回路内の過渡過電圧
DFIGは,巻線形誘導発電機,周波数変換装置及び系統連系で構成する。図G.5は,ロータ(発電機)と
系統連系との間の電力回路の構成を示す。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 127] ―――――
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記号説明
1(地点1) : 巻線形誘導発電機の固定子側で系統連系に接続している。
2(地点2) : 巻線形誘導発電機の回転子側(発電機側)で周波数変換装置側に接続している。
3(地点3) : 周波数変換装置の入力側(周波数変換装置側)で巻線形誘導発電機の回転子に接続している。
4(地点4) : フィルタの出力側で系統連係に接続している。
図G.5−DFIG風車の構成
IGBTは,周波数変換装置のスイッチング部品として広く用いる。1 MW以上の周波数変換装置のスイッ
チング周波数は,通常,数kHzである。例えば,1.5 MWの周波数変換装置のスイッチング周波数は,2 kHz
である。ロータ回路の直流電圧は,通常,1 050 V程度である。図G.6に示すように,IGBTの変調では,
パルス幅変調PWMの出力電圧に,高いピーク値で,急しゅん(峻)な立ち上がり時間の過渡過電圧が,
繰り返して発生している。このピーク値及び急しゅん(峻)な立ち上がり時間(du/dt)は,発電機及び周
波数変換装置の絶縁,並びにそれらの間に設置したSPDに,負の影響を与える場合がある。
a) L−L間 b) L−E間
図G.6−ロータ回路の発電機と周波数変換装置との間のPWM電圧
DFIGの固定子回路及び回転子回路は,次に示す異なる特性がある。
· 固定子回路は,系統の交流周波数と同じ周波数で,直接,系統連系に接続する。
· 回転子回路は,周波数変換装置を介して系統連系に接続する。これは,く(矩)形波に,繰り返して
発生する,高いピーク値で,急しゅん(峻)な立ち上がり時間du/dtの過渡過電圧が重畳したPWM電
圧を生成する。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 128] ―――――
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G.4.3 長い配線によって過渡過電圧が伝達する影響
図G.7に示すように,周波数変換装置は,通常,発電機から分離して設置する。発電機は,通常,タワ
ーの上部のナセルに設置する。周波数変換装置は,通常,タワーの下部に設置する。発電機と周波数変換
装置とは,ナセルからタワーの下部まで,長い配線で接続する。
注記 ナセルとは,水平軸風車において,タワーの上部に配置され,動力伝達装置,発電機,制御装置
などを格納するもの,及びその内容物の総称である(JIS C 1400-0の番号310参照)。
発電機と周波数変換装置とは,かなり離れた距離に設置し,約100 mのケーブルで接続するため,ケー
ブルに沿って伝送するPWM波形は,発電機で反射を引き起こす。そのため,発電機側のPWM波形のピ
ーク値及び立ち上がり時間du/dtは,周波数変換装置側より高くなる。2011年の中国での調査に基づく,
図G.5に示す“2”及び“3”地点のPWM電圧,並びに立ち上がり時間du/dtのピーク値を,表G.1に示
す。
図G.7−周波数変換装置及び発電機(固定子及び回転子)の位置
表G.1−2011年の中国での調査に基づく,
二つの端子間のPWM電圧及び立ち上がり時間du/dtのピーク値
図G.5に示す地点 L−L間 L−E間
PWM電圧のピーク値 立ち上がり時間du/dtの PWM電圧のピーク値
(kV) ピーク値 (kV)
(V/μs)
地点2 1.70 970 2.0
(発電機側)
地点3 1.54 852 1.96
(周波数変換装置側)
表G.1では,地点2(発電機側)のL−L間のPWM電圧のピーク値は,地点3(周波数変換装置側)よ
りも10 %以上高い。地点2(発電機側)のL−L間の立ち上がり時間du/dtのピーク値は,地点3(周波数
変換装置側)よりも約14 %高い。この差は,ケーブルに伝送する反射の影響によるものである。この場合,
発電機の絶縁は,発電機側に設置したSPDと同様に,より高いストレスを受ける。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 129] ―――――
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G.4.4 風車システムにおけるSPDと機器との間の電圧協調
実験室で,2.5 MWのダイレクトドライブ発電機を試験した。最初に,発電機側のL−E間に,Ucが交流
750 V,バリスタ電圧VVが1 450 VのMOVで構成する幾つかのSPDを設置した。ただし,発電機を投入
後,そのSPDの内部分離器が動作した。このとき,周波数変換装置の発電機側で,L−E間の電圧は,図
G.8のb)に示すように,2 kVと高いスパイクノイズを観測した。図G.8のb)から,SPDのバリスタ電圧
VVは,スパイクノイズのピーク値よりもはるかに低いことに注意する。この状態では,SPDは損傷を受け,
漏れ電流が増大し,MOVの発熱を引き起こす。この結果,SPDの内部分離器が動作した。このことから,
Ucが交流1 000 V定格のSPDを設置し,この問題を解決した。
注記 SPDをL−L間に接続する場合,漏れ電流のために,SPDの静電容量も考慮することになる。
a) 実験室での周波数変換装置の試験例 b) ラインと接地との間の電圧波形
図G.8−実験室での周波数変換装置の試験及びそのラインと接地との間の電圧波形
表G.2は,CLC/TS 50539-22からの転写及び同様の状態を示す。
表G.2−発電機のオルタネータの励磁回路及び関連するSPDの特性の例
システムの最大動作電圧(L−L間) 交流750 V(実効値)(±10 %),0 Hz200 Hz
L−E間の電圧に重畳する繰返し過渡過電圧 1.7 kV
動作電圧(L−L間)に重畳する繰返し過渡過電圧 2.95 kV
電圧に重畳する繰返し過渡過電圧の 1.4 kV/μs
立ち上がり時間du/dt
周波数変換装置のスイッチング周波数 2 000 Hz
SPDの主な特性
Uc 動作電圧に重畳する繰返し過渡過電圧のストレスに
耐えるように,選定することが望ましい
動作周波数 周波数変換装置のスイッチング周波数を考慮して選
定することが望ましい
クラスI試験に適合したSPDの場合, 1 kA5 kA
防護モードに対するIimp
クラスII試験に適合したSPDの場合, 15 kA
防護モードに対するIn
定格短絡電流ISCCR 20 kA未満,50 Hz,60 Hz
適合規格 JIS C 5381-11
同様の特性をインバータに適用してもよい。
表G.3は,風車システム(DFIG電気システム)と低圧電源システムとの間の各因子に対する比較を示
――――― [JIS C 5381-12 pdf 130] ―――――
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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-12:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5381-32:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第32部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-4-43:2011
- 低圧電気設備―第4-43部:安全保護―過電流保護
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム