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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
の直流抵抗値(例えば,建築物等及び電源配電線の接地,並びに金属管など)を用いて計算するだけで十
分である。
個々の評価(例えば,計算によって)が不可能な場合,落雷電流Iの50 %が,建築物等のLPSの接地に
分流すると仮定することが可能である。落雷電流Iの残りの50 %(Is)は,外部導電性部材,電源線及び
通信線などの建築物等への引込線に分流する。各引込線に流れる雷サージ電流の値(Ii)は,Isを引込線の
数nで除算(Ii=Is/n)することで推定可能である。
遮蔽しないケーブルの個々の導体に流れる電流(Iv)は,引込線に流れる雷サージ電流の値(Ii)を導体
の本数(m)で除算(IV=Ii/m)することで推定可能である。
遮蔽したケーブルの場合,遮蔽部分の両端は直接又はSPDを介して接地する。この場合,ケーブルに流
れる雷サージ電流の多くは,遮蔽部分に流れ(一般に50 %),僅かな雷サージ電流がケーブル内部の導体
に流れる。この場合,SPDは遮蔽の接地(ボンディング)点に可能な限り接近して設置することが望まし
い。
注記2 SPDのIimp又はImaxの推奨値は,Ivに相当している。
架空線への直撃雷は,同様の方法で考慮してもよい。
I.2 開閉サージ(5.2.3参照)
開閉サージによって発生するストレスに関する追加の情報は,C.3を参照。
I.3 一時的過電圧UTOV(5.2.4参照)
低圧電源システムの故障によって発生する一時的過電圧は,次の二つの要因(k1及びk2)で表すことが
可能である。
· k1は,電源システムの公称電圧に対する最大電圧比で,通常1.051.1の範囲である。この値は,通常
の電圧変動のレベルを表している。
Ucs=k1×U0
ここで, Ucs : SPDの設置場所での電源システムの最大連続使用電圧
(3.1.34参照)
U0 : 電源システムの充電相と中性線との間の電圧(3.1.31参照)
· k2は,Ucsに対する最大電圧比で,k2×Ucsは,電源システムのUcsを超えて発生する,電源システムの
一時的過電圧の最大値である。配電方式が三相の場合,故障(地絡)していない充電相の電圧は,約
1.25から理論値√3まで変動する。
注記1 配電方式が単相3線の場合,k2は,最大2となる可能性がある。
一時的過電圧の最大値は,次の式で表すことが可能である。
UTOV(LV)=k1×k2×U0=k2×Ucs
一時的過電圧は,通常,低圧電源システムの故障,コンデンサの開閉,並びにモータの停止及び始動な
どで発生し,これらの一時的過電圧は,短時間である。三相の配電方式の場合,低圧電源システムの故障
によって発生する一時的過電圧は,0.05秒から最大5秒間までの時間,発生する。単相の配電方式におい
て,不十分な中性点接地でモータを始動する場合,一般的に,過大な一時的過電圧が最大5秒間発生する
可能性がある。コンデンサの開閉及び電圧変動は,5秒間以上の一時的過電圧を生じないことが望ましい。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 141] ―――――
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
したがって,この規格では,低圧電源システムの故障によって発生する一時的過電圧は,0.05秒5秒間
を選定している。
注記2 幾つかの低圧電源システムでは,高圧電源システムでの故障によって発生する一時的過電圧値
UTOV(HV)によって,U0+1 200 V(IEC 60364-4-44参照)の短時間(5秒間未満)の一時的過電圧
を,考慮する必要がある。この場合,このような高い電圧値は,SPDの故障を引き起こすため,
SPDの故障が,人,装置又は施設に,いかなる危険も生じないことを保証するため,SPDは,
適切な試験を実施している。U0+1 200 Vの値は,高圧電源システムでの故障によって発生する
一時的過電圧値の最大値であり,最大継続時間は,5秒間である。低圧電源システムの接地系
統の種類及び高圧電源システムの接地方式によって,UTOV(HV)を明示する,又は明示しない場合
がある(附属書E参照)。さらに,IEC 60364-4-44には,5秒間よりも長い継続時間の一時的過
電圧を規定しており,この長い継続時間は,故障を引き起こす場合がある。
この規格では,低圧電源システムの故障によって発生するTOVを,UTOV(LV)とし,高圧電源システムの
故障によって発生するTOVを,UTOV(HV)としている。
上記に示す,一時的過電圧の計算式で,低圧電源システムに発生するTOVの値(UTOV)の電圧−時間曲
線を描くことは,理論上,可能である。ただし,実際には,SPDの設置場所での低圧電源システムに発生
するTOVの値(UTOV)は,必ずしも分かってはいない。判明している数少ない代表値だけで,(上記に示
す)電圧−時間曲線を描くことは,かなり困難である。
一般には,標準的な最大値だけが分かっており,その曲線は,幾つかの点に絞られている。SPDの選定
で特に重要な継続時間の値は,0.2秒間,及び5秒間である。
UTOVの最大標準値は,図14を参照。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 142] ―――――
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
附属書J
(参考)
SPDの適用
注記 この附属書は,箇条7を補足している。情報が,この規格の特定の細分箇条に関連する場合,箇
条番号を()内に示す。
J.1 低圧電源システムへのSPDの適用(箇条7参照)
J.1.1 可能な防護モード及びSPDの設置(7.3参照)
各種接地系統へのSPDの設置を図J.1図J.5に示す。
注記1 接地(PE導体)とSPDの共通接地点との間の接続[図J.1図J.4の5a及び5b参照]を可能
な限り短くし,電圧防護レベル及び設備へのストレスの両方を低くすることが,最もよいこと
になる。
許容可能なSPDの設置は,次の五つのステップを確認することが望ましい。
注記2 次に示すステップは,充電相又は中性線と接地との間に接続する固定形SPDに有効である。そ
の他のSPDは,その他の基準を要求する場合がある。
a) サージ電流の経路を決定する。
b) 機器の端子に加わる,追加の電圧降下を引き起こす配線の誘導ループ及びSPDの接続リード線長を確
認する[図J.6のa)及びb)]。
注記3 図J.6のUresは,クラスI試験及びクラスII試験に適合したSPDの残留電圧,又はほとん
どの場合は制限電圧である。
c) 不必要な誘導ループを避けるために,機器の各端子への配線のルートを整える[図J.6のc)及びd),
並びに図J.7参照]。接地を共通とすることが不可能な場合,二つのSPDが必要である[図J.6のd)参
照]。
d) 機器とSPDとの間の等電位ボンディングを実施する。
e) 協調の要求事項を考慮してSPDを選定する。
設備の非防護箇所と防護箇所との間の誘導結合を制限する方法を,用いることが望ましい。相互インダ
クタンスは,誘導源と被誘導回路との間の分離,誘導ループの面積の制限,及び誘導ループの角度の選定
によって低減することが可能である(図J.7参照)。サージ電流が流れるSPDの接地線が,誘導ループの
一部である場合,SPDの接地線を,SPDと機器との間の配線に近接することで,誘導電圧を低減すること
が可能である[図J.7のa)参照]。
一般に,SPDで防護する配線は,防護していない配線から分離することが望ましい[図J.7のb)参照]。
また,電源線と通信線との間の過渡的な電磁結合を避ける対策を,用いることが望ましい。
EMCの観点から,許容可能な幾つかのSPDの設置例は,図J.7を参照。
――――― [JIS C 5381-12 pdf 143] ―――――
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
記号説明
1 : 電気設備の原点(電力供給点,設備の引込口)
2 : 分電盤
3 : 主接地端子又はバー
4 : サージ防護デバイス(SPD)
5a,5b : SPDの接地端子は,5a又は5bのいずれかと接続
6 : 被保護機器
F : SPDの製造業者が指定する分離器(例えば,ヒューズ,配線用遮断器,漏電遮断器)
RA : 設備の接地極(接地抵抗)
Rg : 低圧電源システムの接地極(接地抵抗)
図J.1−TN系統へのSPDの設置
――――― [JIS C 5381-12 pdf 144] ―――――
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
記号説明
1 : 電気設備の原点(電力供給点,設備の引込口)
2 : 分電盤
3 : 主接地端子又はバー
4 : サージ防護デバイス(SPD)
5a,5b : SPDの接地端子は,5a又は5bのいずれかと接続
6 : 被保護機器
7 : 漏電遮断器(RCD)
F : SPDの製造業者が指定する分離器(例えば,ヒューズ,配線用遮断器,漏電遮断器)
RA : 設備の接地極(接地抵抗)
Rg : 低圧電源システムの接地極(接地抵抗)
a) 接続タイプ1(CT1)
図J.2−TT系統へのSPDの設置(漏電遮断器の負荷側にSPDを設置する場合)
――――― [JIS C 5381-12 pdf 145] ―――――
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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-12:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5381-32:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第32部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-4-43:2011
- 低圧電気設備―第4-43部:安全保護―過電流保護
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム