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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
部署などの広範囲な関係機関を示している。
5 低圧電源システム及び被保護機器
5.1 一般
SPDが必要な設備を評価する場合,次の二つの特性を考慮する必要がある。
− 想定する過電圧及びサージ電流のレベルを含む,SPDを設置する低圧電源システムの特性(5.2参照)
− 被保護機器の特性(5.3参照)
5.2 低圧電源システム
5.2.1 一般
低圧電源システムは,基本的に,接地系統の種類(TN-C,TN-S,TN-C-S,TT及びIT),公称電圧,過
電圧及びサージ電流の種類によって特性が決まる。この規格では,過電圧及びサージ電流は,次の三つの
群に分類する。
· 雷サージ(5.2.2参照)
· 開閉サージ(5.2.3参照)
· 一時的過電圧(5.2.4参照)
5.2.2 雷サージ
ほとんどの場合,雷サージのストレスは,JIS C 5381-11で規定するSPDの試験クラス及び関連する電
流値(In又はIimp)又は電圧値(Uoc)を選定することが主要な要素となる。
雷サージのストレス(電流又は電圧の波形及び大きさに基づく)の評価は,SPDの適切な選定に必要で
ある。そのような条件下で,SPDの電圧防護レベルUpが,機器を防護するために適切であることを決定す
ることも重要である。
雷保護システム(LPS)がある場合,設備の引込口のSPDは必須であり,クラスI試験に適合するSPD
を選定する。雷保護システム(LPS)がある建築物等に対する,雷サージのストレスに関する追加の情報
は,JIS Z 9290-1による確認が可能である。Iimpの選定のための追加の情報は,J.3によっても確認が可能
である。米国におけるクラスI試験に適合するSPDに関する除外事項は,附属書Qを参照。
多くの場合,電気設備に発生する雷サージの大きいストレスは,外部から建築物等に侵入する(例えば,
建築物等に引き込む外部の電源線への直撃雷又は落雷によって誘導する雷サージ)。建築物等内では,雷サ
ージのストレスは,回路構成,SPDの相互作用及びインピーダンスによって,設備の引込口から内部に向
かい減少する。
リスク評価は,IEC 60364-4-44に規定する簡略化した方法(H.2参照),又はIEC 62305-2に規定する詳
細なリスク評価のいずれかを適用して,実施する。リスク評価を実施するために,使用者は,少なくとも
次の事項を知る必要がある。
· 地域の落雷密度NG(建築物等のある地域における落雷密度で,1年間の1平方キロメートル当たりの
落雷発生数)。最近の落雷位置標定システム(LLS)は,NGの情報を提供することが可能である。
· 電気設備の外部への暴露
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地下埋設ケーブルで電源を引き込む場合,サージ防護の必要性の決定には,次の事項を考慮することが
望ましい。
− 設備の近傍に雷保護システム(LPS)がある場合
− 適切なサージ減衰を実施するために,地下埋設ケーブルの長さは十分なのか(IEC 62305-2の規定で
は,サージを許容レベルへ減衰するためには,1 000 m以上の長さが必要である。)。
− 地下埋設ケーブルが,高い大地抵抗率のために直撃雷の影響を受ける場合(遮蔽したケーブル又は金
属製電線管内の場合を除く。)
− 落雷に起因する大きい雷サージが,架空の高圧線からトランスを介して低圧側に侵入することが想定
可能な場合
− 地下埋設ケーブルで給電する建築物等の大きさ及び高さによって,直撃雷のリスクが著しく増大する
場合
− 電源システム及び機器に影響を及ぼす可能性があるその他の架空線(電話線,アンテナシステムなど)
がある場合
単一の供給電源システムから複数の建築物等へ給電している場合,SPDを備えていない建築物等の電気
設備は,雷サージの大きなストレスを受ける可能性がある。
波形及び電流の大きさの評価は,雷撃点の場所[すなわち,建築物等への落雷(S1),建築物等の近傍へ
の落雷(S2),建築物等に接続した電源線への落雷(S3)又は建築物等に接続した電源線の近傍への落雷
(S4)]及び距離によって決まり,その内容をJIS Z 9290-1:2014の附属書Eに示す。この損傷の発生源に
対するリスク評価は,IEC 62305-2に規定する方法を用いて実施することが可能である。
雷サージのストレスに関する追加の情報は,附属書C及び附属書Iを参照。
SPDの上位(電源側)にある電気設備内の機器は,設備のサージ耐量に影響を及ぼす場合があるため,
SPDの上位にある機器のサージ耐量を決定することが望ましい。
5.2.3 開閉サージ
ピーク電流及びピーク電圧に関する,開閉サージのストレスは,通常,雷サージのストレスよりも小さ
いが,開閉サージは,継続時間がはるかに長い場合(例えば,機器の故障及びヒューズ動作による過渡現
象)又は小さいエネルギーであるが,頻繁に発生する場合(例えば,接触器,力率改善のためのコンデン
サ,IGBTなどの動作)がある。ただし,特に建築物等内の奥まった場所又は開閉サージ発生源の近くで
は,開閉サージのストレスが雷サージのストレスよりも大きくなる場合がある。適切なSPDの選定を可能
にするために,これら開閉サージのエネルギーを決める必要がある。
一般に,SPDのサージ耐量は,雷サージのストレスに基づいて選定する。
建築物等内の電源システム内で発生する開閉サージに関する追加の情報は,IEEE C62.41.1-2002の4.3
及びIEEE C62.72-2016の5.2.2を参照。これらの開閉サージは,電源システム又は接続機器に即座に損傷
を与えないが,システムの運転の中断及び停止をときどき引き起こす。これらの開閉サージは,電源シス
テムの外部で発生する雷サージとは著しく異なった波形及び振幅をもち,これら電源システムの内部で発
生した開閉サージの影響を特に低減するように設計したSPDを要求してもよい。IEEE C62.41.2-2002は,
これらの開閉サージを模擬する追加の推奨波形及び試験振幅を規定する。このような開閉サージに関する
追加の情報は,IEC TR 62066:2002(低圧交流電源システムのサージ過電圧及びサージ防護−一般基本情
報)で確認が可能である。
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
開閉サージのストレスに関する追加の情報は,附属書C及び附属書Iを参照。開閉サージに関する追加
の情報は,IEC TR 62066で確認が可能である。
5.2.4 一時的過電圧UTOV
5.2.4.1 一般
SPDは,その寿命までに,電源システムの公称電圧を超える一時的過電圧UTOVを受ける場合がある。
一時的過電圧には,電圧の大きさ及び継続時間の二つの要素がある。一時的過電圧の継続時間は,主に
電源システムの接地方式に依存する(高圧電源システムと,SPDを接続する低圧電源システムとの両方を
含む。)。電源システムの一時的過電圧を決定する場合には,電源システムの充電相と中性点との間及び充
電相間の電圧を考慮することが望ましい(表E.3参照)。
TOVは,低圧電源システムでの故障の場合,電源システムの充電相と中性点との間(L−N)又は充電相
とPEN導体との間(L−PEN)に発生する場合がある。継続時間は,次による。
− 短絡故障の場合,OCPDが動作するまでの時間
− 中性線の欠相の場合,無制限の時間
TOVは,高圧電源システムでの地絡故障の場合,高圧電源システム及び低圧電源システムの接地方式又
は両方の接地方式の相互作用によって,低圧電源システムの中性線と接地との間(N−PE)又は充電相と
接地との間(L−PE)に,一定時間,発生する場合がある。
SPDは,電源システムのTOVに対する防護を目的としていない。TOVが発生した場合,SPDは,JIS C
5381-11に規定するように,TOVに耐える又は安全な方法で故障してもよい。
中性線の欠相によるTOVは,非常に長い時間(数時間まで),充電相と中性線との間に発生する一時的
過電圧の原因であり,電源システムの充電相間の電圧と等しい電圧値に達する場合がある。SPDでは,こ
のようなTOVに対して防護することは不可能である。この場合,POP(交流過電圧防護デバイス)を用い
てもよい。
注記 POPはIEC 63052を参照。我が国では,単相3線回路における中性線の欠相に対して,中性線欠
相保護機能付き配線用遮断器(又は漏電遮断器)がある。
一時的過電圧に関する追加の情報は,附属書E及び附属書Iを参照。
5.2.4.2 規定値
IEC 60364-4-44は,低圧電源システムで発生する一時的過電圧値UTOVの最大値を規定する(これらの値
の詳細な計算は,附属書Eを参照)。
SPDの設置場所,低圧電源システムの接地系統の種類など多くの要因によって,UTOVは,より低い値に
なることがある。
使用者の設備における一時的過電圧の最大値を表1に示す。
SPDの試験に用いる値を,附属書Eに示す。
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表1−IEC 60364-4-44に規定する最大TOV値
故障場所 UTOVの発生場所 接地系統の種類 UTOV(HV)の最大値
高圧電源システム 充電相と接地との間 TT系統,IT系統 U0+250 V 継続時間 : 5 s超過
U0+1 200 V 継続時間 : 5 s以下
中性線と接地との間 TT系統,IT系統 250 V 継続時間 : 5 sを超える
1 200 V 継続時間 : 5 s以下
この値は,極端な値であり,附属書Eによって接地系統の種類に応じて計算するこ
とが可能である。
故障場所 UTOVの発生場所 接地系統の種類 UTOV(LV)の最大値
低圧電源 中性線の欠相 充電相と中性線との間 TT系統,TN系統 √3×U0
システム 充電相の地絡 充電相と接地との間 IT系統,(TT系統 √3×U0
注記1参照)
充電相と中性線 充電相と中性線との間 TT系統,IT系統, 1.45×U0 継続時間 : 5 s以下
との短絡 TN系統
注記1 TT系統では,最大5秒間,高いUTOVが発生する場合がある。詳細は,附属書Eを参照。この条件は,
IEC 60364-4-44では扱っていない。
注記2 変圧器の設置場所でのUTOVの最大値は,この表と異なる場合がある(より高い又はより低い)。詳細は,
附属書Eを参照。
注記3 U0は,低圧電源システムの充電相と中性線との間の電圧である。
注記4 対応国際規格では,表内タイトルの故障場所の記載が不明確な構成のため,修正した。
5.3 被保護機器の特性
雷サージに対する被保護機器の特性は,次に示す2種類の試験方法で決定する。
· JIS C 60664-1で規定する機器のインパルス耐電圧試験。この試験は,絶縁協調だけの試験である。試
験中,機器には,交流を課電しない。
· JIS C 61000-4-5で規定する機器のサージイミュニティ試験。この試験では,機器の動作中のイミュニ
ティ耐量を評価する。この試験は,主にコンビネーション波形発生器(1.2/50−8/20)を用いて,異な
る試験レベルで実施する。この試験では,機器が課電下の動作中にどこで異常,誤動作又は故障が発
生する可能性があるかどうかを決定する。
機器を用いる場所の過渡環境に対して,機器のインパルス耐電圧とサージイミュニティ試験レベルとを
比較することによって,SPDの必要性を決定する。追加の情報は,附属書Oを参照。
注記 選定したSPDは,被保護機器の定格インパルス電圧Uwよりも低い実効上の電圧防護レベルUp/f
を備えることが可能である。機器の連続動作が重要な場合,実効上の電圧防護レベルUp/fは,機
器のサージイミュニティの試験レベルよりも低くしている(7.4.5参照)。電圧保護レベルUpは,
7.5.2及び7.5.6に従って選定することが可能である。
6 サージ防護デバイス(SPD)
6.1 SPDの基本機能
この規格では,被保護機器の外部又は内部に設置するSPDが対象である。
注記 電気及び電子機器は,サージ防護部品(例えば,JIS C 5381-331に適合するMOV)で防護するこ
とが多いが,この規格では対象としていない。この規格では,JIS C 5381-11に適合するSPDによ
るサージ防護だけを考慮している。
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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
電源システムでのSPDの機能は,次による。
· サージがない場合 SPDは,適用する電源システムの動作特性に対し重大な影響を及ぼしてはならな
い。
· サージ発生中 SPDは,サージに応答して,そのインピーダンスが低下し,サージ電流を分流して,
電圧を制限する(ほとんどの場合,制限した電圧はSPDの電圧防護レベルUpよりもはるかに低い。)。
サージは,SPDの設計(電源からの続流が発生するSPD)によっては,SPDは続流を引き起こす可能
性がある。
· サージ発生後 SPDは,サージ通過後,高インピーダンス状態に復帰し,いずれの続流も消弧する。
SPDの特性は,通常の使用状態で,6.1に示す機能を満足するように規定している。通常の使用状態は,
電源システムの周波数,電圧,負荷電流,標高(大気圧),湿度及び周囲温度を指定する。
6.2 追加の要求性能
SPDの適用には,次に示す追加の要求性能が必要になる場合がある。
· SPDの感電保護(JIS C 60364-4-41に規定する。)
· SPDが寿命となるときの安全な挙動
SPDは,そのサージ耐量を超えるサージを受けた場合,又は最大連続使用電圧を超える持続した過電圧
を受けた場合,寿命となることがある。この規格では,寿命となるときのSPDの状態を,開回路又は短絡
回路(6.5.4も参照)のいずれかに分ける。
注記 この箇条の内容は,JIS C 5381-11:2014の5.12に規定するSPDの分類及びSPDの故障モード(SPD
の特定の技術に関連する)の概念に対応していない。ただし,短絡形SPDに分類するSPDは,
定義によって,寿命となるときには短絡となる。
寿命となるとき,開回路となったSPDは,電源システムにほとんど影響を及ぼさないため,通常,検出
するのが困難である。ただし,この場合,電源システムをもはや防護していない。そのため,寿命となっ
たSPDを,次のサージが侵入する前に交換することを確実にするために,故障表示が必要になる(7.6.3参
照)。
寿命となるとき,SPDには短絡電流が流れてもよい。JIS C 5381-11が規定する短絡電流耐量試験は,
SPDに流れる短絡電流が通電中に放出したエネルギーで火災を引き起こす危険が生じないことを確認する
ために実施する。SPDを過負荷から保護するために,JIS C 5381-11に従って製造業者が明示するSPDの
故障モード(開回路又は短絡回路)には影響しない,適切な分離器を要求してもよい(7.5.2.4参照)。
6.3 SPDの分類
6.3.1 SPD : 分類
サージ防護デバイスは,JIS C 5381-11に従って次のように分類する。
− ポートの数 1ポート又は2ポート
− SPDの設計 電圧スイッチング,電圧制限又は複合
− SPDの試験クラス クラスI試験,クラスII試験又はクラスIII試験
− 設置場所 屋内又は屋外
− 接近性 接近可能又は接近不可能(手の届かない範囲)
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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-12:2020(IDT)
JIS C 5381-12:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-12:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5381-32:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第32部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC60364-4-41:2010
- 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護
- JISC60364-4-43:2011
- 低圧電気設備―第4-43部:安全保護―過電流保護
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム