JIS C 5381-12:2021 低圧サージ防護デバイス―第12部:低圧電源システムに接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準 | ページ 6

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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
− 取付方法 固定形又は可搬形
− 分離器 分離器の設置場所(SPDの外部,SPDの内部,SPDの内部及び外部の両方,なし)及び保護
機能(温度,漏れ電流及び過電流)
− 過電流保護 指定又はなし
− 外郭の保護等級 SPDの外郭で備わる保護等級(IP)
− 温度及び湿度の範囲 標準範囲又は拡張範囲
注記 定義によって,屋外とは,閉鎖したかん(函)体の外部を意味している。このSPDは,かん(函)
体外部の全ての条件に従っている。屋内とは,閉鎖したかん(函)体の内部を意味している。こ
のSPDは屋内の雰囲気条件に従っている。手の届かない範囲とは,工具又はその他の機器を用い
ない場合,充電部に接近不可能であることを意味している。
6.3.1に示す分類の選定は,SPDに用いる技術と関連しており,製造業者が指定する。
6.3.2 代表的な設計
SPDに用いる主なサージ防護部品は,次の二つのカテゴリに分類する。
− 電圧制限部品 MOV(JIS C 5381-331参照),ABD(JIS C 5381-321参照),サプレッサダイオード(JIS
C 5381-321参照)など。
− 電圧スイッチング部品 スパークギャップ,GDT(JIS C 5381-311参照),サージ防護サイリスタ(TSS,
JIS C 5381-341参照),トライアック(JIS C 5381-341参照)など。
これらのサージ防護部品を基にした次の代表的なSPDの設計を図4に示す。
− 単一の電圧制限部品[図4 a)参照] 電圧制限SPD
− 単一の電圧スイッチング部品[図4 b)参照] 電圧スイッチングSPD
− 電圧制限部品と電圧スイッチング部品との組合せ[図4のc)及びd)参照] 複合SPD
U
a) 電圧制限部品 b) 電圧スイッチング部品
U U
c) 電圧制限部品と電圧スイッチング部品 d) 電圧制限部品と電圧スイッチング部品
との直列組合せ との並列組合せ
図4−サージ防護部品及びサージ防護部品を組合せた例

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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
SPDは,単純にサージ防護部品だけで構成してもよいが,表示器,分離器,ヒューズ,インダクタ,コ
ンデンサ,熱分離器,PTCサーミスタ及びその他の部品を組み込んでもよい。SPDは,一般に1ポートSPD
(3.1.21参照)と2ポートSPD(3.1.22参照)とに分類する。
複数の部品で構成するSPDに適用する試験の情報は,附属書Pを参照。

6.4 SPDの特性

6.4.1 JIS C 5381-11で規定する使用条件
6.4.1.1 通常使用条件
通常使用条件は,次による。
· 電源システムの周波数は,47 Hz63 Hzの交流とする。
· 高度は,2 000 m以下とする。
· 使用温度は,通常範囲は−5 +40 ,拡張範囲は−40 +70 とする。
· 相対湿度は,通常範囲(屋内温度条件下)では5 %95 %,拡張範囲では5 %100 %とする。
通常範囲は,温度及び湿度を管理しない耐候性がある場所で用いる屋内用SPDに適用する。拡張範囲は,
耐候性がない場所で用いる屋外用SPDに適用する。
注記1 使用者は,SPDの設置場所(屋外,屋内など)を決めた後,使用温度及び相対湿度が通常範囲
又は拡張範囲内であるかを決めることになる。
注記2 一般に,保管温度範囲は,使用温度範囲よりも広くなっている。
6.4.1.2 特殊な使用条件
SPDを特殊な使用条件で用いる場合,SPDの設計又は適用に特別な配慮を必要とすることがあり,製造
業者は注意を喚起することが望ましい。
日射 : ほとんどのSPDは日射を受ける場所では用いない。一般に,形式試験では日射は考慮しない。日
射を受ける場所でSPDを用いる場合,日射を考慮し適切な試験をすることが望ましい。
注記 一般に,SPDの外郭の保護等級は,IP2Xよりも大きくなっている。実例では,その他の値を用い
ている場合がある(例えば,屋外用のSPD)。
6.4.2 SPD選定のためのパラメータ
SPDを選定する前に必要な代表的な情報,及び試験手順の説明を,附属書Aに示す。
使用者が適切にSPDを選定するために必要な一般的なパラメータを,次に示す。
注記 これらのパラメータの幾つかは,各防護モードに対して指定している。
a) 最大連続使用電圧Uc
b) 一時的過電圧試験電圧値UT及び/又は低圧電源システムの種類(接地系統の種類及び配電方式)
c) クラスI試験でのインパルス放電電流Iimp
d) クラスII試験での公称放電電流In
e) クラスIII試験でのコンビネーション波形発生器の開回路電圧UOC
f) 電圧防護レベルUp

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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
g) SPDの故障モード(製造業者が明示する場合)
h) 定格短絡電流ISCCR
i) 続流遮断定格Ifi(電圧制限SPDを除く)
j) 定格負荷電流IL(2ポートSPD又は個々の入力端子と出力端子とをもつ1ポートSPDの場合)
k) 電圧降下率(2ポートSPDの場合)
l) 漏電電流IPE[接地端子(保護導体PEを接続する端子)をもつSPDの場合]
m) 短絡SPDに対する過渡サージ電流定格Itrans(短絡SPDの場合)
n) 必要な場合,外部分離器の定格及び特性
o) 最大放電電流Imax(任意)
p) 多極SPDの全放電電流ITotal(製造業者が明示する場合)
q) 2ポートSPDに対する負荷側のサージ電流耐量(製造業者が明示する場合)
r) 防護モード(2個以上の防護モードをもつSPDの場合)
s) 電圧上昇率du/dt(製造業者が明示する場合)

6.5 SPDの特性の追加情報

6.5.1 電源システムに関する情報
6.5.1.1 最大連続使用電圧Uc,連続使用電流Ic及び漏電電流IPE
Ucは,通常使用条件で,SPDの特性変化(経年劣化,熱暴走など)が最小となる値とする。
Icは,SPDにUcを課電している場合に流れる電流値である。接地(PE)端子に電流が流れる場合,漏電
電流IPEという。IPEは,過電流保護器又はその他の保護器(例えば,漏電遮断器)の不要な動作を回避す
るために,SPDを選定する場合に用いる。
注記1 IcはJIS C 5381-11では規定していない。Icは任意のパラメータである。
注記2 対応国際規格ではIEC 60364-5-53:2001の531.2.1.2参照と記載があるが,該当箇所はこのJIS
で参照する内容ではないため,ここでは削除した。
6.5.1.2 一時的過電圧の特性
SPDの一時的過電圧の特性は,一般に,時間(数秒以下)に対する電圧(交流)の曲線上の幾つかの点
(電圧及び時間)で示す。
JIS C 5381-11は,規定するTOVの印加時間を,次の三つに制限している。
· 高圧電源システムでの故障によって発生するTOVの印加時間は200 ms
· 低圧電源システムでの故障によるTOVの印加時間は5秒間
· 中性線の欠相によるTOVの印加時間は120分間
関連する試験電圧値をUT(一時的過電圧試験電圧値)とする。
SPDは,TOVの試験に対して,許容を超える特性の変化がなく耐える又は安全に故障するのいずれでも
よい。
IEC 60364-5-53に従って設置したSPDは,低圧電源システムでの故障によるTOVに耐えなければなら

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ない(表E.3に規定するTOVの印加時間tT=5秒間のTOV試験電圧値UTを参照)。
さらに,製造業者が,漏電遮断器の上位(電源側)で,TT系統の中性線と接地(PE)との間に設置して
もよいと取扱説明書で明示しているSPDは,高圧電源システムでの故障によって発生するTOVに耐えな
ければならない(表E.3に規定するTOVの印加時間tT=200 msの試験電圧値UTを参照)。
一時的過電圧試験電圧値UTは,JIS C 5381-11の規定によって,製造業者が明示する。
注記 高い一時的過電圧に耐え,かつ,低い電圧防護レベルの両方を備えるSPDを選定することは困難
である。
使用者は,SPDの一時的過電圧試験値UTと電源システムで発生する一時的過電圧値UTOVとを比較する
ことによって,最適なSPDを選定することが可能となる。SPDの試験に用いる標準値(IEC 60364規格群
に適合したシステム)を表E.3に示す。我が国のTOV試験パラメータを,表E.8に示す。
製造業者のデータシートには,一時的過電圧試験値UT又はSPDを適用する低圧電源システムの種類(接
地系統の種類及び配電方式)のいずれかを記載する。SPDを適用する電源システムの種類を記載する場合,
必要な全ての試験は要求するUTで実施しており,UTと電源システムのUTOV(IEC 60364-4-44で規定する
TOVに適合した)とを比較する必要はない。使用者の業務を単純化するため,SPDを適用する電源システ
ムの種類をデータシートに記載するのが一般的である。
6.5.2 サージ電流に関連する情報
6.5.2.1 一般
次に記載する要素は,サージ波形の電圧,電流及び時間特性に関連する項目である。SPDが受けると想
定する雷サージのストレスによって,異なるインパルス波形及び波高値を試験に用いる。
SPDの適切な試験クラスの選定に関する情報は,JIS C 5381-11の対応国際規格(IEC 61643-11)の序文
に,次のような記載がある。
次の三つの試験クラスがある。
− クラスI試験は,部分雷電流(直撃雷の分流)を想定した試験である。ほとんどの場合,クラスI試験
に適合するSPDは,高被雷場所,例えば,LPSで保護した建築物等の引込口に設置することが望まし
い。
− クラスII試験又はクラスIII試験に適合したSPDは,短時間のインパルスに適用する。
SPDを選定する場合,SPDの試験クラス及びインパルスの最大値の両方を考慮しなければならない。ほ
とんどの場合,クラスII試験又はクラスIII試験に適合するSPDは,直撃雷を受ける可能性が低い場所に
設置することが望ましい。クラスII試験に適合するSPDは,引込口及び分電盤で用いてもよく,クラス
III試験に適合するSPDは,機器に近い場所で用いることが望ましい。
注記1 クラスII試験は,SPDに電流インパルスを印加している。クラスIII試験はSPDに電圧を印加
し,その結果発生する電流はSPDの特性に依存している。クラスIII試験に適合するSPDの表
示は,コンビネーション波形発生器の開回路電圧で,試験中,実際にSPDに流れる電流ではな
い。
注記2 SPDは,試験クラスを示す記号(四角の枠の中にTで表示する)又は試験クラスを銘板に表示
している。クラスI試験の場合は“T1”又は“クラスI試験”,クラスII試験の場合は“T2”又
は“クラスII試験”,クラスIII試験の場合は“T3”又は“クラスIII試験”と表示している。

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C 5381-12 : 2021 (IEC 61643-12 : 2020)
6.5.2.2 公称放電電流 : In(8/20)
クラスII試験に適合するSPDでは,Inは,測定制限電圧を決定するための一つの試験パラメータとして
用いる(もう一つの試験パラメータは,電圧スイッチングSPD及び複合SPDに対して用いる立ち上がり
波形での放電開始電圧である。)。Inは,動作責務試験(15回印加)にも用いる。
Inは,SPDの設置場所でかなり頻繁に発生すると想定する雷サージ電流に相当する。
Inの推奨値は,0.05 kA,0.1 kA,0.25 kA,0.5 kA,1.0 kA,1.5 kA,2.0 kA,2.5 kA,3.0 kA,5.0 kA,10
kA,15 kA及び20 kAである。
IEC 60364-5-53は,設備の引込口で5 kA以上を要求している。
6.5.2.3 インパルス放電電流 : Iimp(例えば,10/350)
クラスI試験に適合するSPDでは,Iimpは,クラスI試験に対する追加の動作責務試験に用いる試験パ
ラメータである。Iimpは,電源システム内でのSPDの設置場所で発生する可能性がある部分雷電流(直撃
雷の分流)の最大値に関連する。
部分雷電流(直撃雷の分流)の計算方法は,附属書Dに示す。
注記 Iimpの波高値をもつ8/20電流インパルスは,測定制限電圧を決定するために用いている(その他
の試験は,電圧スイッチングSPD及び複合SPDに対して用いる立ち上がり波形での放電開始電
圧である。)。これは,動作責務試験(15回印加)にも用いている。
JIS C 5381-11に規定するIimp(Q及びW/Rを含む)の推奨値を,表2に示す。
表2−Iimpの推奨値
Iimp Q W/R
(kA) (C) (kJ/)
25 12.5 156
20 10 100
12.5 6.25 39
10 5 25
5 2.5 6.25
2 1 1
1 0.5 0.25
注記 10/350波形は,この表の要求を満たす波形の代表例である。
6.5.2.4 最大放電電流 : Imax
Imaxは,任意の試験パラメータである。動作責務試験では,Imaxを印加しない。Imaxは,電源システム内
でのSPDの設置場所では,まれにしか発生しないと想定する雷サージ電流の最大値に関連する。
製造業者がImaxを明示する場合,Imaxと等しい波高値をもつ追加の8/20電流インパルスとで,測定制限
電圧を測定し,その値を記録する。電圧制限部品を用いたSPDの場合,UmaxはInでの残留電圧以上であ
る。
6.5.2.5 短絡SPDに対する過渡サージ電流定格 : Itrans
Itransは,Inよりも大きい8/20電流インパルスであり,短絡SPDを短絡する電流である。

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JIS C 5381-12:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61643-12:2020(IDT)

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