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C 5381-32 : 2020
機器を効果的に防護するために,電圧防護レベルUPは,被保護機器の定格インパルス電圧Uwよりも低
くなければならない。一般的に,機器の定格インパルス電圧Uwとの安全マージンは20 %以上であり,UP
≦0.8 Uwが望ましい(JIS C 5381-12及びJIS Z 9290-4参照)。例外は,IEC 60364-5-53の箇条534を参照す
る。特に指定がない場合,被保護機器の許容する過電圧カテゴリはカテゴリIIである。このため,交流
230/400 Vシステムの機器に加わるインパルス電圧の最大値は,2.5 kVと想定できる。これには一般的に,
多数の協調の取れたSPDの設置による防護が必要である。必要な場合,SPD製造業者は,協調のために必
要な情報を提供してもよい。
9.1.4 交流側に接続するSPDの設置
太陽電池設備の交流側へのSPDの設置方法を図4及び図5に示す。
注記1 対応国際規格に図4及び図5を引用する記載の脱落があったので,適切な文を記載した。
SPDは電気設備の原点(例えば,太陽電池設備と配電網との接続点)へ,可能な限り近づけて設置する
ことが望ましい(図4参照)。このSPDとインバータとの間の配線長(距離E)が10 m以上の場合,イン
バータの直近に追加したSPDで,インバータを防護することが望ましい(図5参照)。さらにPE導体(保
護導体)は交流配線と近接して敷設することが望ましい。
注記2 6.2.3に示す太陽電池設備では,インバータ及び主分電盤が同じボンディング用バーに,それ
ぞれ0.5 m以下の配線で接続している場合(例えば,インバータが主分電盤内にある場合)
を除き,電気設備の原点(図3の設置場所3)及びインバータの直近(図3の設置場所2)
に二つのSPDが必要である。
図4及び図5に規定するSPDの接続線の合計長(L1+L2+L3)が0.5 mを超える場合,IEC 60364-5-53:2015
の534.4.8に規定する要求事項を適用してもよい。
E<10 m
L1 電気設備の原点
D
L2
SPD
L3
L1+L2+L3≦50 cm 接地抵抗
記号説明
E 電気設備の原点とインバータとの距離
L1,L2及びL3 接続線の長さ
D 外部SPD分離器
図4−電気設備の原点と太陽電池インバータとの距離が短い場合(E<10 m)の交流側へのSPDの設置
――――― [JIS C 5381-32 pdf 16] ―――――
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E≧10 m
L1 L1 電気設備の原点
D D
L2 L2
SPD SPD
L3 L3
L1+L2+L3≦50 cm 接地抵抗
記号説明
E 電気設備の原点とインバータとの距離
L1,L2及びL3 接続線の長さ
D 外部SPD分離器
図5−電気設備の原点と太陽電池インバータとの距離が長い場合(E≧10 m)の交流側へのSPDの設置
9.2 太陽電池設備の直流側に接続するSPDの選定
9.2.1 一般
太陽電池設備の直流側を防護するSPDの選定及び設置は,IEC 60364-7-712の規定に従わなければなら
ない。ここでは,追加の情報を提供する。
太陽電池設備の直流側は,特有の電流電圧特性のため,太陽電池設備の直流側で用いることを明確に指
定したSPDだけを設置する。これらのSPDは,JIS C 5381-31の要求事項に適合しなければならない。
9.2.2 SPDの公称放電電流In及びインパルス電流Iimpの選定
クラスII試験に適合したSPDの各防護モードにおける公称放電電流Inの最小値は,5 kA,8/20とする。
より大きな値の場合,SPDの寿命が長くなることがある。
クラスI試験に適合したSPDのインパルス電流Iimpの選定は,附属書Aに規定する。附属書Aを適用す
るための十分なデータが入手できない場合,各防護モードにおけるインパルス電流Iimpの最小値は,IEC
60364-7-712のLPL III/IVによる12.5 kAとする。
9.2.3 直流側に接続するSPDのUCPVの選定
SPDの全ての防護モード(プラス端子とマイナス端子との間,プラス端子とPE端子との間及びマイナ
ス端子とPE端子との間)の最大連続使用電圧UCPVは,全ての使用条件における太陽電池アレイの最大開
回路電圧UOC MAX以上とする(更なる情報は附属書B参照)。
注記 直流配線と接地との間の電圧波形は,インバータ技術に依存し,常に平たんな直流ではない。
直流側のSPDは,直流リップルを考慮して選定することが望ましい。
9.2.4 SPDの電圧防護レベルUPの選定
必要な防護レベルを確認するためには,機器の定格インパルス電圧Uw,及び機器のイミュニティレベル
(JIS C 61000-4-5参照)の決定が必要である。
――――― [JIS C 5381-32 pdf 17] ―――――
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定格インパルス電圧Uw,及び機器のイミュニティレベルは次の規格で規定する。
− 電源線の接続部は,JIS C 60664-1及びJIS C 61000-4-5の規定による。
− 通信及び信号回路の接続部は,JIS C 61000-4-5,並びにITU-T K.20及びK.21の規定による。
機器を効果的に防護するために,電圧防護レベルUPは,被保護機器の定格インパルス電圧Uwよりも低
くなければならない。一般的に,機器の定格インパルス電圧Uwとの安全マージンは20 %以上であり,UP
≦0.8 Uwが望ましい(JIS Z 9290-4参照)。さらに,PE導体(保護導体)は直流配線と近接することが望ま
しい。追加の情報がない場合,機器の定格インパルス電圧Uwは,表2から選定できる。
一つの防護モードのSPDの組合せで構成するSPD(図7及び図8でA,B,C,X,Y及びZとして示
す。),又は多極SPDにおいて,全ての可能性のある防護モードを製造業者が示していない場合,個々の
SPDの電圧防護レベルを足し合わせ,合計の電圧防護レベルを求める。
表2−太陽電池アレイとインバータとの間の機器の定格インパルス電圧Uw
(追加の情報が入手できない場合)
単位 V
UOC MAX 定格インパルス電圧Uw
太陽電池モジュールの インバータb) 他の機器c) 太陽電池モジュールの
適用等級B g) 適用等級A g)及び二重/
基礎絶縁a) 強化絶縁f)の他の機器
100 800 2 500 800 1500
150 1500 (最小要求値) 1500 2500
300 2500 2500 4000
424 4000 4000 4000
600 4000 4 000 4000 6000
800 d) 5000 5000 6000
849 6000 6000 8000
1000 6000 6 000 6000 8000
1500 e) 8000 8 000 8000 12000
全ての定格インパルス電圧は過電圧カテゴリIIに対応する。
注a) IS C 8992-2:2010の基礎絶縁(表8)
b) EC 62109-1:2010の7.3.7.1.2 b)
c) IS C 60664-1:2009による定格インパルス電圧
d) IS C 8992-2:2010では直線補間を許可しており,表を明確にするために適用した。
e) EC TR 60664-2-1:2011の附属書Dに基づく推奨値
f) 二重/強化絶縁は保護手段のため,SPDの電圧保護レベルは,この表の縦の2列4列に規定し
ている,基礎絶縁の定格インパルス電圧以下が望ましい。
g) 太陽電池モジュールの適用等級A及び適用等級Bの詳細は,JIS C 8992-1:2010を参照
直撃雷からの保護が必要な配線は次による。
− 太陽電池アレイからインバータまでの直流配線
− 存在する場合,センサを制御装置に接続する信号線及び太陽電池設備の入口から制御装置までのデー
タ線
9.2.5 直流側に接続するSPDの設置
太陽電池設備の直流側の過電圧防護例を,図6に示す。6.2.1及び6.2.2に示す太陽電池設備において,
太陽電池アレイとインバータとの間の距離Eが10 m以上の場合,太陽電池アレイ及びインバータの両方
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を十分に防護するためには,二つのSPDが必要である。
注記1 対応国際規格に図6を引用する記載の脱落があったので,適切な文をこの細分箇条に記載し
た。
6.2.1及び6.2.2に示す太陽電池設備において,太陽電池アレイとインバータとの間の距離Eが10 m未満
の場合,一つのSPDで十分としてもよい。一般的な太陽電池アレイの定格インパルス電圧Uwは,インバ
ータの定格インパルス電圧Uwよりも高いと仮定できる。したがって,SPDはインバータの近くに設置す
ることを推奨する。
SPDの接続線の合計長(L1+L2)は,可能な限り短くしなければならない(SPDの接続線の合計長は0.5
m以下が望ましい。)。
図6に規定するSPDの接続線の合計長が0.5 mを超える場合,IEC 60364-5-53:2015の534.4.8に規定す
る要求事項を適用してもよい。
注記2 6.2.3に示す太陽電池設備では,太陽電池インバータの直流側及び太陽電池アレイの直流出力
に二つのSPDが必要である。
太陽電池アレイ 接続箱 配線のループ面積は 太陽電池インバータ
小さくする
±
E≧10 m
±
L1
SPD SPD
± L2
記号説明
E 太陽電池アレイとインバータとの距離
L1及びL2 接続線の長さ
図6−太陽電池設備の直流側の過電圧防護例
9.2.6 直流側に接続するSPDの接続導体の断面積
SPDの接続は次の規定に従うことが望ましい。
クラスI試験に適合したSPDの接地導体の最小断面積は,14 mm2(16 mm2)の銅又は同等の性能をもつ
材質などとする。
クラスI試験に適合した,短絡故障モードSCFMのSPDの接地導体の最小断面積は,通電導体が14 mm2
(16 mm2)を超える場合,通電導体と等しくしなければならない。
――――― [JIS C 5381-32 pdf 19] ―――――
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クラスII試験に適合したSPDの接地導体の最小断面積は,5.5 mm2(6 mm2)の銅又は同等の性能をも
つ材質などとする。
クラスII試験に適合した,短絡故障モードSCFMのSPDの接地導体の最小断面積は,通電導体が5.5 mm2
(6 mm2)を超える場合,通電導体と等しくしなければならない。
注記 導体の最小断面積の要求事項は,幾つかの国で異なる。IEC 62305-3のまえがきで,これらの
違いを説明している。IEC 62305-3のまえがきには,我が国における導体の最小断面積は,銅
の場合,16 mm2は14 mm2に,6 mm2は5 mm2に小さくすることができると記載している。そ
のため我が国の標準電線サイズに修正して,対応国際規格の値を括弧書きで記載する。
SPDの定格短絡電流ISCPVは,SPDの設置場所における太陽電池設備の推定短絡電流と協調が取れなけ
ればならない。SPDの接続導体の断面積は,SPDの設置場所における太陽電池設備の推定短絡電流と,過
電流保護装置との最大遮断時間を考慮して決定しなければならない。
製造業者がSPD分離器を要求する場合,短絡故障モードSCFM及び開回路故障モードOCFMのSPDの
接続導体の断面積は,JIS C 5381-31に規定するSPD故障モード試験のように,SPD分離器の特性に合っ
た性能をもつ材質などとする。
SPD及びSPD分離器(要求する場合)と通電導体との接続導体は,予想する推定短絡電流に耐える導体
とし,最小断面積は,次による。
− 直流側に接続するクラスII試験に適合したSPDの場合,2.5 mm2の銅又は同等の性能をもつ材質など。
− 直流側に接続するクラスI試験に適合したSPDの場合,5.5 mm2(6 mm2)の銅又は同等の性能をもつ
材質など。
9.2.7 直流側に接続する多極SPDの内部接続の組合せ,又は一つの防護モードのSPDの組合せ
太陽電池設備へのSPD接続例を図7及び図8に示す。
太陽電池設備は,図7及び図8に示す,一つの防護モードのSPDの組合せ(A,B,C.....X,Y及びZ)
又は多極SPDで防護できる。SPDで用いる防護部品は,電圧制限,電圧スイッチング,又はその両方の組
合せである。SPDの防護部品(A,B,C,X,Y及びZ)は,SPDの電流分岐ともいう。このような電流
分岐は,多極SPDの一つの防護モードと異なる場合がある(例えば,Δ接続と比べ,Y接続)。防護部品
のX,Y及びZは,例えば,一つの防護モードをもつ,三つの同一のSPDでもよい。
注記 全ての防護モードにおける電圧防護レベルを製造業者が示していない場合,個々のSPDの電圧
防護レベルを足し合わせて,合計の電圧防護レベルを求められている。
――――― [JIS C 5381-32 pdf 20] ―――――
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JIS C 5381-32:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-32:2017(MOD)
JIS C 5381-32:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.240 : 送電及び配電網 > 29.240.10 : 変電所設備.サージ防止装置
JIS C 5381-32:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC5381-12:2014
- 低圧サージ防護デバイス―第12部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの選定及び適用基準
- JISC5381-21:2014
- 低圧サージ防護デバイス―第21部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス(SPD)の要求性能及び試験方法
- JISC5381-22:2018
- 低圧サージ防護デバイス―第22部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス(SPD)の選定及び適用基準
- JISC5381-31:2020
- 低圧サージ防護デバイス―第31部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの要求性能及び試験方法
- JISC60364-5-54:2006
- 建築電気設備―第5-54部:電気機器の選定及び施工―接地設備,保護導体及び保護ボンディング導体
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム