JIS C 5381-331:2021 低圧サージ防護用部品―第331部:金属酸化物バリスタ(MOV)の要求性能及び試験方法 | ページ 4

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C 5381-331 : 2021 (IEC 61643-331 : 2020)
記号説明
A : 電流計
P : 双極性パルス電流源
V : 電圧計
MOV (CUT) : 供試品
図6−バリスタ電圧(VV)を測定する試験回路
8.3.4 静電容量(CV)
静電容量(CV)は,関連規格が規定している周囲温度による正弦波周波数及び電圧を用いて測定を実施
することが望ましい。規定がない場合,周囲温度25 ℃で,測定信号として周波数1 kHzの実効値1 V未満
を直流バイアスなしで印加することを推奨する。
注記 既にその他の試験項目を実施したMOV供試品に対し,静電容量試験を実施する場合,48時間の
待ち時間を設ける場合がある。
8.3.5 定格エネルギー
MOVデータシートに製造業者が指定する定格エネルギーの適合性は,MOVデータシートに記載の波形
をもったパルス電流によって評価する。規定がない場合,電流波形は,2 msく(矩)形波又は10/1000の
波形とする。

8.4 MOVの定格課電試験

  MOVの定格課電試験の目的は,MOVの最大連続使用電圧VMの定格を適切に規定しているかを確認す
ることである。
試験前に,供試品のバリスタ電圧VV及び待機電流を測定して,それらの値を記録する。供試品は,図7
に示すように接続する。
最大通常使用温度の恒温槽中でMOVを加熱し,1 000時間試験電圧を印加する。
試験電圧は,交流用途の場合にはVM(AC)及び/又は直流用途の場合にはVM(DC)を印加する。この試験で
は,恒温槽内の温度変化を5 K以下で実施することが望ましい。試験終了後,供試品を室温で1時間以上
2時間以内で冷却することが望ましい。周囲温度でバリスタ電圧VV及び待機電流IDCを測定し,それらの
値が製造業者の指定する範囲を満足することが望ましい。
この耐久性試験は,更に過酷な条件下で用いるMOVに対しては,最大拡張使用温度にMOVを加熱し,
1 000時間試験電圧を印加してもよい。

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図7−バリスタ定格課電試験回路

8.5 ESD試験方法

  ESD試験は,表面実装用MOVだけに適用する。試験前に,バリスタ電圧及び制限(抑制)電圧を測定
する。
供試品は,大きな接地パターンを備えた回路基板に実装する。回路基板には,接触モードのJIS C 61000-
4-2に適合したESDガンで試験を実施するための適切な放電点をもち,表面実装用MOVはESDガンの放
電点と基板接地パターンとの間に実装する。回路基板を,ANSI/ESD SP 5.6に規定する最小0.5 mの金属
接地パターンの中心に配置する。回路基板の接地パターンと金属接地面とは良好な電気的接触を保たなけ
ればならない。
注記 我が国では,JIS C 61000-4-2に規定する試験方法が一般的である。
表面実装用MOVの供試品は,JIS C 61000-4-2に適合したESDガンを用いて8 kV±5 %の接触放電方法
で1秒間隔で10回印加する。ESDガンの接地ストラップは,金属接地面の角に接続する。試験中及び試
験後に,供試品にフラッシオーバ又は破壊の兆候がなく,供試品のバリスタ電圧を試験の前後に測定し,
その電圧の変化は±30 %を超えてはならない。また,各ESD印加時の表面実装用MOVの制限(抑制)電
圧は,ピーク値で2 kV未満とする。

9 公称放電電流及び電流を制限した一時的過電圧試験

9.1 過熱保護付きMOVの試験手順

  過熱保護付きMOVの試験手順は,次による。
· 9.2に規定する温度及び湿度のサイクル試験を実施する。
· 9.5に規定する耐電圧試験を実施する。
· 9.6に規定する絶縁抵抗試験を実施する。
· 9.3に規定する公称放電電流の試験を実施する。
· 9.4に規定する電流制限した一時的過電圧試験を実施する。

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· 9.5に規定する耐電圧試験を再度実施する。
· 9.6に規定する絶縁抵抗試験を再度実施する。

9.2 温度及び湿度のサイクル試験の条件

  供試品は,次の温度及び湿度のサイクル試験を実施する。各サイクルは,60 ℃±5 ℃で24時間放置後,
直ちに(15分間以内で),温度35 ℃±5 ℃及び相対湿度(90±5)%で24時間以上放置し,続いて0 ℃±
2 ℃で8時間放置することで構成するサイクルとする。
耐電圧及び絶縁抵抗試験は,供試品を試験槽から取り出した後に実施する。

9.3 公称放電電流Inの試験手順

9.3.1 一般
次の事項を含む公称放電電流の試験手順を,図8に示す。公称放電電流の試験シーケンスを,図9に示
す。
· 放電電流試験の前に,バリスタ電圧VV及び待機電流IDの初期値を測定する。
· 電圧を印加せずに公称放電電流Inを1回印加し,その1秒以内(図9のT1参照)に,最大連続使用電
圧VMを60秒±15秒間(図9のT2参照)印加する。これを1サイクルとする。
· このサイクルを15回繰り返す。
注記 印加方向は正方向としている。
· 各5サイクル後に,供試品を30分±5分間(図9のT3参照)常温で冷却することが望ましい。
· 最後のサイクルの後,更に15分間以上VMを印加し続ける。
· 試験終了後,バリスタ電圧及び待機電流を測定する。
警告 この試験では,試験者にとって危険となる場合がある。火災又は爆発の事故でり(罹)災しない
ように人員を保護するための適切な措置を考慮する必要がある。

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図8−公称放電電流の試験のフローチャート

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C 5381-331 : 2021 (IEC 61643-331 : 2020)
記号説明
T1 : 1秒以内
T2 : 60秒±15秒間
T3 : 30分±5分間
T4 : 15分間以上
図9−公称放電電流の試験シーケンス
9.3.2 合格基準
15サイクルの試験後に測定したバリスタ電圧は,初期に測定したバリスタ電圧の値の±10 %以内とす
る。また,待機電流は製造業者の指定値よりも小さいことが望ましい。

9.4 過熱保護付きMOVに対する電流制限した一時的過電圧試験の説明及び手順

9.4.1 一般
恒久的に電源に接続する機器に設置する過熱保護付きMOVの場合,製造業者の指定がない場合,試験
に用いる電流は0.625 A,1.25 A,2.5 A,5.0 A及び10.0 Aとする。コード接続する機器に設置する過熱保
護付きMOVの場合で,製造業者の指定がない場合には,試験に用いる電流は0.625 A,1.25 A,2.5 A及び
5.0 Aとする。
警告 この試験では,試験者にとって危険となる場合がある。火災又は爆発の事故でり(罹)災しない
ように人員を保護するための適切な措置を考慮する必要がある。
9.4.2 供試品準備
供試品は,製造業者の指定に従って取り付ける。チーズクロスを,供試品の危険性を監視するために用
いる。2層のチーズクロスを供試品の周りに,ゆるく覆わなければならない。
9.4.3 試験条件
電流制限した一時的過電圧試験のフローチャートを,図10に示す。図10に従い,各通電電流において,
MOVの連続使用電圧VMの1.6倍に交流電源を調整する。電源投入後,熱切離し機構が動作するまでの間
に,供試品に流れる電流を観測モニタするが7時間を超えてはならない。熱切離し機構が動作した後,供

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JIS C 5381-331:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61643-331:2020(IDT)

JIS C 5381-331:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 5381-331:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC0617-4:2011
電気用図記号―第4部:基礎受動部品